多和田葉子のレビュー一覧

  • ヒナギクのお茶の場合

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    短編小説が集まったものである。アメリカ風のものが出てくる。タイトルのものは、本人の友人である女性が、舞台美術を仕事としており、疲労のあまり、赤いペンキの上に突っ伏して眠り、それを見た友人が、死亡したと勘違いして自分に連絡してきたという話である。

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    2020年09月15日
  • 犬婿入り

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    芥川賞受賞作品であったがすんなりとはわからない不思議な小説であった。ドイツのことには全く触れられていない。

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    2017年04月27日
  • 言葉と歩く日記

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    ベルリン在住の小説家ということだけかと思っていたら、ドイツ語のことが詳しく書いてあるので、ドイツ語の参考書としても使える。

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    2017年04月22日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    ドイツの田舎町の歴史ある尼僧修道院を訪れた日本人のわたし。そこには様々な人生を送ってきた女性たちが共同生活をしていた。そんな尼僧たちの生活を観察するわたし。しかしわたしに滞在許可を与えた尼僧院長が不在だった。
    透明美、陰休、老桃、火瀬、貴岸。わたしが尼僧たちにつけた呼び名は、その読みを示されておらず非現実感を高めます。しかし彼女たちはしっかりと現実に足を下ろしてそこにいます。
    修道院の尼僧というと人生の全てを宗教に(神に)捧げた人たちなのかと思いましたが、そうとは限らず彼女らの宗教観も様々なものだったのです。それよりは自分の人生をどこかの段階で振り返り、少し方向を変えてみよう高さを変えてみよう

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    2017年04月09日
  • 尼僧とキューピッドの弓

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    尼僧につけられた呼び名の瑞々しさ、僧院内で交わされる言葉の生々しさ。俗世から隔絶された場所という僧院のイメージを覆してくれる。

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    2017年04月05日
  • 飛魂

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    はじめに言葉ありき。
    独特の世界を、独自に生み出した言葉で描いた作品。
    こちらの、想像力も試される。
    スリリングな読書体験。

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    2016年07月21日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    日本語とドイツ語の2ヶ国語で著作をあらわす筆者が、これまで訪れた世界の街での経験に寄せて、創作意欲や表現方法を語るユニークな本。
    多国籍クリエーターたちのエピソードが面白く、また、幼少時に住んでいたわけでもない国に意図的に定住し、その国のことばで作品を出す動機が深い。
    「ことば」をオールにして世界に漕ぎ出し、世界を見つめる姿勢が徹底している。兎角ヒトはあれこれ欲張ってしまうが、定点に構え、じっくり数十年かけて物事を見極めようとすることの重みを感じた。

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    2016年08月25日
  • 言葉と歩く日記

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    多和田さんのことは、これまでにも聞いたことがあった。
    日本で生まれ育ち、二十代で渡独し、日本語とドイツ語で捜索活動をする作家だと。
    ただ、何かすごく前衛的な、オソロシゲな作品なのではないかと、勝手に思い込み、いまだ小説や詩を読んだことがない。
    今回は、日記ということで、手にしてみた。

    2013年の1月1日から4月15日まで、一日も休むことなく記事が続いている。
    その中には、ドイツ語や他の言語と日本語との意味や言い回しの違いを楽しんでいるようなものが多い。
    それはある意味、この人の文章に誰もが期待することなのだろう。
    ただ、思索的すぎないタッチだったので、ほっとした。例えば、「産婦人科」「昭和

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    2014年11月24日
  • 言葉と歩く日記

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    日本語とドイツ語の二か国語で書く作家の「言葉」についての日記。
    意識していれば日々これほど「言葉」に発見があり、疑問が浮かぶものなのか。
    母語以外の言語が理解できることによって、
    違う角度で日本語が見られる多和田さんがうらやましい。
    日本語に対してのフレッシュな気持ちと外国語習得したい欲が高まる。

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    2014年06月29日
  • ゴットハルト鉄道

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    作家の川上未映子が、小説を書く感覚を掴むために「ゴットハルト鉄道」を写したというのを読んだのがきっかけで手にとった。
    「ゴットハルト鉄道」は紀行文のようで、でも、所々に作者の鋭い感覚が伺える表現がある。それが小説であることを表している。
    一番好きなのは「無精卵」どこの国の話なのか分からないし、他にも謎が多い。なのに、生々しさがすごい。「隅田川の皺男」でも感じたけど、女の生々しい臭いを感じる。
    女というと、花とか石けんの良い匂いのする存在であるかのように表現されることがわりとある。けれど、人間も動物であると気づかされる。作中の女からは獣のような臭いがする。
    謎めいた部分が気になって、一気に読んで

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    2014年06月08日
  • 旅をする裸の眼

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    相変わらず独特の浮遊感。
    根なし草のような成り行き任せの日々を送る女性が唯一心を傾けたのは、映画の中の「あなた」。
    次第に主人公の現実世界は遠い物語のように薄らぎ、映画の中の「あなた」への語りかけだけが生気を帯びる。

    よく分からないけど好き。

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    2014年06月05日
  • 言葉と歩く日記

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    ドイツ語は大昔 大学の1年で習っただけなので完全に忘れているが、著者のように自由自在にドイツ語を駆使して小説を書けることが羨ましい.外国語を学ぶ利点の一つに母国語を再認識できる というのがあったと記憶しているが、まさに本書はそれを書き表したものと言えよう.ニヤリとできるエピソードが満載だが、寿司屋のメニューに関連して「本番」について述べている件が面白かった.

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    2014年03月29日
  • 言葉と歩く日記

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    22年前(執筆当時)からドイツに住み、日本語とドイツ語でそれぞれ小説を書き、その双方で(それ以外の国でも)評価の高い著者の「ことば」に関する随想。エッセイと呼ぶには(この語の本来の意味はそうではないのだろうが、日本語で言うエッセイには軽すぎるような響きがあるので)、ずっと思索的な内容を持っている。それには、あるいはドイツ語の持つ構造も関係があるのかもしれない。しかも、ここには日本とドイツだけではなく、言語をめぐる著者の様々な体験が注意深く、著者のことばに置き換えられて語られる。言葉の熟成を思わせる如くに。
     なお、未見の映画だが、本書に2回『ハンナ・アーレント』のことが出てくる。ナチスの高官

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    2014年03月19日
  • 球形時間

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    タイトルからは難解な小説を予想して読み始めたが、ここで描かれる世界も文体も多和田葉子のそれとは随分違っていて、一見したところは普通の高校生の日常が描かれるかのようだ。作中の視点人物は3人。サヤとカツオ、これに担任教師のソノダヤスオのそれが加わる。もっとも、最初から随所に不穏な感じがないではない。ことにコンドウとナミコの存在と行動が、この世界に異和を混入させる。それでも、小説の中を流れる時間は、ともかくも日常だ。「序・破・急」の急は、まさに唐突に訪れる。最後に至って一気にシュールな世界に呑みこまれるのだ。

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    2014年01月13日
  • 言葉と歩く日記

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    多和田葉子による多和田葉子の<自分観察日記>。ストイックに、だけど遊び心のある言葉への実験的精神。真摯で、ときに柔く毒舌。日本とドイツ、文化と言葉の峡谷を両面ナイフの右の刃左の刃を順繰りに見せながら、ゆっくりと渡っていく。そんな姿が見えた気がした。付箋をぺたぺた貼りながらの読書。

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    2013年12月31日
  • ヒナギクのお茶の場合

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    見ると1990年代に書かれた話ばかりなのに、全く古さを感じさせない。
    目星の花ちろめいてのあやめびとの話は他の作品でも使われていたモチーフだったけど、印象がまた違くてよかった。
    20131221

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    2013年12月21日
  • 海に落とした名前

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    多和田さんの小説に出てくる人間はみんなどこかずれている。天然とか主張が強いとか協調性がないとかいう性質の問題じゃなく、むきだしのまま成人しちゃったような感じ。子供みたいっていうのとは違う。私たちが元をたどれないほど昔の祖先、もっと人間が素朴で凶暴だっただろう頃の時代からぽんと現代に投げ出されたような絶妙な違和感に包まれている。
    むきだしのままなのに世界に怯まない。妙に強い。

    4編入り。

    表題作と「土木計画」が良かった。
    「土木計画」ああ、そうだったのかと最後で実はこの作品に大きな謎があったことに気付かされる。

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    2013年12月16日
  • 旅をする裸の眼

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    「わたし」(物語の語り手)の眼は現実の光景を見る以上に、スクリーンの中の「あなた」(ドヌーヴの演じる女)に注がれる。現実の「わたし」自身も運命に翻弄されるのだが、「わたし」のアイデンティティは、あくまでも「トリスターナ」の、あるいは「インドシナ」の中で役柄を演じる「あなた」と共にある。しかし、フランス語を解しない「わたし」には言語による共感ではなく、「視る」ことにおいてのみ自己を「あなた」に投入していく。作中の「わたし」も、作者もそこに「歪み」があることを重々に承知しつつ。本当に見事な小説空間だった。

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    2013年11月26日
  • 海に落とした名前

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    短編集、文句なく面白かったです。

    エクソフォニーでホモエロティックな三人の男が舞台の上でくるくると入れ換わる「時差」。笑うとこなどないのに、なんとなくスラップスティック。最初に自分が”盆回し”をイメージしちゃったからかも。

    しかし、なんと言っても表題作!気づいたら自分も名前を失くしてしまっていた!

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    2013年05月23日
  • 海に落とした名前

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    始めは「何だこれ?」と疑問符だらけで読んでいたが、この不思議な感性に慣れると次第に虜になる。
    無機質で知的な言葉の遊戯。

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    2013年01月28日