中原尚哉のレビュー一覧
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ディストピア物のSF短篇集(SF9篇+SFではない『やわらかく』の1篇を収録)。
人口、民族対立、エネルギー、化学物質、水、食料や食品添加物など、貧富の差や環境問題を下敷きにした退廃的未来を描いています。しかし、最後は希望が持てる終わり方が多いので、想像していたよりかは読後感は悪くないです。
とはいえ、代償は有りますが、民俗文化の対立をテーマとした『パショ』を除いて、未来世界を好転させるヒーローが不在なため、どの世界もその先の未来は、暗澹たる終局を迎えることは想像出来ますが。以下、個別に。
『ポケットのなかの法』
場所は未来の四川省成都。“活建築”という生物的に増殖する市街地の路地裏で、ス -
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最高!
ラーマとエイリアンのベストミックス。
冒頭の柔らかい壁とか布製エアロックとかに惹き込まれ、深夜までの一気読み。
途中の中だるみさえ我慢すれば、タイトルに記される主役と謎解き係の女性博士が後半大活躍。男性陣がほぼ全滅の中、エンディングのどんでん返しが素晴らしく(博士の冷静な判断は女性ならでは?)、きれいな着地点に誘導してくれる。この30ページは圧巻だし、最後の一行は感動モノだ。
実はエンディングは予想の範疇で、やはりそうきたか!なんだけど、そこに至るストーリーがハラハラドキドキで、最後の数行のようやくきたか!感がとても良かった。きれいな伏線回収だな。
女性のドラマではないし、そ -
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昨秋文藝春秋さんから頂いた本。
分厚いのでつい後回しになって、ようやく読み終わった。
AIによる明るい未来、がコンセプトかな。
未来1 恋占い
未来2 仮面の神
未来3 金雀と銀雀
未来4 コンタクトレス・ラブ
未来5 アイドル召喚!
未来6 ゴーストドライバー
未来7 人類殺戮計画
未来8 大転職時代
未来9 幸福島
未来10 豊饒の夢
と、SFストーリー仕立てで、
AIが普及した2041年の社会の姿を描いている。
保険プログラム
ディープフェイク
AI教育
パンデミック
娯楽
Ai自動運転
科学者 武器
職業
幸福度
豊穣
がテーマ。
AIによって仕事がなくなる!は今もよく言われる -
J・J・アダムズ / チャーリー・ジェーン・アンダーズ / トバイアス・S・バッケル / ベッキー・チェンバーズ / ヴィラル・カフタン / ジョゼフ・アレン・ヒル / アダム=トロイ・カストロ&ジュディ・B・カストロ / キャロリン・M・ヨークム / アラン・ディーン・フォスター / カール・シュレイダー / A・マーク・ラスタッド / ショーニン・マグワイア / アリエット・ド・ボダール / リンダナガタ / ユーン・ハ・リー / カット・ハワード / ジャック・キャンベル / カメロン・ハーレイ / ダン・アブネット / 赤尾秀子 / 新井なゆり / 市田泉 / 大島豊 / 小野田和子 / 金子浩 / 小路真木子 / 中原尚哉 / 原島文世 / 細美遙子3.3 (3)
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文明が衰退・滅亡した後のオルタナティブな文明を描いたお話がつまった短編集。
荒廃した世界の過酷な境遇の中で主人公たちがそれぞれの矜恃、それぞれの希望を見出していくところに「SF的美しさ」が存在している。
挿入される造語に初めは戸惑うが、読み進めるにつれて造語に馴染みそれと共にその世界にも馴染んでいく感覚があった。
身体を所有され(改造され)支配される少女といったフェミニズム的テーマの「フルーテッド・ガールズ」、異なる種族(ポストヒューマンと犬)の間の残酷な友情が扱われる「砂と灰の人々」を筆頭に「パショ」「カロリーマン」「ポップ隊」「イエローカードマン」など脳の痺れるような傑作ばかりだった。
同 -
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ジュール・ベルヌの生み出した物語を追いかけるように科学技術は「月世界旅行」「海底二万里」「悪魔の発明」を現実のものとしていきます。カレル・チャペックの戯曲「ロボット」を原点とする手塚治虫の「鉄腕アトム」は日本のロボット開発における方向性に大きく影響を与えました。アーサー・C・クラークのヴィションとスタンリー・キューブリックのビジュアルが生み出した「2001年宇宙の旅」のコンピューターHALはAIというものの最初の具現だったように思います。文学などの芸術は科学技術のベクトルを引っ張り、最新のテクノロジーは芸術のカタパルトになっているようです。文学と科学の相互関係は、まるで人間の右脳と左脳の関係み
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作品紹介・あらすじ
北京五輪の開会式を彼女と見たあの日から、世界はあまりにも変わってしまった――『三体X』の著者・宝樹が、中国の歴史とある男女の運命を重ね合わせた表題作、『三体』の劉慈欣が描く環境SFの佳品「月の光」、春節シーズンに突如消えた列車の謎を追う「折りたたみ北京」著者の郝景芳による「正月列車」など、14作家による中国SF16篇を収録。ケン・リュウ編による綺羅星のごときアンソロジー第2弾。解説/立原透耶 本書は新☆ハヤカワ・SF・シリーズ『月の光 現代中国SFアンソロジー』を改題・文庫化したものです。
〈収録作品〉
序文
ケン・リュウ
夏笳(シアジア)「おやすみなさい、メランコリー」 -
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AIが進化した近未来の社会像を10の短編SFで描いて見せる。漫画仕立ての啓発書みたいな本。著者らは、暗い予測が多い中、あえて明るい未来を意図的に描いて見せたとのことだが、確かに楽観的な感じはする。もちろんNECの98シリーズとかをいじっていた30年前と今とでは隔世の感があるが、今から約20~30年後にこの本が描くような社会になっているとはとても思えない。特に、最終章における、電力や資源についての見通しは甘すぎるのではないか。もちろん筆者らは、彼らが描く社会が実現するには経済システム自体の変革が必要であると説いているが、その道筋は(SF的な物語としても)何ら描けていない。幸福についても、欲求の充
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AIは人間が一生かけて読む文章の数百年分はある量を読んでいる。イラスト生成AIならpixivや他の場所にあるイラストすべてを見て学習している。人間が読み込める以上の圧倒的な量のインプットがある。そして、その圧倒的な量のインプットの中から特徴を抜き出すのがAIの最も得意としているところ。この大量のインプットの時点で人間は機械に叶わない。AIが得意とする分野がどこかなのかを知ることができた。
小説の出来栄えは序盤は物足りないが後半になると面白くなっていく。とくにアイドル召喚はギミックとストーリーの組み合わせがいい。人類殺戮計画はサスペンスとして面白い。
技術とその発展の紹介として良く出来ている -
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女性主人公の復讐譚でSFに恋愛に人型に変形するロボットにと要素はてんこ盛りで海外のラノベみたいだなと読んでて思った。
主人公の言動はかなり過激なので拒否反応がでる人も多そう、中盤は主人公の思い込みとか何でもかんでも噛み付く姿勢が結構続くので少し辛かった。
あまり読み慣れてないのでなんじゃこれはとなること必須な、やおい的な展開もあり。
物語の展開はスピーディーなので退屈しないし結構面白かったけど、軸になってる異星の機械生物・渾沌との戦闘が単調なこと、人類側が負けているはずがスムーズに勝ち進みラスボスでもそんなに苦戦しないのはちょっと期待はずれ。マブラヴオルタネイティヴまでは行かなくても決死の覚悟 -
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未来予想というのは難しい物だと思う。20年後の世界はどうなっているだろうか。今から20年前がどうだったかを思い起こすとどうだろう。インターネットはそれなりに普及していたけど、スマホはまだ存在しない。携帯全盛期。人によるとは思うけど、リアル店舗での買い物の比率は今よりずっと高かった。プリウスが発売されたのがこの頃でハイブリッド車が環境対応車の先端だった。人工知能はマイナーな冗談でしかなかった。
では生活の仕方はどれくらい変わった?確かにスマホは生活を変えた。携帯の小さな画面で動画を観ることが生活の一部になるなんて思っていた人はいなかったのではないか。電気自動車も増えた。人工知能が日々のニュースを