中原尚哉のレビュー一覧

  • メカ・サムライ・エンパイア 下

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     敵がナチスなら軍国日本はまだましってことか、とくに皇国の正義のためにつくそうとする誠の目からすると、USJの体制がいかに抑圧的かはところどころに垣間見えるだけである。
     誠の同級生で優等生のお嬢様、しかしものすごく腕のいいパイロット橘範子が「ですわ」で喋り、誠と警備会社の厳しい訓練を耐え抜く烈女パイロット千衛子(苗字はないみたい)は男っぱくまくし立て、前作で登場した天才的女性パイロット久地樂(くじら)の息子・同名の久地樂は母と同様、のらくらと関西弁。見事にアニメ風の登場人物であるし、翻訳もその辺はあざとく訳している。ドイツからの交換留学生で誠が思いを寄せるグリゼルダがこの体制に疑問を差し挟ま

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    2018年07月30日
  • メカ・サムライ・エンパイア 上

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     『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』の続編。続編といっても直接話が繋がるというのではなく、同じ世界設定のもとでの、数年後の別の話である。それにしてもこのあまりにキッチュなタイトル。
     第二次世界大戦で日独が勝った世界、アメリカは東側がナチスに支配され、西側が大日本帝国の領地となっており、日本合衆国(USJ)と呼ばれている。日本とナチスは一応は同盟国ながら、いまや世界を二分する敵対勢力であり、一触即発の様相を帯びている。さらにUSJではアメリカ人レジスタンスがナチスと手を組みつつテロ活動をしている。世界の主たる兵器はメカ。二足歩行の巨大ロボットである。そんな1994年。
     一人称で語られ

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    2018年07月30日
  • スタートボタンを押してください ゲームSF傑作選

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    「スタートボタンを押してください(ゲームSF傑作選)」
    全作が書籍初収録。


    「紙の動物園」のケン・リュウ、「All You Need Is Kill」の桜坂洋、「火星の人」のアンディ・ウィアーら、現代SFを牽引する豪華執筆陣が集結。ヒューゴー賞、ネビュラ賞、星雲賞受賞作家たちが、ビデオゲームと小説の新たな可能性に挑む。本邦初訳10編を含む全12編を厳選した、傑作オリジナルSFアンソロジー。


    という触れ込み。桜坂洋しか知らなかったのですが、どれも面白い。ゲームSFと言うジャンルすら初耳なんですが、こんな小説の世界観があったとは知らなんだ、、、


    まず1発目の「リスボーン」が強烈なインパ

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    2018年05月18日
  • ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 下

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     陸軍検閲局大尉・石村紅功,通称ベンと特高課員・槻野昭子(作者的にはこっちが主人公らしい)は憲兵に追われる身となる。非合法ゲーム『USA』を制作し、アメリカ人レジスタンスの手助けをしているらしい六浦賀将軍の首級を挙げてこの窮地を脱することを目指す。向かう先はレジスタンスと激しい戦闘がなされ壊滅状態にあるサンディエゴ。
     片腕マシンガンガール、命がけのゲーム対戦、巨大ロボ「メカ」戦、キッチュな展開が実に大まじめに進むところがすごい。
     大日本帝国治下のアメリカはディストピアには違いなく、ところどころで滅びてしまったアメリカの「自由」の理念が語られるが、そのアメリカも日系人を強制収容所で人権蹂躙し

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    2016年11月29日
  • ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上

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     第二次世界大戦で日独が勝った世界。ディックの『高い城の男』の設定を頂いて、新たな物語を紡ぐ。作者は日本文化びいきの韓国系アメリカ人。ティエリャスと読みたくなる名前だが、本人がトライアスといっているようだ。

     アメリカは東側がドイツに支配され、西側が大日本帝国の領地となっている。それは『高い城の男』と同様だが、本書ではこれがユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパンと呼ばれている。略してUSJ、ええと大阪にそのようなものがなかったっけか。
     日本がアメリカに勝つためには戦前の天皇制にかこつけた無責任体制がどうにか変わっていなければ無理じゃないかと思うのだが、この世界の日本はむやみと戦端を拡大せず

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    2016年10月27日
  • ラグランジュ・ミッション

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    難しかったけど、人生初めてのSFでした。読み終えることができて良かった。次は『火星の人』かな(笑)
    科学的な言葉が次から次へと出てくるので、僕のような理系がとてつもなく苦手な人間には、いい経験になる(笑)

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    2016年04月03日
  • 死者の代弁者〔新訳版〕(下)

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    これは心の救済の話。子供らしい幼少期を過ごせなかった人たちにとっては特別迫るものがあると思います。誰にもいいたくない!というのは誰もわかってくれるはずがないと思うからなんだよね。この人はわかってくれる!そんな人が突然現れたら…。本当に読んでよかった。

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    2015年07月10日
  • 死者の代弁者〔新訳版〕(上)

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    エンダーのゲーム映画化・再翻訳に伴い、同じく再翻訳された続編。面白い!前作もとてつもなく面白かったけどこれを書くために書かれたプロローグなのではないかと思われるくらい本作は内容が濃いい。思想の異なる人々が織りなす社会、個々の人々が抱える理解し得ないことから生じる孤独。真の思いを伝えることなく死んでいった者たち。そしてその代弁者。その名はアンドルー。またの名を…。

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    2015年07月08日
  • 第六ポンプ

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    今注目している作家の一人。SF作家さんだけど、学生時代は東アジア学を専攻し、経営コンサル経て、環境専門雑誌の編集をしながら執筆を続けているそう。
    『ねじまき少女』から思っていたけど、場面の空気を描くのがすごくうまいと思う。『ポケットの中の法』や『イエローカードマン』なんかは読んでいると自分の周りすらジトジトしているような気になる。土地のにおいがしてきそう。
    環境問題にも造詣が深く、そのせいか物語もディストピアが多くて若干気が滅入るかも。でも目が離せない。
    SFをやっと数作読んできたけど、科学技術単品を軸に進む物語より、その技術で社会や人間がどう変わったか、みたいな部分の割合が多めの作品が好きみ

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    2014年04月18日
  • 巨獣めざめる (下)

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    ネタバレ

    エロスを襲った悲劇。謎の細菌に襲われたエロス。感染していく住人。住人を監禁する偽の警官隊と戦うホールデン、ミラー。本格化する火星と地球の戦争。大企業プロトジェンの発見した地球外生命体の残した最近の謎。フレッド・ジョンソンと協力してプロジェトンの研究施設を襲撃するホールデン、ミラー。プロジェトンの副社長ドレスデンの言葉。ホールデンとミラーの対立。ミラーに囁きかけるジェリーの声。地球に向けて降下するエロス。破壊作戦を展開するOPA。何者かの意思で動くエロス。エロス内部に残るミラーの行動。

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    2013年05月23日
  • 巨獣めざめる (上)

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    ネタバレ

    木星から小惑星帯に氷を運ぶカンタベリー号。途中救難信号を受けて救助に向かったカンタベリー号に仕掛けられた罠。副長ホールデン、ナオミ、エイモス、アレックス取り残された4人。火星の攻撃の可能性を示唆したホールデンの声明から起きる火星と小惑星帯の対立。月の大富豪の娘ジュリーの失踪事件を捜査中の小惑星ケレスのミラー刑事。カンタベリー号に救難信号を送ったスコピュリ号に乗り込んでいたジュリー。ケレスから消えた犯罪組織の謎。火星の戦艦に救助されるホールデン。ホールデンに接触したOPAの代表フレッド・ジョンソン。攻撃され撃沈された火星の戦艦。宇宙ステーション・エロス合流したホールデンとミラー。エロスで進行する

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    2013年05月23日
  • クリプトノミコン1 チューリング

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    オタクと天才と脳筋マッチョの大冒険。
    こんなにわくわくする冒険譚はひさしぶり、いや初めてかも。
    4巻まで一気読みでした。

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    2009年10月04日
  • システム・クラッシュ

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    『ネットワーク・エフェクト』の続き。
    この小説の世界って遠未来で、広範囲に宇宙に進出しているから、いろんな考えや慣習があると思うのだけれど、書いているのがマーサ・ウェルズなのでアメリカ人の考え方に縛られてるんだろうな。

    そんな中で、作中に登場する次の文章が気になった。

    プリザベーション出身の人間は、"さあ、みんなで話しあって、全員が満足するか妥協できるかたちでこの問題を解決しましょう"というのが交渉だと思っています。しかし企業リムでは九十六パーセントの確率でだれもそう考えていません。多種多様な人類文化にもそんな考え方はないはずです。(p.182)

    弊機の考えが記載され

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    2026年03月06日
  • 天空龍機 鋼鉄紅女2 上

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    ネタバレ

    鋼鉄紅女の続編。舞台となる階級資本主義社会国家のシンボルは変形したハンマーと鎌であり、共産中国の成れの果てと思われる。秦政は労働者階級出身の独裁的共産主義者で非常な手段で革命を遂行しようとするが、経済には悪影響。
    独裁的独断的革命家、理想主義者、経済学者、プラグマテックな革命遂行者、保守反動、無知な大衆等々革命に係る類型的人物のカリカチュアだが、ストーリーが面白い。

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    2026年03月07日
  • 妄想感染体 下

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    下巻もあっという間に読み終わりましたが、面白かったけれど、エンディングはちょっと納得いかないかなぁ…、と思っていたら、他の方も書かれていましたが、解説にあるように三部作の第一部なんですね。続編があるんだ…。どおりで、様々な疑問に答えを出さぬままでのエンディングな訳です。
    第二部を期待したいです。

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    2026年03月03日
  • 反転領域

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    ネタバレ

    Led ZeppelinのDazed and Confused(幻惑されて)を聴いているような感覚になる。
    文章に幻惑されるというのは、変な表現だが、物語の途中まで「?」の連続である。
    語り手の医師サイラス=コードはAIサイラスのコード、つまりはプログラムであり、AIが作った物語に読者もだまされる。SFファンではないので、初めて読むタイプのSF小説だった。400頁の240頁まで来て、やっとSFらしい宇宙船が登場し、308頁から徐々にAIである種明かしが分かる。
    それでも、尚、人間らしい葛藤に悩まされるサイラス。
    そして、ラスト。夢のようなプリマスの情景は、夢なのか現実なのか、最後まで物語に幻惑

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    2026年02月25日
  • マーダーボット・ダイアリー 下

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    理解できない部分もいろいろありますが、ある種、クセになるおもしろさです。上巻でも書きましたが、この本の魅力は、弊機の1人称の語り口調。いろんなものが擬人化して表現されていて、そこが楽しいところかな。続編もありますが、読むかどうかは微妙かな。

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    2026年02月21日
  • AI 2041 人工知能が変える20年後の未来

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    ネタバレ

    網羅的に学べる。小説はあまり読んでない


    ◯豊穣の夢
    太陽光風力で電気代タダ。ゲノム編集で肉を細胞や分子から作る、増産はアップデート、合成生物学で服やプラスチック。家もロボが作り3Dプリンタで義歯。

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    2026年03月01日
  • 反転領域

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    ネタバレ

    まず表紙と表題に惹かれた。
    しかも19世紀、小型帆船、フィヨルド、大建築物、、


    ・サイラスがラモスたちが無事に帰還できたかを知る術はなくてただ信じるしかないという部分。直前までデュパンを死なせる選択肢をとったことを非人道的と非難されるくだりがあってからのこれ。じんわりくる。
    ・デュパンを看取る。サイラス、システムとしてではなくあくまで外科医としての意思を持った人として、寄り添う姿。
    ・サイラスとエイダが、残された時間を永久化して、2人の楽園で過ごすような展開。良き。

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    2026年02月10日
  • マーダーボット・ダイアリー 上

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    ヒューゴー賞シリーズ部門受賞、シリーズ累計10冠のシリーズ!いわゆる警備ロボットの視点で語られる口調は、独特のものがあり、おもしろかったです。最初はフィードとかホッパー、ハビタットにキュービクル、インターフェース、統制モジュールと、いろんな訳のわからない用語が大量に出てきて、何のことかわかりませんでしたが、進むにつれて文脈から徐々に理解が及んで来ました。この辺りは、説明がほしかったかな。そして慣れてくると、ボットが人間を俯瞰的に見ている様子、これが意外におもしろい。とりあえず引き続き下巻へ!

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    2026年02月10日