【感想・ネタバレ】スノウ・クラッシュ〔新版〕 下のレビュー

あらすじ

スノウ・クラッシュを使用したアヴァターは制御不能となり、現実世界の実体までもが意識不明に陥る――〈特急便屋〉の少女Y・Tとともにこの怪事件の調査に乗り出すヒロ。アメリカとメタヴァースを駆けめぐり、ライブラリアンAIの導きで自意識や言語の発生源へと古代シュメール史を遡行する大活劇の果て、明らかになる人類の陥穽とは?Google、PayPal、Metaの創業者たちに霊感を与え続けるヴィジョン。

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Posted by ブクログ

上巻の最後の方から、話題が古代文明(シュメール)に及びます(ネタバレになりますので深くは書きません)。そして世界を揺るがす大きな謀略が進みつつあることを主人公が知り、他の登場人物と助け合いながらエンディングを迎える、というあらすじですが、実は本書のキートピックの一つが「ウイルス」であるということに深い感銘を受けました。

本書は「メタヴァース」ばかりが脚光を浴びますが、実はウイルスには生物学的なもの(新型コロナなど)、コンピュータプログラムに影響を及ぼすもの、そして言語的・思想的なものがある、ということが語られているわけです。その意味ではコロナ禍の今、カミュの「ペスト」に並ぶウイルス本という位置づけが本書に与えられてもよいのではないかと思いました。本書を読んで「ウイルスとは何か」を深く考えさせられました。

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2023年05月08日

Posted by ブクログ

まさに今話題になっているテックが満載。
GPT3もいるじゃない!!
この想像力。
それに増して、クライマックスの大活劇!
そりゃみんな読むよね。

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2023年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

メタヴァースの概念を生み出したとも言われる作品。サイバーパンクの世界で連邦として崩壊したアメリカ、その残り少ない最先端は高速ピザ配達、なんて言うつかみから始まり、現在と遜色ないメタヴァースの描写に加えバベルやシュメール文明まで出てきて興奮が止まりませんでした。ひとまず今日は30分以内で届くピザを探してネットの海を泳ごうと思います。

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2023年04月01日

Posted by ブクログ

本書では言語がそのツールとして重きを置かれておりましたが、世界はいかにしてハック可能か、またいかにしてハックされていくのか、ということを四六時中考えさせられるようになる作品でした。
そして今現在覇権を握っているテック企業のリーダーたちの多くが本書や著者からの影響を公言しているのを見るに、SF小説というものも言語として世界をハックするに足る情報を内包していることの証明でもあるかと思います。
ストーリーがカタルシスに欠ける感が否めなかったため、星5ならず。

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2025年05月04日

Posted by ブクログ

上下巻読み終えました。
メタヴァースという言葉を生み出したという、すごい
影響力のある本という認識で興味が湧いて。

まず、全体の疾走感はすごいです。
ビュンビュン走る感じ。
メタヴァースがほんとに今ほど認知されてなかったの?
って思うくらい、今としてはリアリティありです
逆に、SFの世界に現実が
近づいていることに驚きます。

次に、言葉、ウイルス
その捉え方に
メタヴァースより、それのほうが衝撃というか。
そうかもな、いやきっとそうかもと思わせられる。

ただし、、、
その部分に関しては、結構理解しづらく、
正直100%わかってません。
が、だいたいの流れがわかる、
(新訳で読み、旧訳は読んでませんが、)
訳や、ところどころの注釈は
まだ読みやすくしてもらいました。
そして、つまり、っとまとめてくれる
一文がところどころはいることで、
なんとか最後まで手放すことなく
乗り切れたところもあります。

疾走感は、上下巻通しても充分味わえたので
とりあえず、もはやSFなら読んでおきたい
みたいな本を楽しんでよめてよかったー!

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2024年04月21日

Posted by ブクログ

古代シュメール人は、ミーと呼ばれる神経言語学的なプログラムによってパンを焼き家を建てていた。それは、脳のうち現在の言語を理解する部分のさらに深層の基盤に作用する人間の脳のためのプログラムであり、要するにそれがスノウクラッシュであった。
古代に、エンキという初めて意識を持つ人間が現れ、ミーではなく自由意思と理性を実装させる新たな神経言語を開発し、人間達は共通のプログラムではなく意思を持った宗教をいただくようになった。
しかし、人間の脳の構造が変わったわけではなく、古代のミーは密かに語り継がれ、そしてヒロの時代に、これを拡散させて人類を支配しようと考えた者が現れた。L•ボブ•ライフである。その一味にはアウレト人のレイヴンもいた。彼らはストリートとリアル世界の両方で、ミーを拡散しようとした。リアル世界では薬物に混ぜて、ストリートではバイナリ言語を理解するハッカー達に向けてバイナリ記号を読ませる形で、これを成し遂げようとするが、ヒロとY•Tとジャニータの連携によって、リアル世界ではミーに犯された者達にエンキの言語を聞かせることによって、ストリートではバイナリ言語の爆発寸前にバーチャル爆弾のコードを書き換えることによってこれを阻止する。

インターネットの本格普及前にここまでメタヴァースの概念とモデルをリアルに描けたことに素直に驚いた。
もっというと、メタヴァースは2023年の人間は実現イメージができているが、この物語のもう一つの(メタヴァースよりもメインの)テーマであるウイルスについて、脳の基盤に影響する神経言語学的ウイルスという発想は、まさにSFならではの発想で、これまで考えたこともなかった発想であった。エンキ以前の社会を共通言語による人格のない社会として描き、ここから多様な言語と自由意思を持つ社会へと移行した様を、バベルの物語として描くあたり、秀逸であった。

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2023年08月30日

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上巻冒頭の「高速ピザ配達」という心湧き踊らない設定から一転、話は”スノウ・クラッシュ”からシュメール文明の”メ”というある種のウイルス、第二次世界大戦末期の歴史的経緯、それらがリアルとメタヴァーズを相互に行き来しながら壮大に展開していく。Y.Tとレイヴンの性的かつ野性的なやり取りも艶っぽくて妙に哲学っぽく面白い。
Meta社の”メタヴァーズ”から再脚光を浴びた作品であるが、新型コロナを経て一気に進展したデジタル時代と新権威主義の台頭の今だからこそ興味深く読める。ネオサイバーパンクの古典的名作としてSF好きの方はぜひ一度読んでみてもらいたい。

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2022年12月31日

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ゲーム「ボーダーランズ」がプレイしたくなった。ヒャッハー!な感じ。
「権力は衰退する(国家が実権を失い、企業やマフィアが治外法権を得る)」「進化論(不完全だからこそ変化し生き延びる)」「デジタル社会の行く末」など、勉強になるものも多い。
15歳の少女でも「自分の力で生きる」とこれくらいたくましくなるのかな。

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2022年08月13日

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1992年に書かれたにもかかわらず、今読んでも色褪せないSF。メタバースと現実世界の行き来や、国家ではなくフランチャイズが影響を持つ世界観、コードで動く世界、ウイルスとそれらがコントロールするレイヤーの設計などが秀逸。

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2022年07月15日

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今をときめく「メタヴァース」の語源となっている概念が登場した作品。
宗教とプログラミング、物理的なウイルスとコンピュータウイルス、自然言語とプログラミング言語の関連とサイバーパンクをかけ合わせて、単なるサイバーパンクでは終わらない作品だった。
「俺たちだけが世界を変えられる/正しく認識できるんだ」というギークの選民思想的なところを刺激してくれる感覚はありそう。
めっちゃつよい兵器に普通の家電っぽいドキュメントが付いてるのが好き。

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2022年02月13日

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自然言語と人工言語、宗教に関する部分が特に好きだった。

VR空間と現実世界の描写がいったりきたりするので、集中して読まないとすぐ置いていかれそうになるのが大変だった。

物語全体の構成としてはそこまで難しくはないけども、1つ1つを構成するパーツが難解であり読み応えがある。いろんな作品に影響は与えてるだろうなぁとは感じた。

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2024年12月14日

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ネタバレ

宗教&言語ウィルスのパートは難解だった。結局のところよく分からず、煙に巻かれた感じはある。
終盤の派手な戦闘アクションはもし映像化したら面白そうではあるが、主人公ヒロがその後どうなったのかははっきり描かれないのでモヤモヤが残る。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「メタバース」という言葉を作った本ということで。

30年前にこんな世界を、という感想をよく見るが、まあ確かにそうなんだが、半世紀生きている人間からすると、30年前にはネットはあったしな、と思う。日本ではまだまだパソコン通信全盛時代でインターネット普及はしていなかったが、すでに存在はしこれから広がっていくだろう、という情報はあった。ハイパーメディアクリエイターという肩書きの某人が某大学でそう話していた。

仮想空間はルーカスフィルム社のHabitatというものがあったことを考えると、仮想空間のアイデア自体はそんなに驚くものではないと個人的には考える。ただ、それを洗練させ普及させた功績は大きいと思う。それにより構築する世界の具体的イメージが共有され、実現の手助けになったのは確かだと思う。

上巻★4なのは。
基本的的な世界観は好み。
サイバーパンクな登場人物や情景、完成された仮想空間描写、連邦府のディストピア感、近未来な世界情勢図(主人公の誕生年から考えると、おそらく西暦2000年くらいだ。どこかで明記されていたらすみません)、現実世界に影響を与えるバーチャル空間のドラッグ、物語のスピード感、各要素が好みなだけではなく、その盛りだくさんの各要素が矛盾や諍いを起こさず作品を構築している。素晴らしい。

下巻★3なのは。
まずは、舞台や要素は間違いなくサイエンス・フィクションなのだが、バトル・シーン、シュメール神話のくだりなど、よく描かれているとは思うのだが、自分的にはやや長い。加えてレイヴンとY・Tのラブシーンは要らない。眠らせる理由付けが必要だったのかもしれないけれど。
一番は、スノウ・クラッシュがなんとなく霞んでしまったように感じたこと。スノウ・クラッシュとは何なのか? の回答は良いと思うのだが、何だろう、存在感が薄れてしまって、勿体無い気がしてしまう。ジャニータが利用しているんだけど、最後が現実世界だったからかな。
一方で、さまざまな要素をしっかりと描いている点、にも関わらず世界を破綻させていない点などは作者の力量の為せる技なのだと思うし、作品全体のクオリティを上げる要因となっているのだと思う。

細かいところだが。
レイヴンが恋に落ちるY・Tが15歳というのが少し気になる。
ロリコンか。

解説にあったDa5idの考察。
5はローマ数字のVなので、Da5idはDavidであると。なるほどなー。
こういう細かな仕掛けは色々とあるような気がする。気づくとこの作品へのリスペクトは深まりそうだ。

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2024年05月06日

Posted by ブクログ

この小説が発売されたのが、1992年というのを考えると、すごい小説だと思います。想像された未来に、かなり現実が近づいてます。Da5idとBIOSの下りは読んでいて思った感想が訳者の方も思っていたようで、後書きに書かれていました。

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2024年04月06日

Posted by ブクログ

上巻に続いてなんとか読み終わりました。読んだというよりはもう流し見みたいになっちゃって、話の流れや今起きていることをしっかり理解することを放棄して、ひたすら文字の上に目を滑らせるだけみたいになってしまった…。
もっと若い頃に出会ってたら、ひとつひとつの単語の意味にしがみついてでも「読んでやる!」って意地になれたのかもしれないけど、その根気を出せなくて申し訳ない気持ちもありつつ。やっぱりSF小説を楽しむ素養が決定的に欠けてるなと

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2023年05月18日

Posted by ブクログ

下巻ではヒロとY.Tの”スノウクラッシュ”をとりまくキーパーソンらに近づいていく中で色々と大きな動きが起きる。上巻と同様に、非常に細かな設定や神話的な専門知識が多く後半は流し読みしてしまった。ただ、現実世界における言語ウイルスとメタバースにおけるコードウイルスが併存しているのは面白かった。

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2022年06月21日

Posted by ブクログ

2022-03-01
20年振りの再読。思った以上に忘れてた。
上巻の半分くらいまでは、固有名詞や造語の奔流で、ちょっと置いてけぼりになりそうになったが、物語が動き出してからはもうノンストップ。メタヴァースのビジョンや、言語/ウィルス/ドラッグ/宗教 のカオスな爆発は、それこそ酩酊感をもたらしてくれる。
けどちょい謎なのがレイブンの最後。あれ、核弾頭はどうなったんだ?
そして犬好きにはせつなくもたまらない。ファイドー!

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2022年03月02日

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