中原尚哉のレビュー一覧

  • ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下

    Posted by ブクログ

     陸軍検閲局大尉・石村紅功,通称ベンと特高課員・槻野昭子(作者的にはこっちが主人公らしい)は憲兵に追われる身となる。非合法ゲーム『USA』を制作し、アメリカ人レジスタンスの手助けをしているらしい六浦賀将軍の首級を挙げてこの窮地を脱することを目指す。向かう先はレジスタンスと激しい戦闘がなされ壊滅状態にあるサンディエゴ。
     片腕マシンガンガール、命がけのゲーム対戦、巨大ロボ「メカ」戦、キッチュな展開が実に大まじめに進むところがすごい。
     大日本帝国治下のアメリカはディストピアには違いなく、ところどころで滅びてしまったアメリカの「自由」の理念が語られるが、そのアメリカも日系人を強制収容所で人権蹂躙し

    0
    2016年11月29日
  • ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上

    Posted by ブクログ

     第二次世界大戦で日独が勝った世界。ディックの『高い城の男』の設定を頂いて、新たな物語を紡ぐ。作者は日本文化びいきの韓国系アメリカ人。ティエリャスと読みたくなる名前だが、本人がトライアスといっているようだ。

     アメリカは東側がドイツに支配され、西側が大日本帝国の領地となっている。それは『高い城の男』と同様だが、本書ではこれがユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパンと呼ばれている。略してUSJ、ええと大阪にそのようなものがなかったっけか。
     日本がアメリカに勝つためには戦前の天皇制にかこつけた無責任体制がどうにか変わっていなければ無理じゃないかと思うのだが、この世界の日本はむやみと戦端を拡大せず

    0
    2016年10月27日
  • ラグランジュ・ミッション

    Posted by ブクログ

    難しかったけど、人生初めてのSFでした。読み終えることができて良かった。次は『火星の人』かな(笑)
    科学的な言葉が次から次へと出てくるので、僕のような理系がとてつもなく苦手な人間には、いい経験になる(笑)

    0
    2016年04月03日
  • 死者の代弁者〔新訳版〕(下)

    Posted by ブクログ

    これは心の救済の話。子供らしい幼少期を過ごせなかった人たちにとっては特別迫るものがあると思います。誰にもいいたくない!というのは誰もわかってくれるはずがないと思うからなんだよね。この人はわかってくれる!そんな人が突然現れたら…。本当に読んでよかった。

    0
    2015年07月10日
  • 死者の代弁者〔新訳版〕(上)

    Posted by ブクログ

    エンダーのゲーム映画化・再翻訳に伴い、同じく再翻訳された続編。面白い!前作もとてつもなく面白かったけどこれを書くために書かれたプロローグなのではないかと思われるくらい本作は内容が濃いい。思想の異なる人々が織りなす社会、個々の人々が抱える理解し得ないことから生じる孤独。真の思いを伝えることなく死んでいった者たち。そしてその代弁者。その名はアンドルー。またの名を…。

    0
    2015年07月08日
  • 第六ポンプ

    Posted by ブクログ

    今注目している作家の一人。SF作家さんだけど、学生時代は東アジア学を専攻し、経営コンサル経て、環境専門雑誌の編集をしながら執筆を続けているそう。
    『ねじまき少女』から思っていたけど、場面の空気を描くのがすごくうまいと思う。『ポケットの中の法』や『イエローカードマン』なんかは読んでいると自分の周りすらジトジトしているような気になる。土地のにおいがしてきそう。
    環境問題にも造詣が深く、そのせいか物語もディストピアが多くて若干気が滅入るかも。でも目が離せない。
    SFをやっと数作読んできたけど、科学技術単品を軸に進む物語より、その技術で社会や人間がどう変わったか、みたいな部分の割合が多めの作品が好きみ

    0
    2014年04月18日
  • 巨獣めざめる (下)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    エロスを襲った悲劇。謎の細菌に襲われたエロス。感染していく住人。住人を監禁する偽の警官隊と戦うホールデン、ミラー。本格化する火星と地球の戦争。大企業プロトジェンの発見した地球外生命体の残した最近の謎。フレッド・ジョンソンと協力してプロジェトンの研究施設を襲撃するホールデン、ミラー。プロジェトンの副社長ドレスデンの言葉。ホールデンとミラーの対立。ミラーに囁きかけるジェリーの声。地球に向けて降下するエロス。破壊作戦を展開するOPA。何者かの意思で動くエロス。エロス内部に残るミラーの行動。

    0
    2013年05月23日
  • 巨獣めざめる (上)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    木星から小惑星帯に氷を運ぶカンタベリー号。途中救難信号を受けて救助に向かったカンタベリー号に仕掛けられた罠。副長ホールデン、ナオミ、エイモス、アレックス取り残された4人。火星の攻撃の可能性を示唆したホールデンの声明から起きる火星と小惑星帯の対立。月の大富豪の娘ジュリーの失踪事件を捜査中の小惑星ケレスのミラー刑事。カンタベリー号に救難信号を送ったスコピュリ号に乗り込んでいたジュリー。ケレスから消えた犯罪組織の謎。火星の戦艦に救助されるホールデン。ホールデンに接触したOPAの代表フレッド・ジョンソン。攻撃され撃沈された火星の戦艦。宇宙ステーション・エロス合流したホールデンとミラー。エロスで進行する

    0
    2013年05月23日
  • クリプトノミコン1 チューリング

    Posted by ブクログ

    オタクと天才と脳筋マッチョの大冒険。
    こんなにわくわくする冒険譚はひさしぶり、いや初めてかも。
    4巻まで一気読みでした。

    0
    2009年10月04日
  • 反転領域

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ※ネタバレ注意
    以下、物語の結末・核心に触れます











    自分が人間であることを、どうやって証明できるのだろう?

    人間でありたいAIが人間らしさを獲得していく過程と、人が幼少期から他者との関わりの中で、協調性や倫理を身につけていく過程は、本当に決定的に違うのだろうか。
    違いがあるとすれば、それは
    有機物かそうでないか、肉体があるかないか、
    その程度の差なのではないか。
    作中で描かれる、体内に遺骨を抱え、歩くたびにカラカラと音を立てる描写は、その違和感を象徴しているように思えた。

    医師であるサイラスは、最後まで患者の側に居続け、役割を全うする。
    それは一般的に想像される「人間ら

    0
    2025年12月21日
  • システム・クラッシュ

    Posted by ブクログ

    「マーダーボット・ダイアリー 」のシリーズ。日本版では5冊目にあたりますが、お話としては3冊目の「ネットワーク・エフェクト」の続編です。異星遺物の汚染、企業の圧力、植民者の保護などいろいろ絡んだ問題に弊機は対処します。
    日本でこのシリーズがどれくらい話題になっているのか知りませんが、本国ではドラマ化の話もあるようです。小説もまだ続きそうなので、ゆっくり待ちましょう。

    0
    2025年11月30日
  • 喪われた巨大戦艦

    Posted by ブクログ

    謎の種族からの侵略、大昔に滅亡した異星文明の巨大戦艦、寄せ集めチームの冒険という設定の順当なSF作品。
    余計なひねりもなく、読みやすかった。
    もし続編が翻訳されれば、ぜひ読みたい。

    0
    2025年10月31日
  • 反転領域

    Posted by ブクログ

    サイラス・コードが船医を務める小型帆船デメテル号は、探検団や船員たちを乗せノルウェー沿岸地域にあると噂される古代の大建築物の捜索へと向かっていた。
    そして噂されるフィヨルドの隙間にある道を見つけたことで大建築物へ向かうことに成功するが……。
    というお話。

    本作はほとんど情報を入れずに読み始めた。何か探検してたら何か見つかっちゃうんでしょ、くらいの雑なイメージで読み始めたが、それが逆に良かった。
    少しずつ少しずつ情報が開示される度に「あー、こういう話ね」「そういう要素も入れてんだ」と、なんとなくこんな話なんだろうなって予想して読んでいたのだが、まあそんな予想は当たるはずもなくて、予想の遥か斜め

    0
    2025年10月21日
  • 死者の代弁者〔新訳版〕(上)

    Posted by ブクログ

    未知の生物、生態系、文化、惑星
    ファーストコンタクトはSFの華ですな!
    サスペンス的に種明かしされていくにつれ、読む手が止まらず…仕事に影響出ました 涙

    ヒロイン(?)に全く同情できず、ざまあああという感情が湧いてしまった。自分の感受性の無さ、人生経験の無さを恨みながら後半読み進めました。

    0
    2025年10月20日
  • マーダーボット・ダイアリー 下

    Posted by ブクログ

    上下巻を読み終えて。面白かったんだけど、どうもDEI的要素が鼻につく。主要人物のほとんどが女性で、同性カップルや重婚が「ごく当たり前」の世界として描かれている。この世界での強者である「警備コンサルタント」もなぜか女性ばかりで、登場人物の誰かがそれに疑問を呈す場面も一切なし。「女性が強いのは一般的」という価値観を押し付けられているような気がしてならない。
    また、上下巻を通して数々の女性が登場する中で、明確に「美人」と描写されているのは一人だけだったと思うが、その人はわざわざ「肌(の色)がとても濃い」と強調されている。黒人は美しいって言いたいのか?なんだかなぁ・・・
    作者のマーサ・ウェルズ氏を調べ

    0
    2025年10月18日
  • AI 2041 人工知能が変える20年後の未来

    Posted by ブクログ

    ナラティブとテクノロジーが見事に融合した本。2041年に実現が予測される技術をベースに、陳楸帆氏が10の物語を描き、李開復氏が裏付けとなるテクノロジーを解説する。
    陳楸帆氏の小説はテクノロジーという制約条件のもと各国の文化や歴史を踏まえてストーリーを構築している点が素晴らしい。かつジャンルも恋愛からアクション、サスペンスと多岐に渡る。
    本書を読むと日進月歩で発展するAIやコンピューティング技術が将来どういう世界をもたらすのか具体的に良く分かる。テクノロジーの今を学び、未来のナラティブを知る良書。

    0
    2025年10月10日
  • 反転領域

    Posted by ブクログ

    帯の惹句に偽りはなかった。
    19世紀の帆船を舞台に展開する物語は当初、海洋冒険小説のように思える。が、ある時点で“反転”し、別の時代、別の動力を持った船が舞台となる。舞台は変わっても、登場人物もその役回りも変わらないのがミソ。
    毎度おなじみ“ループもの”の変種と理解して読み進めたが、それにしては疑問点が多すぎる。あちこちに埋め込まれたキーを頼りに、隠された真実を想像しながらページをめくっていくと、やがて驚愕の展開が待ち受けていた。
    途中、さすがにダレる(何度ループした?)ものの、SFらしいSF小説を読んだ実感がある。おもしろかった。

    0
    2025年09月16日
  • 反転領域

    Posted by ブクログ

    正直に言うと前半は、同じようなことを繰り返すばかりで少し退屈した。
    後半に入るとセリフなどから設定が見えてきた。
    そうだろうな、と分かっていても、読み終えれば清々しい気持ちになった。
    AIがみる夢。だれ目線の話なのかが鍵だった。

    0
    2025年09月06日
  • 反転領域

    Posted by ブクログ

    とちゅうで二度ほど声が出たw

    いやー、なんも書けない。

    かなりふうがわりな物語ではあるけど、最後に投げかけられた問いがまだ頭のなかをめぐっているので、それだけ力のある作品だということなんだろう。

    0
    2025年08月27日
  • 反転領域

    Posted by ブクログ

     時代は19世紀ごろか。外科医のサイラスが乗り込む帆船デメテル号は、ノルウェー沿岸を航行していた。目的地は、フィヨルドの奥にあるという未知の「大建造物」。どうやら古代に建築されたらしい。 

     そして、その「大建築物」を発見したのもののデメテル号は大破し、サイラスはマストの下敷きになり死亡するが…

     最初はタイムループ物かと思わせながらも、物語が進行するにつれて謎が深まるばかりだ。そして、予想の斜め上を行く展開となっていく。ネタバレになるので、詳しくは書けないが、アイディア勝負の一遍である。

     決して「あとがき」を先に読んではいけない。その旨の「注意書き」がある。

    0
    2025年08月26日