多和田葉子のレビュー一覧

  • 変愛小説集 日本作家編

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    川上弘美さんの、愛した人の骨の話が、秀逸だった。自分には、強烈な作品もあったが、面白い企画だと思う。

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    2021年11月18日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    新型コロナで経済格差は拡大し社会の分断は深まり、暮らしや文化のありようも大きく変わった。歴史の転換期とどう向き合えばよいのか。各界で活躍する精鋭たちが「変化」の本質に迫る。『朝日新聞デジタル』連載を書籍化。

    それぞれの話をじっくり読みたい。

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    2021年11月16日
  • 献灯使

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    談社文庫)
    環境破壊され、農作物も採れない近未来。 ありそうで怖い。昭和半ばに生まれた世代は長生きで平成令和に生まれた子は弱くて薄命。昭和の中頃は放射能の汚染などの自然破壊は少なかっだと言う事なんだろうな。読みやすい本ではなかったけど読んで良かった。

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    2021年11月08日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    北極熊のクヌート、その母トスカ、そして祖母の三世代の物語。作家である祖母の再三の亡命に伴い変化する言語への困難な適応、母トスカと女性調教師ウルズラの夢の中での異種間コミュニケーション、娘クヌートとマティアスの親子同然の信頼関係とクヌートの言語認識過程や自他の理解等々が人間と熊の目を通して語られる。更に、異種の動物間では単一の共通言語での会話が可能な反面、亡命の度に異なる言語の習得が必要な人間界の煩雑さや、自由移動の障害となる、紛争や覇権争いにより構築された国境や体制などの数多の問題が重層化され、自己レベルでの解釈で読み進まずを得られなかった。作者の意図とは関係なく、動物との会話が可能な状況で、

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    2021年10月20日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    ドイツの尼僧修道院の中に、日本から来た女性作家が潜入取材する、第一部が印象的。

    人生のありとあらゆる大波を乗り越えた、未婚、あるいは離婚した女性たちが集まる修道院が、実は不調和だというのも、よくよく考えれば納得できるものがあり、何千年もの歴史を等しく重ね続ける建造物とは対照的に、理想や妄想でない現実的な人間味を、住んでいる尼僧たちに感じられたことに、むしろ好感を持った。

    こういうのもハイブリッドというのかもしれない、なんて思っていたら、第二部での、「個人に本当に選択の自由があるのか」という、昔からあるような因襲的な問いかけに自ら飛び込んでいくような、彼女自身の歴史が、思いのほか印象に残らな

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    2021年10月19日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    全部が◎ではないけれど、示唆に富む意見を読むことができる。
    旦那→ロバートキャンベルさん「「見つめ合わない」日本は貧困が見えにくい」が1番腑に落ちた。
    私→多和田葉子さん「日本の不思議はダメ政府と良心的な市民かもしれません。」メルケルさんと比べられちゃうとなあ…とトホホな気持ちになる。
      パオロジョルダーノさん「複雑な問題には単純な解決策は存在しない」まったくその通りというほかない。その逆をいく多数派の意見に、静かに抵抗する日々。

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    2021年09月26日
  • 私たちはどう生きるか コロナ後の世界を語る2

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    コロナによって浮き彫りにされてきた、日本(人)の弱点や、今まで当たり前だったこと、生死観、人同士の距離感などについての、国内外20人の著名人によるインタビュー・寄稿。
    柳田邦夫さんの、コロナによる死は「あいまいな喪失」(生きているのか死んでいるのか分からない別れ)による残されたものたちの葛藤だという見方が印象的でした。

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    2021年09月14日
  • 献灯使

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    鎖国を続ける日本。老人は100才を過ぎても元気で死ねず、子供たちは歩くことすら儘ならない。
    風景も、時代も、経緯もその全てが霧に包まれたようにぼんやりと描かれていて、読み手側の想像だけを膨らませるような手法。原発や戦争や、災害や温暖化など、さまざまな要因を思う。
    体力のない無名は着替えることすら非常に難儀するのだけれど、それを楽しんでやっている。その光景は退化なのか進化なのか、人間のゆく先は果たしてどちらなのか?考えながら読みました。

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    2021年08月18日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    とても不思議な物語だった。ホッキョクグマがサーカスで舞台を降りて亡命作家になっていたり、なぜか人間と会話しているのにそれが自然であるかのように描かれている「祖母の退化論」をはじめ、ソ連時代、冷戦を生きるホッキョクグマ3代の物語が綴られる。初めての多和田葉子さんの作品だったけど、気に入りました。

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    2021年05月14日
  • 献灯使

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    放射能で汚染された、とは書いていないがそれを思わせる状況の日本。

    東京23区は人が住めない。子供は痩せ細り、歯が抜けたり、とても健康とは言えない。逆に年寄りは元気で犬とジョギング(と言ってはいけないので駆け落ちという)したり。

    世界観は伝わってきてゾッとしたが、何となく肌に合わず途中で読むのをやめた。

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    2021年03月20日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    日本人としてドイツに移住し、日本語とドイツ語の両方で創作活動を続ける作家、多和田葉子が自身の母語から出るという行為―エクソフォニーーについて、自身の経験や思索をまとめた論考集。

    とはいっても、エッセイのような文体で書かれており、内容は重苦しくない。文学の世界では母語を用いずに創作した作家の多くは、政治的な亡命により異国に渡ったことが理由になっているケースが多い(ロシアからアメリカに亡命し、英語で創作を行ったナボコフのように)。一方、多和田葉子はそうした先例とは異なり、自身の明確な意思によってドイツへの移住を選び、ドイツ語での創作を行っている。このような創作活動を行っている日本人作家は極めて稀

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    2020年06月21日
  • 百年の散歩(新潮文庫)

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    面白かったです。
    ドイツの様々な通りを散歩しながら、あの人のことを考えたり、不思議な人たちに出会ったり、歴史的な物事に接したり。
    言葉遊びも豊かでした。ドイツ語がいきなり出てきますが、意味も書いてありました。
    なかなかおいそれと外出出来ない昨今ですが、状況が落ち着いたらわたしも色々考えたり考えなかったりする散歩に出かけたいと思いました。

    ドイツの「FUTON」に「Hokkaido」という名前が付いてた、という文を見て、昔イギリスに住んでいたことのある同僚が「日本のポッキーが『Mikado』という名前で売ってた」と言ってたのを思い出しました。帝。。

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    2020年06月11日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    恋愛でも偏愛でもなく、変愛。変な愛の短編集。変だけど当人たちにとっては大真面目。
    幻想小説を読んでいるときみたいな、いつの間にか背後にこことは違う世界の気配がぶわっと広がって迷い込んでいくような没頭感を覚える作品が多め。
    一部文章が合わなくて読みづらい作品もあったけれど、そこを乗り越えたらすいすい読めた。
    形見…川上弘美さん
    梯子の上から世界は何度だって生まれ変わる…吉田篤弘さん
    クエルボ…星野智幸さん
    あたりが好み。

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    2020年04月06日
  • 旅をする裸の眼

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    ネタバレ

    ベトナムの優秀な高校生「わたし」が講演のため東ベルリンに行くが、そこから彼女の運命が大きく変わる。
    少女は実在の映画と共に歩み、次第に絡み合っていく。

    これでもかと与えられる不幸に、言葉で言い表せない虚しさや絶望を感じた。文章の淡白な響きに救われることもあった。
    惜しむらくはその映画をひとつも観ていないこと。映画もだが国家や政治、歴史についても知識があったほうが楽しめる作品だと思う。

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    2020年03月23日
  • 海に落とした名前

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    ディテールが細かくて、情景が具体的に浮か巧みな文章だから、すいすい読めるけど、結末がよくわからない。どういう話なのかよく分からないけれど、読後感はとても満足できる

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    2020年02月08日
  • 犬婿入り

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    異種婚を扱った犬婿入りと、ドイツでの留学生活を描いた「ペルソナ」。個人的体験からペルソナの異文化の中での疎外感、隔絶感、差別意識の描き方が好き。同胞アジア人へのちょっとした見下し感(差別とは少し違う)、自分もドイツ人からみたらアジア人であることの劣等感、裏返しのドイツ人への反発。
    犬婿入りのほうは、文章が好き。映像が流れる様に入ってくる感じで。

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    2020年01月01日
  • 犬婿入り

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    多和田葉子の中編集。表題の「犬婿入り」と「ペルソナ」の2作品が収録。
    以前に読んだ「献灯使」が心に残ったので、芥川賞受賞作品である本書を手に取ってみた。

    「犬婿入り」は芥川賞受賞作。39歳の学習塾を開いている女性を中心とした不思議な物語。
    「ペルソナ」はドイツに留学している姉弟の話。姉の視点から日々の生活が描かれ、外国で日本人として暮らす姉の心情風景が描き出される。

    「犬婿入り」は、芥川賞受賞作らしく、非常に難解であった。実際に犬が婿にくるような話なのであるが、それがエロティックというか、気持ち悪いというか、心にざわざわ感が残るというか、何とも読後の印象の不思議な物語だった。

    「ペルソナ

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    2019年05月27日
  • 海に落とした名前

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    4編を収めた作品集。
    「U.S+S.R. 極東欧のサウナ」サハリンという場所が帯びる政治性と歴史性に触れながら、言葉遊びを絡めた文章が多和田さんらしい軽やかさを纏っている。
    「土木計画」克枝さん、何か妙だと思いながら(多和田さんの小説は大概妙だったりするので)特に気にせず読んでいったら、そういうことだったんだ。
    「海に落とした名前」記憶を失い名前を忘れ自分に紐付いた一切を喪ってしまう語り手。唯一所持していたレシートの束から即興で言葉を紡いでいくラストは、相反するような解放感と不穏感とを感じさせた。

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    2019年03月19日
  • ヒナギクのお茶の場合

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    バラエティに富んだ5作品を収録した作品集。
    「枕木」は何と言っていいのか感想に困ってしまうが、絶えず焦点をずらされ横滑りしていくような感覚。
    「雲を拾う女」何なの?哺乳ビンの乳首になってしまう(わたし)。火を吹き、鏡に映らないコウモリと呼ばれる女。寓話や幻想とは違う。あまりにも輪郭がはっきりとし過ぎていて。意味とか脈絡とかそんなのよく分からないままに、ひたすら読まされてしまう。
    「ヒナギクのお茶の場合」語の反復とか文体のリズムとか、読んでいて楽しい作品。友人ハンナへの語り手の好感が滲んでいる。
    「所有者のパスワード」多和田さんにこんな作品あるんだ、と意外性に驚く。ラノベの恋愛モノ読んでコマ割り

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    2019年02月27日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    恋愛ではなく「変」愛を集めたアンソロジー。 
    どこへゆくやら全くわからない。
    予想も付かない展開、意味さえわからなくなるけれど、なぜか読むのを止められない引力。
    奇妙な、強烈な印象を残す読後感です。
    面白かった。

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    2018年08月16日