あらすじ
打ち上げ直前のヘリ死亡事故によるクルー変更にもかかわらず、カズたちが見守るなか、アポロ18号は無事飛び立つ。最初の目的は軌道上のソ連偵察ステーション、アルマースだ。そこで思いがけないソ連宇宙飛行士との衝突が起こるものの、クルーは予定どおり月へ向かうことに。だが、そのころ地上ではヘリ事故が破壊工作の結果だと判明していた。そしてその容疑者は宇宙にいた! 衝撃の改変歴史SFスリラー 解説/中村融
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Posted by ブクログ
17号で中断されたアポロ計画、もし18号も月に飛んでいたとしたら…という設定の小説。
歴史改編という意味ではSFなんだろうが、小説の造りはSFではなくエンタメ航空小説とでもいう感じ。宇宙や月を舞台にした小説だからSFということもあるのだろうが、行われていることの科学技術はすべて前世紀のものであり、そういう意味では歴史小説もある。
いつまでも月や火星がSF小説の舞台であるってのも、なんだか情けない話ぞ、人類。
ということで、頭の中ではポルノの例の歌が鳴り響く。
宇宙飛行士たちとアポロ計画を遂行するスタッフや軍人たち、ソ連の宇宙飛行士や軍人、両国の政治家官僚…種々の思惑が錯綜し、時には協力体制を演じ、時には騙しあい、銃すら向けあう。壮大な宇宙計画のロマンと生臭い政治的思惑、さらには人間個人の承認欲求。どんなに地球が青くてもどんなに人類にとって偉大な一歩でも、結局愚かなり人類…って、テーマはこの小説もクラークもガンダムも変わらんねんなぁ。
エンタメ小説としての出来は十分。第一線の宇宙飛行士だったキャリアも存分に生かしつつ、このデビュー作が書けるなら、今後にも十分期待できる小説家だと思う。
Posted by ブクログ
実際のアポロ計画は17号までで打ち切りとなったのだが,本書では軍主導で極秘の任務を帯びた18号が月に向かう.
少し船長の動機が弱いように思うのだが,一級品のスリラーである.
ハヤカワから「SF」シリーズとして刊行されているのだが,「NV」の方が良かったのでは?