東浩紀のレビュー一覧
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これは、哲學書というよりそれ以前に、批評である。
それは著者の『存在論的郵便的』『動物化するポストモダン』『一般意志2.0』の自注と(內容だけをみると)言えなくはない。これは、自著の単なる「解題」ではないか、と。
しかし解題という言葉には、強靭な自己批判といういみも含まれるとすれば、東氏ほど「現在」を語るにふさわしい書き手はいないのではないか。
射程の広い思考をもった理論家ともいえる。カント及び、ヴォルテール、そして、20世紀の政治哲學三人、シュミット/コジェーブ/アーレント。
最後に、ネグリ+ハート、そして、ローティーと、振れ幅の広い思想家を、精確に分析する手管は、淒みがある。
さて、他 -
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「統計的な最適を考えるのではなく、偶然に身を曝せ」
ネットの評価経済社会が強いるどぶ板選挙のような体力勝負の消耗戦に身を賭すのではなく、環境を変えインプットを変えることによってアウトプットが変わる可能性に賭けよ。
消耗戦の中からは本当に新しいコンテンツ、本当に素晴らしいコンテンツは出てこない。そこから離れ、ゆるやかに流れる時間のなかに身を置くために、旅が必要なのだ。
入門書として書いてある通り、非常に読みやすく示唆に富む内容であったし、これからの生き方を変えるほどの影響を受けた。まだまだ噛み砕くのに時間はかかりそうだが、また読み返したい。最後に仮に賭けに失敗してしまってもあずまんはこう -
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偽善で空想的だったリベラルはもはや存在しないが、政治と経済、国民国家と帝国、ナショナリズムとグローバリズム、コミュニタリアニズムとリバタリアニズム、この対立のどこかに身を置く、のではなく、「第4の道」を見出すための本。
その道は、連帯しないのが連帯、と言うただデモするだけの否定神学的なマルチチュードではなく、書名にもあるように何らかの「繋ぎ換え=誤配」を産み出しうる『郵便的マルチチュード』である観光客だ、と言う話。
そしてこの「観光客」も単なる観光客という意味だけではなく、同じく郵便的マルチチュードと考えることが出来る「家族」も含まれるもの。
本書の最後がドストエフスキーを通して家族を捉え治す -
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まとめ
○かつての文学
・現実で生きる人々の喜びや苦悩を汲み取り、作品表現として昇華するという役割
=社会や政治をふまえたうえでの創作が価値を持っていた
・文学と社会が「公共的」な関係を持っていた
○現代の文学
・現代の社会はあまりに複雑で、わたしたちはもはや社会全体をうまく見渡すことさえできない(世界から切り離されている)
・あらゆる創作物が「現実逃避」として求められている
・記号的・キャラクター思考
・現実から遠いものとしての虚構群である
・想像界と現実界が短絡し、象徴界の描写を欠く(例・個のボーイミーツガールを、「世界の終わり」や「この世の危機」といった大きな問題と直結させる)
・細 -
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不思議な本である。そして同時に傑作である。
本書のテーマは重い。極めて重い。今の世界が直面する困難の構造を析出し、それを突破する主体を構想する。それが本書の目的である。ところが、その重すぎるテーマを前にして本書の叙述スタイルはなんだかとっても妙だ。文章はわかりやす過ぎるほどに明快であり、哲学書・思想書にありがちな晦渋さとは無縁。随分くだけた表現もあり、場違いなほど俗っぽい物言いに思わず吹き出してしまうこともしばしばだった(とはいえ、これは東の話術=トークにおいてはおなじみのものだが)。もともと著者・東は複雑なものをシンプルに整理して提示する達人だが、本書ではその技術がいよいよ究められつつある -
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教員問題を知るために、教員免許を取った現場主義の乙武洋匡さんが、より社会問題を知るために各分野の現場で活動している専門家の方々と対談する『R25』での対談連載「乙武洋匡の自問多答」をまとめた本です。
テレビで報道させる社会問題は、一般人からするとあまり身近に感じられないかもしれない。
だけど、この本で社会問題を解決するために活動している方々をみると、小さなキッカケから始まったり、自身の不満が社会問題に結びついてたなど案外、一般人の自分なんかでもできちゃうかもなんて考えたりできて面白かったです。
社会に対して不満や課題があることに嘆くよりも、解決する側に立って考え行動する方が得るものがあるん -
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父として考える
P.17 循環する時間と成長する時間
あるステイタスのときに特定のコミュニケーションをし忘れると、そのときに意味があった刺激がそうでなくなるので、「だったら時間を有効に使わなくてはいけない」と思うようになりました。(宮台)
おっしゃる通りです。5,6歳までが決定的に重要な時期だと思いますが、結局そのときは一回しかない。取り返しがつかないわけです。この期間を親としてどう過ごすか。
これはじつは、大人と対する時にはない感覚なんですよね。むろん来年の宮台さんはいまの宮台さんとちがう存在ですが、しかしたいていは意識しないでコミュニケートしている。大人にとっては、今年も来年も同じ。仕