中原尚哉のレビュー一覧
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開発途上の惑星へ行く人間のチームにわけあって同行し、問題発生、宇宙船や施設内で人間を守りつつ敵と戦闘そして撤退というのが今のところお決まりの展開。私は一度読むと二度以上読むことは滅多にないのだが、似たような場面を繰り返していることもあって二度読みした。時系列の問題でこの後に出た『逃亡テレメトリー』を読んでから、また読んでしまった。
自分の失敗で自己嫌悪に陥ったり、自分で自分を励ましたり、褒められて戸惑ったりと、弊機の一人称で語られる、基本的に論理的だがしばしば感情的で偏屈卑屈、人間的すぎる挙動がおもしろいのだ。
SFだと科学的にどうよ?ということがしばしば問題になるが、この作品はその点はもうどうでもいいです。今のところ日本ではこの著者の作品が翻訳されているのはこれだけだが、ほかの作品も読んでみたいです。 -
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ネタバレ小学生の頃に子ども向けの作品は読んだことがあったものの、どんな話だったのかを忘れていたのと『新訳版』だったために購入。
作品が書かれた当時、種として認定された恐竜は少なかったためか、登場する恐竜は少なめ(イグアノドン、ステゴサウルス、謎の肉食恐竜)で、のろまなトカゲであると書かれているのが、当時の認識であることが分かり、面白い。
(イグアノドンに至っては家畜扱いもされていた。)
物語は読んでいて子ども心を思い起こさせるワクワクするものであった。
SF小説の始まりとも言える作品であり、これからもたくさんの人を魅了し続ける作品にもなると感じた。 -
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弊機さん!待ってました〜
マーダーボットのシリーズ4冊目。溜息つきながらも人間を全力で助ける弊機がまた見られて嬉しい。
中編「逃亡テレメトリー」では殺人事件の犯人捜査に協力する弊機。ミステリドラマの知識は…あんまり使わなかったみたい。今回もクスッと笑える表現が多くて楽しい。「焼き菓子」はネタとして外せない(笑) 個人的に好きなグラシンとラッティの出番も多くて良き良き。
時系列的には「ダイアリー」最終話と「エフェクト」の間。プリザベーション連合のステーションで、暴走警備ユニットの扱いをどうしようかってしてる段階。弊機のハイスペックぶりがいつもながら小気味良い。うまくいかずに落ち込む時の自虐的な言い方も相変わらずで。地道な捜査ばかりでなく、救出の緊迫した場面も、見せ場の戦闘シーンもちゃんとある!
短編「義務」は「ダイアリー」の前の採掘場での話し。弊機…良い奴。短編「ホーム」はメンサーから見たマーダーボット。企業の権力執行の手段を目的として製造された構成機体だが、その目的から切り離すのは本人だ、と言うメンサーが好きだな。自由意志があるのなら、自分に命令できるのは自分自身だけだ。人もそうでない者も。
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ネタバレ弊機のご帰還というだけで星5確定。
弊機視点で物語を見てるから、人間が警備ユニットだとわかった途端に襲ってくるところとか怒りが湧くが向こうからしたら相当な恐怖なのか。
それにしても弊機が周囲の信頼を得るためには一人ひとりが窮地に陥ったところを救わなければ無理なんじゃという感じ。無茶言うな。
ジョリーベイビーに苛つくところも良かった。
プリザベーションの善性が羨ましい。
ご飯と医療が保証されてて通り魔という言葉がわからないなんて楽園だな〜。
この本を読んだ上で改めてネットワークエフェクトの序盤を読み返すと見方が少し変わりそう。
SFの知識がないので想像できない所も正直あって、ラノベばりにイラストが挿入されてると嬉しいという気持ちはあります。
今後3冊と言わず30冊くらい刊行されてほしい。 -
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ネタバレ相変わらず可愛かった、弊機。そして面白かった!
タイトルの「テレメトリー」の意味が良くわからず、解説を読んでもあんまりピンと来ず。バリンの暗喩と思うと、ミステリ的タイトルでしっくりくるかも。
警備ユニットが能力を活かして殺人事件の捜査をするっていうのもミステリファン的に楽しかったけど、謎解き要素はそこまででもなく。警備ユニットをその過去故に警戒して忌まわしく思っていた人間が、物語を通じて少しずつ警備ユニットを理解し、最後に打ち解けて終わるっていうこの物語の流れが好きだな。お約束的かもしれないけど。弊機に対して保護者のような視点になってしまうから、ああよかったね、本人(本機?)はそこまでうれしそうでもないのがまたおかしい。今回の締めの台詞ではこれまでよりもっと人間と打ち解けてて、それも保護者的にほっこり…。
物語の前日譚的な二編もとても良かった。
このシリーズ全体の前日譚『義務』は、物語以前のマーダーボットの働きぶりが見えて楽しいし、メンサーとの物語は、『逃亡テレメタリー』のというより『ネットワーク・エフェクト』の前日譚といった感じが強くて、アメナとの物語の前にこんなことがあったのねと思うとより一層弊機を愛おしく思える。
まだ続編が出るみたい。楽しみだな〜。 -
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最強AI船のARTに危機、マーダーポットが絶体絶命!
スリル満点の「吉本新喜劇」的宇宙大活劇
抜群だった前作……。
まるでゲーム「メタルギア・ソリッド」のような潜入に、ひとりで「アヴェンジャーズ」のような処理能力と戦闘能力を発揮する爽快感は、やや減少してしまった。
また、ブリザベーションとの関係が深まっていて、前作に漂っていた「孤独感」もなくなったうえに、少し「友情もの」の匂いがしてしまうので、好き嫌いがある。
でも、面白い。
相変わらずの「弊機」と、輪をかけて偏屈な「ATR」との掛け合いは息の合った上方漫才のよう。
放置され、ただ立ち止まっていた警備ポットに「弊機」が「なにをしたい?」と問いかけるも、すぐには答えられない。が、やがて意思をもって動き始める。
逆境に甘んじて思考を停止するのではなく、自らが意思をもって道を歩むこと。
……大活劇のなかにも何かがある。
またこの物語の設定世界。
企業による「テラフォーム」、未開の地での住宅都市開発。まるで「〇〇不動産開発」「〇✕建設」といったところ。
資源開発や住居環境を地球外惑星へ求めていくときに出てくる、異星物汚染という不可解な状況の危機や、経済的理由による「放置」と「利権争い」……。
十分にありうる気がしてならない。
もう間もなく「月」や「火星」の利権争いが現実になるかも。 -
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ネタバレマーダーボットダイアリーからしばらく後の時間軸。長編なので読み応えがあった。前作が連続ドラマなら、こちらは映画って感じかな。
初っ端は惑星調査の話で始まり、スター・トレックっぽさが私は好き。弊機さんはプリザベーションの人たちの中で警備ユニットとしての居場所を得たみたい。良かったなぁーと思いながら読んでいるうちに、ピンチと危険とナゾがどっと押し寄せ、先が読めない展開になってきてワクワクした。情緒不安定になる弊機や、頑固で人間臭い弊機や、人間に嘆息しながらも全力で助ける弊機がたくさん見られて良い! 機械たちの存在や描かれ方に読み応えを感じるけど、人間たちも魅力的。やっぱりスター・トレック感があるな。
メンサー博士の娘アメナ、その叔父のティアゴ、アラダとオバースのカップルに、いい奴ラッティ。私は分析の仕事をしながらピン・リーとグラシンが居たら…と思う弊機が好きです。
ところどころに分散して挟まれる弊機による「ヘルプミー・ファイルによる抜粋」に前作と本作の間の出来事が「ダイアリー」的な文体で書かれており、重要な役割を持っていて面白い。後半はあらすじにあるように絶対絶命の危機に晒される弊機だけど、期待を裏切らない痛快な展開。続編が出るなら嬉しいな!そして過去編も読みたい!
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「エンダーのゲーム」続編にして、前作同様ヒューゴー賞・ネビュラ賞受賞作品。今作はミステリー色が強く、上巻が出題編とすれば、下巻は解答編。エンダーが行う『代弁』はまさに犯人を暴く名探偵さながら。真実を知って愛と赦しを抱けるか。魂の救済をめぐる人間模様に引き込まれる。
後半のピギー族との交渉は、言語やメンタリティの壁で四苦八苦する、ファーストコンタクトものの緊迫感がある。また生態学SF、時間遡行SFとしても面白い。
全体的に宗教や倫理にからむ要素が強く、かなり考えさせられた。作者がモルモン教信者ということで、ちょっと興味もわいたし。斉藤由貴……。 -
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「エンダーのゲーム」続編。前作はバトル・アクションの側面が強かったが、本作では様々なジャンルを包括した緻密な構成のストーリーが魅力的だ。3000年を旅したエンダーは、伝説の存在が最強の力を備えて宇宙人の秘密を抱え、正体を隠して一般人の中で縦横無尽に活躍するという、なろう小説の主人公感がハンパない。しかしそこに説得力をもたせることに成功しているのが見事で、天才を書くのはやはり天才なのかと作者の力量に感服。ルシタニア星とピギー族をめぐる謎、リベイラ家の秘密などが強く興味を引き、精密なSF設定とミステリーのブレンドが最高に面白い。心理学や宗教性などの要素も色濃く、泣けるシーンも多い。小説としては「エンダーのゲーム」より面白いけど、映像化は難しそうだなぁ。