中原尚哉のレビュー一覧
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記憶を消去された大量殺人については、前巻の説明で終わりなんかな。まだわからんけど。
言葉の使い方自分でもおかしいと思うが、なんか、日常系のまったりしたところも感じるのは、あくまでこのマーダーボットの語り口なんだろうと思う。
英語の原文見たって、ふた文字目から全く理解できない自信はあるが、訳者が上手いのか。ですますの敬体で書かれているのが、どこまでも薄皮被った距離感を生んでいる感じで面白い。
戦闘シーンの描写も上手いし、ボット同士のコミュニケーション、フツーにやってしますハッキングも良い。
そうした一つ一つの言葉について一切説明がない。
全くSFという物に触れたことのない人は、一瞥なく置き去 -
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10話からなる短編集
この中でより心に残っているは
パショ
イエローカードマン
そして表題作の
第六ポンプ
パショは
新しいものを取り入れて変わっていくことに抵抗感があり新しいものを取り入れない人の顛末
知識が持つ絶大な力
対立していて不穏な空気が漂う場面はあれど
ガツガツしている雰囲気は一切なく
穏やか過ぎていく日常を感じたお話
イエローカードマンは
これは個人的に凄いなと思ったのは
昔大繁盛をしていた商売をしていたのに理不尽にすべてを奪われた一人の老人が
身体の動きが鈍くなる中けがをしても仕事をもらおうとしている様が
なんだか他人事とは思えなかった
そして
第六ポンプ
やっぱり知識 -
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マーダー・ボット・シリーズ2。今作は長編。
切れ味は中編の方がするどいかな。なんだかウェットな感じが増してきたしネットワーク転送と意識の問題も突っ込んでほしかった。だんだんファンタジーによってきた感あるな。この後耐えられるか?
マーダー・ボットには性別はない。はずだけど、自分としてはどちらかといえば女性として捉えていることに気づく。何億年もの進化の結果としてできあがったものをひっくり返して自分は反応できるのだろうか?と、ふと思う。性差については個人ごとに感じる差はあるのだろうか?外見は男性だけど中身は女性というのは理解できる。しかし無性の存在はほんとうに理解できるのか?(漫画「シドニアの騎士 -
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「マーダーボット・ダイアリー」というタイトルの通り、人間の警備業務を行っているロボットである「マーダーボット」、自称「弊機」の一人称視点で物語が進む。
この「弊機」は保険会社の所有物であり、過去に統制モジュールの異常による大量虐殺事件を起こしている。二度と人間を殺したくないという意思のもと、自ら統制モジュールをハッキングして自律した意思決定や行動を起こせるようになったものの、それを周囲に隠したまま警備ユニットとしての業務を継続している。
連続ドラマの視聴が趣味で、業務中も暇さえあれば連続ドラマに耽溺している。
顧客を守るという責任感がとても強い一方で、過去に大量虐殺事件を起こしてしまっ -
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待ってましたのマーダーボット・ダイアリーシリーズ。日本では4冊目で、お話の内容としては2冊目の「ネットワーク・エフェクト」の続きとなってます。
今回は映画で言うと前半の見どころシーンが300ページほどの文庫になっている感じで、正直クライマックスまで大きなドラマがなく、いつも楽しみな“弊機”のシニカルな独白もさすがにダラダラと退屈に感じられてしまいました。が、クライマックスはさすがのマーダーボット。弊機の活躍と少し前向きで成長したボヤキ、ARTとのやりとりが楽しめます。
あまり話が展開しないなと思ったものの、そういえば、一冊目から中編短編4つのエピソードで構成されていて、2冊目だけが長編で特殊だ -
ケン・リュウ / 桜坂洋 / アンディ ウィアー / デヴィッド・バー・カートリー / ホリー・ブラック / チャールズ・ユウ / チャーリー・ジェーン・アンダース / ダニエル・H・ウィルソン / ミッキー・ニールソン / ショーナン・マグワイア / ヒュー・ハウイー / コリイ・ドクトロウ / アーネスト・クライン / D・H・ウィルソン / J・J・アダムズ / 中原尚哉 / 古沢嘉通3.6 (31)
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ネタバレ・あらすじ
近未来ディストピアSF短編集。
・感想
面白かった……んだけどなんだか読み終わるのにすごく時間がかかってしまった。
続きが気になって読む手が止まらない、とか読んでて高揚感がある作品じゃないしひたすら「こんな世界は絶対にやだ……」と思う世界観だったからかなw
科学技術の影響により環境破壊された世界、痴呆化した人類、エネルギー供給が限定された世界などなど。
倫理観、道徳感、死生観や哲学などの人文的素養が変質、退行あるいは消失して、根源的な欲望と快楽のみで動く人類もどきたちが彷徨いている世界。
特に印象的だったのがフルーテッド・ガールズと表題作の第6ポンプ。
痴呆化した人類(トログ -
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「アポロ計画」
20世紀最大の宇宙開発、それは人類初の月世界到達。
さらに並行して、米ソの「冷たい戦争」の延長として開発競争が繰り広げられていた。
物語はそんな冷戦を背景とした「アポロ」と「スペースシャトル」の間の時代の、事実を交えた架空の出来事。
冒険小説のようなミステリーやアクションの連続が懐かしく面白い。
ただ、率直に言って、感情移入できる主人公的存在がいなかったためか、「カッコいい」と感じられなかったのが残念。
さすがにNASAなどの現場の雰囲気はリアリティ溢れている(知らないけど)ので、お仕事小説に徹しても良かったのでは?
上下巻のボリュームに対して、少し報われなかった感じ。 -
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Posted by ブクログ
中華の雰囲気漂うディストピアSFもの。
「カロリーマン」が一番印象に残った。
鉱物資源が枯渇した社会で、さらに植物がニッポン・ジーンハック・ゾウムシという害虫によって遺伝子に異変が起き、ソイプロというハイカロリー植物しか育たなくなった荒廃した世界。全てのエネルギー源をソイプロに依存し、またそのソイプロはアグリジェン社という企業に独占されているというディストピアな世界観がかなり良い。
遺伝子操作された動物のグロテスクな描写や、ゼンマイを回して動力を作ったりPCの操作が足踏み式だったりと、近未来感とアナログ感が上手く合わさり、資源が枯渇した後の荒廃した未来社会が暗く面白く描かれている。
また表題作