【感想・ネタバレ】反転領域のレビュー

あらすじ

時は19世紀。イギリス人外科医師サイラス・コードが乗船する小型帆船デメテル号は、ノルウェー沿岸の極地探検にむかっていた。北緯68度線付近にある目的地のフィヨルドには、古代に建造されたとおぼしき未知の大建築物が存在するのだという。さまざまな苦難を経て、ようやく現地に到達したサイラスたち探検隊一行は、先着したライバル船のたどった運命を知る。そして目的の建築物を発見したとき、予想もしなかった事態が起こる……星雲賞作家が放つ、読者の予測を鮮やかに反転させる、超絶展開の傑作SF! ローカス賞、ドラゴン賞候補作。/解説=渡邊利道

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Posted by ブクログ

★5 ラストの感動は理屈じゃない! 海洋冒険小説と思いきや想像のナナメ上を行く衝撃SF #反転領域

■あらすじ
小型帆船の船医であるサイラスが乗船するデメテル号は、ノルウェーの沿岸部を航行していた。彼は航海に疲労しながらも、船員たちの怪我を治癒していた。さらに彼は趣味で小説を書き、娯楽のない船員たちの海上生活に好評であった。

船員たちはフィヨルドの裂け目を見つけると、目的地である大建築物を発見。しかし同時にこの情報をもたらした船、エウロパ号も残骸となって発見されてしまう。そんな中、強い波の揺れに襲われたサイラスは…

■きっと読みたくなるレビュー
★5 評判を聞いてた作品、予想通りおもろかったー

SFなのに海洋冒険小説ですか? しっかりと読ませるな~と思いながらストーリーを楽しんでると、第一幕が終わるあたりで衝撃の一文が目に飛び込んでくる。 はぁああぁ?

これからどんな展開になるんだろう?と思ってると、意外や意外、舞台は微妙に変化しつつも冒険小説の体は変わらないのです。その後も丁寧な筆致で読ませてくれる冒険譚なんですが、やっぱり奇妙な変化が起こり… といった物語です。

冒険小説ではキャラクターの繋がりが重要ですよね、本作でも例外ではありません。

まず語り手であるサイラスとラモス大佐や船員モートロックとのやり取りが地味に熱いんすよね~ いきなり大手術シーンから始まり、緊張感があるんですよ。ただし船員それぞれ優先事項があるってのも興味深く、もうこれだけで面白い。

そして何と言っても気になる女性、エイダですよ。サイラスを覚醒させるようなセリフを投げかける謎のキャラ。なんとなく想像するに見た目は勝ち気な美人、どんなことでもクールに知的にこなしていくって感じ。

彼女とのからみは、序盤は何のことかさっぱりわからないんだけど、終盤になると激アツなんですよねー! まぁ最後まで意味はよくわかんないんだけど…、この情熱的な関係性を読んでると、体の中から元気が湧き出てくるんすよね。本作一番の読みどころです。

そして物語が進行するうち、ストーリーの枠組みが明確になってきます。序盤で想像していた舞台からは100倍くらい飛躍することになるんですが、実は描かれているのは同じで「人間ドラマ」なんです。

人と直接的な繋がりが希薄になったと言われている現代、これからもさらに進むことになるでしょう。しかし最後の一章があまりに胸をうつんです。感動ってのは理屈じゃないですね、私はひたすら涙が止まりませんでした。

■ぜっさん推しポイント
普段ミステリーばっかり読んでると、自分でも面白い謎解きネタを考えちゃうことがあるんです。アレをテーマに、とある設定・切り口でストーリー展開させてみると、面白いミステリーがつくれるんじゃないかと。

まさしく本作なんです、やられたー

やっぱり世界は広い、しかも3年前の2022年に出てるんですね~。速いってのは正義ですよ。そしてアイデアの奇抜さはもちろん、冒険小説の読み物としても高品質ってのがスゴかったわ。そうそうビジネスでも同じですよ、速さと品質は重要なんです。肝に銘じたい。

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2025年10月25日

Posted by ブクログ

SFは事前になんの情報もなく読むことにしている(うっかり情報が入る場合もあるけれど)。
この思弁的ともいえるSFは実に読みごたえがあった。
読み手は深くこの世界に入り込める。
ネタばれはしないが、SF好きなら読む価値は満点。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

わたしがついていけるSFとしてギリギリの高度でしたが、こんなに泣けるとは。
同じ翻訳者の「マーダーポッド・ダイアリー」を思い出す場面もいくつかあり、逃げずに読んでほんとうに良かった。

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

いやあ、面白かった!
読後しばらくは世界観が頭から離れず、ぼうっとしてしまいました。
まったくもって、SF作家の発想力ってやつはどうなってるんだか…

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イギリスの作家、アレステア・レナルズの単発SF作品。結構なベテラン作家らしく、過去にはシリーズものが邦訳されていたらしい。

19世紀、太古の大建築物を調査するため、ノルウェー近海を進む調査隊。船医であるサイラス・コードは、小説を書きながら一行に帯同するが…

これはネタバレ厳禁。正直、何も見ずに読んだ方が良い。とんでもないところに連れて行ってくれる作品。
もちろん、SFレーベルから出版されているので、そういった要素を身構えて読むと思う。ところがこの作品は極上の冒険小説。素晴らしい。
登場人物も少なく、また非常に読みやすい。あっという間に読めると思う。爽やかなラストで読後感も良い。おすすめ。

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2025年08月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これはネタバレ厳禁です。
気になるなぁーと思ったら何も見ずに買って読んで欲しい。
自分はネタバレを食らったので他の人はまっさらな状態で楽しんでほしいです!!あのサイトむかつく!(笑)
気になる人はすぐ読もう!





展開とか仕掛けだけの話じゃなくて、主人公含めた登場人物たちのやり取りがいいです。
この小説の構造上同じ登場人物たちとのやり取りが後半に生きてくる話が大好物なので、終盤あれもこれもって畳み掛けてくる感じが幸せすぎました。

死ぬごとに違う場所、乗り物なのに目的地や登場人物は同じってノベルゲーではよくありますよね。違うルートを辿って行ってトゥルーエンドに行く。ひぐらしのなく頃にとかシュタインズ・ゲートとか有名なのが頭に浮かびながら読んでました。実際に1冊の本にするならこんな感じなのかなって思うとかなりすごいことやってると思う!

終盤で現実を直視してからのパートはずっと最高でした。
1人を犠牲にしてほかの全員を救う選択を人間であろうとするサイラスはギリギリまで葛藤して、遂には選択するけど、仲間には酷いやつだと罵られるとこは、彼が夢の中で執拗なほどデュパンを休ませようとしていたことを知ってるから辛くて仕方なかった。終わりの時にそばにいるのも泣けます。最後の会話も良かった。
そこからのエイダと同居する夢の中終わりでまた泣けます。良すぎます。

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2025年08月19日

Posted by ブクログ

 何をどう書いたらいいのかさえも困ってしまうのですが、〈不条理〉な世界に踏み込んだ先で、どこまで連れて行かれるのか分からない、そんな安心のできない物語が好きなひとにおすすめの作品です。

 存在さえも曖昧な石造りの大建築物を探すためにノルウェー沿岸を北上するデメテル号に乗船しているサイラス・コードは、田舎の外科医。個性的な仲間との冒険小説が幕を開けた、と思っていたら、なんだか様子はおかしくなっていき……。ネタバラシをするわけにもいかないので詳しくは語れない上に、展開の複雑さもあって、後半はかなり混乱してしまったので語ることもできないのですが、物語であることに自覚的な物語、みたいな作品が好きなひとは特に楽しめる作品ではないかな、と思います。

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2025年07月16日

Posted by ブクログ

サイラス・コードが船医を務める小型帆船デメテル号は、探検団や船員たちを乗せノルウェー沿岸地域にあると噂される古代の大建築物の捜索へと向かっていた。
そして噂されるフィヨルドの隙間にある道を見つけたことで大建築物へ向かうことに成功するが……。
というお話。

本作はほとんど情報を入れずに読み始めた。何か探検してたら何か見つかっちゃうんでしょ、くらいの雑なイメージで読み始めたが、それが逆に良かった。
少しずつ少しずつ情報が開示される度に「あー、こういう話ね」「そういう要素も入れてんだ」と、なんとなくこんな話なんだろうなって予想して読んでいたのだが、まあそんな予想は当たるはずもなくて、予想の遥か斜め上の展開を迎えていった。
またクライマックスからラストの終わり方までとても良かった。タイトル通りいろいろと反転するんだよな。

基本的に自分はネタバレで物語の面白さは損なわれないって思ってるけれど、本作はなんにも知らずに読んだほうが絶対楽しめるタイプの作品。
そしてこれ多分2度目も面白いんじゃないかと思う。この段階でこれがとか、このキャラクターのこの台詞が、みたいなミステリー的な面白さもあるので。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

帯の惹句に偽りはなかった。
19世紀の帆船を舞台に展開する物語は当初、海洋冒険小説のように思える。が、ある時点で“反転”し、別の時代、別の動力を持った船が舞台となる。舞台は変わっても、登場人物もその役回りも変わらないのがミソ。
毎度おなじみ“ループもの”の変種と理解して読み進めたが、それにしては疑問点が多すぎる。あちこちに埋め込まれたキーを頼りに、隠された真実を想像しながらページをめくっていくと、やがて驚愕の展開が待ち受けていた。
途中、さすがにダレる(何度ループした?)ものの、SFらしいSF小説を読んだ実感がある。おもしろかった。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

正直に言うと前半は、同じようなことを繰り返すばかりで少し退屈した。
後半に入るとセリフなどから設定が見えてきた。
そうだろうな、と分かっていても、読み終えれば清々しい気持ちになった。
AIがみる夢。だれ目線の話なのかが鍵だった。

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2025年09月06日

Posted by ブクログ

とちゅうで二度ほど声が出たw

いやー、なんも書けない。

かなりふうがわりな物語ではあるけど、最後に投げかけられた問いがまだ頭のなかをめぐっているので、それだけ力のある作品だということなんだろう。

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2025年08月27日

Posted by ブクログ

 時代は19世紀ごろか。外科医のサイラスが乗り込む帆船デメテル号は、ノルウェー沿岸を航行していた。目的地は、フィヨルドの奥にあるという未知の「大建造物」。どうやら古代に建築されたらしい。 

 そして、その「大建築物」を発見したのもののデメテル号は大破し、サイラスはマストの下敷きになり死亡するが…

 最初はタイムループ物かと思わせながらも、物語が進行するにつれて謎が深まるばかりだ。そして、予想の斜め上を行く展開となっていく。ネタバレになるので、詳しくは書けないが、アイディア勝負の一遍である。

 決して「あとがき」を先に読んではいけない。その旨の「注意書き」がある。

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2025年08月26日

Posted by ブクログ

医師サイラスコードの乗船するデメテル号はノルウェー極地にある未知の大建築物を目指し航行して行く。
未知なる場所へと探検していくsf小説としては有りがちな設定なのだが、読み進めていくと要所要所に違和感というか、ノイズ的なぎこちなさを感じていく。
登場人物間の関係性だったり、サイラスのなんともいえない精神的浮遊感というのだろうか。
フワフワした展開に良く理解出来ないのだが、気になる。

中盤以降にサイラスってもしかして…と思いはじめ、パズルが繋がっていくとなるほどと合点がいく。
sfとしての面白さは残しつつ、自我や意思を形成し得る人の哲学や思想について終盤は考えさせられる。
サイラスは間違いなく良き医師として全うし、自身の結末を落とし込んだに違いない。

とにかくレビューするのが難しい作品だと感じた。

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2025年07月31日

Posted by ブクログ

輪廻ものかねえ、と思って読んでたが、少々それとは違う方向へ話が進んだ。膝打って驚いた、というほどでもないが、面白く読んだ。

しかし結局何だったのというところが一切解決されてない。そこが全くの不満。
作品として切り取られた空間と時間にSF的な仕掛けがあって、それがちゃんとSF的に処理されていることがSF作品ではないと思うのだけど、何つか、そうなんだが、設定がちゃんと処理されてないというか。

そもそも何があってどうなったのかが、わからない。

結局、私小説的な自己紹介以外何も完結してないみたいな。

同人誌ならともかく、商業小説としてこれでいいの、と思う感じ。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

パイレーツオブ的な冒険小説風かと思わせておいてどんどんループな。。。とあまりいろいろ感想読まないほうが楽しめると思うのでこの辺で。最後まできっちり楽しめます。

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2025年09月04日

Posted by ブクログ

#反転領域

舞台は19世紀初頭。ノルウェー沿岸を航行する探検船デメテル号は、フィヨルドに隠されている巨大建造物を発見する。一見SFと関わりが薄いように見える舞台設定だけど、徐々にその謎が明らかになる。
最後はSAOアリシゼーション編のラストのようだったよ。

#読者好きな人と繋がりたい

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2025年08月12日

Posted by ブクログ

なんか凄いものを読んだな。同じ登場人物達が少しずつ異なるループもののストーリーに登場する。
どういう事だろうと読み進めると、あぁなるほど最初からそうだったのか、となる。
最初のシーンの影響か19世紀頃に書かれた文書の様な肩苦しさが多少あるのが難点か。

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2025年07月31日

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