中原尚哉のレビュー一覧
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ネタバレ・あらすじ
突如始まった地球を舞台とした宇宙人主催の配信番組「ダンジョン探索世界」。
元カノの飼い猫ドーナツと共にダンジョン探索者となったカールは、生き残るためダンジョン攻略を目指す。
・感想
アメリカ版なろう系作品。
(日本版のなろう系作品も門外漢なんだけども)
日本のあの陰険で他力本願ななろう系作品(多分に偏見を含んでいます)とは違うシビアな世界観だなーと思った。
やはりここは国民性の違い…?
設定も面白いけど、やはりこういう作品はキャラクターに魅力があるかどうかが1番大事だと思う。
メインキャラクターはプリンセス・ドーナツとカール。
この二人組PT"プリンセスドーナツの宮廷"は役割分担、指揮系統がはっきりしている良いPTだわ。
何よりプリンセス・ドーナツがきゃわいい!!にゃーね!
人語を話すだけなく目からビーム出し、チャットを太字で書くネコたん。きゃわいい。
このプリンセス・ドーナツのセリフを日本語訳にするにあたり訳者の中原さんが素敵なオリジナリティを付け足してくれてる。
ダンジョン運営AIのフェチ?により足技を強制され、元カノには三股かけられてたパンイチの元沿岸警備隊員カール。
カールは周りがボケばかりなので基本ツッコミ役になるんだけど、苦労性で世話焼きな巻き込まれ体質な不憫キャラ。
この先も頑張ってほしい。
現代のミーム文体やネットスラング使ったり、ルールハックもしっかりバッチで塞ぐ運営ガチ有能。
ポラントコーポレーションさすがです。
戦闘シーンは結構激しいし、ボスの設定が結構グロめ。
ゴミ屋敷女の最後結構きつかったわ…。
早く続編も読みたいなーー。 -
Posted by ブクログ
どこで見たか忘れてしまったが、、確か雑誌か何かで知った一冊。最近仕事でドローンを扱うことも多く、SF好きなので自然と購入。
ショートSFならではの最後の続きを予見させるおわりにわくわくする。標題作では子供のいたずらのようなところから、ねずみ小僧的な海賊の姿が見えた時には続き読みたい...!と思った。
エグザイルパークもプラゴミ島という将来ありえなくもない環境とオロクンの超能力じみた設定。オロクンはなんの比喩だろうか。保守的な政治か麻薬か、かりそめの平和か、なにかに依存する世界を揶揄するものだろうか。
クライシスアクターズは陰謀論的な話で、気候変動を信じる信じないにしろ、とっている行動は同じで結局は環境活動に興じているというとんちのようなものにも感じた。形は違えど、親子はよく似ている。
菌の歌、軍団(レギオン)は支配型の未来が成立した世界。SFといったらこのやりすぎ設定が面白いが、技術のゴールは平等な社会だとするとこれって社会主義的な思想に近いと感じる。一方で、渡し守のような、割り切った資本主義構造によって貧富の差が大きくなることも一種の将来として想像しやすい。いずれにしても完全に管理することが可能な技術が出来上がると社会は極端な方向へ向かってしまうような気がする。
SFの面白さを改めて考えると私は読み始めのその世界を探っている感じが楽しい。どんな設定だろう、そういう常識の世界かーみたいな。そこにアイデアも感じるし、何を比喩しようとしているのか、フィクションだからこそストレートに感じる著者の意見が見える。
インタビューにあったキムスタンリーの、「SFには予言と現在のメタファーの二つの働きがある」というのはまさにその通りだと思う。予言としてみたらトンチキな設定かもだけど、風刺する意味では現代そのものだったりする。抽象化・メタ化して現在を投影した世界がSFそのものであり、だからこそいろんな歴史・ 知見が入るし、知的好奇心もくすぐられる。そこが好きなんだなと改めて認識した。 -
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目次
・逃亡テレメトリー
・義務
・ホーム――それは居住施設、有効範囲、生態的地位、あるいは陣地
弊機がメンサー博士を護衛していた時、死体を発見してしまう。
これがメンサー博士を殺すためにグレイクリス社が送り込んだ刺客なのか、またはグレイクリス社と敵対する元弊社の工作員がやられたのか。
しかし判断材料があまりに少ない。
弊機は何としてもメンサー博士を守りたいと思っているが、警備局の局員から追い払われかける。
メンサー博士のとりなしで警備局に協力をしながら、犯人とその目的を探る。
結果としてメンサー博士が目的ではないことが分かった後も、弊機は捜査に協力するのである。
人間嫌いで、さっさと部屋に戻ってドラマを見たいと思いながら、捜査に協力するのはやぶさかではないというか、ちょっとおもしろい経験と思っている。
いやいや、人間らしくツンデレではないですか。
真相はちょっと、人を人と思わないというのか、人を消耗品だと思っているんであろう組織の、胸の悪くなる事件だったけど、弊機が少しずつ人間たちの中に居場所を作っていく過程が良い。
『義務』はまだ、統制モジュールをハッキングしたまま警備ユニットとして仕事をしていたころの話。
『ホーム~』は『マーダーボット・ダイアリー』の後日談をメンサー博士視点で。
この後さらに三冊を執筆する契約を交わしているということで、うち一冊は日本で刊行されているけれど、後の二冊も早くお願いいたします。 -
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ネタバレ北極にある古代に製造された謎の巨大建築を探索するために向かう一向。しかし途中にトラブルがあって探検隊は全滅する……。目覚めた主人公は少し先の時代の蒸気船に。同じ一向に同じ展開。ループする謎とは?巨大建築の正体とは?
冒頭の古代遺跡を目指す海洋冒険SFの読み味は面白かったものの、随所にある不穏さや建築物の正体を予想しながら読んでると唐突なループ突入で唖然としてしまった。当初は帆船を舞台にした海洋冒険SFだったのが、スチームパンクめいた蒸気船、地球空洞説SFのような飛行船、そしてスペースオペラの宇宙船と移り変わっていく。この舞台設定そのものがSF近代史と言っても過言ではなく、馴染み深いものであると同時にメンバーの顔ぶれや謎の巨大建築が変わらないことの異常性が浮き彫りになってくる。
ぶっちゃけた話、主人公の医師であるサイラス・コード=単なるコードでありプログラムに過ぎないというネタはそこまで響かず。舞台が入れ替わっていくことで『マトリックス』のような仮想現実であることは想定内だったわけだし、そこからエイダの「残酷な真実」というのもあらかた想像がついてしまった。ただ、中盤をかなり過ぎるまでこのネタをだいぶ引っ張ったわりには中弛みすることなく読み進められたのは素晴らしいし、全体的なリーダビリティの高さを感じる。そしてループを重ねたことによるメンバーの一人であるラモス大佐との信頼関係と、脱出のためにデュパンを犠牲にしなければならなかったという機械的な残酷な選択。これが人間性に悩むコードの主人公の下した機械ならではの選択というのが面白く、それ自体が医学で言うところのトリアージやトロッコ問題に近しいものがあるというのもいい。そこからのラモス大佐との対立など、ドラマティックな展開は後半の救出劇で全て描くという独特な構成ながらもクライマックスの熱量は凄まじかった。
そしてラスト。船そのものである主人公は脱出することができず、帰還するラモス大佐の可能性を信じるしかないという落とし所もとても良い。ヒトか機械か?の二律背反の中で、信じるという人間的な選択をすることに味があるのだ。そして残された時間を限りなく引き伸ばしてのエイダ・コシルとの人間的な仮想空間での日々。このラストはとても美しく、感じ入ってしまった。ネタバレ厳禁!であることに間違いはないものの、それに相応しい衝撃は受けなかった代わりにエンタメとしては文句なしに面白い一冊だった。
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『マーダーボット・ダイアリー』ですっかりファンになった、「マーダーボット」こと暴走警備ユニットの”弊機“(本来は謙譲の一人称)の活躍するシリーズの第二弾。
前作で友だちになった(と、本人は認めていないが)ART(不愉快千万な調査船)と再会するが、船体はあるのに操縦ボット(ARTの本質)がどこにもない。
心配でたまらないのに、素直にそれを認めないこじらせボット”弊機”。
前作でミキというペットボットと仲良くなったのに、喧嘩して口をきかないでいるあいだに死なれてしまったという過去を持つわりに、学習しねーなー。笑
今回の”弊機”はメンサーの娘であるアメナの研修である惑星調査に護衛として付き添ったのだが、異星遺跡に汚染されたと思われる人々に襲われ、ワームホールに連れ込まれてしまう。
その先で待っていたのが、操縦ボットの存在が消されたART。
次々襲い掛かる危機を満身創痍で躱しながら、”弊機”はボット同士のコミュニケーションを覚えながら成長していく。
今回は”弊機”のデータのコピーをARTのデータでもってキルウェアとする、マーダーボット2.0を作成するのだが、これはアメナに言わせると「二人の子ども。人間だって二人の遺伝子を掛け合わせて子どもを作るんだから、これもそうでしょ」ということになる。
驚愕する”弊機”とARTが愉快。
それでも、連作短編だった前作と違い、長編小説となった今作は、構成が複雑になった分、ボットたちの愉快な応答の頻度が減ってしまったのが残念。
メンサーと”弊機”との係わりだとどうしてもシリアスになってしまうので、次はARTとの冒険になりそうで楽しみ。
”ときにぐらつくからこそ、弊機はアラダを信用しています。自信過剰でまわりの意見をいれない人間ほど怖いものはありません”
まったくね。 -
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ネタバレ物語に救いを求める人間くさいAIの話
ループものだけど、ループごとに少しずつ設定が変わる。でも、物語の根幹をなす構造は同じらしいっていうのが、読み進めるうちに少しずつ分かってくるのが面白い。構造を読み取ることに自然と誘導されるのがいい。
ところどころ印象残るフレーズが後々の伏線になる
「いつも雷が鳴っている・・・・・・」
「船はささやき声がみせる夢」
主人公は宇宙船に搭載されたAI。ループは危機的状況に陥ったAIが現実逃避で作った夢だった。本来の目的を思い出したAIは自分を犠牲にして人間を救う。最後は切なくもいい終わり方。人間に近づけて作られたAIは物語に救いを求める。
結局大建築物がなんだったのかは分からぬまま。 -
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『ネットワーク・エフェクト』の続き。
この小説の世界って遠未来で、広範囲に宇宙に進出しているから、いろんな考えや慣習があると思うのだけれど、書いているのがマーサ・ウェルズなのでアメリカ人の考え方に縛られてるんだろうな。
そんな中で、作中に登場する次の文章が気になった。
プリザベーション出身の人間は、"さあ、みんなで話しあって、全員が満足するか妥協できるかたちでこの問題を解決しましょう"というのが交渉だと思っています。しかし企業リムでは九十六パーセントの確率でだれもそう考えていません。多種多様な人類文化にもそんな考え方はないはずです。(p.182)
弊機の考えが記載されてるんだろうけど、このプリザベーションって、平和ボケで調和重視なところがなんとなく日本ぽいなと。
でも彼等は楽観的だから何とかなるだろうと思ってるだけで、日本のような同調圧力はないのかもしれない。
あとがきで映像化の話が出ていた。
あとがきは1年以上前に書かれているのだけども、もう見られるのかな?長身イケメンは違うと思うけどなぁ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレLed ZeppelinのDazed and Confused(幻惑されて)を聴いているような感覚になる。
文章に幻惑されるというのは、変な表現だが、物語の途中まで「?」の連続である。
語り手の医師サイラス=コードはAIサイラスのコード、つまりはプログラムであり、AIが作った物語に読者もだまされる。SFファンではないので、初めて読むタイプのSF小説だった。400頁の240頁まで来て、やっとSFらしい宇宙船が登場し、308頁から徐々にAIである種明かしが分かる。
それでも、尚、人間らしい葛藤に悩まされるサイラス。
そして、ラスト。夢のようなプリマスの情景は、夢なのか現実なのか、最後まで物語に幻惑される。見事。