多和田葉子のレビュー一覧

  • 尼僧とキューピッドの弓

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    この作品は修道院を舞台としており、個性的な尼僧たちが共同生活を営んでいる。主人公は取材にやってきた日本人作家である。しかし小説には一つ見落とせない空白がある。キューピッドの矢にハートを射られ駆け落ちしてしまったと噂される元尼僧院長である。
    第一部は主人公が小説を書けるようになる小説である。最後の方で主人公は、まだ自身が想像もしていない、後に書かれるであろう未来の作品(虚構)を先取りしているかのような(?)老女のおかげで、目の前の壁が幕に変わり舞台(虚構)が現れる体験をする。作品を書けるようになったということだ。
    第二部は、第一部で不在の中心としてあった尼僧院長が、主人公が書いた第一部の英訳を読

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    2014年02月15日
  • 言葉と歩く日記

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    いゃーこれは面白かった。枕草子には「神経にさわるもの」がなく、「にくし」で表現されていることなど、興味深い考察がいっぱい。推敲について「深い眠りが良い推敲の条件」と記しだところも共感できる。
    ドイツにいて日本を、日本語を考える。文章を物質として見る。単語一つ一つを物として観察すること、などなど、言葉について考え、言葉が好きな人なら、きっと面白く読めると思う。
    ドイツの暮らしや空気感も、文章から感じられるのもまた楽しけり。

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    2014年01月27日
  • 言葉と歩く日記

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    こーれは、面白かった。考えること=言葉。生活すること=言葉。
    映画「ハンナ・アーレント」を観た日に読んでいたら、「〜ゆうべは友達と近所の映画館で『ハンナ・アーレント』を観た。〜」という文章が出てきてビックリ。なんたる共時性!

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    2014年01月20日
  • 飛魂

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    読み始めると、ひんやりと湿った心地よい場所に私は陥る。
    そこからなかなか抜け出せずに、このストーリーを盗み見する。

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    2014年01月05日
  • ゴットハルト鉄道

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    多和田葉子さんをちゃんと読んだのは初めてです。
    「無精卵」が、言葉は驚くほど滑らかでここち良いのに出てくる人物がみんな不思議でアクが強くて、穏やかに流れる底に蟠っているヒリヒリする感じが何とも言えず魅力的だった。
    なんかそんな気がしたんだけど、書き出しがああだし、やっぱりそうだったの?という。でもそうじゃなくてもいいや。

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    2013年11月17日
  • 光とゼラチンのライプチッヒ

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    「光とゼラチンのライプチッヒ」(多和田葉子)を読んだ。多和田葉子さんの作品を読むのがこれで何冊目かは忘れてしまったけれど、読むたびに唸らされる。身悶えしそうなくらいに刺激的であるのだ。私の中では間違いなく現時点における最高の書き手のうちのお一人である。
    今回は「ちゅうりっひ」でちょっと躓いてしまいましたが、あとはどれも好きです。特に「盗み読み」がいいな。

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    2013年06月26日
  • 飛魂

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    虎使いになるべく森の中の寄宿舎に学ぶ女性だち。閉鎖的な小さなコミュニティで彼女たちは師匠の寵愛を切望しながら、己の欲望を持て余し、言葉による官能が交錯する。漢字そのものの解釈が言葉の本質を味わう快楽へ読者を誘うだろう。果たして「虎」とはなんなのか。文学でしか表現し得ない小説の真髄がここにあり、読者の想像力が試される。もしかするとこの題名は言葉には実体はなく、魂の交歓でしか人の心は理解し得ないという象徴か。

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    2013年04月02日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    「90年代を代表する文学はどんな文学かと聞かれたら、わたしは、作者が母国語以外の言語で書いた作品、と答えるのではないかと思う」

    と言い切る多和田葉子氏の著作で、解説は英語を母語としながら日本語で捜索活動を続けるリービ英雄氏。
    『エクソフォニー』という表題は耳慣れないが、副題は「母語の外へ出る旅」。
    そうなれば本書のテーマは明らかだろう。
    要するに「母語を相対的にとらえる」ということになるのではないか。

    我々は当たり前のことだけれど母語に依拠して生きている。
    それはつまり、母語の世界観を前提にした考え方やものの見方しかしていないということだ。
    筆者の多和田氏はそうした我々の「思い込み」を突き

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    2013年03月31日
  • ゴットハルト鉄道

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    感情ではなく身体で知覚していく登場人物。
    心という概念が誕生する以前の人間は、おそらくこれほどまでに繊細な肉体を持ち合わせていたのだろうと思いを馳せる。

    出逢ったことがない光景の描写なのに、どうしてこれほどまでに脳内で鮮明に再生されるのだろう。
    表題作は、特にそういった表現もないのに、少し霧がかった情景がずっと浮かんでいた。

    ドイツ語で綴った自分の作品を初めて翻訳してみた作品でもあるという。
    翻訳、とは、表題作同様、長いトンネルの先に現れる景色と向き合うことだとのこと。

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    2012年05月13日
  • 旅をする裸の眼

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    言葉が通じない異国に住む主人公。ドヌーヴの演じる役がすべて混ざり合い、映画のストーリーがとけあっていく。すべての要素が好みだった。こんなすごい作家がいたのかと驚いた。この作家の作品をもっと読んでみようと思う。

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    2010年03月16日
  • 海に落とした名前

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    初、多和田葉子。
    この人の言葉の力はすごい。

    "言葉で遊ぶ"
    簡単そうで簡単でないことを、簡単にやっているようで、多分簡単にやっていないとこがすごい。

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    2009年10月04日
  • 海に落とした名前

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    久々に小説を読んでいて薄気味悪さを感じた。それがどこから来るのかをまだしっかり考えてはいないのだけど。

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    2009年10月04日
  • 地球にちりばめられて

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    ネタバレ

    おもしろかった!!何の伏線も回収しないまま自由に終わっていったと思ったら続編もあるのね!
    多和田さんの他の作品をもっと読んでみたくなった。

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    2025年12月30日
  • 研修生

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     500ページを越えるぶ厚い本を手に取り表紙をめくる。2段組みでないことに少し安堵の気持ちをおぼえ読み始めた。文章は平易な表現で、読みやすいリズム感がある。比喩の巧みさも含め、若いころに読んでいた開高健さんを思い出した。
     
     主人公はドイツの出版取次会社に研修生として働き、公私を含めた日常を淡々と書き綴っていく。我々の生活に時間の区切りがないことと同様に、全編章立てもなく書き綴られる。淡々と、連綿と。
     研修生として転々と業務が変わる様子、職場ごとの人間関係、帰宅すると現れる友人たちや家主さんたちとの関係。人間の内側を伺いながら同じような日常が繰り返し描写されていく。同じような日常の中で気づ

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    2025年12月27日
  • 研修生

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    ドイツハンブルクで研修生としてアルバイトのような立ち位置で働く主人公の日々の記録.日記のような,そして最後が最初につながる小説のような自伝風物語.仕事の内容も,異国での交友,文化の違いや部屋を借りるといった生活のさまざまなことが丁寧に書かれていて面白かった.
    そして何より小説を書きたいという気持ちが息苦しいほどに感じられた.

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    2025年12月26日
  • 地球にちりばめられて

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    多和田葉子さんの著作を読むのは初めて
    割と最近(2018年)の作品

    母国語とか出身がどことか手作り言語とか

    話は続くようで続編も購入済

    感想は全部読んでから、というわけではなく何を書いていいか分からない
    語らず浸ればいいんだよ、というような作品(か?)

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    2025年12月16日
  • 研修生

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    ドイツに研修生として書籍の苦情処理
    から注文受け入れ 印刷 販売
    などあちこちの部署を回り
    それぞれの担当者とふれあい週末になると泊まれる場所を提供する友人にも
    出会う
    たまねぎ

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    2025年12月13日
  • 地球にちりばめられて

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    初めて多和田葉子さんの作品を。架空の、近未来?のお話なのかな?でも現実と地続きで、なんとなく考えさせられるというか、世界レベルで評価されてる作家さんぽいので、海外文学的でもあり、読み応えあって、でも読みやすくて惹き込まれました。他の作品もぜひ読みたい

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    2025年12月08日
  • 研修生

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    まるで日記のように、日々のあらゆる細かい事ごとも見逃さない、その光景、匂いなどが本を通して漂ってくる。
    まるでその場にいるかのように感じる、表現力の
    豊かさに脱帽だった。
    全てにおいて、細かく丁寧に描かれた文章は
    とても素晴らしく、「こんな書き方がらあるんだ。」
    と思わせられた。

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    2025年12月07日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    文字の羅列が意味を成し、眺めるともなくそれを見ていると、不意に情景が立ち上がる。すると集中力が増してくる。集中力は、集中力を呼び、やがて文字の羅列は、文章であるのだと理解する。読み耽るといった表現がそのまま当てはまるのは、こういうことだな、と確信を持つ。客観的に僕自身を眺める感覚。それがつまり、僕の読書だ。思う存分愉しめた。
    言葉の意味を転がるような視線で追いかける。とても興味深い物語だった。ときに世の「哲理」を示唆するかの描写、物語の中とはいえ、はっとした。
    核心に触れたかどうかは、わからない。絶えずザクザクとした手触りを感じていて、どこか不穏な気配をも感じつつ。それは言葉か。状況か。物語の

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    2025年11月25日