作品一覧

  • ダイヤモンド・エイジ 上

    ダイヤモンド・エイジ

    小説・文芸

    3.1
    1~2巻924円 (税込)
    近未来、ナノテクの発達により、文明社会は大きく変貌していた。世界は国家ごとではなく、人種・宗教・主義・趣味などを共有する者の集まりからなる、多種多様な“国家都市”に細分化されている。上海の貴族フィンクル=マグロウ卿は、孫娘の教育用にナノテクの枠をきわめた初等読本の作製を依頼するが…ダイヤモンドをはじめ、すべてをナノテクで作りだせるようになった近未来を描く、ヒューゴー賞・ローカス賞受賞作。
  • クリプトノミコン1 チューリング

    クリプトノミコン

    小説・文芸

    4.0
    1~4巻968円 (税込)
    第二次大戦前夜、プリンストン大学に学ぶ青年ローレンスは、数学への興味を同じくする英国人留学生チューリングと出会う。やがて彼らは、戦争の帰趨を左右する暗号戦の最前線で戦うことに…それから半世紀、ローレンスの孫ランディもネット技術者として暗号に関わっていた。彼は大戦との因縁深いある策謀に巻きこまれていくが!?暗号をめぐり、二つの時代―第二次大戦中と現代で展開される情報戦を描く冒険SF大作。ローカス賞受賞。
  • スノウ・クラッシュ〔新版〕 上

    スノウ・クラッシュ〔新版〕

    小説・文芸

    3.6
    1~2巻1,188円 (税込)
    連邦政府が無力化し資本家によるフランチャイズ国家が国土を分割統治する一方、オンライン上に仮想世界「メタヴァース」が築かれた近未来のアメリカ。アヴァター技術を開発した凄腕ハッカーにして、マフィアが経営する高速デリバリーピザの〈配達人〉ヒロ・プロタゴニストはある日、メタヴァースで出会った男に「スノウ・クラッシュ」なる謎のドラッグを手渡されるが……。本書が未来を書き換え、SFは現実と接続された。
  • 七人のイヴ 上

    七人のイヴ

    小説・文芸

    4.3
    1~2巻1,606円 (税込)
    ある日突然月が七つに分裂した。その後の月のかけら同士の衝突によって、2年後には無数の隕石が地表に降りそそぐ〈ハード・レイン〉が起き人類は滅亡する。各国政府は。人類の遺伝情報のサンプルや文化遺産のデータを未来に残すため、国際宇宙ステーション(ISS)を核とした“箱舟計画(クラウド・アーク)”を立案した。計画遂行のため、宇宙で生き残る1500人を選抜するべく各国は苦渋の決断を迫られる。人類の未来を俯瞰する破滅パニックSF大作!

ユーザーレビュー

  • 七人のイヴ 上

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    「月が割れる」こんなぶっ飛んだ現象から物語がスタートする。
    破片が自らの重力でひと塊になり自転していることから「再び一つになることはないにしろ変わりはないのか?重力の釣り合いが変わってラグランジュ点が変わる?」などと(序盤の登場人物達と同じく)軽く思いながら読み進めた。

    物語出だしの設定は突飛だが、中身は完全なるハードSFだった。
    ハード・レインに向けて月の破片が分裂していく様子や月の核であった鉄を多く含む部分だけが割れにくいというような細かな部分までリアリティを持って考えられた設定や、現実には存在しない小惑星アマルテアを用意し、宇宙ステーションにドッキングしておくという、方舟がなんとか生き延びられるかどうかギリギリの設定も考えられているなと思った。
    物語の随所で描かれる宇宙空間での物体の運動の描写はどれも美しく、小惑星の軌道のような大きなものから、水の泡やチェーンの回転など手元で起こる現象まで、規模も内容も多彩で面白い。
    映像的な面白さだけでなく、科学の基礎知識も所々で差し挟まれる。登場人物目線やキャラクター同士の会話だったり、解説のように入っていたり、直後の場面で必要になる知識を不自然にならないように補完している。易しく簡潔に解説されている知識は、SFでおなじみのラグランジュ点や三体問題だったり、本書で最重要となる地球の衛星軌道での物体の移動(= 軌道力学)に関してだったり、「シミュレーションの結果(= 起こりそうなこと)とはどういうことか?」や「確率の解釈(:月を千回割ったことはない/割ることはできない)」のような日常生活でも触れる問題と同種のものだったりする。


    まだ平穏だった物語の最序盤、ISSの”バナナ“で会議をする際の様子が面白く、印象に残っている。
    慣性による擬似重力は様々なSF作品に出てくるが、その慣性重力発生機構が小規模であるがゆえに感覚として感じる鉛直方向がねじれて ”宇宙騙し絵“状態になっている描写は珍しく、「酔いそうだ」と思いながら現場の様子を面白く想像した。
    序盤は宇宙空間入門編のように宇宙ステーション内外の様子や無重力空間での物体の運動が物語に何度も挟まれる。どれも鮮明に描かれ、映像作品を見ているように感じ、ワクワクしながら物語に入っていった。

    「月が割れて落ちてくる」という始まりはぶっ飛んでいるが、その後の動きや影響に関してはリアルに、緻密に描かれている。情報の発表以降『株式市場が崩壊し事実上消滅した状態になっている』というのも本編の動きと直接関係ないとはいえ、地球上での経済構造が大きく変化していることを端的に表している。
    粗を見せないために地球上での場面を多くは描かず、宇宙空間にいて限られた情報しか入手できない登場人物達のやりとりで完結させているのは上手いと思った。描かれている地球上での場面も、世界を俯瞰しない人間ドラマとしているから、登場人物以上に情報収集ができない作りになっている。
    そして、「地球がどうなっているのか」を読者に感じさせない書きっぷりや不満を感じさせない適度な情報の提供具合も上手いと思った。

    人類が手を取り合って困難に立ち向かう話かと思いきや『世界は科学者やエンジニアが動かしているのではない』展開も加わってくる。200ページの手前くらいからは政治的な暗闘が匂わされる。
    全人類が同じ方向を向くには本書くらいのイカれた設定が必要だが、それでも「世界の破滅を前にしても人類は手を取り合えないのでは?」と思い始めていたところへ、この展開を打ち込んでくる。

    滅亡まで2年と予想され、時間が少しも無駄にできない貴重なものとなるが、物語内ではそれが惜しげもなく経過していく。節のタイトルに『第○日目』と書かれているが、大きく時間が飛ぶことがあり、ギョッとする。
    計画が回り始めて少し落ち着く第一部の中盤では、宇宙空間で人類が長期間生存するための問題点も描かれる。スカウトであるテクラの救出では無重力空間での外科手術、特に血の飛沫の問題を避けるために微小重力下のトーラスへと移動している。また、このシーンでは宇宙にいる人間が科学者、技術者に偏っているため経験豊富な外科医がいないことも暗に描かれている。
    そのしばらく後では、腎臓に対する恒久的なダメージの話こそないが、長期間の無重力、微小重力下で生活する弊害も描かれ出す。プライバシーのない閉鎖空間での精神的影響も話題に出始めている。

    本書の中盤(第一部では終盤)の、アークレットを初めてイズィに結合させる場面は緊迫感を上手く描けている。本書はリアルに描くがゆえに宇宙空間でのダイナミックな場面が無く、また、本書の設定にも慣れて読者が少しダレがちになるタイミングで、テクラの救出と併せて、息を飲む状況を差し挟む手腕は見事だと思った。
    アークレットのドッキングのように(突発的な事故ではなく)計画の中でありながら緊迫する場面を組み込んでくるのは良いなと思った。計画通りであっても初めてのことは何が起こるか分からない。それまででは考えられないほど短期間で設計され突貫工事で作られたものであるし、地上ではできない性能試験もある。そういった常識的に考えられる緊張感に加え、直前のテクラの事件で「事故で閉じ込められる/宇宙空間に放り出されることも起きうるぞ」と暗に意識をさせられ、ドキドキしながらページをめくり、無事に完了した際は登場人物と同じようにホッと一息ついた。
    この思い出深いアークレットの一号機だが、しばらくすると旧式化している描写がサラリとなされているのも良いと思った。


    第二部でも時間が大きくジャンプする。ドゥーブの『まだ一年残っている』から1ページで11ヵ月が飛ぶ。日付を見て「ウッ」となる。
    第一部では比較的平穏で日常生活を維持していたように見えた地球だが、ホワイト・スカイが間近に迫ると現実を突きつけられてパニックを起こしはじめている。
    予定通り物資が送られてこないかもしれないと危惧しているところでのスペース・トロールとの接触はゾクゾクする。『地球上ではない』場所にいると称する正体不明の人物からの型破りな信号と、それが『トロール』ではあり得ない情報を持っていることが分かったときの鳥肌、ドゥーブが参加しての謎解きとショーンのイミールが氷の塊を連れて帰還するという期待と政治問題になる不安が高まるというてんこ盛りの展開を、モールス信号という情報量の少ないもどかしい方法でお預けをくらいながら見守る。

    肝心のショーンとのやりとりは核攻撃によって場面が切り替わり中断する。
    核の使用は予想できる事態だったが「遂にか・・。」という落胆があった。世界の最後が迫って現実感から逃れられなくなった人間が出てきたか。という感じ。

    その後は中休み的に新しいメンバーが加わり、拡張されて様変わりしたイズィの中を見て回ることになる。
    このあたりでのSF的な表現で気に入っているのは、受精卵の冷凍保管庫に冷気が“しみ込んでくる”という表現や施設内での方位に““が付いていて「便宜上そう読んでいるだけだ」と思い起こされるのも良い。


    400ページを超えたあたりからまた時間の感覚が狂わされる。
    と言っても狂うのは物語内の時間ではなく、ホワイト・スカイまでのタイムリミット。これが一気に、そして悪い方へ傾いていく。読んでいて緊張感が高まるも、登場人物らと同じくどうすることもできず、彼らの日常を眺めながらその時を待つしかない。地上からの支援が絶えた後の体制がようやく稼働し始め、”その時”に備えて心構えを持とうとしている矢先に物語が先手を打ってくる。憎らしいが優れた展開だと思った。
    そこからは計画が前倒しされて最終段階に移行し、クラウド・アークも独り立ちの準備を急ピッチで進める。
    数日の後、ハード・レインが始まり世界が崩壊していく。登場人物達が最後のやりとりをする姿が哀しい。
    ここではたっぷりと時間を使って、地上と宇宙の視点を切り替えながら人類の最期を精巧に描いている。この部分も映像的で、自分も物語に入り込んで「自分はハード・レインを見るのだろうか、その前に家族と安楽死薬を使うのだろうか」と思う。

    これ以降地球は『オールド・アース』と呼ばれるようにになる。

    本書終盤(第二部としては中盤)では物語の中にいくつも別の物語がある感覚だった。イズィでの生活の他に、ショーン・プロブストの冒険でも中〜短編が書けそう。ニュー・ケアードでの探検も短編にできると思った。
    イミールへニュー・ケアードが近づいているときは急に場面が変わり、全乗員が気絶しているというヒヤリとする光景から再開する。
    大きな山場であるイミールヘのランデブーでは物語にアイディアとワクワクが散りばめられている。
    乗員が死に絶えた後でもドッキングポートの位置を知らせるロボット名、ロボットを使ってイミールヘと“錨をおろす”、宇宙服での穴掘り、ドッキングから放射能汚染の可能性のある幽霊船の内部探索へ。といった具合だ。
    幽霊の代わりに放射線に脅かされながら、イミールの司令船を掌握し、残されたログからショーンらに起きたことの種明かしがなされる。そこからは短い探検ホラー譚から従来のサバイバルへと物語が戻っていく。
    「読者の想像にまかせ語られることがないのではないか」と思っていたショーンらの奮闘が知れたのは良かった。サラリと語られるこの物語も、片道切符での彗星への出発、予想外のトラブルでの生存状況の悪化、彗星から破片の切り出しとその際に起きる“汚れた雪玉”問題、流星塵よる燃料棒へのダメージとその破損による乗員の死亡、後継を託す最後の通信とSFのワクワクが詰まっていた。

    最終盤は冒険やサバイバルとは反対側に振れて政治の話で時間へ続いていく。発見時から救うべきではないと思っていたJBFが暗躍する。アーキーを丸め込んで“オールド・アース流”とも言うべき権力闘争を始めようとしている。

    0
    2024年08月26日
  • スノウ・クラッシュ〔新版〕 下

    Posted by ブクログ

    上巻の最後の方から、話題が古代文明(シュメール)に及びます(ネタバレになりますので深くは書きません)。そして世界を揺るがす大きな謀略が進みつつあることを主人公が知り、他の登場人物と助け合いながらエンディングを迎える、というあらすじですが、実は本書のキートピックの一つが「ウイルス」であるということに深い感銘を受けました。

    本書は「メタヴァース」ばかりが脚光を浴びますが、実はウイルスには生物学的なもの(新型コロナなど)、コンピュータプログラムに影響を及ぼすもの、そして言語的・思想的なものがある、ということが語られているわけです。その意味ではコロナ禍の今、カミュの「ペスト」に並ぶウイルス本という位置づけが本書に与えられてもよいのではないかと思いました。本書を読んで「ウイルスとは何か」を深く考えさせられました。

    0
    2023年05月08日
  • スノウ・クラッシュ〔新版〕 上

    Posted by ブクログ

    2021年フェイスブックが社名をメタに変更し、世界的に「メタヴァース」という言葉の関心が広まるなか、メタヴァースという言葉が作られた伝説的SF作品を読んでみました。下巻まで読んでからの感想になりますが、理屈抜きで面白かったです。最初の方は本書の世界観になじむのに時間がかかりましたが、上巻の真ん中位からはすらすらと読めるようになります。

    ネタバレになりますのであまり書きませんが、本書の舞台は未来の米国で、そこでは連邦政府の力が完全に弱体化し、かわりに「フランチャイズ疑似国家」が乱立しています。そこでの主人公、ヒロ・プロタゴニスト(まさに主人公!)はメタヴァースを作ったハッカーの1人であり日本刀の達人であり、ピザの宅配屋である、というなんともハチャメチャな設定ではあります。そして徐々に世界を揺るがす大きな話に展開していくということで、あっという間に読めるのですが、この世界観に馴染めないと、後半以降固有名詞の意味がなんだかさっぱりわからず意味不明になるリスクもあるといえます。理屈抜きで私は楽しめました。

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    2023年05月08日
  • スノウ・クラッシュ〔新版〕 下

    Posted by ブクログ

    まさに今話題になっているテックが満載。
    GPT3もいるじゃない!!
    この想像力。
    それに増して、クライマックスの大活劇!
    そりゃみんな読むよね。

    0
    2023年02月22日
  • スノウ・クラッシュ〔新版〕 下

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    メタヴァースの概念を生み出したとも言われる作品。サイバーパンクの世界で連邦として崩壊したアメリカ、その残り少ない最先端は高速ピザ配達、なんて言うつかみから始まり、現在と遜色ないメタヴァースの描写に加えバベルやシュメール文明まで出てきて興奮が止まりませんでした。ひとまず今日は30分以内で届くピザを探してネットの海を泳ごうと思います。

    0
    2023年04月01日

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