【感想・ネタバレ】ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン 上のレビュー

あらすじ

第二次大戦で日独の枢軸側が勝利し、アメリカ西海岸は日本の統治下にある世界。巨大ロボット兵器「メカ」が闊歩するこの日本合衆国で、帝国陸軍の検閲局勤務の石村大尉は特別高等警察の槻野課員の訪問をうける。槻野は石村のかつての上官、六浦賀将軍を捜していた。将軍は軍事ゲーム開発の第一人者だったが、アメリカ人抵抗組織に協力しているというのだ――21世紀版『高い城の男』と呼び声の高い話題沸騰の改変歴史SF。

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Posted by ブクログ

国立大学物理学研究室の元助手という経歴を持つ編集者が米国の原著を読み、売れると直感し日本語版を編集したという新聞記事を読んで興味が沸いて読み始めた。
この編集者の慧眼通りの本だった。

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2021年04月06日

Posted by ブクログ

もしも日本・ドイツの枢軸国側が戦争に勝っていたらというIfの話を元にした話。この本の歴史では、日本は最初にドイツとソ連を攻めアメリカの対日参戦を遅らせ日本が先にアメリカに核を落とすという話だ。この日本は戦時中のように特別警察隊や秘密警察などが暗躍していたり、天皇が絶対視されるなどの戦前・戦中の日本がモデルとされている。憲兵だったベンの愛人?セフレ?友人?はこの後出てくるのか、ジョージ・ワシントン団に拷問され手足を失った特高の女の人はこの後出てくるのか、六浦出元将軍が反日ゲームを流行らせる理由は何なのか。楽しみで下が早く読みたい。

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2020年05月06日

Posted by ブクログ

 第二次世界大戦で日独が勝った世界。ディックの『高い城の男』の設定を頂いて、新たな物語を紡ぐ。作者は日本文化びいきの韓国系アメリカ人。ティエリャスと読みたくなる名前だが、本人がトライアスといっているようだ。

 アメリカは東側がドイツに支配され、西側が大日本帝国の領地となっている。それは『高い城の男』と同様だが、本書ではこれがユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパンと呼ばれている。略してUSJ、ええと大阪にそのようなものがなかったっけか。
 日本がアメリカに勝つためには戦前の天皇制にかこつけた無責任体制がどうにか変わっていなければ無理じゃないかと思うのだが、この世界の日本はむやみと戦端を拡大せず、まずはドイツとともにソ連を攻略し、それから開戦。原子魚雷を3発お見舞いしてアメリカを降伏させるのが1948年。大日本帝国軍による日系人収容所開放から話が始まる。
 主人公の石村紅功は日本軍の検閲官。ベニコという名は女の子の名をそのまま付けられてしまった。愛称ベン。物語の主たる時代は1988年。戦後、40年である。
 大日本帝国が残ったわけだから、当然軍事国家であり、ベトナムで戦争したり、アフガニスタンでナチスと衝突したりしている。アメリカが戦争で勝ったなら、きっともっと平和な世界となっていたことだろう、あれ? という皮肉が効いている。テクノロジーは相当に進んでおり、スマホならぬ多機能の「電卓」が情報端末で、「機界」に接続して使用する。さらには軍の巨大ロボット兵器である「メカ」が登場するあたりが、帯に書いてある『高い城の男』+『パシフィック・リム』の謂いである。怪獣は出てこないようだが。
 ベンはこちらの言葉でいえば優秀なハッカーだが、軍人としては勤務態度が悪く、昇進も遅れている。かつての上司である六浦賀将軍が姿を消し、大戦でアメリカが勝ったという設定の非合法ゲーム『USA』を作ったらしいということで、特高の槻野昭子が捜査に現れる。昭子は天皇に忠誠を誓ったファナティックな捜査官でその捜査といったらダーティハリーか、昨今のすぐに黒人を撃ち殺す警官の如し。これも皮肉が効いているとみるべきか。
 現人神を頂点とした日本の支配を賛美しているわけではないが、さりとて、アメリカの支配する別の現実も賞賛できない書きっぷりがディックとの時代の違いを感じさせる。USJは悪夢的な世界だが、それはこちらの現実と同じくらいに悪夢的なのだ。
 
 ハヤカワSFシリーズで出ると思っていたら、文庫が出ていたので買ってしまったが、なんと同時発売。
 特高だけでなく憲兵が現れるわ、アメリカ人テロ組織ジョージ・ワシントン団が登場するわ、話がどういう方向に進むのかまるでわからない。

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2016年10月27日

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第二次世界大戦で枢軸国側が勝ち、アメリカ西海岸が日本統治下にあるという「歴史改変SF小説」。
作者がアメリカ人であることを忘れそうになるくらい、日本に詳しい。面白い。

日本がアメリカに原爆を落とした世界線。真珠湾攻撃を仕掛けなかった世界線。「軍国主義的、かつ日本的」価値観がまだ当然生きていて、まさに勝てば官軍負ければ賊軍。
ストーリーは石村という帝国陸軍検閲局任務の隊員を主軸に進む。ハッカー?のようなすごい技術を持ちながら、不思議な価値観、数奇な人生を送る石村に目が離せない。

早く下巻読みたい。

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2021年05月21日

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フィリップ・K・ディックの「高い城の男」を下敷きに、スマホのようなコンピュータ(作中では電卓と呼ばれる)や、巨大人型兵器などの現代ジャパニーズカルチャーを取り込んだ作品。

表紙のイラストから巨大ロボットが活躍するイメージがあるが、巨大ロボットはあまり登場しない(ただし作中では重要なキーを握っている)。

訳も分かりやすくて一気に読み終えることができる。

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2020年09月21日

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面白い。日本とドイツが勝利した歴史改変物。日本が原爆を投下してUSAをUSJとして統治、って設定が燃える。科学の水準も1988年で既に現代を凌駕してるのが面白い。まだイマイチ主人公には感情移入できず、ただこの世界観を楽しむのみ。猟奇的な描写にはちょっと辟易。作者は韓国系アメリカ人だということだけど、日本文化について相当深い理解がある様子で興味深い。現代日本人の感覚からすると、戦後も続いた日本帝国のエクストリームすぎる描写が誇張にも皮肉にも思えるんだけども、冷静にもしあの戦争に負けてなかったらこうなってるかもな、と納得出来もする。これは日本のことよく知らないと書けないし、そこに脱帽。それと、訳の素晴らしさが特筆できるレベル。日本人名にどの漢字を当てるかとか、劇中の大阪弁の描写とか、これは訳者と著者が相当やり取りしてないと出来ないはず。下巻にも期待。

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2017年02月20日

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1948年、アメリカでの地上戦に日本の皇軍が謎の破壊兵器を投入し、アメリカ全土を制圧してユナイデッドステイツオブジャパン(USJ)を建国した。1988年、終戦時に生まれたベンこと紅功は、USJにおける日本皇軍の諜報部に所属していた。ある日、元上司と思われる男性から「娘が死んだ」と電話を受けた…。

ディックの名作『高い城の男』同様、第二次大戦を起点としたパラレルワールド物である。もっとカラッとドライな話かと思いきや、わりかし重めのストーリーで面食らった。

日本皇軍、諜報部、憲兵といった日本人コミュニティに対して、テロ組織ジョージ・ワシントン団が裏の裏をかいて手を回してくる事に対し、日本軍は情け容赦ない鉄槌を下していく。

割と初期から100円で売られていたのだが、おそらく日本を悪役として描いた反日的な部分に嫌気が差した読者も多かったのではないかと考えられる。しかし、よく読み込んでいくと細部にそうではないことが見えてくるのだ。

翻訳の作品には非常に珍しく、どうも原作者の意図と思われる日本人名が漢字で書かれる。最初にでてくる日本人が深作慧(ふかさくさと)という漢字を書く時点で、なんか普通じゃないぞという雰囲気が漂う。いくらなんでも作者の意図を無視して六浦賀(むつらが)なんていう漢字を使わないだろう。

また、序盤では「天ぷらバーガー」などと適当っぽい食事に関しても、卵かけご飯(ゆで卵だが)、「本式の伊勢うどんを出す店は少ない」とまで来ると、この人、日本マニアで日本大好きなのだなと思わざるを得ない。

1988年に電卓(携帯電話)だの、1948年に巨大ロボットだのと、ありえない設定がでてくるのも、本当じゃないんですよという意思表示なのだろう。『高い城の男』で易を使って意思決定をしていたこととも似ている。

ただ、上巻ではさほど盛り上がらなかったので☆は3つ。ようやく巨大ロボットらしきものがでてきたので、後半に期待。

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2022年11月30日

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"書店で見かけて、ジャケット買い。上巻を読み終わるも、本の世界に入りきれずにいる。
下巻を最後まで読むべきか・・・
とりあえず惰性で読み続けてみる。"

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2018年11月24日

Posted by ブクログ

もし、第二次世界大戦で日本が勝っていたら・・・、そんな歴史改変小説です。

日本がアメリカに勝つと言う内容の小説と言えば『高い城の男』が有名です。この作品は、21世紀版の『高い城の男』と言うのが触れ込みですが、どうなんでしょう?『高い城の男』は、重厚な厚みのある話だったと思いますが、これは、やっぱりファンタジーですよね。いろんな設定が、SF。

主人公?の石村も、良く分からんしね・・・?

下巻に期待・・・できるのかな。

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2017年09月09日

Posted by ブクログ

本書は、第二次世界大戦で日本とドイツの枢軸国が勝利した改変世界が舞台。アメリカ西海岸は「日本合衆国」として日本国の統治下にあるが、生き残ったアメリカ人は「ジョージ・ワシントン団」を結成し、度重なるテロ行為により、日本合衆国に打撃を与えていた。日本合衆国の大尉である石村紅功は、かつて自身の両親を日本国に対する反逆の疑いで告発した人物。ある日、彼のもとに架かってきた一本の電話。それはかつての上司、六浦賀(むつらが)将軍からであった…

本書はもちろん、フィリップ・K・ディック「高い城の男」の影響を受けており、「21世紀版『高い城の男』」として紹介までされているようですが…正直、誇大広告の印象は拭えないかと。また、装丁画を見る限り、ロボット同士が熱いバトルを繰り広げる!といった印象を受けてしまいますが、実際、ロボット同士のバトルなど、ほーんの少ししか描かれません。

物語は、石村が六浦賀を捜索する理由とその秘められた背景に焦点が当てられます。その過程で描かれる日本国は、いき過ぎたファシズムによる徹底した管理社会で、まるでディストピアのようです。しかし、日本国は必ずしも負の側面だけが描かれるのではなく、例えば、この国が目指す理想社会は(そこだけを切り取れば)決して悪いものではありません。また、そもそも日本国に蹂躙されたアメリカ社会自体にも差別主義の温床といった描写もあり、どちらの社会も良くは描かれておりません。こういった描写は、この改変世界と我々の現代社会を自然と対比させることとなり、少し考えさせられてしまいます。なんというか、このような手法はまさに「SF的」な感があって好きなのですが、さんざんひっぱってきた石村が六浦賀を捜索する理由が「え?それだけ?」といった内容だったり、登場人物の突然すぎる(そして無意味な)フェードアウトが気になってしまったりと、後半にいくにつれ、「うーん…」という思いが強くなってしまいました。ただ、最後の最後で明らかになる石村の背景は、これまで終始不透明であった石村の人物像をはっきりさせる所謂「ドンデン返し」的な要素もあって、結構好きだったり…

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2017年05月27日

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第二次世界大戦で日独が勝利した世界を舞台に繰り広げられるSF。
上巻はパシフィックリムのようなロボットの戦闘シーンは少なめだが、設定の説明にページが取られた印象。こういった類の小説は、設定が行きすぎてる方が楽しめる。
下巻も楽しみになる程度には魅力的。

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2017年01月03日

Posted by ブクログ

個人的には、思ったほど「高い城の男」感はなかった。むしろ「一九八四年」っぽさの方があった気がする。
あと、表紙から想像してしまうようなロボットバトル感はなかった。
上巻ではまだ、ようやく物語が動き出したところ、といった感じ。しかしこの世界の奇妙さは十分に味わえた。下巻につづく。

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2016年11月11日

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