多和田葉子のレビュー一覧
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最高の読書体験をした。
万博イタリア館の待ち時間に全て読み終えた。
およそ7時間くらいか。
多和田葉子さんの書籍は2冊目。
テレビに出ていた、祖国を亡くしたという女性が話す独特の言葉遣いに興味を持って、ぜひ会いたいとテレビ局に問い合わせたら、案外簡単に会えて、詳しく話を聞いてみたいということで、会いにいったことから始まった。問い合わせをしたのは、クヌートという名の青年。彼は言語に興味があることもそうだが、祖国を亡くしてしまったという女性に興味を持った。女性はHiruko という。
Hirukoは、スカンジナビアの言語体系を自分なりにまとめて、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク語を話す人な -
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ネタバレ突然ですが、読書について。
私よりも速読・多読の方は数えきれないほどいらっしゃるのは分かります。それでも、この数年は、私の中では人生史上最も読書をしているという感覚があります。
それらの本は、当初は仕事で行き詰まる自分への武器、突破口発見のため。あるいは、金がないなかで(というか塾に通わせずに)子どもの高校受験を成功させる、という目的がありました。
仕事がそこそこ落ち着き、そして子どもたちも無事に日本に戻った近年は、文芸書・エンタメが太宗を占める、息抜き読書が多く、しかも消費する・ただ貪り読むという、あたかも早食い・大食いの読書バージョンであるかのような読み方であると自身感じていました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこの物語の主人公 Hiruko が話すオリジナルの言語であるパンスカは、体言止めで、独特な言い回しをする言語だった。また言語といっても、そこに決まった形はなく、Hirukoがその時感じたままを、スカンジナビア半島周辺の言語の中で、より同じような質感を持つ言葉を選びつつ、会話は展開されていた。
恥ずかしながら、今まで日本語は表現できる種類の言葉が多く、表現においてあまり不自由を感じたことはなかったが、日本語という言語に支配されているからこそ、語ることのできないものも同時に存在するということを知る機会になった。
本書を読み、さまざまな言語を学ぶことは、さらに自分の表現の幅を増やすということにつなが -
Posted by ブクログ
ちょっとすごすぎるかも!!
多和田葉子のなかだとかなり読みやすい方だと思うんだけど(ストーリーが追えるので)、ふんわりふんわり流動的に場所が動いていく。根本的に根無し草の感覚があるのかも。
言語はもっと自由なのかもしれない。私はいつも(特に)英語を話すときには間違えるのが怖いと思ってしまう。文法がちがうと笑われることが怖い。とりわけ「文法を解する」日本人に笑われたりするのが怖いんだと思う。だからchatGPTとは、べらべらずっと好きなだけ喋ってしまう。私は本当はおしゃべりなのに、英語だとおしゃべりになれないのは「文法の共通了解」が世界中に有ってその人たちにジャッジされているという感覚があるから -
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彼女は言語学者ではない。
小説家であり詩人だ。
それも日本語とドイツ語で小説を書く小説家だ。
だからなのか言語への深い理解と探究心と遊び心にあふれている。
言葉と歩く多和田さんの日記の言葉を
もらすことなく読みたくて時間をかける。
折しも今日は3月11日
私のすぐ横に職場のブラウン管テレビが
落下してきた日だ。
彼女は「ベルリンにいて地震を経験していないという穴があまりに大きいので、人の話がその穴にどんどん吸い込まれていく。共有ではなく、むさぼり喰うような感じ」と語る。そして次の日のアサヒ・コムの「炉心溶融」は危機感が薄く、「メルトダウン」の方が危うく感じられると述べている。そして、多和田さ -
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文芸誌GOATで上白石萌音さんが紹介していたのをきっかけに読みました。
萌音さんが教えてくれたように『先入観無く読みたい!』と思い、ネットで買うにも検索したら表紙が見えちゃうので、家族に頼んで買ってもらい、表紙も帯も取ってもらってから読みました。
この工程が無ければ、すんなり読めてしまったかもしれません。でも、表紙や背表紙のあらすじを見ずに入り込めたお陰でとても楽しく(頭の中が???になりながら)読むことが出来ました!
これは初めての読書方法でした。
上白石萌音さんに感謝の気持ちでいっぱいです^_^
イヤな顔をせずネットでポチってくれたり表紙と帯を隠してから渡してくれたりと協力的な家族にも -
購入済み
不思議な作品
ちょっと読みにくいので、ざっとスピードをつけて流してみた。
日本がもうなくなっていて、日本人のHirukoはパンスカという
どこの国の言葉でもないそれでも通じる言語を話す。失語症、
魚の文化、泥沼に咲く蓮にすわるブッダ、ロボット、セックスと
セックスなしの付き合い、言語、テロ、神話と女性と暴力、
約束とすっぽかし、反捕鯨、いろいろなものがあって、
不思議な感じがした。 -
Posted by ブクログ
大災害が起こった後の日本。
「無名」という名の首が細く身体がグニャグニャして、膝から下が鳥のように内側に曲がって上手く歩けず、食べ物もなかなか咀嚼出来ず、栄養も上手く吸収出来ない弱々しい子供を曽祖父である「義郎」が世話している。
大災害の後、子供はみんな「無名」のように弱い老人のようになり、逆に老人は死ぬことが出来なくなり、義郎のように100歳を超えた老人がピンピンしていた。
野生動物は殆ど見かけなくなり、本州では安全な食べ物は殆ど無くなってしまった。義郎は運良く1万円で手に入れることが出来た四国産の一個のみかんを無名がなんとか食べられるように包丁で切り刻んでジュースにするのだが、無名 -
Posted by ブクログ
不思議な世界観と読み心地でとても良かった!!
登場人物たちと一緒に旅してるよう。あえて色々な背景を詳しく描かないところも私は好きだった。空気感的にたぶん小川洋子とか好きな人は好きなんじゃないかと思う。でも小川洋子のようなフェティッシュな湿度はなくどちらかというと無機質な雰囲気。
海外旅行好きな人、留学したことある人にもおすすめ。
逆に現実的なストーリーが好きで、ぼんやりとした雰囲気を好まない人には向かないかも。
私がとても好きなフレーズをひとつ、
「わたしの心は、まだ春とは呼べないけれども、クロッカスのなまなましい白や黄色が冬の土を破って出てきている。まだ恋とは呼べないけれど、もう冬に戻るこ