中原尚哉のレビュー一覧

  • マーダーボット・ダイアリー 下

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    ネタバレ

    シリーズ第3話、4話収録。第1話の事件に関係する調査のため弊機は惑星ミルー星へ行き、証拠集めをする。その証拠を手渡しするためメンサー博士のところへ向かうが、ニュースで博士の所在が確認できないことを知る。第1話の仲間たちと合流し博士の奪還に向かう。
    主人公である弊機、相変わらず人間との関係はあまり得意ではなく、人間に触れられることを嫌っているものの「まあ、どうしても必要なら弊機のことを抱き締めてもらっても構いません」って(笑)。超優秀な警備ユニットであるが、精神年齢は男子中学生並みか。人間と深く関わる場面を避けるようなところがあったのが、4話ラストは従来と少し違う流れになりました。入れ物はSFだ

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    2022年08月26日
  • マーダーボット・ダイアリー 上

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    かつて大量殺人を犯した、保険会社所有の人型警備ボットが主人公。大量殺人の経歴は削除されているが、その後統制モジュールをセルフハッキングしており、統制下にあるふりをして仕事をしている。自我が覚醒したAIとでもいうのだろうか。
    上下巻で中編4話。上巻最初の話は惑星資源調査隊の警備。業務終了後、痕跡を消しつつ行方をくらまし、その途上で鉱物資源探査の技術者グループとの短期契約での仕事の話が2話目。
    この主人公、仕事も能力も警備レベルではなく、関係各所をハッキングし自分の痕跡を消しながら業務を遂行する超優秀なスパイアンドロイドというイメージなんだが、連ドラが大好きで、メンタルバランスを崩すとお気に入りの

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    2022年08月18日
  • マーダーボット・ダイアリー 下

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    四つの中編が各回完結するTVドラマ・シリーズのようにつながって物語世界が構築されていくと共に大虐殺という原罪を抱えた「弊機」が少しずつ人間社会に居場所を確保していく流れが心地よく感じられる。シーズン2が楽しみである。

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    2022年07月29日
  • 逃亡テレメトリー

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     <マーダーボット>シリーズの3巻目で、長編と二つの短編からなっている。今作はステーション内で起きた殺人事件の犯人を追うミステリー仕立てになっている。人間とかかわりあうのが苦手な警備ユニット<弊機>が探偵役として、どう立ち回るのか。いかにして犯人を探し当てるのかがポイント。妙に人間臭いところがある<弊機>が活躍するこのシリーズは、ハズレなしだな。
     短編2編は文字通り短くて、長編の隙間を埋めるエピソードといえるだろう。

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    2022年07月13日
  • 失われた世界

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    ネタバレ

    小学生の頃に子ども向けの作品は読んだことがあったものの、どんな話だったのかを忘れていたのと『新訳版』だったために購入。
    作品が書かれた当時、種として認定された恐竜は少なかったためか、登場する恐竜は少なめ(イグアノドン、ステゴサウルス、謎の肉食恐竜)で、のろまなトカゲであると書かれているのが、当時の認識であることが分かり、面白い。
    (イグアノドンに至っては家畜扱いもされていた。)
    物語は読んでいて子ども心を思い起こさせるワクワクするものであった。
    SF小説の始まりとも言える作品であり、これからもたくさんの人を魅了し続ける作品にもなると感じた。

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    2022年06月18日
  • マーダーボット・ダイアリー 上

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    今まで読んだことのないシチュエーションのSF版私小説。
    読後感はさわやかで続編があるので読書の楽しみがまた増えた。

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    2022年06月18日
  • ネットワーク・エフェクト

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     自身に関わり合いのない人物やAIだと、ターゲット1号2号という表現になるのって、自閉症と呼ばれる症状?エヴァンゲリオンの最初の頃、主人公に周囲の人が認識されていなかったように。
     なのに、つい、人間を救ってしまうって、業が深いというか、懐が深いというか。この翻訳家の力も大きいのだろうけど、言葉一つで背景まで表現できるってすごい。

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    2022年06月02日
  • 逃亡テレメトリー

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     自己評価の低い弊機が、自分の興味がある物を見つけ始めた。弊機自身の中にある許容範囲と、シニカルな自己評価のはざまで、成長していく自我。
     今作も人に薦めたい本だった。

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    2022年06月02日
  • 創られた心 AIロボットSF傑作選

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    コミック『アトム・ザ・ビギニング』を読んでいたところで本作を偶然手に取ったのだが、ロボットの擬人化という単純な物語など遥かに超越した16篇の来るべきAI世界にまつわる思索小説としても大変興味深い短編が名編者J・ストラーンによって集められている。J・J・アダムズ編による銀河連邦、パワードスーツものなども読みたくなる。

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    2022年05月28日
  • マーダーボット・ダイアリー 下

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    読み終わった。マーダーボットの独特の語り口が魅力ですが、この完成度で翻訳した訳者さんも素晴らしいと思いました。
    この世界、いいなぁ。構成機体やbot、aiやなんかの個性、特徴、多様性が認められるまで進んだ未来の世界。性別や婚姻制度、家族制度も現代とは比べ物にならないくらい柔軟。世界観に憧れると共に、とにかくマーダーボットの感情や人間との関係に対する葛藤、拗らせ方がキュートで、エピソードをもっとたくさん読みたくなってしまう。
    続刊を早速購入しました。とても読みやすいので高学年以上のお子さんにもおすすめしたいです。

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    2022年05月17日
  • 逃亡テレメトリー

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    弊機さん!待ってました〜
    マーダーボットのシリーズ4冊目。溜息つきながらも人間を全力で助ける弊機がまた見られて嬉しい。
    中編「逃亡テレメトリー」では殺人事件の犯人捜査に協力する弊機。ミステリドラマの知識は…あんまり使わなかったみたい。今回もクスッと笑える表現が多くて楽しい。「焼き菓子」はネタとして外せない(笑) 個人的に好きなグラシンとラッティの出番も多くて良き良き。
    時系列的には「ダイアリー」最終話と「エフェクト」の間。プリザベーション連合のステーションで、暴走警備ユニットの扱いをどうしようかってしてる段階。弊機のハイスペックぶりがいつもながら小気味良い。うまくいかずに落ち込む時の自虐的な言

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    2022年05月03日
  • 逃亡テレメトリー

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    ネタバレ

    弊機のご帰還というだけで星5確定。
    弊機視点で物語を見てるから、人間が警備ユニットだとわかった途端に襲ってくるところとか怒りが湧くが向こうからしたら相当な恐怖なのか。
    それにしても弊機が周囲の信頼を得るためには一人ひとりが窮地に陥ったところを救わなければ無理なんじゃという感じ。無茶言うな。
    ジョリーベイビーに苛つくところも良かった。
    プリザベーションの善性が羨ましい。
    ご飯と医療が保証されてて通り魔という言葉がわからないなんて楽園だな〜。
    この本を読んだ上で改めてネットワークエフェクトの序盤を読み返すと見方が少し変わりそう。
    SFの知識がないので想像できない所も正直あって、ラノベばりにイラスト

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    2022年04月16日
  • 逃亡テレメトリー

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    ネタバレ

    相変わらず可愛かった、弊機。そして面白かった!

    タイトルの「テレメトリー」の意味が良くわからず、解説を読んでもあんまりピンと来ず。バリンの暗喩と思うと、ミステリ的タイトルでしっくりくるかも。
    警備ユニットが能力を活かして殺人事件の捜査をするっていうのもミステリファン的に楽しかったけど、謎解き要素はそこまででもなく。警備ユニットをその過去故に警戒して忌まわしく思っていた人間が、物語を通じて少しずつ警備ユニットを理解し、最後に打ち解けて終わるっていうこの物語の流れが好きだな。お約束的かもしれないけど。弊機に対して保護者のような視点になってしまうから、ああよかったね、本人(本機?)はそこまでうれし

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    2022年04月15日
  • ネットワーク・エフェクト

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    最強AI船のARTに危機、マーダーポットが絶体絶命!
    スリル満点の「吉本新喜劇」的宇宙大活劇

    抜群だった前作……。
    まるでゲーム「メタルギア・ソリッド」のような潜入に、ひとりで「アヴェンジャーズ」のような処理能力と戦闘能力を発揮する爽快感は、やや減少してしまった。
    また、ブリザベーションとの関係が深まっていて、前作に漂っていた「孤独感」もなくなったうえに、少し「友情もの」の匂いがしてしまうので、好き嫌いがある。

    でも、面白い。
    相変わらずの「弊機」と、輪をかけて偏屈な「ATR」との掛け合いは息の合った上方漫才のよう。

    放置され、ただ立ち止まっていた警備ポットに「弊機」が「なにをしたい?」

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    2022年02月02日
  • 死者の代弁者〔新訳版〕(下)

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    しだいに謎が解けていき驚きの連続。異生物ピギー族との交流も目新しさの連続で面白い。さすがSFの大傑作!
    代弁のシーンはすごく惹きつけられたし感動した。

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    2022年01月30日
  • 死者の代弁者〔新訳版〕(上)

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    前作の『エンダーのゲーム』とは話がだいぶ違うけど、今作も面白い!(こっちの方が好き)
    主なストーリーは異星人との交流だけど、そこに宗教やAI…などいろんな要素も加わり、登場人物それぞれの事情も細かく描かれていて読み応えがあった。読む手が止まらない!

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    2022年01月30日
  • ネットワーク・エフェクト

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    ネタバレ

    弊機ちゃんかわいい!これだけで長編一本持つのすごいなあ。いやもちろんSF小説としてもめっちゃ面白いんですけど。遠未来でいろんな価値観が今とは様変わりしてるんだけど、現代的な感覚で見ても登場人物たちに親近感を抱けるの、いいSFだな…と思う。
    でも弊機ちゃんがかわいすぎてまず弊機ちゃんかわいいがでてきちゃうんですよね…。
    基本ひねくれてるのに唐突に「メンサー博士ともう会えないのは嫌です」「ARTともっと一緒にいたいです」とめちゃくちゃ率直なデレをかましてくるのずるいわ……。

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    2022年01月17日
  • ネットワーク・エフェクト

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    ネタバレ

    マーダーボットダイアリーからしばらく後の時間軸。長編なので読み応えがあった。前作が連続ドラマなら、こちらは映画って感じかな。
    初っ端は惑星調査の話で始まり、スター・トレックっぽさが私は好き。弊機さんはプリザベーションの人たちの中で警備ユニットとしての居場所を得たみたい。良かったなぁーと思いながら読んでいるうちに、ピンチと危険とナゾがどっと押し寄せ、先が読めない展開になってきてワクワクした。情緒不安定になる弊機や、頑固で人間臭い弊機や、人間に嘆息しながらも全力で助ける弊機がたくさん見られて良い! 機械たちの存在や描かれ方に読み応えを感じるけど、人間たちも魅力的。やっぱりスター・トレック感があるな

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    2021年12月25日
  • ネットワーク・エフェクト

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     暴走により大量殺人を犯してしまった警備ユニット”弊機”。一人称の”I”を”弊機”と訳し、SF作品で初めて日本翻訳大賞を受賞した”マーダー・ボット ダイアリー”の続編となる。今回も異星文明の遺物がキーとなって話が展開する。

     前作からの登場人物(?)では、やはりARTの存在が秀逸。AI同士のやりとりが人間味(?)あり過ぎだろう。

     本作では”弊機”以外の警備ユニットも登場して、自身を”本機”と称している。それが”弊機”を”貴機”とよびかける訳には脱帽ですね。

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    2021年11月13日
  • 死者の代弁者〔新訳版〕(下)

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    「エンダーのゲーム」続編にして、前作同様ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作品。今作はミステリー色が強く、上巻が出題編とすれば、下巻は解答編。エンダーが行う『代弁』はまさに犯人を暴く名探偵さながら。真実を知って愛と赦しを抱けるか。魂の救済をめぐる人間模様に引き込まれる。
    後半のピギー族との交渉は、言語やメンタリティの壁で四苦八苦する、ファーストコンタクトものの緊迫感がある。また生態学SF、時間遡行SFとしても面白い。
    全体的に宗教や倫理にからむ要素が強く、かなり考えさせられた。作者がモルモン教信者ということで、ちょっと興味もわいたし。斉藤由貴……。

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    2021年11月09日