多和田葉子のレビュー一覧

  • 犬婿入り

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    これが多和田葉子の世界、という短編2編。

    純文学はその作家の個性がわかると、あるいは立ち上がってくるものがわかるとなかなか面白いものです。芥川賞の「犬婿入り」の雰囲気もそうですが「ペルソナ」の方はその入り口という感じでしたから、より理解しやすかったですね。

    「ペルソナ」は作者の分身のような道子さんの、ドイツ留学における生活のもろもろの遭遇と心模様を描いています。移民を認めているドイツには様々人種が集まっている。わたしたちがヨーロッパの人種を判別しがたいように、自分たち日本人や韓国人、中国人を東アジア人としてまとめられる経験をする。違和感や嫌悪感を感じる人(道子さんの弟)もあるが、道子さん

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    2019年11月17日
  • 犬婿入り

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    春樹の次(寧ろ春樹以上⁉)に、ノーベル賞に近いとされる作家に初挑戦。話題の”献灯使”からとも思ったけど、とりあえず芥川賞作品から。中編2作を収録していて、表題作は後半なんだけど、なんせ前半が辛かった。『~った』がひたすら多用される文章の意図も何となくは分かるし、人種問題も理解はできるんだけど、物語としての魅力が…。表題作も、唐突に犬婿が入ってきたり出ていったりで、実際問題良くは分からんのだけど、何となくおかしみはあってまだ良かった。

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    2019年09月30日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    「恋愛」ではなく「変愛」…変わった形の愛が描かれたアンソロジーです。
    面白かったです。
    ディストピア文学が大好きなので、「形見」が好きでした。工場で作られる動物由来の子ども、も気になりますが、主人公の子どもがもう50人くらいいるのも気になりました。色々と考えてしまいます。
    「藁の夫」「逆毛のトメ」「クエルボ」も良かったです。藁の夫を燃やす妄想をしたり。クエルボはラストは本当に名の通りにカラスになったのだろうか。。
    多和田葉子、村田沙耶香、吉田篤弘は再読でしたがやっぱり良いです。
    岸本佐知子さんのセンス好きです。単行本から、木下古栗さんの作品だけ再録されなかったようですが。
    表紙の感じに既視感が

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    2019年08月30日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    普段自分の読むようなジャンルではないけれど、講談社企画の「乃木坂文庫」で鈴木絢音ちゃんが紹介していた本だったので購入して読みました。
    明確なオチはないのですがその時代の情景や人間関係が分かりやすく書かれていてたまにはこういうのもいいなって思いました。
    もっと凝らして読めばまた違う感じ取り方があるんだろうとは思います。自分に感じ取れたかは微妙です。

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    2019年02月04日
  • 犬婿入り

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    ネタバレ

    人は自分と共通点のある似通った人とは仲間になりたがるけれど、ちょっとでも異なる人とは区別したがる。
    生まれた国や言語、文化、風貌、立ち振舞い等あらゆる基準により自分とは異なる者を「異物」と見なし排除し、時に攻撃する。
    まるで多数決で多い方が正義となるかのように。
    『ペルソナ』でのドイツに住む日本人・道子に対して、表情が乏しく何を考えているのか分からない、と言って傷付けたり、表題作の風変わりな塾教師に対して母親達が無責任な噂話を広めたり。

    個人的には芥川賞受賞作の表題作より『ペルソナ』(これも芥川賞候補作)が好き。
    道子が日本人の顔になるために化粧をする姿(素顔ではベトナム人に間違えられるため

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    2018年11月25日
  • ヒナギクのお茶の場合

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    ネタバレ

    多和田さんの自由な文体が相変わらず面白い。
    「電車に乗っていると、どうして電車なんかに乗っているのだろうと思ってしまう」
    出だしから笑った。
    静かなトーンの話からクスッと笑える軽快な話、と多和田さんの引き出しの多さが伺える短編集。
    「枕から枕へ、今夜見る夢から明日の夜見る夢へ」とあるように、多和田さんに夢の世界に誘われたかのようにふわふわした余韻が漂う。

    特に『目星の花ちろめいて』『所有者のパスワード』が好き。
    『目星…』は多和田さんの紡ぐ詩のような言葉遊びが心地好く、続きが気になる終わり方でもっと読んでいたくなる。
    『所有者の…』の姫子が夢中で読んでいた「ボクトーキタン」(永井荷風の『濹東

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    2018年11月05日
  • 言葉と歩く日記

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    ネタバレ

     『地球にちりばめられて』で知った著者。2冊目。こちらはエッセイ。

     その昔、野沢直子が一時帰国をして『笑っていいとも!』に出演したことがある(御存知と思うが、野沢直子は日本で売れた後、武者修行とばかりにアメリカに渡り、現地で伴侶を得て当時はアメリカのショービジネス界で頑張ってた。今も?なのかな?)。

     その時、「今、日本って、なんでも2文字で言っちゃうんですねー」と驚いていた。何のことかと思ったら、「早い」「遅い」「長い」などが、「はやっ!」「おそっ!」「ながっ!」っとなっていると。
     全然気づかずにそうした表現を使ってたけど、そうかー、久しぶりに海外から日本に戻ってくると、そういう違い

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    2018年10月30日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    いくつか読んだことがある作品も収録されていましたが、今までの愛に対する見方を思いっきり揺さぶられる一冊であることは間違いなし。
    どれもこれもお勧め?
    「韋駄天どこまでも」は漢字遊びの要素なので、編者も書いているように翻訳は超絶技巧が必要だなぁ。
    単行本にしか収録されていない作品があるそうなので、単行本も読まねば。

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    2018年07月21日
  • ヒナギクのお茶の場合

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    短編小説が集まったものである。アメリカ風のものが出てくる。タイトルのものは、本人の友人である女性が、舞台美術を仕事としており、疲労のあまり、赤いペンキの上に突っ伏して眠り、それを見た友人が、死亡したと勘違いして自分に連絡してきたという話である。

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    2020年09月15日
  • 犬婿入り

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    芥川賞受賞作品であったがすんなりとはわからない不思議な小説であった。ドイツのことには全く触れられていない。

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    2017年04月27日
  • 言葉と歩く日記

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    ベルリン在住の小説家ということだけかと思っていたら、ドイツ語のことが詳しく書いてあるので、ドイツ語の参考書としても使える。

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    2017年04月22日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    ドイツの田舎町の歴史ある尼僧修道院を訪れた日本人のわたし。そこには様々な人生を送ってきた女性たちが共同生活をしていた。そんな尼僧たちの生活を観察するわたし。しかしわたしに滞在許可を与えた尼僧院長が不在だった。
    透明美、陰休、老桃、火瀬、貴岸。わたしが尼僧たちにつけた呼び名は、その読みを示されておらず非現実感を高めます。しかし彼女たちはしっかりと現実に足を下ろしてそこにいます。
    修道院の尼僧というと人生の全てを宗教に(神に)捧げた人たちなのかと思いましたが、そうとは限らず彼女らの宗教観も様々なものだったのです。それよりは自分の人生をどこかの段階で振り返り、少し方向を変えてみよう高さを変えてみよう

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    2017年04月09日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    尼僧につけられた呼び名の瑞々しさ、僧院内で交わされる言葉の生々しさ。俗世から隔絶された場所という僧院のイメージを覆してくれる。

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    2017年04月05日
  • 飛魂

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    はじめに言葉ありき。
    独特の世界を、独自に生み出した言葉で描いた作品。
    こちらの、想像力も試される。
    スリリングな読書体験。

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    2016年07月21日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    日本語とドイツ語の2ヶ国語で著作をあらわす筆者が、これまで訪れた世界の街での経験に寄せて、創作意欲や表現方法を語るユニークな本。
    多国籍クリエーターたちのエピソードが面白く、また、幼少時に住んでいたわけでもない国に意図的に定住し、その国のことばで作品を出す動機が深い。
    「ことば」をオールにして世界に漕ぎ出し、世界を見つめる姿勢が徹底している。兎角ヒトはあれこれ欲張ってしまうが、定点に構え、じっくり数十年かけて物事を見極めようとすることの重みを感じた。

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    2016年08月25日
  • 言葉と歩く日記

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    多和田さんのことは、これまでにも聞いたことがあった。
    日本で生まれ育ち、二十代で渡独し、日本語とドイツ語で捜索活動をする作家だと。
    ただ、何かすごく前衛的な、オソロシゲな作品なのではないかと、勝手に思い込み、いまだ小説や詩を読んだことがない。
    今回は、日記ということで、手にしてみた。

    2013年の1月1日から4月15日まで、一日も休むことなく記事が続いている。
    その中には、ドイツ語や他の言語と日本語との意味や言い回しの違いを楽しんでいるようなものが多い。
    それはある意味、この人の文章に誰もが期待することなのだろう。
    ただ、思索的すぎないタッチだったので、ほっとした。例えば、「産婦人科」「昭和

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    2014年11月24日
  • 言葉と歩く日記

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    日本語とドイツ語の二か国語で書く作家の「言葉」についての日記。
    意識していれば日々これほど「言葉」に発見があり、疑問が浮かぶものなのか。
    母語以外の言語が理解できることによって、
    違う角度で日本語が見られる多和田さんがうらやましい。
    日本語に対してのフレッシュな気持ちと外国語習得したい欲が高まる。

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    2014年06月29日
  • ゴットハルト鉄道

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    作家の川上未映子が、小説を書く感覚を掴むために「ゴットハルト鉄道」を写したというのを読んだのがきっかけで手にとった。
    「ゴットハルト鉄道」は紀行文のようで、でも、所々に作者の鋭い感覚が伺える表現がある。それが小説であることを表している。
    一番好きなのは「無精卵」どこの国の話なのか分からないし、他にも謎が多い。なのに、生々しさがすごい。「隅田川の皺男」でも感じたけど、女の生々しい臭いを感じる。
    女というと、花とか石けんの良い匂いのする存在であるかのように表現されることがわりとある。けれど、人間も動物であると気づかされる。作中の女からは獣のような臭いがする。
    謎めいた部分が気になって、一気に読んで

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    2014年06月08日
  • 旅をする裸の眼

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    相変わらず独特の浮遊感。
    根なし草のような成り行き任せの日々を送る女性が唯一心を傾けたのは、映画の中の「あなた」。
    次第に主人公の現実世界は遠い物語のように薄らぎ、映画の中の「あなた」への語りかけだけが生気を帯びる。

    よく分からないけど好き。

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    2014年06月05日
  • 言葉と歩く日記

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    ドイツ語は大昔 大学の1年で習っただけなので完全に忘れているが、著者のように自由自在にドイツ語を駆使して小説を書けることが羨ましい.外国語を学ぶ利点の一つに母国語を再認識できる というのがあったと記憶しているが、まさに本書はそれを書き表したものと言えよう.ニヤリとできるエピソードが満載だが、寿司屋のメニューに関連して「本番」について述べている件が面白かった.

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    2014年03月29日