【感想・ネタバレ】スノウ・クラッシュ〔新版〕 上のレビュー

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Posted by ブクログ

2021年フェイスブックが社名をメタに変更し、世界的に「メタヴァース」という言葉の関心が広まるなか、メタヴァースという言葉が作られた伝説的SF作品を読んでみました。下巻まで読んでからの感想になりますが、理屈抜きで面白かったです。最初の方は本書の世界観になじむのに時間がかかりましたが、上巻の真ん中位からはすらすらと読めるようになります。

ネタバレになりますのであまり書きませんが、本書の舞台は未来の米国で、そこでは連邦政府の力が完全に弱体化し、かわりに「フランチャイズ疑似国家」が乱立しています。そこでの主人公、ヒロ・プロタゴニスト(まさに主人公!)はメタヴァースを作ったハッカーの1人であり日本刀の達人であり、ピザの宅配屋である、というなんともハチャメチャな設定ではあります。そして徐々に世界を揺るがす大きな話に展開していくということで、あっという間に読めるのですが、この世界観に馴染めないと、後半以降固有名詞の意味がなんだかさっぱりわからず意味不明になるリスクもあるといえます。理屈抜きで私は楽しめました。

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2023年05月08日

Posted by ブクログ

本書は1992年に書かれたもので、舞台となる時代設定ははっきりわからないが、主人公の親父が第二次大戦帰りであることや、マフィアのドンがベトナム戦争経験者であることなどから、だいたい2000年代くらいのイメージか。
アメリカは国家としての力をなくし、無数のフランチャイズと呼ばれる勢力がそれぞれ独立して地域を自治している。主人公のヒロはマフィアの経営するピザ屋の配達人で、配達が遅れれば実質的に死が待っている状況で配達していたが、ヒロインのY•Tという特急便屋にプーン(特急便屋はスケートボードに乗って移動体にワイヤーをくっつけて移動する)されてミスをし、配達人をやめる(ピザは気まぐれなY•Tが配達してくれて命は失わなかった)。この時代には、いわゆるメタヴァースとしての「ストリート」というサイバー空間が存在しており、ヒロはその初期開発者で、ブラックサンという高度にコーディングされたコミュニティ空間を開発した凄腕のハッカーであるとともにストリート最強の剣士でもある。
ある時、ヒロとともにブラックサンを開発したDa5idの下にあるデータの入ったカードが渡され、それを開いたDa5idはアヴァターがクラッシュするだけでなく、リアル世界でも昏睡状態に陥ってしまう。それはスノウクラッシュと呼ばれ、ただのコンピュータウイルスではない。
ヒロの元パートナーであるジャニータはある確信の下、その鍵を探りに「ラフト」に行く。
Y•Tはマフィアのボスであるアンクル•エンゾと懇意になり、ヒロもまた、スノウクラッシュの謎を解くため、古代のシュメール人の文化に鍵があることに迫る。

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2023年08月30日

Posted by ブクログ

非常に思想的、思索的なSFだったなぁ、という印象。
「宗教」や「信仰」について、偏見なく思考できる方は、非常に興味深い読書体験になること間違いない。

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2023年05月30日

Posted by ブクログ

メタヴァースという言葉が最初に使われた作品らしい。
現実世界と仮想空間共に同じような臨場感で物語が進む。段々どっちなのかわからなくなり、既にどっちでも良くなってきた。
さぁ、下巻に進もう!

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2023年02月15日

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序盤、エンジンがかかるまでに時間がかかった。英語の略称が読みづらい。1992年のSF作品だが、この描かれた未来に今も向かっている感じから描写はイメージしやすい。映像化は噂はあるけどまだかな?
レイヴンのぶっ飛び方が好き。”パワー”ですべてを凌駕する感じ。

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2022年07月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この小説が1992年に書かれたとは思えない!
今書かれた本と言われても全く違和感がない。。。
言葉とか、世界観がちょっと難しく、読み進めるのが難しかったが、メタヴァースの世界と現実の世界を行ったり来たりしながら進む、ハラハラしてしまった。

個人的には、ヒロとライブラリアンとの、シュメール人や、バビロンの話がおもしろかった。

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2022年07月15日

Posted by ブクログ

ニール・スティーヴンスン著、日暮雅道訳『スノウ・クラッシュ 新版 上下』(早川書房、2022年)は連邦政府が無力化し、メタヴァースが普及した未来のアメリカ合衆国を描いたSF作品。メタヴァースの世界にもスノウ・クラッシュというドラッグが蔓延するディストピアを描く。

主人公はヒロアキという名前であり、刀や忍者という言葉が出るなど日本を意識している。但し、ヒロアキはアメリカ人と韓国人の息子である(上巻44頁)。人間としての存在感は韓国人の方がアメリカ社会では強いのかもしれない。

また、日本を意識していると言っても称賛だけではなく、駄目なところを揶揄している。日本型の管理ではYシャツを着て、朝八時に出社し、しょっちゅう会議に出なければならない(上巻77頁)。昭和の日本の働き方の問題は2020年代にも通じる。

世紀末的なアナーキーさのある世界であるが、ピザ配達人のためにピザ大学で職業教育が行われている(上巻11頁)。四年制の大学である。連邦は崩壊しても産業に必要な教育はしっかりしている。公務員感覚では民間企業に任せられた世界と言えばメチャクチャになると考えがちである。実際、不利益事実を隠しただまし売りなどが横行するならば悲惨である。しかし、フェアな市場原理を持った民間感覚に立脚した世界は、公務員主導の社会よりも素晴らしい世界になるだろう。

連邦政府は解体され、連邦府に縮小している。連邦の解体がディストピアではなく、連邦の存在がディストピアである。連邦を中央集権的な支配の元凶と見ることはアメリカ的な自由主義の伝統に沿っている。連邦府はブラック企業に描かれる。職員には忠誠心を要求し、嘘発見器にかける。女性職員には雑巾のような安物のストッキングを支給する(上巻191頁)。連邦府の職員は忠誠心に固執している。民間ビジネスならば顧客に価値を提供することに意味がある。それがないから組織内の忠誠という歪んだ形になる(上巻330頁)。

公務員的な公共性が解体され、民間企業が支配することが必ずしも悪いことではない。その一つとしてチェーン店が落ち着く場所として描かれる。「マクドナルドに入れば誰もじろじろ見たりはしない。注文はメニューを見ずにできるし、出てくるものはつねに同じ味だ。マクドナルドは家庭である」(上巻357頁)。

メタヴァースの中でアバターは出現場所の制約がある。好きな場所に移動することはできない。プログラミングではGOTO文があり、好きな場所にジャンプすることは可能である。現実の物理環境と同じように移動させることはデジタル世界の特性を考えると、わざわざ不便にしているように感じられる。そのような点を現実に合わせることに意味があるだろうか。

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2022年05月12日

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当時としては斬新な舞台設定、新たな概念(メタバース世界)の提示があったので歴史的には記念碑的作品の一つ。なのだが、今の時代に読むとメタバース世界があまりに凡庸の設定(当作品が元祖なのだが、今やありふれすぎる設定になっている)に思えてしまってワクワクが乏しい。古典を読むつもりで読まないとやってられない。半分あたりで中断してしまっている。
1992年の作品ということで、、当時としてはとてつもなく革新的な世界観を提示したと思うし、後の世の現実世界にも影響を及ぼしたのだとは思う。
アニメなどでありがちな異世界系の創始でもあるのでは?

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2023年10月12日

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メタヴァースという言葉を最初に用いたSF。
スノウ・クラッシュは上巻で出てくるものの、その用途・目的が下巻をかなり読み進めないと出てこない。だいぶ遠回りしている感が否めなかったのと、独自の固有名詞が多いのでSF読み慣れていないと辛い。

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2023年06月27日

Posted by ブクログ

バーチャルの世界にハマっている自分の目から見て、なんでもかんでもメタバースの一言で括られるのは抵抗があるな、という思いから、そもそもメタバースってどっから出てきたんだ、という理由でたどり着いた一冊。
一時期SF小説に挑戦してた時期があったけど、自分はつくづくSF小説を楽しむだけの素養が無いなとあらためて思い知らされてしまった。登場人物の感情の機微がどうこう、って話よりも世界の話とか社会の話とか、もっとマクロな視点がSF小説の魅力ポイントなんだろうけど、そこに興味が持てないせいで楽しみが見出せず、よく分からない単語が次から次へと飛びかかってくるように感じてしまう。文章だけど理系の世界というか。なので、雰囲気をそれとなく楽しみながらこのまま下巻に突入します。

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2023年05月04日

Posted by ブクログ

今となっては馴染の用語となっている「メタヴァース(=仮想の三次元空間)」、「アバター(=仮想空間におけるユーザーの分身)」を確立したSF作品。ハヤカワ文庫で新版として復刊されたので、これを機に手に取ってみた。

舞台は、連邦政府が力を失い、資本家たちによって国土が分割統治され、オンライン上では仮想世界「メタヴァース」が築かれた近未来のアメリカ。主人公は、凄腕のハッカーで高速ピザ配達人(この世界では専門学校も存在する専門性の高い職業。)であるヒロ・プロタゴニスト。
ある日、ヒロはメタヴァース内で謎の男から「スノウ・クラッシュ」というドラッグを勧められる。男の異様な雰囲気に警戒した彼はそれを使用しなかった一方、「スノウ・クラッシュ」を使用したハッカー仲間であるDa5idは、意識不明の状態に陥る。ヒロはDa5idを廃人にした犯人、そして「スノウ・クラッシュ」の謎を追う―――。

現実世界と仮想世界を舞台にしたサイバーパンク。世界観や(特に)用語が独特なので、テキストを読み込めないと読み進めるのがなかなかに苦しい内容で、部類としてはハードSF。一方で、走行する車両にワイヤーを繋いでスケボーで高速移動する<特急便屋>の少女Y・Tや、日本刀を武器に立ち回るヒロなど、頭の中で映像化するとワクワクできるアクションシーンもあり、直感的にも楽しめる内容にもなっている。

「スノウ・クラッシュ」の正体とは、"ウィルス"と"宗教"との関係性とは―――。(下巻に続く)

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2022年12月29日

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昨今話題の「メタヴァース」なる単語を世に生み出した「スノウ・クラッシュ」。シリコンバレーのメガベンチャーCEOらの愛読書とのこと。無国籍感や退廃的ムードなど大昔に流行ったサイバーパンクの流れを汲んだ小説で、設定のユニークさや独自の用語が光る。小説の出来としてはどうかというと30年前のSF小説なのでそこは目を瞑って読む必要あり。

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2022年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ここまでさっぱり訳の分からない小説をとにかく読み切った自分がエラい。疲れた。
サイバーパンクSFとポストサイバーパンクSFって何が違うのだろう。
ウィルス、言語もしくはバベル、宗教、このアイデアはなるほど、と思ったけど。

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2022年09月19日

Posted by ブクログ

バスワードである「メタバース」が初めて描かれたというSF小説。フランチャイズ化された国家と仮想世界であるメタバースを同時に生きる主人公ヒロとY•Tが、謎のドラッグ「スノウ•クラッシュ」にまつわる真実を追う話。読みづらさもあるせいか、物語が軌道に乗るまで若干時間がかかる。

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2022年05月24日

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