あらすじ
外食チェーンで深夜のワンオペバイトを続けるノーフューチャーな青年。ある晩彼は強盗に襲われる……だが、それは想像を絶する事態の幕開けにすぎなかった!(リスポーン)捕まえた若者をあえて逃がす決意をした賞金稼ぎ。その理由は、若者が作ったゲームに隠されていた(時計仕掛けの兵隊)――ケン・リュウ、桜坂洋、アンディ・ウィアーら現代SFを牽引する豪華執筆陣が集結し、ゲームと小説の新たな可能性に挑む。本邦初登場11編を含む、傑作オリジナルSFアンソロジー。【収録】序文=アーネスト・クライン/「リスポーン」桜坂 洋/「救助よろ」デヴィッド・バー・カートリー/「1アップ」ホリー・ブラック/「NPC」チャールズ・ユウ/「猫の王権」チャーリー・ジェーン・アンダース/「神モード」ダニエル・H・ウィルソン/「リコイル!」ミッキー・ニールソン/「サバイバルホラー」ショーナン・マグワイア/「キャラクター選択」ヒュー・ハウイー/「ツウォリア」アンディ・ウィアー/「アンダのゲーム」コリイ・ドクトロウ/「時計仕掛けの兵隊」ケン・リュウ/解説=米光一成
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Posted by ブクログ
ビデオゲームをテーマにした、現代SFを牽引する豪華執筆陣によるオリジナルSFアンソロジー。全12編を収録。
「リスポーン」「救助よろ」「1アップ」「NPC」「猫の王権」「神モード」「リコイル!」「サバイバルホラー」「キャラクター選択」「ツウォリア」「アンダのゲーム」「時計仕掛けの兵隊」を収録。
創元文庫がときどき出すSF系アンソロジー。本書は『スタートボタンを押してください (ゲームSF傑作選) 』というタイトルである。これを見て手に取った人なら、間違いなく楽しめる傑作ぞろい。書いているのはもちろんSFで著名な作者ばかりだ(……といっても自分は3人くらいしか知らなかったのだが^^;)。
「救助よろ」はMMOのあるあるを思わせる体験者ならニヤリとしてしまう面白さ。ネットスラングなどをうまく日本語に訳してくれた。
「リコイル!」はそのまま映像化できそうな、スリル満点のアクション佳作。オチがゲーム小説らしくて良き。
「ツウォリア」は「火星の人」のアンディ・ウィアーなので期待して読んだが、見事に期待にこたえてくれた。既視感のあるSF設定ながら、ユーモアと夢のあるこの作者らしい落とし方。
「時計仕掛けの兵隊」はケン・リュウらしい作風が光る、さすがの安定感。
個人的に一番のお気に入りの「1アップ」は往年のテキストアドベンチャーをリスペクトしまくった、好きな人にはたまらない快作。あの時代のアドベンチャーは懐かしいだけでなく今でも楽しめるんだよなぁ。
全体を通してクオリティが高いのはもちろんそれを選んでいるからだが、ゲームとSFの親和性が高いことと、ゲームSFというジャンルがあるとすれば、人間の根源的な何かを探求していくのにこれほどふさわしい小説の分野はないと思わせてくれたことが大きな収穫。自分自身ファミコン世代で今もってゲーマー(ゲームファン)なので、最高に楽しめた一冊だった。第二弾、三弾と出してくれないかな~。
Posted by ブクログ
ゲームを題材にしたSF小説、
小説でこんなにも、
ゲームをしている感覚になるのかと、
とても楽しみつつ、
新しい感覚になった。
特に面白かったのは、
「1アップ」
友達の葬式に行って、
ゲームを通して怖しい真実を知ることになる
「救助よろ」
連絡が取れなくなった彼氏を探して、
RPGの世界に入り、
冒険する女性の話
ただし、どれも読みやすく、
楽しめた。
Posted by ブクログ
ゲームをテーマにしたSF短篇アンソロジー。
ゲームを扱った作品と言っても様々なパターンがあり、ゲームをやることがストーリーの基軸となるもの、ゲームの中の世界が書かれたもの、ゲームのような展開があるもの、などなど。それぞれゲームに対するアプローチが違っており、こんな風に扱うこともできるのかと驚かされるアンソロジーでした。
死んだ時に近くの人間に乗り移ってしまう男、友が残したゲームには友の死の真相が隠されている、脳の障害による病気の治療に効果があるというシミュレーションゲーム、命を懸けたパズルゲームの行方、FPSゲームの私ならではのプレイ法、MMORPG内のミッションでリアルマネーが手に入る理由とは。
どれもゲームの魅力と小説の魅力が融合し、思いもがけない展開に目を見張ります。
ゲームは元々大好きでずっとやっていたのですが、ここ15年くらいはご無沙汰しているんです。その間に様々な新しいゲームが現れ、新しい世界が広がり、新しい遊び方が増えてきました。
このアンソロジーに出てくるゲームにも驚かされることしきり。そうか今はこんな楽しみ方もあるのかと、ゲーム熱も再熱させられそうでした。
実に贅沢で満足度の高いアンソロジーです。
Posted by ブクログ
「スタートボタンを押してください(ゲームSF傑作選)」
全作が書籍初収録。
「紙の動物園」のケン・リュウ、「All You Need Is Kill」の桜坂洋、「火星の人」のアンディ・ウィアーら、現代SFを牽引する豪華執筆陣が集結。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞受賞作家たちが、ビデオゲームと小説の新たな可能性に挑む。本邦初訳10編を含む全12編を厳選した、傑作オリジナルSFアンソロジー。
という触れ込み。桜坂洋しか知らなかったのですが、どれも面白い。ゲームSFと言うジャンルすら初耳なんですが、こんな小説の世界観があったとは知らなんだ、、、
まず1発目の「リスボーン」が強烈なインパクトを放つ。未知なジャンルの場合、しかも傑作編、短編集等の纏め版だと、一番最初に読むモノの力が弱いと読者は離れる可能性大かと思いますが、それをさせないパワーがある。ゲーム(RPG等)の“何度でも生き返るという特性”を活かすだけでなく、こんな形で適応させるとは。All You Need Is Youに通ずるものがありますね。とりあえず、読み出して途中でGIVE UPすることは無いと思います。
続いて「救助よろ。」。ゲームばかりして遂には大学を退学してしまう彼氏に愛想をつかしたガールフレンドの下に、彼氏からSOSが届き、毛嫌いしていたゲームにログインする話。現実と仮想世界の違いに触れるワードが頻繁に出てくるが、ポイントなのが「何が現実世界なのか」ということ。読んだらすぐ違和感が出ると思いますが、その時点で既に創造者(彼氏)の企みは成功していたということ。ゲームらしい世界観が良く出ている作品でした。
翻って「1アップ」は、ミステリーに近い。ネットゲーム仲間が死に、彼の葬式で初めて出会う友人達の物語であり、彼は誰かに殺されたのではないか?という疑惑が、彼が残したゲームにより確信に近づいていく。思春期らしい描写が多く、青春モノのような雰囲気を漂わせます。ゲームといえば、シューティングや格闘技といったイメージを思い浮かべる人が多いと思いますが、この短編で使われるのは古くから愛されるロジックのRPG。このゲームをフックに、真相に迫ります。
どれもお勧めで、外れはない印象でした。其々の著者による作品も手に取って見たいものです。
Posted by ブクログ
ゲーム×SFという、好きな物同士の掛け合わせで面白くないわけがなかった。
アンディ・ウィアー目当てで買ったものの、他の作家さんの短編も面白いものがたくさんあって大満足。
「1アップ」「リコイル!」「アンダのゲーム」「キャラクター選択」が特に良かった。
MMOを長く遊んでいるし、FPSやテキストアドベンチャーもある程度通ってきているから想像がつきやすく楽しめた。この本を手に取っている時点でゲームが好きな人が多いとは思うけれど、ゲームに馴染みが無さすぎるとあんまり楽しめないような気はする。
ゲームだしSFだしで、絶対に現実ではないんだけど、でもそこで繰り広げられる人間同士の会話や感情はフィクションではないような感覚があって、温度のない冷たい物語はひとつも無かった。
ゲームは結局のところあくまでも開発者の意図した範囲での自由しか得られないけれど、SFと掛け合わせることでその檻を踏み越えて現実がゆらぐような物語がいくつかあって楽しい。
私のままならないこの日常にも具現の杖が落ちてきたりしないかな。
Posted by ブクログ
「リスポーン」行動心理学によれば人間の行動は大きくレスポンポンデント条件付けとオペラント条件付けに分けられる、簡単に言うと環境に対して行動が発現する。それの極端な形が”ゲーム”である、というところからアイデアとったのかな?と思われる短編。ゲームの中でプレイヤーはどんな人にでもなれる。でも所詮それだって、条件付けの産物にすぎない。じゃあ、俺は俺のままでもなんだってできる。そういうことだろ?みたいな話。ゲームSFの懐の深さを見せつける読みやすい良作。
「救助よろ」ケン・リュウは別格なので置いておくとしたら、これが一番面白かった。最初から現社会と異世界の合いの子みたいな世界観で、まあ、SFなんだしこういうこともあるかなぁ、と思いながら読んでいたら意外な仕掛け。ゲームみたいな世界だったらなあ、とは誰しも一度は思うこと(多分)。でもラストのオチはお約束みたいでイマイチだったかな。そんなに悪い世界とも思えないし……。
「1アップ」ゲーム好きが、ゲーム好きならではの発想や推理力から、大きな敵に打ち勝つという王道ながら感動のストーリー。レディプレイヤーワンに求めてたのはこれだったのに……(その話は今は関係ないでしょ)。
「猫の王権」認知症とゲームの未来について、といった解説がなされていたけど、着想はゲームばかりでコミュニケーションを取ってくれなくなってしまった隣人からなのでは? ある意味どこにでもある話なのだと思う。ラストの解釈は難しいんだけど、そういう方向から考えたら、「ゲームは確かにコミュニケーションを奪う、でもそこにはそれだけの魔力も確かに存在している」ってことかな?
「神モード」セカイ系! 崩壊していくセカイ、そこに残されるきみとぼく。よくあるストーリーだけど、それでも好きなものは好き。コメント以上。
「リコイル!」MGSが好きなんだろうなあと思いました。
「キャラクター選択」ゲームがスカウトの役割を果たす、というアイデアは「The video game with no name」にもありましたね。こっちはちょっとひねってある。ネットの感想で「なぜわざわざガーデニングの上手い人をとるのか、オチが雑」というのを見たけど、多分「戦うことを求められる場においても人々の幸せを求めて違った選択肢を見つけられる人こそが平和を守るためには必要」。泣ける。
「時計仕掛けの兵隊」ゲームを進めるに連れて、ゲーム世界と作中世界、そして現実世界までもが交錯していく様は、まさに”ナラティブ”なゲーム体験。抑圧され、知ることを許されず、自己選択を制限されることの苦しみ、それに不自由な身でありながらも少しでも抵抗しようと試みるのは、何よりもそれが自分自身の問題であるから。「無知であることと、知ろうとしないことは、別物である」これはアレックスに向けた、そして私たち読者に向けたメッセージ。その読後の余韻の重さにしびれる。
Posted by ブクログ
TVゲームをモチーフにした短編SFアンソロジー。本作で初めて日本語訳される方も含め新進のSF作家の作品をまとめて読めるお得な本。いくつかの作品で感じたのはゲームを題材に、ゲーム的な解釈であればかなり殺伐とした雰囲気や残酷な展開もわりとマイルドに感じてしまえるということの面白さとある種の怖さ。ゲーム的な発想や物事の解釈はとっくにゲームの外にも飛び出していて私たちの発想に染み付いている。それは良くも悪くもなんだろうけど、ゲームはそんなことはお構いなしに面白さで突き進んでしまえるんですよね。
Posted by ブクログ
もともとビデオゲームを題材にした26篇が収録されていた米国のアンソロジーから、12篇を邦訳した日本版再編集アンソロジー。全体的に読みやすい文体で短めの短編作品が多い。ゲームSF縛りだけど全く飽きず。
「リスポーン」★★★☆☆
- 本アンソロジー唯一の日本人作家、桜坂洋。ラノベ出身なだけあってサラッと読みやすい。死ぬと近くにいる誰かに乗り移って、死ねない男。
「救助よろ」★★☆☆☆
- ゲームにのめり込んだ元カレ、デボンと連絡を取るためにメグはそのゲームに参加してみると「助けてくれ」という連絡。彼女は元カレのためにゲームを勝ち進み、彼氏を救出するが、それは毎回記憶(記録)をリセットして繰り返した〇千回目だった。彼氏は本来一度しか入手できない最強のアイテムをいくつも手に入れるために元カノを利用していた。
- さらさらと読みやすいけど。今までに読んだことありそうな、絶望系のオチ。
「1アップ」★★★★★
- SFではなかったけど、ハラハラドキドキ系で面白かった。
- ゲームの中でしか会ったことがなかった仲間のソリーが死亡、生前から絶対葬儀に来てくれと言われていた。初めて会う他の仲間3人と参加。ソリーの寝室に行くと自作のテキストアドベンチャーゲームがあった。ゲームを進めると継母がソリーを部屋に閉じ込め、殺そうとしていたことがわかる。ソリーは仮死状態になる毒物を自ら購入し、死んだふりをして部屋から出る作戦を決行。酸素が残っている5時間以内に墓を掘り起こし、棺を開けてもらうよう友達に命を託していた。
「NPC」★★☆☆☆
- ゲーム内の脇役キャラが昇格して浮かれたり、沈んだりするライトな短編。
「猫の王権」★★★☆☆
- 認知症患者であるシェアリーのリハビリのためにあるゲーム(猫の王権)を勧められる。同性パートナーのジュディの不安かつ寂しそうな様子が緻密に描かれている。
- 物語として何かが起きそうなところで終わってしまうので、やや物足りなかったけど、なかなか読める。
「神モード」★★★★☆
- 大学生のサラと僕。サラがある時電車で転倒し、頭を打ち付ける。その日を境に世界が少しずつ消滅していく。ふと目が覚めると自分たちは老夫婦でベッドに横たわっていた。
- すべてがハッキリ説明されてないので正しく理解できているかわからないけど、その夢オチのようなエンディングでも嫌な気持ちにならない満足感のある内容。ストーリーだけでなく文体もよい。
「リコイル!」★★★★☆
- ゲームのテスターの仕事をしているジミーが夜遅くにオフィスにいると、何者かがビルに侵入する。犯人から逃げながら、武器を使って応戦し、まるでFPSゲームの中のミッションみたいにスリリングな展開だと思ったら、本当にFPSゲームでした、という若干夢オチ的な終わり方ではあるけど、直接神経インターフェースを使った体験型ゲームという設定も面白いし、最終的に現実世界がまたゲーム世界のような「今どっち??」と混乱させる終わり方も楽しい。
「サバイバルホラー」★★★☆☆
- あるゲームをインストールしたせいで命がけのパズルゲームにチャレンジさせられる、という話だけど、そもそもこのプレイヤーがいる世界自体がファンタジーで魔法的なものが使える設定。半分ジョークSF的なもの。(長編のスピンオフ作品らしい)
「キャラクター選択」★★★★☆
- 子育ての合間にFPSゲームをプレイするわたし。夫曰く、そのゲームは国防総省開発で、優秀なプレイヤーは国防総省にスカウトされるらしい。わたしはそのゲームの本来の目的はそっちのけで、八百屋の裏に畑を作ったり、ラクガキを消したりしていたら、電話番号らしきものが現れ、かけてみると国防総省に繋がり、スカウトされた…。
- SF色はほぼないけど、日常と非日常の混ざり方が面白い。
「ツウォリア」★★★☆☆
- エンジニアである自分が30年以上前に走らせたまま止め忘れていたプログラムが勝手に増幅し、とてつもないAIに成長して自分の元に帰ってきた、というジョーク系SFショートショート。「火星の人」の著者アンディ・ウィアーによる作品。
「アンダのゲーム」★★★☆☆
- 勧誘者ライザから、ゲームの中でミッションをクリアするとリアルマネーが振り込まれるという仕事に誘われ、金を稼ぎ始めたアンダ。
- 長い割に物語自体はどこにも着地しない感じがちょっと物足りなかった。肥満の女子がリアルの世界でダイエットを頑張るあたりはなんかよかった。
- アンダ:ゲーマー。リアルでは肥満体型な女子。
- ライザ:勧誘者。ファーレンハイト・クランのリーダー。
- ルーシー:軍曹
「時計仕掛けの兵隊」★★★★☆
- 新しい設定。アレックスは捕まえた賞金首のライダーを逃すところから始まり、その後、回想シーンへ。アレックスはライダーの父親(政治家)の依頼でライダーを捕まえ、宇宙船で輸送していた。その間、ライダーはPCでテキストアドベンチャーゲームを制作しており、アレックスはそのゲームをプレイすることで、ライダーの過去を知る。※ライダーは幼くして亡くなったが、選挙期間中の父親は息子を見舞う暇がなかったため、死んだことを隠すために自動人形を作っていた。
- ケン・リュウらしい、後味が悪いけど美しい文章。
- アレックス:女性のバウンティハンター
- シェヘラザード:ライダー(賞金首)
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すごく読みたいと思いつつずっと寝かせてあったのを、今モンハンにハマっているので読んだ。もっと早く読んでおけばよかったとも思うし、面白い本読む機会を今得られて良かったとも思う。 殺伐とした雰囲気の中にどこかユーモアのある「リスポーン」、フィクションが段々リアルに置き換わっていくのが切ない「救助よろ」や、「1アップ」「キャラクター選択」は王道の面白さで、短いテキストにたっぷりユーモアを効かせた「ツウォリア」などが好みだった。 『レディ・プレイヤー1』が好きなら絶対ハマるはず。
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あらゆるゲームのプレイ中の感覚を活かしている、そんな短編がたくさん。粒よりでどれもおもしろかった。読後感はそれぞれにさまざま。明るい話よりは、救いがないというか暗い雰囲気の話のほうが多いかな。しかしひとつ選べと言われても選べないというくらいに楽しめた。
Posted by ブクログ
ビデオゲーム×SFをテーマにしたアンソロジー。
全部で12作品載っていて、自分的に特に印象深かったのは、「猫の王権」(チャーリー・ジェーン・アンダース)。
主人公が認知症の改善に効果があるという評判のVR国家運営シミュレーションゲームを同性のパートナー(認知症)にプレゼントするんだけど、そのパートナーはVRの世界でものすごい政治家になっちゃって、もはや主人公とは違う世界の住人になってしまう、っていうお話。
ゲームにのめり込むにつれて、主人公を必要としなくなってくるパートナーと、それを受け入れざるをえない主人公の悲しみが切ない……
最後、主人公が同じような境遇のひと(新しいパートナーになりそうな予感)と出会うところが救い(><)
あと、「アンダのゲーム」(コリイ・ドクトロウ)も良かった。
主人公に感情移入できて、最後は気分爽快のハッピーエンド(^○^)
Posted by ブクログ
自分、ゲーム小説好きだなと気づいた一冊。ゲーム的小説ではなく(ビデオ)ゲームそのものを題材にした短編集。ケン・リュウ、アンディ・ウィアー、桜坂洋と豪華ラインアップだが、それ以外の作品も刺さる。テキストアドベンチャーを題材にした剛の者も。現実と異なりゲームの中には必ず解があり、でもやはりある意味現実で。
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ゲームを題材にした短編アンソロジー。
「リスポーン」、「1アップ」、「キャラクター選択」が面白かったが、驚くほど面白いというものには出会えなかった。
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テーマはゲームですが、テキストアドベンチャーから最近のFPSをテーマにした作品まであり、バラエティに富んだ作品集でした。カバーイラスト(緒賀岳志)も素敵です。
Posted by ブクログ
ゲーム小説だけどSF集じゃないかも。
最後の短編のケン・リュウは読んだことがなかったけど、ありきたりなテーマなのに見せ方が良くて、単純に小説が上手いなぁと思う。
一番面白かったのはお葬式にいくゲームキッズの話で、プロットの秀逸さを土台に、勧善懲悪と友情要素のバランスがいい小説だった。
「アンダのゲーム」も、有名小説のパロディに収まらない、やや苦い後味と女の子の可愛さがいいコントラスト。
テレビゲームで何かを表現する、またはゲームを表現する短編集だけど、小説の多くがテレビゲームを世界と結びつけているのが興味深い。私はあまりテレビゲームをしたことがないけど、一方的に鑑賞する小説や映画とは違い、コントローラーによってアバターを操作てきるゲームはより空間的に感じられるのかな。そこから発展して、立体感のある人工的な箱庭としてのゲーム空間の魅力、また現実との差や侵食をテーマとしたゲーム小説があったら読んでみたいと思った。この短編集では、女の子がエルフの王妃になっちゃう短編が一番近い?
Posted by ブクログ
大分前に買って放置していた本。
ゲームというお題のアンソロ集。テキストゲームを選んだ人が多いのがちょっと意外でしたが…文筆家が選ぶんだからそれもそうか、と今思いました。
猫の王権とキャラクター選択が好きでした。
桜坂 洋「リスポーン」
デヴィッド・バー・カートリー「救助よろ」
ホリー・ブラック「1アップ」
チャールズ・ユウ「NPC」
チャーリー・ジェーン・アンダース「猫の王権」
ダニエル・H・ウィルソン「神モード」
ミッキー・ニールソン「リコイル!」
ショーニン・マグワイア「サバイバルホラー」
ヒュー・ハウイー「キャラクター選択」
アンディ・ウィアー「ツウォリア」
コリイ・ドクトロウ「アンダのゲーム」
ケン・リュウ「時計仕掛けの兵隊」
Posted by ブクログ
いわゆるビデオゲームを題材に12のSF短篇が集うアンソロジー。話題のケン・リュウや、「All you need is kill」の桜坂洋、「火星の人」のアンディ・ウィアーなどネームバリューのある作家もちらほら。というより、恥ずかしながらそれ以外は初めて知る作家ばかりで、ある意味新鮮なアンソロジーでした。
個人的には次の作品が面白かったです。
・桜井洋「リスボーン」:リスボーンというゲーム特有用語を用いた小説。オチはちょっと弱い気がしましたが、ゲームSF小説らしさを感じる小説でした。
・チャーリー・ジェーン・アンダース「猫の王権」:健忘症のパートナーの治療を目的にとあるゲームを勧めたところ…ゲームは単なる娯楽に留まらず、様々な用途に用いられることもある。そんなゲームの多様性を感じる小説でした。でもなんか最後は哀しい。
・ケン・リュウの「時計仕掛けの兵士」:本書でのベスト。女バウンティ・ハンターは依頼どおりターゲットを確保するが、帰還の宇宙船で暇つぶしにターゲットが作成したテキスト・ゲームをはじめてみたところ…巧みなストーリーテリングは流石。
Posted by ブクログ
>はじめに神は画面を創造された。
>画面は混沌であって、闇がすべてを覆いつくし、なにもなかった。
>神は言われた。「ドットあれ」こうして、ドットがあった。ドットは光であり、画面は闇であった。神は言われた。「パドルあれ」こうして、パドルが産まれた。
ゲームをモチーフにしたSFのアンソロジー。
桜坂洋・アンディウィアー・ケンリュウと顔ぶれが豪華で、テーマも斬新、タイトルで面白そう!と思って手に取ったけど面白かった。原書は26篇500ページ超だということで、未訳になったのも読みたい!なんで減らしたのさ!500ページじゃ売れそうにないからか!?・・・売れなさそう・・・。
特に面白かったのは、桜坂洋「リスポーン」
カートリー「救助よろ」ブラック「1アップ」マグワイア「サバイバルホラー」ハウイー「キャラクター選択」ウィアー「ツウォリア」・・・挙げてくと全部挙げる羽目になりそう。
「1アップ」が一番良かったかな。
ネットゲーム友達が死んだというので家を訪ねると、故人の遺作自作ゲームが残されていて、そのゲーム内指令を現実でクリアしていく。最後に辿り着いた結論が・・・!というお話。緊迫感があって良かった。
「サバイバルホラー」とか「救助よろ」のゲームが現実に侵食してくる感じもすごい好き。
たった8ページの「ツウォリア」も好きだなー。『ふわふわの泉』『不全世界の創造手』とかみたいな、世界を良くしてくれるわくわくが素敵。いやさすがウィアー、この人は外れないわ。
ケンリュウは、なんかSFとしてすげーって感じあるんだけど、今んところあんま好きになる短編に出会わないなー。なんか読みづらい。売れてる作家が自分に合わないのだとすると惜しいというか悔しいというか残念。
ちょいちょいネットスラングが使われてて、原文のイメージを生かそうとしているんだろうけど、こういうスラングってすぐに風化するから今読むとちょっと恥ずかしいのが難点。と言ってもきっと原文のスラングも同じ恥ずかしさを抱えていそう。
Posted by ブクログ
近年の海外SF短編(主にゲーム寄り)を邦訳してくれた。VRなどの最新ゲームまで取り扱っている。日本だとこういうジャンルはラノベになりそうだがこちらは硬派。
Posted by ブクログ
「1アップ」が面白い。純粋なワクワクと軽いナンセンスの丁度良さが絶妙。良作の自主制作映画のような味わい。
ケン・リュウの「時計仕掛けの兵隊」は本当にテキストアドベンチャーみたいなメディアで読めたらよりエモいのでは。
「プレイヤー選択」はなぜか日常系4コマっぽく感じてほっこりしてしまったけど、この読み方はオチが生きるので案外アリかもしれない。
Posted by ブクログ
桜坂洋「リスポーン」
デヴィッド・バー・カートリー「救助よろ」
ホリー・ブラック「1アップ」
チャールズ・ユウ「NPC」
チャーリー・ジェーン・アンダース「猫の王権」
ダニエル・H・ウィルソン「神モード」
ミッキー・ニールソン「リコイル!」
ショーナン・マグワイア「サバイバルホラー」
ヒュー・ハウイー「キャラクター選択」
アンディ・ウィアー「ツウォリア」
コリイ・ドクトロウ「アンダのゲーム」
ケン・リュウ「時計仕掛けの兵隊」
桜坂洋の「リスポーン」目的で読んだ。最後が微妙なことも多いけど、やっぱり桜坂さんの設定好きだなあ。
あとは海外作家ばかりだったので、せいぜいケン・リュウをかろうじて読んだことがあったくらいだったのだけど、なかなか面白く読めた。「1アップ」「キャラクター選択」が特に好き。
Posted by ブクログ
ケンリュウの時計仕掛けの兵隊はさすが。アンディーウイアーのツウオリアは火星の人の楽天的ストーリ-そのまま。他の作者は知らない人だったが、それぞれ面白い。中でも良かったのはホリーブラックの1アップ。葬式で死んだ人の作ったゲームを見つけて・・というお話。テキストアドヴェンチャーが好きみたい。
Posted by ブクログ
12人の作家が書いた、ゲームがテーマの短編のアンソロジー。
ゲームは好きだし、昔ゲームブックにすごくハマったし、ゲームっぽい小説(「クリムゾンの迷宮」とか「ソードアート・オンライン」とか)大好きだし、ピッタリだとおもって購入。
唯一知っていた著者桜坂洋の「リスポーン」は設定が面白かった。「ツウォリア」は設定自体はありきたりですごく短いんだけど、終わり方が好き。「アンダのゲーム」は結構考えさせられる内容で面白かった。
ひさびさに海外小説を読んだけど、やっぱり翻訳物は頭に入ってきにくい気がする。そんなとき各短編の前に、導入と著者紹介を書いてくれていて結構良かった。アンソロジーだと普通なのかな?