中原尚哉のレビュー一覧
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シンプルなタイトルに惹かれ購入しました。購入するまでこれがSF小説仕立てになっているとは知らなかったのですが、このスタイルはありかと思います。すらすら読めましたし、AIの課題と同時にAIが生み出すプラス面についても大いに想像力が刺激されました。
本書では、2041年を舞台にした10個のSF小説がオムニバス形式で紹介されています。それぞれAIが何らかの役割を果たしていて、章の最後には、テクノロジー専門家による解説がついています。舞台も幅広く、中国、韓国、インド、日本、ナイジェリア、カタール・・・など、意図的なのか様々な国を舞台にしています。テーマとしては教育や医療、娯楽、輸送、自律兵器、コミュ -
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上巻では愚痴っぽいサラリーマンのようだった「弊機」は、下巻ではハッキング能力の高いスパイのようになった。
人間が出てくる連続ドラマ好きは相変わらずで、ドラマを見ている場合じゃない=ヤバい状況という分かりやすい図式が出来上がっている。
弊機にハッキングされまくっているそこらのシステムはどうなっているのか?(そもそもどうやってハッキングしているのか)、「サンクチュアリームーンの盛衰」はどんだけ面白いのか(しょうもないらしい)等、よく分からない点もあるが、愚痴っぽいスパイっぽいハッカーっぽい警備ユニットという弊機の妙なキャラクターのにグイグイ引っ張られた。
ペットボットのミキのキャラクターも印象 -
Posted by ブクログ
人型警備ユニットの“弊機”は紆余曲折の上にたどり着いたプリザベーション連合のステーション内で他殺体に遭遇する。
いろんなぼやきを脳内で垂れ流しつつ犯人探しを始める“弊機”だがそこには複雑な事情が絡んでいて……。
表題作含む3篇収録
表題作は中編。一作目と二作目の間の話。“弊機”の独り言がすごい楽しい。割と喧嘩腰だよね(笑)
他に、メンサー達に会う前の“弊機”を描く「義務」と、プリザベーション連合に戻ったメンサー視点の「ホームーそれは居住施設、有効範囲、生態的地位、あるいは陣地」が短めの短編として収録。→
「義務」が好きだなぁ。メンサーたちに会う前から“弊機”は“弊機”なんだよなぁ(笑)これ -
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一人称“弊機”は統制モジュールをハッキングすることにより自由になった保険会社所属の人型警備ユニット。人間との関わりが怖くて連続ドラマに耽溺することで気持ちを落ち着かせる“弊機”が主役の(連作)短編集。上巻で2話収録
1話目〈システムの危殆〉では“弊機”を人間と同じように扱おうとするグループを警備する話。“弊機”の戸惑いがすごいし、連続ドラマへの耽溺具合もすごい(笑)相当動揺してる。
2話目〈人工的なあり方〉では、“弊機”の相棒?として調査船ボット“ART”が登場。この子、私大好き!!めちゃくちゃかわいい!
内容的にもわかりやすくて良。新たな顧客とのやりとりで、弊機が少しずつ人間に慣れてるの -
Posted by ブクログ
ネタバレ17号で中断されたアポロ計画、もし18号も月に飛んでいたとしたら…という設定の小説。
歴史改編という意味ではSFなんだろうが、小説の造りはSFではなくエンタメ航空小説とでもいう感じ。宇宙や月を舞台にした小説だからSFということもあるのだろうが、行われていることの科学技術はすべて前世紀のものであり、そういう意味では歴史小説もある。
いつまでも月や火星がSF小説の舞台であるってのも、なんだか情けない話ぞ、人類。
ということで、頭の中ではポルノの例の歌が鳴り響く。
宇宙飛行士たちとアポロ計画を遂行するスタッフや軍人たち、ソ連の宇宙飛行士や軍人、両国の政治家官僚…種々の思惑が錯綜し、時には協力体制 -
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待ってました、弊機ことマーダーボットの大冒険!今回は長編ということで分厚いし、話自体は超新しいとかそういうわけでもないのですが、読む手が止まりませんでした。良いスピード感と、可愛い可愛い弊機のモダモダにニヤニヤしていたらあっという間に終わりに。これは、続きありますね笑
1巻目で大好きになったART、また出てこないかな~と思っていたら、まさかの登場でテンションが上がりました。いろいろありましたが、ボロボロになりながらも、無事ひと段落着いてよかったです。メンサーの娘のアメナとのやり取りも好きだったし、ART/メンサーとの関係を"誤解"されるといった場面も、いい意味でまさに現代 -
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ケン・リュウ / 桜坂洋 / アンディ ウィアー / デヴィッド・バー・カートリー / ホリー・ブラック / チャールズ・ユウ / チャーリー・ジェーン・アンダース / ダニエル・H・ウィルソン / ミッキー・ニールソン / ショーナン・マグワイア / ヒュー・ハウイー / コリイ・ドクトロウ / アーネスト・クライン / D・H・ウィルソン / J・J・アダムズ / 中原尚哉 / 古沢嘉通3.6 (31)
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「リスポーン」行動心理学によれば人間の行動は大きくレスポンポンデント条件付けとオペラント条件付けに分けられる、簡単に言うと環境に対して行動が発現する。それの極端な形が”ゲーム”である、というところからアイデアとったのかな?と思われる短編。ゲームの中でプレイヤーはどんな人にでもなれる。でも所詮それだって、条件付けの産物にすぎない。じゃあ、俺は俺のままでもなんだってできる。そういうことだろ?みたいな話。ゲームSFの懐の深さを見せつける読みやすい良作。
「救助よろ」ケン・リュウは別格なので置いておくとしたら、これが一番面白かった。最初から現社会と異世界の合いの子みたいな世界観で、まあ、SFなんだし