東浩紀のレビュー一覧

  • 日本の歪み

    Posted by ブクログ

    この三人の鼎談は、奥行きもしなやかさもあって実に面白い。
    不快なものは不快。
    関係ないものは無理をして理屈をこねることもない。
    黙っていてもいいが、態度 行動で表すには、腹を据えたり超越する必要があるな。

    0
    2023年10月29日
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅

    Posted by ブクログ

    訂正する力→ゲンロン戦記ときてこれを読んだ。時系列的に遡ってる感じ。ある意味、著者の考えの筋道とか一貫性とかが見通せる感じで、良い流れではなかったかと思う。次に読むのは近々くるはずの「訂正可能性の哲学」になる(その前にゲンロン15か?)と思うけど。本棚で「存在論的、郵便的」が待っているのではあるが。

    0
    2023年10月28日
  • 訂正可能性の哲学

    Posted by ブクログ

    人間への諦念を前提とした内容ながらも、これをポジティブ、いやニュートラルに捉えられる読後感だった。人間とは、決して合理的で強い存在ではなく、情念に振り回され他者を傷つける弱い存在である。これを、だからといって単純に人間を排除する思想に走るのではなく、それでも過ちを訂正し続けていくからこそ持続可能であると結論付けている。それは、悲観主義ではなく、かといって理想主義でもない、とてもプラグマティックな考え方に思えた。
    カール・ポパーが提唱したように、一見すると絶対的だと思われる科学でさえも、その正しさは常に暫定的なものでしかなく、それは反証可能性に開かれている。同様に、正しさの基準も時代や文化によっ

    0
    2023年10月02日
  • 観光客の哲学 増補版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    哲学書ながら読みやすい一冊だった。グローバリゼーションとナショナリズムの狭間でどう生きるのか。経済的に結び付きゆく世界の中で、自分と他者の壁をどこに設定するのか。難しい問題について考えさせられた。
    ゆるく生きる、というのとは少し異なる気がするが、概ね筆者の意見には納得した。ナショナリズムに限らず、例えば会社をとっても、多様な働き方があるいまの時代、一つの組織や集団への帰属意識は不安定なものになりつつある。そこで大切なのが観光客としてのコミュニケーション、つまりすべてが繋がっていることを許容しながらも、自己と他者の境目をなんとなく意識すること。そして他者の認識は100%そのものを理解していると認

    0
    2023年08月16日
  • 観光客の哲学 増補版

    Posted by ブクログ

    この本は、哲学は決して高尚な取っつきにくい学問ではなく、身近で面白いものなのだということを、読みやすい文章で示してくれている。図らずもコロナ禍を経て「観光客」というキーワードが、初版の時以上に意味を持つようになった。「親」として生きることに対するメッセージが深い。カラマーゾフの兄弟を再読せねばと思う。
    「訂正可能性の哲学」が大変楽しみである。

    0
    2023年08月15日
  • 観光客の哲学 増補版

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「観光客の哲学」初版は既に購入して読んでいたのだけれど、今回の増補版で再読して
    新たな発見がいくつもあったので、備忘録として記しておくことにした。

     まず第4章の「二層構造」。カント、ヘーゲルの時代から哲学者が考えてきた国家と市民社会のことがものすごくわかりやすく述べられている。21世紀はネーションの統合性が壊れただけの状態であり、2つの秩序が独立して存在する「二層構造の時代」であると。
    もはや普遍的な正義が存在しない、リベラリズムの根幹が揺らいでいる現代には、上半身(理性、政治)と下半身(欲望、経済)は別々の秩序で動く。これは、コロナ禍を経験した我々には実感を伴って感じられる。医療者である

    0
    2023年07月12日
  • 観光客の哲学 増補版

    Posted by ブクログ

    新たに「2章2万字」が追加された増補版。そのこと自体が、まるで家族の拡張可能性そのもののようだ。イラストの小鳥が、帯でそのことをお知らせしてくれています。かわいい。

    0
    2023年06月27日
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人生にノイズを入れる必要がある、と思わされた一冊。

    情報に溢れた社会の中では、それ自体が強い繋がりとなって自分を固定化してしまう。それに抗い、人生にノイズを入れること、弱いつながりをつくることで、その情報をもっと豊かにでき、一度きりの人生を豊かにできるのだ、と。
    深く入り込まなくてもいい、浅く、好奇心を持って、半村人であるような感覚でいればいいと説く。

    それだけではなく、東氏がいいたい哲学的、かつ本質的な部分は何度か読むことによって理解できていくのだろうと思う。

    0
    2023年05月10日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

    Posted by ブクログ

    会社として活動することと自分のやりたいことのギャップを埋めるのが如何に大変かを追体験させてくれる本。

    0
    2023年02月11日
  • 忘却にあらがう 平成から令和へ

    Posted by ブクログ

    読み始めて数ページは「なんだ週刊誌のコラムのまとめか」と思ったが、読み進めていくうちに引き込まれた。
    毎日の日常を当たり前に生きていると漠然と変化を感じることはあるけどその正体はよくわからない、しかも日常だから深く考えずに過ぎてしまう。でも冷静に去年の今頃とか3年前とかを思い返すと、だいぶ変わってきたんだなと感じることがある。そういうことが週刊誌のコラムであるからこそ小刻みの等間隔で振り返れて、世の中がじわじわと確実に変わってきたこと、または結局変わってないことなどをリアルに実感できた。自分が生きている時代(2017年1月〜2022年4月)を見つめ直す有意義な機会をもらえた。

    そのような大局

    0
    2023年01月11日
  • ゲンロン13

    Posted by ブクログ

    ゲンロンの最新刊。
    ロシア情勢についての座談会、辻田氏と三浦氏の座談会、梶谷氏らとの座談会、、、座談会だけでも読み応えが十分。ただやはり東氏の最新の論考が一番興味深い。特にルソーをデリダ的に読み直し、
    一般意識と訂正可能性を結びつける議論は唸らされる。2010年代以降のIT論壇批評も鋭い。批評家としての氏の力量が遺憾なく発揮されているだろう。

    0
    2022年11月18日
  • 忘却にあらがう 平成から令和へ

    Posted by ブクログ

    【はじめに】
    本書は、2017年1月から2022年4月までの約五年の間週刊『AERA』に掲載された巻頭コラム131回分を収めたものである。ざっとこの100回を超えるコラムを読むと、この五年間でそれなりのことが起こったのだなと改めて思い返される。

    【五年間のこと、特に政治について】
    その五年間のコラム掲載期間の後半は、日本中がコロナに翻弄された。著者も何度も言及し、なし崩し的に権利の制限が行われたことが後世に与える影響を懸念している。
    また、アメリカでのトランプ大統領の誕生も驚きではあったが、政治的出来事としてある意味ではとてもこの五年間までの政治の変化を象徴する出来事であった。一方でこの五年

    0
    2022年10月23日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

    Posted by ブクログ

    昔某教授からオタクを名乗るなら必須だから読んでおけと勧められた一冊。(今となっては)往年のアニメやADVからオタク(というか非王道の若者)の心理が分析されている。難しい言葉も少ないのでオタクを名乗るなら是非

    0
    2022年09月27日
  • 忘却にあらがう 平成から令和へ

    Posted by ブクログ

    筆者は一貫して、人々は自分の頭で考え自分の振る舞いを周囲に惑わされないことの大切さを訴えている。この5年間の時事を見つめ直すにも良い一冊。

    0
    2022年08月31日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

    Posted by ブクログ

    「有名な本らしいけど、20年前の文化批評って今アテになるのかな…?」と思いながら読み始めたけど、杞憂だった。東先生(というか、コジェーヴさん)の言う「動物化」は20年でさらに進んでるよなぁ。「大きな物語の時代の終わり」は気のせいだったことが最悪の形で証明されちゃってるけど。

    0
    2022年03月16日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

    Posted by ブクログ

    この本の中では東浩紀さんがずっと展開してきた「誤配」という言葉について何度も語られている。まさに私も東浩紀、そしてゲンロンに出会ったこと自体が「誤配」の結果であり、そこから多くの影響を受けているということを読みながら改めて実感した。震災後の福島について、人文知的アプローチをしているところを探していたらゲンロンに出会い、よく分からないままゲンロンカフェに行って小松理虔さんの出版イベントに参加した。東さんや飛び込みで津田さんなどがいて熱く語り、観客もまた熱心に聞く、物凄い熱量の空間であった。まさに私もあの場で「知の観客」となっていた。しかし、ゲンロンがそこに至るまで、そしてそれ以降、裏では大変なこ

    0
    2022年02月12日
  • 一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル

    Posted by ブクログ

    ルソーによると、一般意志とは国人の意思の集合体である共同体意思のことを指す。したがって市民はこの一般意志に従わなければならない。ただし政府は一般意志を執行するための"代理機関"にすぎないため、市民は政府に服従しなければならないわけではなく、むしろ革命権を肯定している点はホッブズと異なる考え方。

    現代社会において一般意志とは何か考えてみるとまず思いつくのは世論あたりになるが、これとは全く性質が異なる。なぜならルソーは一般意志について「一般意志はつねに正しく、つねに公共の利益に向かう」と述べているからだ。世論は、みんなの意思だがしばしば誤ることがある全体意志に該当することにな

    0
    2021年09月18日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

    Posted by ブクログ

    ゲンロンの経営者としての東浩紀の試行錯誤を記した本。あとがきで東はもともと「とてもややこしい現代思想の世界を専門としていた」が「専門書ではなにも伝わらないし、なにも変わらないと感じるようにもなっている。哲学は生きられねばならない。」と書いている。うーんそうなんすかね、まあそうなんだろうな。ただ別のなにかのインタビューで、専門書を読めば俺は専門書を読めるし実際すでにほとんど読んだぞと自信に繋がって、その手のコンプレックスを抱かなくなると答えていた。亀の甲より年の功てきなことかもしれないけど、それでも専門書を読む意味が消えることはないんだろう。

    仲間を集めたいという動機で始めたゲンロンだったけど

    0
    2021年09月03日
  • 弱いつながり 検索ワードを探す旅

    Posted by ブクログ

    普段本をあまり読まないネット好きな人にこそ、是非おすすめしたい一冊。場を移しただけでは世界は広がらない(悪い意味で)。SNSはあくまでツール。

    0
    2021年09月01日
  • ゲンロン戦記 「知の観客」をつくる

    Posted by ブクログ

     めちゃめちゃ面白かったし、勉強になった。会社経営としても、哲学としても。

     …もっとも重要なのは、「なにか新しいことを実現するためには、いっけん本質的でないことこそ本質的で、本質的なことばかりを追求するとむしろ新しいことは実現できなくなる」というこの逆説的なメッセージかもしれません。

     …ついに意識改革が訪れました。「人間はやはり地道に生きねばならん」と。いやいや、笑わないでください。冗談ではなく、本気でそう思ったのです。会社経営とはなにかと。最後の最後にやらなければいけないのは、領収書の打ち込みではないかと。ぼくはようやく心を入れ替えました。そして、ゲンロンを続けるとはそういう覚悟を持

    0
    2021年08月14日