【感想・ネタバレ】新記号論 脳とメディアが出会うときのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

ネタバレ

東浩紀が師匠の石田英敬の構想をきく形で行われたゲンロン・カフェでの対談講義を書籍にしたもの。最新の知見にもとづいて、「記号論」を構想しなおしており、知的にとても刺激をうける。
特に、脳とメディアの関係性は、自分の問題意識とあっている。
一方、橘玲がかなり否定的に書いているフッサールやフロイトを肯定しているので、考えさせられる。

第1講義 記号論と脳科学
・歴史的には、バロック記号論(ロックとライプニッツ)から現代記号論(パースとソシュール)を経て情報記号論に
・フォトグラフ(光)、フォノグラフ(音声)、シネマトグラフ(運動)のグラフは「書く」ということであり、記号として通底
・ヒトはみな同じ文字を書いている!
・自然と見分ける脳の領域を転用して文字を見分けるようになったという「ニューロンリサイクル仮説」

第2講義 フロイトへの回帰
・フロイトの治療の効果は否定されているが、彼のイメージした「心の装置」は「不思議のメモ帳」をアナロジーとしており、有効
・さらにフロイトの「心の装置」とソシュールの「言語の装置」を対比させることで、無意識に視覚(物表象)が、意識に聴覚(語表象)が対応することが明らかにされる

第3講義 書き込みの体制2000

4つの追伸 ハイパーコントロール社会について

0
2021年02月23日

Posted by ブクログ

東浩紀の理解力バケモノか?
わりとフロイトの話が多い。個々の説明はわかりやすいんだけど話があちこちに行くので、全体としてしっかり把握するには理解力がいるなあと思った。
補論のGoogle広告の話についてはいままさにそういう仕事をしているから多少疑問に思うところもあったけど、そういう着眼点かあ、って素直に驚いた。ヘーゲルのピラミッドの話もはじめて聞いたけど面白い。
理解できないところがあったとしても、現代のメディアを読み解くためのヒントがたくさん詰まっているので、読む価値は大いにある。

0
2019年09月23日

Posted by ブクログ

悲しくなる本である。
内容的には断然面白いのだけど。

問題は、捨てたもんじゃないでしょ、という東さんにたいして、衆寡敵せず、と言うほかないことなのだ。
安易に感染する縁無き衆生には、インテリゲンチャの言葉は届かない。
度しがたいバカを救えるのか、と問えば、無理でしょ、と言うほかない。

それと、文系がどうこういう理系の輩、というのは、所詮9割のクズの側でしかない。
理系という鎧を身にまとえば無敵になれる、などという脳天気な勘違いをしている時点で終わっている。

0
2019年08月09日

Posted by ブクログ

とても面白いけども、疑問も色々と湧いてくる。
ちょっと極端に過ぎるところもある。
今の情報化社会の過大評価もある。
なぜ人文系が、記号論か、時代に対応できないのか、それは、世の中の多様化、というか、多様性の顕在化、に、答えられないからではないのか。

情報記号論を考えていくにあたって、バロック記号論まで遡らなければ、というものの、本当にそこまででいいのだろうか?
メディアを、アナログメディアやデジタルメディアとして、写真、映画、ウェブにしてるけど、書物だってメディアなわけで、そこが最後まで気持ち悪い。
書物をメディアと考えてないので、コンピュータの構想されたバロック記号論を遡る原点としてるけども、書物をメディアと考えたときに、グーテンベルク銀河系の記号論は必要ないのだろうか?
いや、この本にも書いてあるように、洞窟壁画の描かれた壁面だってメディアなのだから、その記号論から考えなおさなくていいのだろうか?
その時代には記号論はなかったのだとしても。

もしくは、例えば、夢がスキャンされるという話。
夢に、羊が出てきたのがわかるようになったとしても、その羊が「何として」あらわれてきていたのか、まではわからない。
それではあまり、意味がない。
今の科学は、ルネサンス期に生まれた、「何故」を考えるのではなく、「どのように」を考えるものでしかない。
つまり、夢に羊がみえるときにどのように脳が働いているか、を観測して、それと同じように脳が動いてるときには羊が見えている、とすることはできるけども、どうしてその羊をみているのか、その羊は何なのか、は、そのスキャンからはわからない。
そして、その違いは、今の科学の方法論では乗り越えられそうにない決定的な違いだ。そこを人文学の人こそ大事にして欲しい。

写真はいつ誰が撮った、という話も、単に写真に対する思い込みに過ぎず、写真を、撮影を、ちゃんと考えている人には自明のものであったりする。「撮れちゃった写真」というものがいっぱいあるのだ。だから、プロでもモデル撮るときには、何枚も撮る。いや、プロだからこそ、何枚も撮る。もしくは、一枚しか撮らない、そこに写るものを重視する、という方法論がうまれる。
そういうところを大事にしてほしい。
つまり、理屈だけで、実験が足りないところがおおい。

そう、この実験の欠如こそ、人文学が役に立たなくなっている点では?ビッグデータを実験結果として何を読み解くか、を、データサイエンティストなんかに委ねてしまってるところが負けてるのだ。

などなど、色々と気になるところはあるけども、そういうことを色々と考えられたところも含めて、面白い話だった。
タルドが取り上げられてたこと、ミラーニューロンが取り上げられてたこと、なんかは個人的にとても嬉しかった。
そう、模倣よね、そこよ。

0
2019年05月05日

Posted by ブクログ

人間が作り出した記号は、インターフェイスを通じて機械と交流するものになった。機械のために変換した記号ゼロイチが人間社会に逆流して侵食、感染していく中で、人文学が果たす役割と自由について。

0
2019年04月30日

Posted by ブクログ

衝撃の一冊だった。情報学環で石田先生の授業を受けたこともあったので懐かしくもなった。閉塞が叫ばれる、思想界ひいては人文学であるものの、石田先生が接続を試みる脳神経学的アプローチは思想に新たなアクチュアリティを付与する。

0
2019年04月27日

Posted by ブクログ

フロイトの再解釈からつながる記号の逆ピラミッド面白いわぁ。本の中でもツッコミ入ってたけど第3講義の後半を先に読んだ方が全体像がわかる笑

0
2019年04月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 記号論とはなにか。歴史からここまでの新しい言説までをまとめたものである。知を愛するものであれば必読の書である。
 この分野はコンピュータ、AIの発展の礎になっているし、そもそもメディアを探究する場合にも必要になるものである。
 本書に「ヒトはみな同じ文字を書いている」、「ニューロンリサイクル仮説」を取り上げた箇所がある。ヒトが進化の過程で森で生活していた時期があるとされる。その森での生活でモノを見分けるのに使っていた視覚に関する身体の部位や脳の視覚野。これを文字を読むことに転用しているのではないかということの根拠にしているのである。
 グラフィックレコーディングにおいて、文字を書く、絵を描くということは基本中の基本である。その学びにおいてこの考えは大変大きな示唆となる。

0
2022年05月01日

Posted by ブクログ

ネット社会となった今を生きるということについて、人間の自由について、脳神経科学を踏まえた哲学としての説明がされている。スッと入ってくるところが多かった。
いつの時代も、人との繋がりの中にしか自分を見出せないだろう。メディアが変わっても、不器用でも粘り強く、勇気を持って向き合っていくしかない。改めて感じた。

0
2021年07月22日

Posted by ブクログ

自然科学と人文学が融合した本書は、非常にボリューミーな上に内容も難しい。そのため、読み進めていく間に何度も挫折しそうになりながらも、なんとか読み終えることができた。「ヒトはみな同じ文字を書いている」という事実に驚嘆した。全てを読まなくても良いから、その項目だけでも読んでほしいくらい(笑)

0
2019年09月03日

Posted by ブクログ

文理の壁をアクロバットに飛び越えまくる、脳汁出まくりの論展開。
メディア・テクノロジーに媒介され成立してきた記号論を、情報処理と結合させる事で新たに捉え直す試みは猛烈アハ体験。

0
2019年06月17日

Posted by ブクログ

石田さんが書いてる補論は第一のものですでによく理解できず、というよりそもそも本論の東さんとの講義のところからして良くはわからないまま読んでいたのだが、東さんがところどころ解説してくれるのでなんとか読み進められていたようなものだった。

結局のところ、一生懸命お二人が、今のこの時代に哲学が、人文学が何をすべきなのかということを何時間もかけて語ってくれているのだが、読んでるこちらはそれがどうして大切なのかということがよくわからないから、噛めずに舐めてるみたいな読み方になってしまった…

0
2023年11月18日

「社会・政治」ランキング