東浩紀のレビュー一覧

  • 観光客の哲学 増補版

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    たいへんおもしろく、そして難しい本だった。政治と経済の両方に行き詰まりがある中でこれからは興味本位でものごとを知るような、観光客の概念がヒントになる。

    日常から切り離されたところに移動し、そこで偶然出会った何かを日常に持ち帰るような流れが生じることで、既存社会への抵抗ができるのではないか。それをやるには、今の世の中はあまりにも偶然性からかけ離れたところにいると思った。

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    2025年03月13日
  • 訂正可能性の哲学

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    2011年の『一般意志2.0』の訂正。
    一般意志は「小さな社会」、その対話で補われる。

    ・クリプキによるウィトゲンシュタインの言語論の読みなおし:あらゆる規則、意味の一貫性は、それを生み出した行為に依存して、未来の他者に遡行的に産出されるものに過ぎない。
    →規則や意味の一貫性なるものが、人が誰を仲間だと思うか、それぞれの共同体の境界を決める判断と不可分に結びついている。

    ※「家族」を、ウィトゲンシュタインの言語ゲームに参加するプレーヤーの共同体と定義するには、参加と排除のハードルが異なるのでは。

    ・固有名は、その定義を遡行的に訂正することができる。

    ・人間はそもそも、理想社会の到来にそ

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    2025年02月09日
  • 訂正する力

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    面白くて一気読み。
    (一読なので色々読み落としてるかもしれない)

    まえがきから大変面白い。
    印象的だったのはポリコレの"C"にcorrectingという動名詞を充てたこと。またゲンロンの動画配信という対話/おしゃべりの持つ効用は、自分もPodcastを日頃聞いてて感じるもので、納得感があった。
    個別の議論については (自分はリベラル気味なので) ところどころ首を傾げる部分もあったが、地に足のついた中庸なスタンスで信頼に基づく豊かな議論を展開しようとする姿勢に最も共感を覚えた。

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    2025年01月19日
  • 訂正する力

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    ネタバレ

    訂正する力という観点で社会課題に切り込んでいくのが面白い。
    政治、メディアのあり方などよくよく考えてみると非を認めない、変わってはいけない、貫き通さなくては。という姿勢が停滞を生んでいる。
    テーマ自体は政治など非常に大きいところを扱っているが、私自身も変化に対応しながら訂正できる人でいたい。

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    2025年10月13日
  • 日本の歪み

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    日本の歪みは、明治維新後の急速な西洋化だけにあらず、日本人の国民性や言語に宿る意識、文化にもありそうだと思った。
    養老孟司氏の戦争から戦後に起きたさまざまな出来事への感想がサラッとしていて面白い。

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    2024年09月21日
  • 郵便的不安たちβ

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    ネタバレ

    大学、大学院と哲学をやった割には哲学を知らない(というか分からなかった)私。いまだに淡い憧憬を持ち続けています。

    他方で自分を疑うようにもなりました。

    若い頃よく単館上映映画をよく見ていたのですが、自分が映画好きだったのか、映画好きな自分が好き(映画好きと言いたいだけ)だったのか。今となっては良く分かりません。

    哲学についても同様。哲学をやっていますと言いたかっただけだったのか?と。

    そのなかで、現代思想というかフランス系は最も分からん、というか触れてみる気すらしなかった分野でした(です)。そこに燦然と輝くエース東氏。

    彼の著作、以前恐る恐る手を出してみたら、ちょっと面白い。

    で、

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    2024年09月19日
  • 2035年の世界地図 失われる民主主義 破裂する資本主義

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    コロナ禍とウクライナ戦争で、世界の経済のグローバル化は減速した。だが、世界の経済のグローバル化はこれからも持続していくだろうという。SNSが普及して、これからに必要なのはリテラシー教育らしい。「未来の自分に利他的になろう」というメッセージには共感した。急速に物事が変化していく時代に、生涯学び続ける姿勢を持ちたいと思った。

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    2024年09月18日
  • 訂正可能性の哲学

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    硬直した議論が蔓延る日本や世界の思想界では数少ない、思考を柔軟にしてくれる本
    「知」の巡りが少しでもよくなることを期待

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    2024年07月02日
  • これからの教養 激変する世界を生き抜くための知の11講

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    少し前の本ですが、学びある。

    動物の世界は必然性の世界であり、
    アルゴリズムが支配する世界であり、
    強いつながりの世界である。
    それは友達を作りたいなと思ったら自分と趣味の合う人たちを探してオフ会をやる世界です。

    人間が人間らしいと思っているものの多くは誤作動の結果起きている。
    だから人間らしい感情は根拠づけたり設計したりするものではない。
    人間のコミュニケーションには誤作動がすごく多くて、その誤作動こそが我々の自由や生きているという事実を支えている。
    だから、それをなるべく潰していくというのはまずいと思います。
    そうした誤作動をどうこれからの社会に組み込んでいくかという話になると思います

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    2024年06月30日
  • ゲーム的リアリズムの誕生 動物化するポストモダン2

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    自身もオタクであり、何となく肌感覚として『萌え』が分かる側の人間なのでそこそこの実感を伴って読めた。二次創作やメディアミックス等、マルチに展開する現状のサブカルチャーを文学的 もとい作者の恣意性ではなく環境に基づいて分析したという点が画期的なのだろうか。
    筆者はメタ物語性という言葉を多用し、読者=プレイヤーのメタレベルを前提とした作劇の為されている(作者が意図していなかったとしても、結果的にそうなっている)作品を幾つか例として挙げている。この読者としての自意識が文学の批評に参入してくる点については、昨今の『推し活』的な文化にも通ずるものがあるのではないか。『推し活』は対象を『推す』こと自体が目

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    2024年06月11日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    ポストモダンで読み解くオタク文化の本。「大きな物語」に支えられた時代が終わり、「物語消費」から「データベース消費」に移行していくと指摘している。

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    2024年05月15日
  • 日本の歪み

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    この辺りの『知』に触れると、過去に学んだ日本史や日常見るニュースは、いかに表層だけしか見ていないかがわかる。


    明治維新と第二次世界大戦で、2度価値観を変えねばならなかった日本。
    うまく新陳代謝したわけでは無く、それもまたやむなしと受け入れたものの歪みの上に構築さ、矛盾に満ち成熟せずに時間だけがたって、国力がどんどん落ちている。
    果たして未来はあるのか⁉️


    【怖い話】
    ここ30年で世界の昆虫が8割減ったらしい。人口減と原因は同じ。

    南海トラフ地震、首都圏直下型地震が起きて日本の経済が壊滅的にダメージを受けたら、巨額の資金わ中国に頼らざるを得なくて、属国になるしかない。

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    2024年05月05日
  • 訂正可能性の哲学

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    - 民主主義の本質=訂正し続けるということ
    - クリプキ『ウィトゲンシュタインのパラドックス』で出したクワス算の例
    - 人間の作り出した定義は曖昧で、絶対的に正しいとは言えない
    - 成田悠輔や落合陽一らは実は素朴なルソー主義者であり、そこには一般意志を訂正できる可能性はない(人工知能民主主義)
    - ルソーの一般意志=絶対的に正しいもの、自然にも重ねられる
    - 全体意思(個人の意思の集合)とは違うもの
    - 一般意志の「訂正」は不可能に思われる
    - ルソーの小説『新エロイーズ』を読み解き、「訂正可能性」を探る
    - サン=プルーとジュリ

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    2024年05月02日
  • 観光客の哲学 増補版

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    分断が進み、友―敵しかないような現代にあって、いかにして連帯は可能か。ポストモダンの動物化のなかで、どうしたら人間でいられるか、社会を少しでもましにできるか。実に現代的な課題に、まじめに向き合ってゲンロンを展開する。そのベタな姿勢には称賛しかない。あとは、この観光客的な連帯を、どう実装するかだ。

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    2024年04月30日
  • 動物化するポストモダン オタクから見た日本社会

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    オタクの出現を【大きな物語】が失われた後の【ポストモダン】で捉えている。
    出版から20年以上が経ち、【オタク】という言葉の使われ方も意味合いも変化しつつあるがそれでもその本質は変わっていない。今でも読むべき名著。

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    2024年04月14日
  • 日本の歪み

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    この本の題名は『日本の歪み』ですが、もう少し丁寧に言うと「戦後日本の歪み」です。東さんが戦後論を提示して、養老先生に意見を聞くという内容になっています。茂木さんはときどきTwitterと同じ人とは思えないくらい、養老先生の話に上手に補助線を引いています。
    この「戦後日本の歪み」を簡潔に表現するなら、日本の文化の上にアメリカ主義を継木してしまったことです。そこに無理があった。しかし、経済発展によりそれが「上手く行った」と見なされ、後戻りできなくなった。そのディレンマが歪みの正体だというわけです。
    もちろん、こうしたディレンマは初めてじゃない。明治維新がそうだったし、古くは中国との関係がそうでした

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    2024年04月06日
  • 日本の歪み

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    さまざまなテーマでの対談は、とても刺激的で興味深かったです。私には難しい部分が多かったですが、勉強になりました。

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    2024年03月18日
  • 観光客の哲学 増補版

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    ネタバレ

    師匠から、読んでみてほしいと言われた一冊。

    賛否がかなりある人ということもあり、別の先輩から「そんな人の本読んでるの」と言われて、部分的に納得もしたのでしばらく中断してた。
    けど、猪瀬直樹氏との対談動画で、彼に対してしっかり言うべきことをおっしゃっている姿をみて、東浩紀さんをキャンセルする必要はないと思い再開。
    (ただ、東浩紀さんによる過去の問題あった言動をすべて無しにするわけではないことはご理解いただきたい。この人の言葉に向き合ってみてもいいかもと思っただけである。)

    400頁あり、(後述する通り「ゆるく」はしているものの)私の勉強不足もあるので、そこそこ難しくは感じた。
    哲学的なバック

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    2024年03月15日
  • 観光客の哲学 増補版

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    観光客=誤配=他者といった認識。

    意図しない偶発性が生み出す関係に基づく、グローバリズムとナショナリズムの二者択一ではなくて、新しいアイデンティティを。そこには政治的なや経済的なつながりではなく、「憐れみ」のような感情的なものに促される連帯がある。

    過去の哲学者や事象による思想を乗り越えようという試みは、哲学入門書を読んでいるだけでは味わえない生の哲学という感触で読み応えがある。同時に、過去の思想に(著者の解釈を織り込んであるだろうが)も多角的に触れることができるのは個人的に有益。ここから興味の幅が広げることができるのさ。

    姉妹編「訂正可能性の哲学」も早速読み始めよう。


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    2024年02月12日
  • 訂正可能性の哲学

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    『観光客の哲学』の続編である本書は前書の主張を引き継ぎつつ新たに”訂正可能性”という概念にポジティブな可能性、それは究極のところ、民主主義社会における新たな可能性を見出す。

    本書の主張は、末尾に収められた以下のようなテクストで要約される。

    ”だからぼくたちはけっして、民主主義の理念を、理性と計算だけで、つまり科学的で技術的な手段だけで実現しようとしてはならない”(本書p326より引用)

    ”ぼくたちはつねに誤る。だからそれを正す。そしてまた誤る。その連鎖が生きるということであり、つくるということであり、責任を取るということだ”(本書p343より引用)

    前著の『観光客の哲学』では「敵か味方

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    2024年01月14日