多和田葉子のレビュー一覧

  • 変愛小説集 日本作家編

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    岸本佐知子さんの編んだ書き下ろしアンソロジー、タイトルに惹かれてまず読んだ津島佑子の短編「ニューヨーク、ニューヨーク」が素晴らしかった。読みながら、読み終わってから、幾つものことを思った。
    「ニューヨークのことなら、なんでもわたしに聞いて。それがトヨ子の口癖だった、という」冒頭のセンテンスを読んで、わたしも数年前の夏に数冊の本を読むことで行ったことのない「ニューヨークのことはもう分かった」と嘯いたことを思い出す。そこには彼女がニューヨークを思うのと同じように個人的で特別な理由があったのだけど。
    その後に元夫と息子がこの世にいない彼女について語り合うことで明らかになり“発見”される、今まで知り得

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    2024年11月13日
  • 雲をつかむ話/ボルドーの義兄

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     初めて読んだ多和田さんの小説。本書には『雲をつかむ話』と『ボルドーの義兄』の二作品が収録されている。
     「人は一生のうち何度くらい犯人と出遭うのだろう」との不思議な書き出しで始まる『雲をつかむ話』。ある日、作者の家に「あなたの本を買いたい」と言って男が訪ねてきたが、「プレゼントなので、それらしく包んでほしい」との依頼に応じるため離れていた間に男はいなくなってしまっていた。それから一年後、一通の手紙が届いた。その手紙には、あのとき自分は警察に追われていて、その後逮捕され刑務所にいる。そして今自分は日本語の練習を始めた、といった内容が書かれていた。
     そこから、語り手である作者と色々な「犯人」と

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    2024年11月13日
  • 献灯使

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    東日本大震災の"if"の世界を描く5作品収録。デストピアの雰囲気漂う中に、どこか浮遊感漂う不思議な作品。紡ぐ言葉は柔らかく、描かれる世界は退廃的。各話の主人公たちの視点の切り替えの機微が素晴らしい。おそらくジャンルとしてはSFに分類され、捉えどころのない作品ではあるが、文学の新境地を感じさせる作風。

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    2024年11月08日
  • 白鶴亮翅

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    海外で活躍する作家
    初めて読んだ
    目まぐるしく変わるシチュエーション
    ちょっと戸惑った

    ドイツに夫に付いて来たけど
    持ち前の好奇心から
    ドイツに残り
    離婚し翻訳者として生活し
    作家としても活躍するようになる
    なかなかの人
    隣人との話 通い始めた太極拳
    そこでのメンバーとの会話
    いろんな人がいるなと興味深い
    神様が二人を分かつ前に早く決断
    したのねという この発言は面白い

    翻訳する時は深く国 民族 国家
    歴史知って訳すことが大事
    なかなか大変な仕事と思った

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    2024年11月03日
  • 地球にちりばめられて

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    言語の連想ゲームで物語が進んでいく感じというか、登場人物の個性がどうのこうのじゃなくて言語や国境の線引きによって如何に人間が区分けされてきたか、みたいなものが伝わってくる。言語学者による考え方なのだろうか。小説を通した随筆というか、不思議な読書になった。

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    2024年10月27日
  • 献灯使

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    一年以上前にNHKで多和田さんがニュースで取り上げられてて初めて知った作家さんで、ずっと一度は読んでみたいと思っていた。

    ニュースの内容は記憶にないけど、ノーベル文学賞に近い日本人の一人(もう一人は村上さん)として紹介されてたのではないか。

    この本は2013.2014位に世にでていて東日本大震災の影響がとても強い作品だと感じた。ドイツに在住されてる多和田さんの俯瞰的日本像というのか近未来小説というのか。世界観が、テーマは重いながら、不思議とページをめくる手は止まらない。

    非常に風刺が効いてるんだが、人はこうあるべきみたい説教くささはなく、読者に判断は委ねられている。

    短編小説が5つ収載

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    2024年10月19日
  • 地球にちりばめられて

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    多和田葉子さん、実は学生時代から名前だけは聞いていた。でも、多和田さんの本を読み通したのは初めてだった。
    留学中に、故郷の島国が消滅し、ヨーロッパで生き抜くため、独自の言語パンスカをつくり出すという設定からもう一気にひきこまれる。
    島国が消滅した理由は読み手に委ねられている。原発が関係しているということは容易に想像できる。しかし、そこが主題ではない。
    個人と言語、個人と国家とは何かを問いながらも、明るく不可思議なストーリーがそこにある。
    「地球人なのだから、地上に違法滞在することはありえない」ということばはずしりと響く。
    クライマックスにはビックリ。続きもありそうだ。多和田さんの言語感覚、世界

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    2024年10月01日
  • 地球にちりばめられて

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    ネタバレ

    初の多和田洋子作品。ドイツ、スカンジナビア周辺の地名が大量に出てきて楽しい。
    日本が消滅した世界で独自の言語「汎スカ」を操る日本人主人公が、消えてしまった母語を話すために同郷人を求めて旅をする。その過程で巻き込まれる人々の個性的なキャラクター、多和田氏の美しい表現技法に引き込まれる。
    母語とイデオロギー、アイデンティティのつながり、ネイティブって何だろう、などなど色々考えさせられる作品。
    あと、デンマーク人毒親が息子にかける言葉がいちいち鋭利でツボ。

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    2024年09月22日
  • 溶ける街 透ける路

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    さまざまな街が、そこに息づく人々とともに紹介されていく。ともに旅行をするというより、ともにそこに短期間、よそ者として住み着くような感じ。また、筆者の関心である移民に目が向けられ、またそれが幾層にも重なっていくことによって、街が変化していくことが想像される。

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    2024年09月14日
  • 地球にちりばめられて

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    外国留学中に祖国が消滅してしまい、外国で独自の言語を作って生きている女性を巡るお話

    以下、公式のあらすじ
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    留学中に故郷の島国が消滅してしまった女性Hirukoは、大陸で生き抜くため、独自の言語〈パンスカ〉をつくり出した。Hirukoはテレビ番組に出演したことがきっかけで、言語学を研究する青年クヌートと出会う。彼女はクヌートと共に、この世界のどこかにいるはずの、自分と同じ母語を話す者を捜す旅に出る――。誰もが移民になり得る時代、言語を手がかりに人と出会い、言葉のきらめきを発見していく彼女たちの越境譚。
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    2024年09月05日
  • 地球にちりばめられて

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    あらすじ
    留学中に日本が消滅してしまった女性Hirukoは母語を喋れる仲間をさがしつつ日本の文化を残そうする。
    彼女に興味を持った言語学者のクヌートをはじめとした登場人物が各々動き出し旅へと駆り立てられる群像劇。

    感想
    文体が素晴らしすぎる! Hirukoが作った独自言語パンスカの簡潔な説明書のような言葉。
    おしゃべりで人の話を聞かない登場人物は地の文でも一切改行がないなどなど。
    個人的に好きな文章はアカッシュの地の文での『ふっくりした頬の内部に整った骨格を感じさせる美味しそうな青年だった』という一文。全く下品な言葉を使っていないのにここまでキモく感じさせるの本当にすごい。

    Susanoo

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    2024年09月01日
  • 白鶴亮翅

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    新聞の連載小説ということで、読みやすいだろうなと安心して読んだ。特に大きな何かが起こるわけではないが、面白くどんどん読めた。何も起こらないと言っても、国際都市ベルリンに住む日本人の話なので、生活、人との交流をするだけでも、日本人読者の私からすると異世界の話だ。語学ができて、このように外国で、外国の人たちとのびのび生活する、あまり無理をしていない、肩肘を張ってもいない話を読むのはとても楽しかった。歴史や文学が話題の中心になっているが、固苦しくもなく、極端に深刻にもならず、いい読書の時間が持てた。

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    2024年09月01日
  • 言葉と歩く日記

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    ネタバレ

    311の後、コロナ前。言葉との向き合い方がとても丁寧で相対的で面白かった。3つ言葉ができるといいなあ。ベトナム語またやろうかな。

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    2024年08月08日
  • 言葉と歩く日記

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    vollmondのkomachiさんがインスタで投稿していたことがきっかけで読んでみた。英語、ドイツ語を学ぶにあたりぶつかった疑問を解いてくれるような本も紹介されていて参考になる。ふと思っていることを言語化してくれていて、これが言いたかったんだ!と思う箇所も。言語学習者、特にドイツ語学習者にはおすすめ。

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    2024年07月15日
  • 地球にちりばめられて

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    多和田葉子を何冊か読んだなかで、ダントツに面白かった。終盤はやや主張を強くしたいせいなのか堅苦しさが出てしまった観がある。
    しかし、そこまでは絶妙なユニークさとファンタジックな面白さがあった。失われた列島を故郷に持つhirukoが北欧に暮らす設定、彼女の奇抜さと納得のいく理由、玉突きのように事が転がり、人がくっついて増える展開。
    それは単に奇抜なのではなく、著者の国や言語や人のあり方についての当たり前な考え方を代弁するものである。そんな社会風刺は生々しすぎると白けてしまうのだが、日本人ディアスポラを想像させてくれるファンタジーは美しく、切実に感じられた。

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    2024年06月26日
  • 地球にちりばめられて

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    ドイツ在住の作家の描く(日本にとっては)ディストピア小説。代表作「献灯使」と違い、不思議とのんびり明るい。移動時間に少しずつaudibleで聴いて約3週間、約9時間でやっと終えた。矢野敦史さんの朗読で、女性語り部分は違和感あるが、途中女性に変化しつつある人も出てくるので、これはこれで良かったのかもしれない。

    第一章はクヌートが語り手。デンマークのコペンハーゲン大学の言語学者。テレビで見て、自前の言語を作ったヒルコという女性と知り合う。忽ち彼女に魅了される。クヌートは彼女の「今や消滅した国の言語を話す人を訪ねる旅」に付き合うことにする。

    第二章はヒルコが語り手。どうやら1人語りの時は人工語で

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    2024年05月08日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    多和田さんの小説としては幻想的な部分が少なくて読みやすかった。
    第一部は様々な性格の尼僧たちと修道院の様子が面白くて時間を忘れて読んだ。
    第二部は主人公の流されてしまう性格が身につまされてなかなか読み進められなかったが、つらかった分ラストが良かった。

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    2024年03月13日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    酉島伝法さんの作品を読んでいて「山尾悠子っぽいなあ」と思い、[酉島伝法 山尾悠子]で検索したら酉島氏のインタビュー記事がヒットし、みるとやっぱり影響を受けているようで、そこで山尾氏と同時に挙げていた作家さんが多和田葉子さんでした。多和田氏の作品の中から本作を選んだ理由は、表紙にホッキョクグマが描かれていたから。読んでみたらマジでずっとホッキョクグマの話だったから、とてもよかった。高校2年生の秋に北大銀杏並木のライトアップを見に行ったとき、路上ライブしていた北大生水産学生がホッキョクグマについて熱く語っていて、その時のことを思い出しながら読んだ。本作に出てくるクマたちは皆どこか、あの水産学生の女

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    2024年01月30日
  • 犬婿入り

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    新感覚の小説だなと感じました。 
    「ペルソナ」は、ドイツに住む日本人の道子が
    人種による偏見に苛まれて、様々な国の人たちに出会い、それぞれの国でも、偏見があると知りながら、東アジアで一括りにされることに嫌悪感を
    抱く弟の和男との共同生活にも、違和感を感じていく、著者自身が、ドイツに住んでいることからも、自身が体験したことも反映されていると思います。 
    「犬婿入り」は、ある塾を中心に繰り広げられる不思議なストーリーでした。言葉が一つ一つ胸に響いてきますね。太郎の奇妙さも際立ちます。

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    2023年12月29日
  • 穴あきエフの初恋祭り

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    書店でタイトルと帯が気になり買ってみました。
    詩的で色っぽくて文字を追いたい欲求を刺激してくれますね
    同著者の本も読んでみたいなー

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    2023年12月19日