あらすじ
2030年、地球軌道上のラグランジュ・ポイントでは、ヘリウム3輸送機をめぐる激しい攻防戦が繰り広げられていた。タイのリゾートホテルの一室から、高性能ラップトップ・コンピュータを駆使して海賊衛星を操り、輸送機強奪をもくろむ天才ハッカーのデビッド。一方、米国空軍大尉エリザベスは、対海賊用の新兵装を搭載した衛星で勝負を挑む! だがこの戦いは巨大な陰謀の序章にすぎなかった。迫真の近未来テクノ・スリラー!
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Posted by ブクログ
宇宙海賊キャプテンブラック参上。狙うは月から輸送されてくるヘリウム3!(ただし、高級リゾートホテルのスイートルームが仕事場)
原題の「コルセア」というのがとても良い。ダブルミーニングでとても良い。そして、黒幕の狙いも良い。ただし、供給が無くなった場合、先物の扱いはどうなるのだろう?と言う疑問はある(現物を買い占めた上で供給を絶つというのは二重三重の罠で良いと思うが)軌道上の管轄について、実働戦力の保有を断念した軍が法執行機関(FBI)に責任をぶん投げるというのは、もの凄いパラドックスだが、確かに筋は通っている。(相手が他国の政府機関では無いし)将来的には、軌道上のみを管轄とする、『軌道保安庁』的な法執行機関(準軍事組織)ができるのかもしれない。エピローグで示唆された『軌道私掠船時代』の先の話として・・・(それはまた別の別のお話
Posted by ブクログ
難しかったけど、人生初めてのSFでした。読み終えることができて良かった。次は『火星の人』かな(笑)
科学的な言葉が次から次へと出てくるので、僕のような理系がとてつもなく苦手な人間には、いい経験になる(笑)
Posted by ブクログ
なんというストレートな宇宙海賊冒険小説小説なのだろうか。古典SFを読んでいるかのようだ。今、本作品を面白く読めるのは、今だからこそ素直に楽しめる作品が求められているからかもしれない。少なくとも自分は求めていたのだろう。SFの入門にはもってこいだ。
本作品の面白さは、主人公が海賊だということ。犯罪者である主人公を応援したくなるのは、ルパン三世が人を惹き付けるように、強烈で魅力的なキャラがあってこそである。本作品のデビッドは、ハッキングで衛星を乗っ取ったり、コンピュータネットワークで痕跡を残さずに行動するなど、頭が良さそうである一方、行動の大胆さはマッチョを想像させる。海賊なので犯罪者ではあるが、スーパーマンのような存在だ。そして最終的なミッションは、復讐劇でありながら、昔の知り合いの彼氏の命を助けるために骨をおる。なかなかいいやつじゃないか。こんな感じで魅力的なキャラが暴れるのは爽快だ。
そういえば、何となく宇宙を舞台にした作品のように思うが、主人公はずっと地球にいるんだよなあ。それでも宇宙を感じさせるのは、作者の筆力によるものだろう。テンポよくすらすらと読めてしまうのは、訳者が素晴らしい仕事をしたのだと思う。
欠点を挙げるなら、巻末の解説かな。本編が軽いノリなので合わせたのかもしれないが、小飼弾氏の解説は正直なところ何も解説していない。解説がない方が、楽しい冒険を体験した爽快な読後感を素直に味わえたと思う。