中原尚哉のレビュー一覧
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敵がナチスなら軍国日本はまだましってことか、とくに皇国の正義のためにつくそうとする誠の目からすると、USJの体制がいかに抑圧的かはところどころに垣間見えるだけである。
誠の同級生で優等生のお嬢様、しかしものすごく腕のいいパイロット橘範子が「ですわ」で喋り、誠と警備会社の厳しい訓練を耐え抜く烈女パイロット千衛子(苗字はないみたい)は男っぱくまくし立て、前作で登場した天才的女性パイロット久地樂(くじら)の息子・同名の久地樂は母と同様、のらくらと関西弁。見事にアニメ風の登場人物であるし、翻訳もその辺はあざとく訳している。ドイツからの交換留学生で誠が思いを寄せるグリゼルダがこの体制に疑問を差し挟ま -
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『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』の続編。続編といっても直接話が繋がるというのではなく、同じ世界設定のもとでの、数年後の別の話である。それにしてもこのあまりにキッチュなタイトル。
第二次世界大戦で日独が勝った世界、アメリカは東側がナチスに支配され、西側が大日本帝国の領地となっており、日本合衆国(USJ)と呼ばれている。日本とナチスは一応は同盟国ながら、いまや世界を二分する敵対勢力であり、一触即発の様相を帯びている。さらにUSJではアメリカ人レジスタンスがナチスと手を組みつつテロ活動をしている。世界の主たる兵器はメカ。二足歩行の巨大ロボットである。そんな1994年。
一人称で語られ -
ケン・リュウ / 桜坂洋 / アンディ ウィアー / デヴィッド・バー・カートリー / ホリー・ブラック / チャールズ・ユウ / チャーリー・ジェーン・アンダース / ダニエル・H・ウィルソン / ミッキー・ニールソン / ショーナン・マグワイア / ヒュー・ハウイー / コリイ・ドクトロウ / アーネスト・クライン / D・H・ウィルソン / J・J・アダムズ / 中原尚哉 / 古沢嘉通3.6 (31)
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「スタートボタンを押してください(ゲームSF傑作選)」
全作が書籍初収録。
「紙の動物園」のケン・リュウ、「All You Need Is Kill」の桜坂洋、「火星の人」のアンディ・ウィアーら、現代SFを牽引する豪華執筆陣が集結。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞受賞作家たちが、ビデオゲームと小説の新たな可能性に挑む。本邦初訳10編を含む全12編を厳選した、傑作オリジナルSFアンソロジー。
という触れ込み。桜坂洋しか知らなかったのですが、どれも面白い。ゲームSFと言うジャンルすら初耳なんですが、こんな小説の世界観があったとは知らなんだ、、、
まず1発目の「リスボーン」が強烈なインパ -
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陸軍検閲局大尉・石村紅功,通称ベンと特高課員・槻野昭子(作者的にはこっちが主人公らしい)は憲兵に追われる身となる。非合法ゲーム『USA』を制作し、アメリカ人レジスタンスの手助けをしているらしい六浦賀将軍の首級を挙げてこの窮地を脱することを目指す。向かう先はレジスタンスと激しい戦闘がなされ壊滅状態にあるサンディエゴ。
片腕マシンガンガール、命がけのゲーム対戦、巨大ロボ「メカ」戦、キッチュな展開が実に大まじめに進むところがすごい。
大日本帝国治下のアメリカはディストピアには違いなく、ところどころで滅びてしまったアメリカの「自由」の理念が語られるが、そのアメリカも日系人を強制収容所で人権蹂躙し -
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第二次世界大戦で日独が勝った世界。ディックの『高い城の男』の設定を頂いて、新たな物語を紡ぐ。作者は日本文化びいきの韓国系アメリカ人。ティエリャスと読みたくなる名前だが、本人がトライアスといっているようだ。
アメリカは東側がドイツに支配され、西側が大日本帝国の領地となっている。それは『高い城の男』と同様だが、本書ではこれがユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパンと呼ばれている。略してUSJ、ええと大阪にそのようなものがなかったっけか。
日本がアメリカに勝つためには戦前の天皇制にかこつけた無責任体制がどうにか変わっていなければ無理じゃないかと思うのだが、この世界の日本はむやみと戦端を拡大せず -
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今注目している作家の一人。SF作家さんだけど、学生時代は東アジア学を専攻し、経営コンサル経て、環境専門雑誌の編集をしながら執筆を続けているそう。
『ねじまき少女』から思っていたけど、場面の空気を描くのがすごくうまいと思う。『ポケットの中の法』や『イエローカードマン』なんかは読んでいると自分の周りすらジトジトしているような気になる。土地のにおいがしてきそう。
環境問題にも造詣が深く、そのせいか物語もディストピアが多くて若干気が滅入るかも。でも目が離せない。
SFをやっと数作読んできたけど、科学技術単品を軸に進む物語より、その技術で社会や人間がどう変わったか、みたいな部分の割合が多めの作品が好きみ -
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ネタバレ木星から小惑星帯に氷を運ぶカンタベリー号。途中救難信号を受けて救助に向かったカンタベリー号に仕掛けられた罠。副長ホールデン、ナオミ、エイモス、アレックス取り残された4人。火星の攻撃の可能性を示唆したホールデンの声明から起きる火星と小惑星帯の対立。月の大富豪の娘ジュリーの失踪事件を捜査中の小惑星ケレスのミラー刑事。カンタベリー号に救難信号を送ったスコピュリ号に乗り込んでいたジュリー。ケレスから消えた犯罪組織の謎。火星の戦艦に救助されるホールデン。ホールデンに接触したOPAの代表フレッド・ジョンソン。攻撃され撃沈された火星の戦艦。宇宙ステーション・エロス合流したホールデンとミラー。エロスで進行する
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『ネットワーク・エフェクト』の続き。
この小説の世界って遠未来で、広範囲に宇宙に進出しているから、いろんな考えや慣習があると思うのだけれど、書いているのがマーサ・ウェルズなのでアメリカ人の考え方に縛られてるんだろうな。
そんな中で、作中に登場する次の文章が気になった。
プリザベーション出身の人間は、"さあ、みんなで話しあって、全員が満足するか妥協できるかたちでこの問題を解決しましょう"というのが交渉だと思っています。しかし企業リムでは九十六パーセントの確率でだれもそう考えていません。多種多様な人類文化にもそんな考え方はないはずです。(p.182)
弊機の考えが記載され -
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ネタバレLed ZeppelinのDazed and Confused(幻惑されて)を聴いているような感覚になる。
文章に幻惑されるというのは、変な表現だが、物語の途中まで「?」の連続である。
語り手の医師サイラス=コードはAIサイラスのコード、つまりはプログラムであり、AIが作った物語に読者もだまされる。SFファンではないので、初めて読むタイプのSF小説だった。400頁の240頁まで来て、やっとSFらしい宇宙船が登場し、308頁から徐々にAIである種明かしが分かる。
それでも、尚、人間らしい葛藤に悩まされるサイラス。
そして、ラスト。夢のようなプリマスの情景は、夢なのか現実なのか、最後まで物語に幻惑