あらすじ
打ち上げ直前のヘリ死亡事故によるクルー変更にもかかわらず、カズたちが見守るなか、アポロ18号は無事飛び立つ。最初の目的は軌道上のソ連偵察ステーション、アルマースだ。そこで思いがけないソ連宇宙飛行士との衝突が起こるものの、クルーは予定どおり月へ向かうことに。だが、そのころ地上ではヘリ事故が破壊工作の結果だと判明していた。そしてその容疑者は宇宙にいた! 衝撃の改変歴史SFスリラー 解説/中村融
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Posted by ブクログ
著者が本物のパイロットで宇宙飛行士。しかもアメリカとロシア両方から宇宙へ行った方!アポロ18号打ち上げという歴史改編もので、ミステリやスリラーというより、アポロミッションのシーケンス小説(それも詳細な)でワクワクしっぱなしでした。中原尚哉さんの訳は本当に読みやすい。これ翻訳なの?って思うくらい日本語が自然なテンポで入ってくる。
また、ソビエト側のアルマース宇宙ステーションやルノホートの運用についても描かれていて、すごく興味深かった。
著者さんの性格なのか、すべての描写が詳細で、機体や車種や兵器や服の柄まではっきり書かれるから、イメージしたり検索したりする楽しみがあった。金魚鉢のベル47Gとか、高高度戦略偵察機SR-71とか、さらっと過ぎるクレー射撃シーンで「十二番径の散弾銃」「ノコギリパルメット」とか細かい。バインダーは三穴。高度はフィートと同時にメートルでも必ず補助してくれる親切ぶり。
スリラーとしては殺人の動機に少し欲求不満を感じましたが、宇宙空間でのアクションは凄かったし、最終章は畳み掛けてくる。
義眼のカズや医師のJW、地質学者のローラ、アポロ18号の飛行士たちなどが、実在の人物たちに混ざって生き生きと存在してて、ゆっくり読みましたが、楽しい読書になりました。
Posted by ブクログ
実際の宇宙飛行士が書いているので、登場人物の行動や扱う物、発言、周りの機材などリアルで細く書かれているのが面白かった。
ストーリーが普通な気がするが、そのリアルゆえに再度読むならより深く知識をつけて読んでみたい。
Posted by ブクログ
17号で中断されたアポロ計画、もし18号も月に飛んでいたとしたら…という設定の小説。
歴史改編という意味ではSFなんだろうが、小説の造りはSFではなくエンタメ航空小説とでもいう感じ。宇宙や月を舞台にした小説だからSFということもあるのだろうが、行われていることの科学技術はすべて前世紀のものであり、そういう意味では歴史小説もある。
いつまでも月や火星がSF小説の舞台であるってのも、なんだか情けない話ぞ、人類。
ということで、頭の中ではポルノの例の歌が鳴り響く。
宇宙飛行士たちとアポロ計画を遂行するスタッフや軍人たち、ソ連の宇宙飛行士や軍人、両国の政治家官僚…種々の思惑が錯綜し、時には協力体制を演じ、時には騙しあい、銃すら向けあう。壮大な宇宙計画のロマンと生臭い政治的思惑、さらには人間個人の承認欲求。どんなに地球が青くてもどんなに人類にとって偉大な一歩でも、結局愚かなり人類…って、テーマはこの小説もクラークもガンダムも変わらんねんなぁ。
エンタメ小説としての出来は十分。第一線の宇宙飛行士だったキャリアも存分に生かしつつ、このデビュー作が書けるなら、今後にも十分期待できる小説家だと思う。
Posted by ブクログ
実際のアポロ計画は17号までで打ち切りとなったのだが,本書では軍主導で極秘の任務を帯びた18号が月に向かう.
少し船長の動機が弱いように思うのだが,一級品のスリラーである.
ハヤカワから「SF」シリーズとして刊行されているのだが,「NV」の方が良かったのでは?
Posted by ブクログ
ジャケ買い。
星は4.5相当。
トラブルがあったが、月まで行ったアポロ18号。
まだまだ、前途多難。
冒頭の伏線も回収し、最後の最後まで行きつく暇を与えない、
作者、第1作でこんなに秀逸な小説を仕上げたら二作目以降が大変かも。
Posted by ブクログ
「アポロ計画」
20世紀最大の宇宙開発、それは人類初の月世界到達。
さらに並行して、米ソの「冷たい戦争」の延長として開発競争が繰り広げられていた。
物語はそんな冷戦を背景とした「アポロ」と「スペースシャトル」の間の時代の、事実を交えた架空の出来事。
冒険小説のようなミステリーやアクションの連続が懐かしく面白い。
ただ、率直に言って、感情移入できる主人公的存在がいなかったためか、「カッコいい」と感じられなかったのが残念。
さすがにNASAなどの現場の雰囲気はリアリティ溢れている(知らないけど)ので、お仕事小説に徹しても良かったのでは?
上下巻のボリュームに対して、少し報われなかった感じ。
Posted by ブクログ
・あらすじ
架空のアポロ18号計画の裏で行われていた米ソ其々の陰謀と駆け引き、自己顕示欲と支配欲に抗えなかった1人の人間の話
・感想
最後までハラハラしたサスペンス、スリラーだった
主人公が最後にかっこよく主人公してた
とりま何よりもお兄ちゃんが可哀想すぎた…