多和田葉子のレビュー一覧

  • 犬婿入り

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    異種婚を扱った犬婿入りと、ドイツでの留学生活を描いた「ペルソナ」。個人的体験からペルソナの異文化の中での疎外感、隔絶感、差別意識の描き方が好き。同胞アジア人へのちょっとした見下し感(差別とは少し違う)、自分もドイツ人からみたらアジア人であることの劣等感、裏返しのドイツ人への反発。
    犬婿入りのほうは、文章が好き。映像が流れる様に入ってくる感じで。

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    2020年01月01日
  • 犬婿入り

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    多和田葉子の中編集。表題の「犬婿入り」と「ペルソナ」の2作品が収録。
    以前に読んだ「献灯使」が心に残ったので、芥川賞受賞作品である本書を手に取ってみた。

    「犬婿入り」は芥川賞受賞作。39歳の学習塾を開いている女性を中心とした不思議な物語。
    「ペルソナ」はドイツに留学している姉弟の話。姉の視点から日々の生活が描かれ、外国で日本人として暮らす姉の心情風景が描き出される。

    「犬婿入り」は、芥川賞受賞作らしく、非常に難解であった。実際に犬が婿にくるような話なのであるが、それがエロティックというか、気持ち悪いというか、心にざわざわ感が残るというか、何とも読後の印象の不思議な物語だった。

    「ペルソナ

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    2019年05月27日
  • 海に落とした名前

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    4編を収めた作品集。
    「U.S+S.R. 極東欧のサウナ」サハリンという場所が帯びる政治性と歴史性に触れながら、言葉遊びを絡めた文章が多和田さんらしい軽やかさを纏っている。
    「土木計画」克枝さん、何か妙だと思いながら(多和田さんの小説は大概妙だったりするので)特に気にせず読んでいったら、そういうことだったんだ。
    「海に落とした名前」記憶を失い名前を忘れ自分に紐付いた一切を喪ってしまう語り手。唯一所持していたレシートの束から即興で言葉を紡いでいくラストは、相反するような解放感と不穏感とを感じさせた。

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    2019年03月19日
  • ヒナギクのお茶の場合

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    バラエティに富んだ5作品を収録した作品集。
    「枕木」は何と言っていいのか感想に困ってしまうが、絶えず焦点をずらされ横滑りしていくような感覚。
    「雲を拾う女」何なの?哺乳ビンの乳首になってしまう(わたし)。火を吹き、鏡に映らないコウモリと呼ばれる女。寓話や幻想とは違う。あまりにも輪郭がはっきりとし過ぎていて。意味とか脈絡とかそんなのよく分からないままに、ひたすら読まされてしまう。
    「ヒナギクのお茶の場合」語の反復とか文体のリズムとか、読んでいて楽しい作品。友人ハンナへの語り手の好感が滲んでいる。
    「所有者のパスワード」多和田さんにこんな作品あるんだ、と意外性に驚く。ラノベの恋愛モノ読んでコマ割り

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    2019年02月27日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    恋愛ではなく「変」愛を集めたアンソロジー。 
    どこへゆくやら全くわからない。
    予想も付かない展開、意味さえわからなくなるけれど、なぜか読むのを止められない引力。
    奇妙な、強烈な印象を残す読後感です。
    面白かった。

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    2018年08月16日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    ネタバレ

    ドイツの修道院にて。

    修道院での生活に興味のある日本人女性の滞在記。

    優秀なまとめ役だったにもかかわらず、わずかな期間で恋人と去ってしまった元尼僧院長のこと。

    複数の修道院で暮らす尼僧たちのそれぞれの考えと交差する思い。

    元尼僧院長のそれまでの人生と弓の先生であり恋人のベンハルトとのこと。

    苦悩を経て、修道院にたどり着いた人たち。
    異国を感じた。

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    2017年11月16日
  • 飛魂

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    飛魂のみこの文庫のオリジナルで、ほかの小説はほかの単行本に含まれている。
     飛魂は、中国を舞台のようには思えるがいまひとつよくわならない。

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    2017年05月08日
  • 海に落とした名前

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    短編を集めたもの。最後は航空事故で名前を思い出さない女性であり、途中まではリアルであるが、そのうちに怪しくなるというパターン。

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    2017年05月04日
  • 旅をする裸の眼

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    ベトナムからの少女がロシアで酒を飲まされ、ベルリン、パリと生活していて、さらに、というところで終わる。

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    2017年05月04日
  • 犬婿入り

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    「ペルソナ」は匿名性や等価性といったものが構造としても表されているが、やや型に嵌った感もある。それに較べて「犬婿入り」はもう少し奔放な感じがするが、細部まで読み込めなかったので口惜しい。

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    2017年03月01日
  • ヒナギクのお茶の場合

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     全体的にどこか抽象的で掴み所がなくて、でもとても引き込まれた作品。私は「目星の花ちろめいて」と「所有者のパスワード」の摩訶不思議感が好き。特に「所有者~」は本の虫の姫子が本ばかり読んでるがゆえに無知であることで危ない目に遭ったり現実とごちゃごちゃになったりしつつ、本ばかり読んでるがゆえに難を逃れる様が滑稽ですごく面白かった。

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    2015年11月29日
  • 犬婿入り

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    自我自我していないドライさと、頻出する小学生受けしそうなプリミティブな言葉(鼻くそとか乳房とか)とが好相性だったし、ところどころ笑いのツボもあったけど、個人的にあの手の息の長い文体はうらめし…

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    2015年11月22日
  • かかとを失くして 三人関係 文字移植

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    これはかかとがない文学である。かかとがないとは?かかとがないと人はどうなってしまうのか。前のめりで、ふらふらとしていて、地に足がつかず、その地に足がついていないのが問題であり、地に足がついていないのが問題なのは、本当に問題なのか?と問い直す影あり。
    現代社会が問われるのは、このへんのことなのではないでしょうか?地に足ががっつりついていた時代から、ふわふわと漂う、地に足がついていない時代へ。その時に求められる文学とは、今をきちんと見据えた文学とは、こういうものなのではないでしょうか。壮大な試み。

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    2015年01月21日
  • 変身のためのオピウム

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    実に難解な小説である。タイトルの『変身のためのオピウム』からして意味不明だ。オピウムはアヘンや麻薬のことであり、マルクスの『ヘーゲル法哲学批判序説』の中の言葉「宗教は民衆のためのオピウムである」からとられているのは明白。しかし、そうだからといって何が分るといういうものでもない。スタイルは一見したところは長編小説だ。しかし、物語全体を貫流するプロットは、これまたあるような無いようなだ。表現のところどころはシュール・レアリスムを想わせるのだが、シュールではない。しいて言えば西脇の「旅人かへらず」に似ているか。
     この小説はけっして観念的な意味で難解なのではない。ひとえに小説作法のあり方において難解

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    2014年02月26日
  • 言葉と歩く日記

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    ついレビューを書きたくなるほど、多くの人に支持されるのでしょう。
    言葉にこだわることは特別に非凡なことではないのですが、著者の魅力は性向だけではないのでしょう。
    こだわるから、おもしろいのではなく、文才がおもしろくさせているのでしょうね。
    いつも通いなれている道に、こんな花が咲いていた、こんな虫が生息していた・・・と、語りかけてくれてるようだ。
    見逃していた、見過ごしていた情景をひとつひとつ開示してくれているのが楽しい。

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    2014年01月29日
  • 犬婿入り

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    表題より前掲のペルソナがよい。
    まあ、読みにくい。
    異国の生活でのアイデンティティについて。外国人とも日本人とも意識が乖離。私はこの問題に関して留学中は諦めてたなと反省。むしろ韓国人やベトナム人に見られることで新たなペルソナを被り匿名性の快感を感じてました。
    壁も、ステロタイプの像も他者の頭から無くなるわけない。諦めた方がいいはず。でもこの作者は戦っている人でした。非常にタフ。

    ついでに犬婿入りのメモ。
    長文を繋げてリズミカルに。
    口上。興行師の話し方に似ている。書き方で連想するのはなめとこ山の熊、樋口一葉。きっと後者が近い。
    口上を目指すことで民話的な、昔々的な世界観を作る?
    段階別の異様

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    2014年01月14日
  • 犬婿入り

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    ペルソナ、表題作の二篇。ちょっと歩いただけで体中に小さい棘が刺さる。端的なようでねじれた文章、意地の悪い目線。散らされた毒に、違和感の集積が肩にのしかかる。重ならないが故のあきらめ、一方の引力、思いやり。ひとり目の道子と似た環境にいたことがあるけれど「あーあるねー」ってところと、そういう風に感じるのか、と思うところと。アジアは総じて「アジアチック」、「トヨタ」ではなく「ソニー」だった。顔指して言われた事はないしいわれても別に気にならなかったと思う。

    正直なところ、主人公が神経過敏でなんてめんどくさいんだ、と思った。でも、その感覚を知っている気もする。読後こってりした澱が残る。

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    2014年01月01日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    ドイツのとある修道院の尼僧たちの生活を描いた小説です。ここに登場する修道女たちは一般的なイメージと異なり、あまりに世俗的でした。プロテスタントの修道院ということが、理由のひとつなのかもしれません。カトリックだと、その暮らしぶりはもっと厳格なのでしょうネ。この小説は二部構成になっていますが、本来その構想はなかったようです。でも、この物語は二部があってこそ、登場人物ひとりひとりの個性が際立ってくるような気がしました。二部では駆け落ちして修道院を去った、元尼僧院長の過去が語られます。しかしながらそれは、タイトルから連想されるようなロマンチックなものではありません。ここにはひとりの女性の半生が、切々と

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    2013年12月08日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    ボラーニョの『2666』をこじんまりとさせたような構図の小説だと感じた。
    面白さでは『2666』が圧倒的に勝っているけれども、こっちは短いので気軽に読めます。

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    2013年11月02日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    日本語を母国語に持ちながら、ドイツ語でも小説をものしている著者が、「母語の外へ出る旅」を語るエッセイ集。元来、僕は言語は思考の枠組みを変える(ので、第二言語を喋っているときは性格が変わる)という説の信奉者であり、様々な思考の枠組を手に入れるために様々な言語を学ぶのは良いことだと考えている。しかし、この著者は単に新しい言語を手に入れるに留まらず、母国語と第二言語、そしてそれらの境界についての思索をさらに深めていく。二つの言語の境界線上では、日本語を母国語としたドイツ語話者に特有の Japanisch Deutsch が誕生し、言語表現はさらに豊かなものに……。

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    2013年02月27日