多和田葉子のレビュー一覧

  • 白鶴亮翅

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    心待ちにしていた単行本をやっと手に取った。というのも朝日新聞連載時に最初の数日分を読み忘れていたのだ。主人公のちょっとした心模様を淡々と描いた作品なのであまり影響はなかったが。
    ドイツに暮らす移民同士の親密すぎない日常を飄々と物語る、まさに多和田葉子にしか書けない文面は心地よく、独特のユーモアに心をくすぐられる。
    太極拳にも興味が湧いた。

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    2023年07月31日
  • 犬婿入り

    購入済み

    不思議、と、多文化

    犬婿入り、不思議に感じながら読んだ。
    子供の視点があるから、
    汚いのかエッチなのか
    はぐらかされてしまう。
    綺麗な先生でこんなことをされてるんだと
    美女と野獣みたいにも思える。
    そこに可哀そうな女の子がからんで、
    それから超人的なことが
    修行で身につくとか
    触れてあったと思う。
    はじめの、町の描写、周りの様子から入って
    剝がれかけたようなポスター、
    うわさとかから先生にだんだん
    フォーカスされたのがおもしろい。
    最後も、あれっと思ううちに
    狐にでも化かされたように
    不思議のうちに終わった。
    ペルソナ、は読み忘れてた。
    そういえばとばしたんだ。
    読んでみたら読みやすい。
    最初のあたりからして、ど

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    2023年07月30日
  • 白鶴亮翅

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    「地球にちりばめられて」が非常に面白かったので、読み始めた。同じようにストーリーはなく、次から次へと会話が進むように流れていく。主人公の美沙は現在ベルリンに1人で住んでいる。日本にいた頃は目立たない存在だったが、ドイツに来ると突然周りの人から注目され魅力ある存在へと変わっていく。日本では出せなかった自分がドイツでは自然に溢れてきたからだろう。夫が日本に帰ってからも、ドイツを離れがたく結局離婚して、翻訳で身を建てて生活している。隣人のMに誘われて太極拳学校へ通い始める。隣人Mや太極拳学校の仲間との交流を描いて社会、歴史、現在がかかえる問題など様々なことが描かれている。太極拳の教え方が、日本とは全

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    2023年07月17日
  • 白鶴亮翅

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    ベルリンに暮らす主人公は夫が帰国してからも、ドイツでの暮らしを選び一人暮らしをしている。年齢は恐らく50代後半より上のよう。隣人や大学院時代の友人夫妻との交流、太極拳で知り合った仲間との付き合いを淡々とした文体で描く。特に大きな事件も起こらない話だけど、自分はこういう話が好きなので買ってよかった。からっとして湿度が少ない不思議な風通しの良さを感じる作品。
    主人公が細々とした翻訳の仕事の収入だけで、一軒家を友人の紹介で格安で借りられて、夫が帰国した後もドイツに滞在し続けられるという設定はいささかファンタジーに近いけれど、まあ小説なのでいいか、という感じ。

    多和田葉子の作品を読むのは初めてだった

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    2023年07月02日
  • 献灯使

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    完全に打ちのめされてしまった。
    震災後のいつかの日本という設定はフィクションだけどフィクションじゃない。
    物語から漂うやるせなさを私は知っている。
    これからの日本のことを考えながら読んだ。

    表題作は勿論、「彼岸」が凄かった。
    どうして原子力発電所の上に飛行機が落ちてこないと言い切れる?
    鈍器で殴られたような衝撃があった。

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    2023年01月29日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    人間は想像できたことしか実現できないと何かで見聞きしたけれど、では想像できたことなら実現できるということなのだろうか。この本を読んでいるあいだじゅう、ずっとそんなことを考えていた。じぶんのなかには絶対にあり得なかった、あり得る可能性にもまったく気付かないままの物語はまさに未知で楽しかった。うつくしい冬の描写にときめき、おもいでの鮮やかさにこうべを垂れ、深く深く流れる憧れに空をあおいだ。冬場れが広がっているきょうに読み終えることができてよかった。夏の褒美が冬ならば、冬の褒美が夏なのか。一年が終わりを迎える。

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    2022年12月30日
  • 百年の散歩(新潮文庫)

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    10の短編
    全てに出てくる「あの人」、とは何者なのか
    ドイツの通りを歩けばプラタナスの木や墓地のレリーフ、閉店したお店の写真、様々なものが葉子さんに語りかける
    孤独遊びが癖になってしまって人生の内容になってしまった
    慰められる言葉です

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    2022年12月19日
  • 献灯使

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    多和田葉子氏の著作は初めてです。「震災後文学の頂点」という売り文句に惹かれ、そのまま読過していました。

    著者はノーベル賞の時期になると村上春樹氏と共に名前が挙がる程、海外では評価されている方。私はかなりハードルを上げていましたが、それを容易く超える作品でした。1つ1つの美しい表現の洪水に感動し、その度に友人にその文を送りつけるほどです。

    私のお気に入りは大厄災に見舞われた日本列島に暮らす家族を描いた表題作『献灯使』と、人類滅亡後の世界を戯曲で描いた『動物たちのバベル』です。

    「当たり前」は「当たり前でない」ということが認識されつつある現代で、両作品は輝きを増してゆくでしょう。

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    2022年11月15日
  • 溶ける街 透ける路

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    文章の透明感に吸い込まれそうな感じ。観光では行かないような街、全く知らなかったような街が多かったのに、実際に自分も旅している気分になった。

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    2022年10月27日
  • 言葉と歩く日記

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    私は中国語と日本語の間で著者のように行ったり来たりしている。
    共感し、驚き、感激し、とにかく読み終わるのが嫌だった。

    もっともっと続きが読みたい。
    外国語の語感を通して日本語を深め、それを日本語で思考した後外国語でもう一度表現してみる。
    そういう作業を楽しんだ。

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    2022年08月22日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    ネタバレ

    エクソフォニーとは母語の外に出た状態一般を指すそう。移民ではなくとも外国語で書く人がいる。意思疎通のために独自言語として進化したというわけでもない。日本語とドイツ語で本を書く著者の母語の外を巡る紀行文であり、言葉に対するエッセイ。母語しか扱えない(それもたまに危うい)身としては、母語と外国語の狭間を生きる感覚がどういうものなのか、体感できないゆえに羨望を覚える。思索は尽きない感じがした。

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    2022年06月23日
  • 雲をつかむ話/ボルドーの義兄

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    文章は何か過剰な気がするけど、話は面白かったです。

    終盤の主人公(小説家・詩人)と友人(女医)の会話:
    「まだベルリンに帰っていなかったんですか。」「わたしも泊まります。」「その必要はありませんよ。風邪をひいただけですから。」「一人でいてはいけません。」「孤独はわたしのテーマじゃないんです。」「でも今夜は高い熱が出るかもしれません。」「高熱もわたしのテーマじゃありません。」「さっきからこれもテーマじゃない、あれもテーマじゃないって言っているけれど、それならあなたのテーマは何なんですか。」

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    2022年03月26日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    しろくまの話。ちょうどロシアのどこかの街にエサを求めたしろくまがたくさん来たというニュースを見た。他の人にはこんな話書けないよね。

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    2022年03月12日
  • 百年の散歩(新潮文庫)

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    「でも、わたしにとっては負の世界に分け入っていくことの方が美味しいものを食べることよりも魅力的なのだった。」

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    2022年02月24日
  • 献灯使

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    友達にお知らせしてもらった多和田葉子の作品。
    独特な表現と底知れない不気味な感情が押し寄せてくるんだけど、惹きこまれてどんどん読み進めてしまった。
    5編あったけど、全部が表題作に結び付いていて、色んな視点から震災後、鎖国状態になった日本というものを描き出していて、とても面白かった。

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    2022年02月18日
  • 犬婿入り

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    ネタバレ

    2編収録。
    ・ペルソナ
    ドイツに姉弟で同居する道子。二人はそれぞれ留学中の身である。ドイツ中世文学をやる弟、道子はドイツ現代文学を研究中だが、成果なく、奨学金を得られなくなり細々したバイトに明け暮れている。
    自分に向けられる差別、自分以外の外国人に向けられる差別、日本人の奥さんたちと弟が持つ差別感情。道子は常にそれらを感じながら生きている。
    作者の体験から出てきた作品なのだろう。肌感覚の嫌な感じがうまく文章から伝わりゾクゾクする。

    ・犬婿入り
    面白すぎる。だが笑って済まされるものではない不穏な物語だ。民話にありがちなエロさ、不潔さ、理不尽さをきちんと備えた、しかしちゃんと現代の話である。なん

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    2022年01月01日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    フランス語がわからない著者がその環境に10日間ほどいたときの、夢の話が興味深かった。"ちょっと空気が震えただけで、泣いたり、喚き散らしたり、人を殺したくなる"という一文の凄み。ぐっとくるを通り越してなんかもう、ウッとなった(もちろんいい意味です)ここからもいい意味で、わりと怒りを感じるところに人間味を感じた。

    そのほかにもいいなあとじわじわ感じるところが多々あり、ほかの方も感想に書いてらしたけれど、多和田さんの言葉に対するこだわりや真摯さを感じられる。言葉えらびがすてきで、くり返し読みたくなる文体でした。読んでよかったです。

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    2021年12月03日
  • 百年の散歩(新潮文庫)

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    小説だと思って読みはじめたからか最初は読みにくかった。
    小説ということだけど、小説というより多和田さんが散歩をしていて、考えていることをつらつら垂れ流しにしているエッセイという感じで、一緒にベルリンの街を、時空を、思考の中をふらふら歩いている気分になる。
    特に最初の方は、言葉遊びが樋口一葉と雰囲気が似ていて川上未映子が好きそうな感じだなと思った。
    「別宮、別宮浮かん、別空間」、「おつまず、つままず、つつましく、きつねにつままれ、つまらなくなるまで」

    ★「シーン」があるのは映画の中だけのことで、現実にはシーンなんてない。切り取ることのできない連続性の中を突っ走っていくだけだ。

    ★出逢ったかも

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    2021年12月01日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    日本語とドイツ語で創作する作家の母語をはなれることと、そこから何かを生み出すことに関するエッセイ集。

    エクソフォニーとは、母語を離れた状態を表す言葉のようだが、フォニーというところに、音楽的なニュアンスがあって、シンフォニーとか、ポリフォニーといった調和感ではないのだけど、一種の緊張感と解放性のある言葉なのかな〜。

    私たちの概念やストーリーがまさに言葉でできていることを日常的なレベル、そして文学作品を作る現場から、すらっと教えてくれる。

    そして、言語の音とか、綴りなどがもつ、呪術性というか、身体性も改めて、伝えてくる。自分の知らない意味の分からない外国語から、何らかの作品を作ってみるワー

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    2021年11月28日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    世界各地の地名をタイトルに、その土地にちなんだエッセイをまとめた第一部と、ドイツ語という言語にフォーカスしたエッセイをまとめた第二部からなりますが、個人的には多和田さんご自身の着眼点の面白さがより詰まった第二部が面白かったです。

    冒頭からずっと読んでいて、色々な単語に対する好き嫌いの記述が本書中に何度も出てくるので「やっぱり言葉に対する感性が鋭いんだな」ぐらいに思っていましたが、第二部の以下の部分を読んではっとさせられました。
    ちょっと長いですが、多和田さんの文章に対する哲学が垣間見えるとても印象的な一節なので引用させていただきます。

    『(前略)ところで、わたしは単語の好き嫌いばかり言って

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    2021年10月19日