中原尚哉のレビュー一覧
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早川書房 翻訳SFファンタジイ編集部のXタイムラインに流れているのを見て、面白そうだったので購入。
防衛警察(防警)のアレクサンドラ(サシャ)・ペトロヴァ警部補は、上司であるラング局長から、連絡が途絶えている、太陽系から百光年離れたコロニー惑星<パラダイス-1>への調査を命じられる。<パラダイス-1>―――そこは、サシャの母親である前防警局長エカテリーナ・ペトロヴァが移住(政争の敗北により流刑されたとの噂も。)している惑星であった。
サシャは、<パラダイス-1>へ向かう旅客輸送船アルテミス号で、医師のジャン・レイ、船長で元恋人のサム・パーカーと乗り合わせる。コールドスリープ状態となった3人を乗せ、遥か彼方の<パラダイス-1>へ航行中、アルテミス号は植民船ペルセポネ号からなぜか攻撃を受ける。コールドスリープから目覚めた3人は、ロボットのラプスカリオンと協力して危機を脱しようとするが・・・彼らを待ち受けていたのは人間、そしてAIの理性をも狂わす精神感染体<バジリスク>であった―――。
孤立無援の宇宙空間で、人間だけではなくAIをも狂わす「目に見えない」謎のエイリアンの恐怖を描いたSFホラー。狂い異形の姿となるAIホログラムや、理性を失いゾンビ化した人々の姿等のホラーシーンを始めとした状況描写が優秀で、映像化前提で書かれたのではないかと思うほど、物語の各シーンが容易に頭の中で映像化出来てしまう。ただ、その分物語の進行も遅めなので、人によっては冗長と感じる場合もありそう。(読み易いテキストで紙面の空白部分も多いとはいえ、上巻508頁(下巻479頁)なので、ボリュームはなかなかのもの。)
上述したホラー部分には何度もゾッとさせられた程でしっかりと怖く、ジャンの手甲が変形してゾンビを撃退する場面や、ラプスカリオンが狂った植民船のロボットと戦う場面等、アクションシーンも手汗握る(ちょっと中二心をくすぐる)迫力のあるものとなっており、なんとなく映画『エイリアン2』の雰囲気を感じられる(内容は全然違うのだが)。また、事件の真相を究明するシナリオの引き込みも良く、(まだ上巻だけしか読んでいないが、)全体として優秀なSFホラー作品に仕上がっている。
本書(上巻)ラスト、とんでもなく続きが気になる終わり方をしてくれましてね。さて、<パラダイス-1>で起こっている事件の真相とはいかに―――。 -
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人間にもA1にも取り憑く謎の存在「バジリスク」。生命でもウィルスでもないそれは、憑りついたものを自己破壊的な衝動に差し向けるような妄想を抱かせるのだが、同胞同士を食い合わずにおれない飢餓感だったり、何かが体内に寄生しているという強迫観念から自らを解剖しようとしたり、感染ごとに妄想の種類が異なるという、その正体およびその目的や意図がまったくわからない。その謎にせまっていく後半だがクライマックスの敵との激闘のアクションに、主人公たちの過去のトラウマの物語も絡む感じはちょっとシン・ヱヴァっぽいかも。謎の存在バジリスクの正体は、それが真の正体であるかはわからないが、なるほどという感じ。というのもこの上下巻は全3部作の第1部に過ぎず、まだ物語は展開していくのだった。
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太陽系から百光年離れた星系にある植民星「パラダイス‐1」と連絡が途絶し、その調査に送り込まれた防衛警察の警部補、医師、パイロットたちが、目的地到着の目前コールドスリープから目覚めるや否や正体不明の敵からの襲撃を受け、そこからノンストップで危機また危機の戦闘に巻き込まれていくという、難しいこと言いっこなしのエンタメSF。上巻だけで510ページほどあるが7~8ページ単位の70章ほどの短い章に分かれていてテンポよくサクサク読める。謎の敵は人間にもAIにも感染し、どちらも発狂させゾンビ化させてしまうウィルスのようなもので、それによって「ソンビ化した人間」はお馴染みのあれなのだが、「ゾンビ化したAI」というのは本書の独創的なアイデアで、これがかなりおぞましくて秀逸。悪趣味で言葉づかいの汚い艦付きのロボッが憎めない感じのキャラでこれまたいい。
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待ちに待った新刊ということでウキウキと入手! 序盤から頻出する【編集済】の三文字に不穏な気配を覚えつつ、今作でもARTや三号が出てくるのが嬉しいところ。弊機も相変わらずながら、「弊機の人間」をどんどん好きになっていることがじわじわ伝わってきて、不器用な振る舞いが可愛らしくて仕方がありません。そして今回のぼやきっぷりもなかなかです(笑)
とは言え、やはり戦闘シーンになるとハチャメチャに格好良い。今回はドローンの数が限られる分、敵警備ロボットの意表を突く動きが映える肉弾戦が大変良かったです。続きもあるということで、まだまだこの先も楽しめそうです……! -
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<弊機>が帰ってきた。<マーダー・ボット・ダイアリー>シリーズの第4弾となる。本書は2番目に邦訳された『ネットワーク・エフェクト』の直接の続編となっている。
前作の内容を忘れた読者のために、『ネットワーク・エフェクト』のあらすじが、冒頭に掲載されている。これはありがたいが、登場人物がどういう人物だったかをなかなか思い出せなかった(歳のせいか)。
異星由来の遺物より発生した汚染(感染すると意識を支配されゾンビのようになる)を被った植民惑星が舞台となっている。この植民惑星を開発しようとするBE社(悪徳企業です)は、取り引きが禁止されている異星遺物の採掘を進めようとしている。住民たちは事情を知らされぬままで、救援を待っている状況。<弊機>を含む調査隊の面々は、『ネットワーク・エフェクト』からの成り行きで、住民の自由と安全を守ろうとするのだが…
<弊機>は相変わらず、ぼやきや皮肉を交えて策略をめぐらす。趣味の連続ドラマからを引き合いに出すのもいつものとおり。ここがとてもが面白い。 -
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ネタバレ・あらすじ
人型警備ユニットの「弊機」はART(ペリヘリオン号)とARTの船員、ブリザベーション調査隊の隊員とともに植民惑星での異性遺物汚染事件を解決した。
そして植民惑星とその入植者と奴隷契約を結ぼうと暗躍するバリッシュ・エストランザ社の活動を阻止しようとする。
・感想
今回も面白かった!
自虐な弊機節は健在。だけどなんだかいつもと様子が違う弊機。
前回のあらすじを訳者さんが巻頭にまとめてくれてたけど正直「そんな話だったっけ?」ってなってた。
読んだの2年以上前だし完全に忘れていたみたい。
久しぶりにマーダーボットの世界観に入ったからか、序盤は世界観に慣れる必要があったんだけど中盤からはスイスイ読めた。
ストーリー的には面白かったけどあまり起伏のない展開で前回事件の後片付けと今後の展開のための種まき(仲間増やしたりなど)してる印象の巻だった。
あと弊機のトラウマと成長かな。
構成機体であるが故に有機組織部分の「人間的な感覚」を弊機がどう処理していくんだろう。
まだまだ続くそうなので今後も楽しみ! -
Posted by ブクログ
ディストピアSF短編集。一話ごとに人体改造、食糧危機、資源枯渇、渇水、痴呆化など、さまざまな状況が設定されています。
情景が目に浮かびそうな近未来世界観と、厳しい環境下でしぶとく生き伸びようとする庶民の姿が気に入りました。
■ポケットのなかの法
四川省成都を舞台にしたサイバーパンクっぽい物語。路地裏の少年が偶然手に入れた外部記憶媒体の中身とは。
■フルーテッド・ガールズ
フルートにされた少女たちが秘密のパーティーの舞台に立たされる妖しい物語。映像で見てみたい作品。
■砂と灰の人々
食糧危機に陥った人類は、腹の中にゾウムシを飼って砂を喰らっている世界。そこに生身の犬があらわれる。
■カロリーマン
鉱物資源がなくなり、穀物と筋肉がエネルギー源になったら。
■タマリスク・ハンター
水を吸い上げる植物タマリスクによって水資源が枯渇する世界。
■やわらかく
日常ミステリーっぽい感じ。死んだ妻の側にいる男の独白。
■第六ポンプ
低出生率化と痴呆化が進んだ社会では、下水ポンプの整備ができず、街に汚物があふれる。