中原尚哉のレビュー一覧
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面白い。日本とドイツが勝利した歴史改変物。日本が原爆を投下してUSAをUSJとして統治、って設定が燃える。科学の水準も1988年で既に現代を凌駕してるのが面白い。まだイマイチ主人公には感情移入できず、ただこの世界観を楽しむのみ。猟奇的な描写にはちょっと辟易。作者は韓国系アメリカ人だということだけど、日本文化について相当深い理解がある様子で興味深い。現代日本人の感覚からすると、戦後も続いた日本帝国のエクストリームすぎる描写が誇張にも皮肉にも思えるんだけども、冷静にもしあの戦争に負けてなかったらこうなってるかもな、と納得出来もする。これは日本のことよく知らないと書けないし、そこに脱帽。それと、訳の素晴らしさが特筆できるレベル。日本人名にどの漢字を当てるかとか、劇中の大阪弁の描写とか、これは訳者と著者が相当やり取りしてないと出来ないはず。下巻にも期待。
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本書は四分冊の最後の本だ。第二次世界大戦で日本軍が隠した金塊などを現代で掘り起こす物語。埋蔵金の場所は暗号化されているので、それを解読する過程にドキドキする。ラストに向かって大きな冒険があるにはあるが、冒険小説ほどではなく、暗号の解読も思っていたよりあっさりと成し遂げられてしまったので、意外な展開と言えばそうなのだが、盛り上がりにかけてしまった印象を持ってしまうのが残念なところだ。これは、自分の期待が暗号寄りだったためであり、小説としては良質のエンターテイメントになっていると思う。本書で意外にも良かったのが解説である。本書意外にも暗号について分かりやすい解説が巻末にあり、暗号に馴染みがない人が読んでも面白いと感じるだろう。
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多少中弛みのようなものを感じたが、それ以上に多くの謎を提示され、続きが気になる展開だった。日本兵の後藤がジャングルをさまようシーンがあるが、日本人作家が書いたかのように日本兵の立場を描写している。翻訳者が補ったところもあるのだろうけど、日本兵の苦しみを日本人の立場で考えられる。物語全体は「チューリング」の巻と同じく、第二次世界大戦と現代が並行して流れる。より密接に二つの時代が絡むのかと思ったが、この巻ではそこまでいかない。次巻でのお楽しみのようだ。特筆すべきは巻末の解説。暗号化技術について簡潔かつ分かりやすく、歴史まで解説している。暗号化技術って何? と思っている人は、この解説を読むだけでも役に立つ。インターネット(携帯電話の通信を含めて)と切り離した生活ができない現代において、暗号は陰日向に我々の生活の必需品であることを認識できるだろう。
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Posted by ブクログ
映画「イミテーション・ゲーム」を見て、チューリングが登場する小説ということで読んでみた。表紙の絵が古くさく、こんなの面白いのかなと不安であったが、読んでいて止まらなくなった。コンピュータが好きな私なので、暗号や数学、コンピュータそのものが出てくるだけで楽しめるのだ。物語は、現代と第二次世界大戦が並行して進む。第二次世界大戦のパートでは、もちろんチューリング博士が登場する。第二次世界大戦時代に登場する人物の子供や孫が現代パートで登場する。過去と現代が微妙なリンクをしつつ、どちらも通信の暗号や解読に関わっており、冒険小説のようでハラハラドキドキする。さて、本作は4作品で1つの大長編だ。第2作の「クリプトノミコン〈2〉エニグマ」までは入手済みだが、残りの2作品も必ずゲットしなければ。第1作でこれから回収されるであろう伏線がたっぷりとちりばめられているように思えた。題材が暗号なだけに最後にはどのように謎が解かれているのか楽しめである。
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Posted by ブクログ
なんというストレートな宇宙海賊冒険小説小説なのだろうか。古典SFを読んでいるかのようだ。今、本作品を面白く読めるのは、今だからこそ素直に楽しめる作品が求められているからかもしれない。少なくとも自分は求めていたのだろう。SFの入門にはもってこいだ。
本作品の面白さは、主人公が海賊だということ。犯罪者である主人公を応援したくなるのは、ルパン三世が人を惹き付けるように、強烈で魅力的なキャラがあってこそである。本作品のデビッドは、ハッキングで衛星を乗っ取ったり、コンピュータネットワークで痕跡を残さずに行動するなど、頭が良さそうである一方、行動の大胆さはマッチョを想像させる。海賊なので犯罪者ではあるが、スーパーマンのような存在だ。そして最終的なミッションは、復讐劇でありながら、昔の知り合いの彼氏の命を助けるために骨をおる。なかなかいいやつじゃないか。こんな感じで魅力的なキャラが暴れるのは爽快だ。
そういえば、何となく宇宙を舞台にした作品のように思うが、主人公はずっと地球にいるんだよなあ。それでも宇宙を感じさせるのは、作者の筆力によるものだろう。テンポよくすらすらと読めてしまうのは、訳者が素晴らしい仕事をしたのだと思う。
欠点を挙げるなら、巻末の解説かな。本編が軽いノリなので合わせたのかもしれないが、小飼弾氏の解説は正直なところ何も解説していない。解説がない方が、楽しい冒険を体験した爽快な読後感を素直に味わえたと思う。