中原尚哉のレビュー一覧
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シリーズ3巻。
面白いが、今回は「弊機」の謎の背景にはほとんど触れられない。あれで終了っちゅうことなのかな。キャラが安定した上での事件解決という、嫌なシリーズ展開の入口みたいな感想も持ったが、社会背景の描写巻と捉えていのだろうか。いい感じなんで読み続けたいが、展開の薄いシリーズが続くのは嫌いなんだ。
時代劇小説みたいな。
やっぱり訳者の文体の妙がきわめて効いてると思うんだけど、「弊機」の心のつぶやきがカッコ書きであって、そこだけがうざい。元々一人称文体なのだがそこで処理できるよなあと思うところが大半の気がする。前巻から気になっていたが、この本ではさらに一人ノリツッコミみたいな感じが目立って少し、鼻についた感じ。 -
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記憶を消去された大量殺人については、前巻の説明で終わりなんかな。まだわからんけど。
言葉の使い方自分でもおかしいと思うが、なんか、日常系のまったりしたところも感じるのは、あくまでこのマーダーボットの語り口なんだろうと思う。
英語の原文見たって、ふた文字目から全く理解できない自信はあるが、訳者が上手いのか。ですますの敬体で書かれているのが、どこまでも薄皮被った距離感を生んでいる感じで面白い。
戦闘シーンの描写も上手いし、ボット同士のコミュニケーション、フツーにやってしますハッキングも良い。
そうした一つ一つの言葉について一切説明がない。
全くSFという物に触れたことのない人は、一瞥なく置き去りにしてる。その辺が、日常感感じるところかもしれない。
一旦話は収束した。
デビュー短期連載終わってこれから堂々連載開始みたいなところか。
長期連作者は苦手なんだけどなあ。
次行く。 -
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10話からなる短編集
この中でより心に残っているは
パショ
イエローカードマン
そして表題作の
第六ポンプ
パショは
新しいものを取り入れて変わっていくことに抵抗感があり新しいものを取り入れない人の顛末
知識が持つ絶大な力
対立していて不穏な空気が漂う場面はあれど
ガツガツしている雰囲気は一切なく
穏やか過ぎていく日常を感じたお話
イエローカードマンは
これは個人的に凄いなと思ったのは
昔大繁盛をしていた商売をしていたのに理不尽にすべてを奪われた一人の老人が
身体の動きが鈍くなる中けがをしても仕事をもらおうとしている様が
なんだか他人事とは思えなかった
そして
第六ポンプ
やっぱり知識大事だなと思った作品
虐げられてもポンプを守るために自ら考えて行動を起こし
立ち向かっていく姿…と書くと良い風な感じだけど
この話はそれだけではなくて
このなんとも言えない敗退的な雰囲気が漂う中で
これらのことが進んでいく
絶対的な絶望はないけど輝かな希望もない
でも私には心に残るお話だった -
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マーダー・ボット・シリーズ2。今作は長編。
切れ味は中編の方がするどいかな。なんだかウェットな感じが増してきたしネットワーク転送と意識の問題も突っ込んでほしかった。だんだんファンタジーによってきた感あるな。この後耐えられるか?
マーダー・ボットには性別はない。はずだけど、自分としてはどちらかといえば女性として捉えていることに気づく。何億年もの進化の結果としてできあがったものをひっくり返して自分は反応できるのだろうか?と、ふと思う。性差については個人ごとに感じる差はあるのだろうか?外見は男性だけど中身は女性というのは理解できる。しかし無性の存在はほんとうに理解できるのか?(漫画「シドニアの騎士」のケースはまだしっくりきた)コンピューターといった機械の音声ですらどちらかによったもので構成してしまうのだ。自分にどんなバイアスがかかっているのかだんだんわかってくるのが興味深い。間違いなく性差問題の根っこにある部分だと思う。
それと主人公の警備ユニットには名前がついていない(正しくは名前が伏せられているんだけど)という設定は、名前をつけることによって物事を分析できる対象とする西洋の思想としては珍しいのではないか?何かの伏線なのだろうか?それとも性別を意識させてしまうからしないのか?船にはあだ名までつけているのに。ユーザーとしても何か名前をつけてしまいたくなると思うのだけど。自分としては機械に擬人化した名前をつけることはあんまり好まないけれど、この作品のように意識を持つ存在として描かれ、使い捨てにできない存在となったものに対しては何か名前をつけてしまうかも。そうしたら性別としてはどっちよりとして捉えてしまうかわかる気がする。これが昭和な自分の限界なのか!?生き物としての限界なのか?おもしろいね。 -
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「マーダーボット・ダイアリー」というタイトルの通り、人間の警備業務を行っているロボットである「マーダーボット」、自称「弊機」の一人称視点で物語が進む。
この「弊機」は保険会社の所有物であり、過去に統制モジュールの異常による大量虐殺事件を起こしている。二度と人間を殺したくないという意思のもと、自ら統制モジュールをハッキングして自律した意思決定や行動を起こせるようになったものの、それを周囲に隠したまま警備ユニットとしての業務を継続している。
連続ドラマの視聴が趣味で、業務中も暇さえあれば連続ドラマに耽溺している。
顧客を守るという責任感がとても強い一方で、過去に大量虐殺事件を起こしてしまったことがトラウマとなっており、人間が苦手でコミュ症を拗らせている。
そんな弊機がとっても可愛くて癒されるというのがこの本の一番の魅力である。
あとアクション映画を見ているようなスリリングでワクワクする展開も飽きなくて面白い。
調査船のボット(船型の高い知能と性能を持つロボット)のARTと弊機のやり取りがすごく可愛くて面白く声を出して笑った。
二人が連続ドラマに一喜一憂してそわそわしながら互いに絆を深める様子がとても面白かった。弊機がARTを信用できる理由が、「船と人の出てくるメディアを観て、ARTがリアルな暴力描写に動揺した」からというのも可愛くて面白い。
ただ一人称の語り手が、コミュ症で業務とドラマ以外にあまり関心のない人型ロボットということもあり、作品の舞台の背景や設定が語られなかったり、所々弊機の語りに想像や理解が追い付かないところもあり、没頭するほど読書に浸るような体験は出来なかった。 -
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待ってましたのマーダーボット・ダイアリーシリーズ。日本では4冊目で、お話の内容としては2冊目の「ネットワーク・エフェクト」の続きとなってます。
今回は映画で言うと前半の見どころシーンが300ページほどの文庫になっている感じで、正直クライマックスまで大きなドラマがなく、いつも楽しみな“弊機”のシニカルな独白もさすがにダラダラと退屈に感じられてしまいました。が、クライマックスはさすがのマーダーボット。弊機の活躍と少し前向きで成長したボヤキ、ARTとのやりとりが楽しめます。
あまり話が展開しないなと思ったものの、そういえば、一冊目から中編短編4つのエピソードで構成されていて、2冊目だけが長編で特殊だったのだなと考えると、今回の1シチュエーションでのエピソード展開も、あ、そもそもそう言うお話だったよね、と納得です。
あとがき解説によると、Apple TVでドラマ化の話が進んでいるとか。こちらも楽しみにするとしましょう。 -
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ネタバレ・あらすじ
近未来ディストピアSF短編集。
・感想
面白かった……んだけどなんだか読み終わるのにすごく時間がかかってしまった。
続きが気になって読む手が止まらない、とか読んでて高揚感がある作品じゃないしひたすら「こんな世界は絶対にやだ……」と思う世界観だったからかなw
科学技術の影響により環境破壊された世界、痴呆化した人類、エネルギー供給が限定された世界などなど。
倫理観、道徳感、死生観や哲学などの人文的素養が変質、退行あるいは消失して、根源的な欲望と快楽のみで動く人類もどきたちが彷徨いている世界。
特に印象的だったのがフルーテッド・ガールズと表題作の第6ポンプ。
痴呆化した人類(トログ)が蔓延る世界で孤軍奮闘し悩む第6ポンプの主人公より、欲望と快楽のみを追い求めてるトログ達は幸せなんだろうな。
そう思った時にふと「黄色い家」の一節が思い出された。 -
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「アポロ計画」
20世紀最大の宇宙開発、それは人類初の月世界到達。
さらに並行して、米ソの「冷たい戦争」の延長として開発競争が繰り広げられていた。
物語はそんな冷戦を背景とした「アポロ」と「スペースシャトル」の間の時代の、事実を交えた架空の出来事。
冒険小説のようなミステリーやアクションの連続が懐かしく面白い。
ただ、率直に言って、感情移入できる主人公的存在がいなかったためか、「カッコいい」と感じられなかったのが残念。
さすがにNASAなどの現場の雰囲気はリアリティ溢れている(知らないけど)ので、お仕事小説に徹しても良かったのでは?
上下巻のボリュームに対して、少し報われなかった感じ。
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中華の雰囲気漂うディストピアSFもの。
「カロリーマン」が一番印象に残った。
鉱物資源が枯渇した社会で、さらに植物がニッポン・ジーンハック・ゾウムシという害虫によって遺伝子に異変が起き、ソイプロというハイカロリー植物しか育たなくなった荒廃した世界。全てのエネルギー源をソイプロに依存し、またそのソイプロはアグリジェン社という企業に独占されているというディストピアな世界観がかなり良い。
遺伝子操作された動物のグロテスクな描写や、ゼンマイを回して動力を作ったりPCの操作が足踏み式だったりと、近未来感とアナログ感が上手く合わさり、資源が枯渇した後の荒廃した未来社会が暗く面白く描かれている。
また表題作「第六ポンプ」も救いようがなさすぎて面白かった。出生率の低下と痴呆化が進み、崩れた建物からコンクリートが降るニューヨークで下水処理というインフラの仕事についている主人公。痴呆化が進んだ結果、町にはトログという動物と化した人間が溢れかえる中、未だに文字が読める異端な天才主人公。第六ポンプの故障をきっかけに現在の人間社会の限界に徐々に気づいていく描写にゾッとした。誰も直せないインフラ設備、足りなくなっていく食料、閉鎖された大学……。その後がとても気になるディストピアだった。
アイディアも世界観も素晴らしいから是非長編でも読んでみたいと思った。