設定世界が、また凄い。
果てしなく続く砂漠は、まるで大海原。
「砂漠」に潜って遺跡を発掘するダイバーの様子は、海洋冒険ドラマのようにスリル満点。
また、「砂」であることから生じる“じわじわ”とした状態が「海」とは違った独特の緊張感を生み出す。
砂で覆われたデストピア世界、そこはかつてコロラド州の
...続きを読む町があった場所。
生産力は失われ、生活に必要な物資を砂に埋もれた過去の文明から手繰り寄せる。
いくら掻き出してもまた埋もれていく生活の閉塞感。
未来が変わらないということ。
富裕からの転落、父の突然の失踪、ばらばらになっていく主人公たちの家族が、謎の巨大遺跡「ダンパー」の発見とともに起こった出来事で、再び結束しだす。
どうしようもない状態からの脱出・解放の物語
訳者あとがきを見るとこの世界の物語はまだ続くようだが、ドラマ化に伴い進行を合わせるため、読める日が来るのはまだ先のようだ。
映画『デューン 砂の惑星』のように、生きているような砂漠の映像が見られるかもしれない……それも楽しみ。