多和田葉子のレビュー一覧

  • 旅をする裸の眼

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    異国へ迷い込み、流されていく女性の生を追う。

    眼差しには権力が宿る、という言葉があるように、人の視線には常に意味が込められます。「裸の目」という表題はそうした眼差しの意味を排した、あくまで説明的というか冷徹に出来事が語られていくこの本をよく表していると思います。
    過酷でドライな内容です。なかなか無い雰囲気の本なので戸惑いつつも、その独特さに惹かれました。

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    2012年10月22日
  • 海に落とした名前

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    ベルリンで日本語教師をする日本人マモル、
    ニューヨークでドイツ語を教えるドイツ人マンフレッド、
    東京で漫画家を目指すアメリカ人マイケルの三角関係。
    「時差」
    稚内からサハリンへ渡りガガーリン公園を、運動場を、丘を見て
    戦争の残滓を見つける
    「U.S.+S.R. 極東欧のサウナ」
    全てが合理化されて部下とは顔を会わせない女社長の麻美は
    家ではみみちゃんを可愛がり老齢の克枝に手を焼いている
    「土木計画」
    乗っていた飛行機が不時着して私は機内に荷物と記憶を置いてきてしまった。
    残されたのはポケットいっぱいのレシートの束だけ。
    担当医の甥の後藤とその妹の三河と共に推理を重ねる
    「海に落とした名前」

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    2010年12月26日
  • 球形時間

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    あまりにも読みやすくて拍子抜けしてしまうほどですが、
    登場人物たちの妄想や、相互の交わりを考えると、
    読み終わっても噛み締めるように心に残っています。

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    2010年11月11日
  • ヒナギクのお茶の場合

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    ドイツ在住の芥川賞作家、多和田葉子。
    いま個人的に一番気になる人。彼女のエッセーは読んだけど、文学作品を読むのは初めて。

    どの短篇も独特の不思議世界が構築されてます。
    この世界観と言葉の感覚かなり好きです。
    クセがあるので好みは別れそうだけれど。

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    2010年05月19日
  • ヒナギクのお茶の場合

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    緑の髪の舞台美術家と小説家のわたしの交友を描いてえもいわれぬ
    可笑しみを湛えた表題作、恋愛小説ぐるいの少女が“ボクトーキタン”
    を追体験する「所有者のパスワード」ほか全8篇。日本語小説の閾を
    見据えたスリリングな最新短篇集。 第28回泉鏡花文学賞。

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    2009年10月07日
  • 海に落とした名前

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    記憶がない。自分の名前がみつからない。手がかりは、ポケットの中の
    レシートだけ。スーパー、本屋、ロシア式サウナ…。眩暈と笑いが渦巻く
    短篇集。表題作のほか、「時差」「土木計画」など全4篇を収録。

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    2009年10月07日
  • 海に落とした名前

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     多和田作品を読むのはこれで3作品目。ドイツで暮らし日本語で綴る作家らしく、軽やかで不可思議で面白味をたたえた作品集です。4編収録。 ベルリンの日本人マモル、ニューヨークのドイツ人マンフレッド、東京のアメリカ人マイケルが過ごす3人3様のとある一日の様子を切り取り「時差」を描きながら同時に、恋愛に対する温度差、片思いをも含みを持たせて描いているところが興味深い「時差」、視野人物の思考をありのままに忠実に描いて、ヘンといえばヘンだけど、不思議な面白味がある「U.S.+S.R. 極東欧のサウナ」、まさに「海に名前を落としてしまった」私が、名前を取り戻そうとする表題作の“私のポケットに突っ込まれたまま

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    2011年09月07日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    変愛、と銘打つだけあって、なんだか読後感が…

    いろんな作家さんの個性も垣間見える作品だったが、やっぱり村田沙耶香さんの作品の不気味さは突出してるな…

    再読したい本ではなかった

    いい悪いではなくて、好みじゃないってことですね…

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    2026年05月28日
  • 献灯使

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    小説自体は頭の中って印象なのですが、この本が出る過程、出た時代背景、リアクションなどを考えることにはとても価値があるように思いました。
    制作過程、本になるまでの過程、専門家に、聞いたのか、人選は、どういう聞き方をしたのか、などを考えるのは楽しかった。

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    2026年05月16日
  • 研修生

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    ネタバレ

    たくさんの本や映画のタイトルが出てきて、良い刺激をたくさん受けた。

    文書の中に、著者の感性とたくさんの知識があって小説の展開とかよりも主人公の感情を知りたくて読み進めた。

    小説を書きたい主人公が書いた小説が「研修生」

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    2026年05月08日
  • 献灯使

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    独特な文体だからなのか、独特な世界観だからなのか、なんとも掴みどころのない不思議な感覚を味わえる本。

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    2026年05月02日
  • 研修生

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    主人公の父が営む洋書店を媒介としてドイツの書籍取次会社の招きで研修生として冷戦で東西が分断された西ドイツの港町ハンブルグで過ごす半年余りの生活を描く。
    1980年代のまだ日本はバブル景気前だが、就職もせず中途半端な身分のままドイツの書籍取次会社の多様なセクションで多様なドイツ人と仕事場でドイツ人の多様なキャラやドイツ特有な文化や生活習慣に触れる様子をスクエアな観察眼で見つめる。
    主人公がレズ関係にあったマグダレーナを除いて、多くのドイツ人と交流するがあくまで観察の対象ないし時間つぶしとして付き合う様子を508頁付き合うのは些かしんどい。
    それでも高等遊民な主人公がやがて文章を(小説を)書く内的

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    2026年04月17日
  • 犬婿入り

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    ネタバレ

    犬婿入りとペルソナの二つの短編。ペルソナは求められる人物像や無意識に演じていた役割からの解放が印象的。犬婿入りはユニークで笑ってしまうがこちらも広義な意味でペルソナに通づるものがあると思っていて集団と個、無意識の同調圧力と自由の対比がおもしろい。

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    2026年03月25日
  • 献灯使

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    生きていくために形を変える 絶滅に向かう人類 現代を揶揄 鎖国な世界 メディア 苦しむという言葉の理解もできない 過剰な反応 溢れる情報に躍る人々を揶揄

    なかなか文章が入ってこない、読み返しながら。
    もう一度トライしたい、初のデストピア小説。

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    2026年03月19日
  • 太陽諸島

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    ネタバレ

    太陽諸島=日本だと思い
    3作目はHirukoたちが日本の現状を知る話なのかと予想していた。
    が、結局は曖昧な船旅から始まったように、
    旅先さえも定まらないまま、Hirukoたちは世界をつなげる海に揺られて行った。

    そもそも作中では日本という固有名詞は一度も出てきておらず、Hirukoたちの会話から推測するしかない。
    目的はあるけれど、そこに辿り着けるわけじゃない。
    その道程での各々の心境や感じ方を
    一緒に楽しむ物語なのだろうと思った。

    海外や異文化と聞くと
    まるで見えない膜のような隔たりが存在しており、
    私たちの日常とは交わらない遠くの話かのように感じられるが、当たり前のように自身の価値観

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    2026年03月18日
  • 献灯使

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     多和田葉子さん初読です。ドイツに住みながら日本語・独語で小説を執筆し、国内外多くの文学賞を受賞する国際的に評価の高い作家さんです。本作は2014年刊行で、表題作(2018年全米図書賞)の中編+短編4篇を収録。

     『献灯使』は、原発事故による環境汚染禍の日本をモチーフにしていることは明らかですが、歪な世界観や設定をはじめ、希望と危うさ・絶望が混在したような終末に困惑しながら、自分の解釈を確定しきれない印象をもちました。一方、多言語に精通する著者ならではの言葉へのこだわりは、国や言語の境界を軽々と越えている感がありました。

     原発事故後、鎖国しディストピア化した日本。老人は超長寿、子供は虚弱

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    2026年03月16日
  • 星に仄めかされて

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    ネタバレ

    Hirukoと仲間の言葉を通じて識りあう物語第二弾

    著者のひとつひとつの物事に対する解釈や連想は無限なんじゃないかと思うほど。
    多彩な言葉の表現がHirukoたちを生き生きとさせている。

    Hiruko、水蛭子、日る子、太陽の子、太陽、天照大神、天照大神の座す島、日本
    ここで次作の太陽諸島とつながるのかとわくわくした。

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    2026年03月11日
  • 研修生

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    ネタバレ

    私小説風味の日常

    父の勧めもあり、ドイツへ渡り書籍の取り扱いを行う会社へ研修生として出向いた主人公の女性。
    様々な課を転々としながら半年ほど?の研修期間を、日々の徒然とともに描かれた作品。

    東西ドイツが分断されている時代を背景に日々のことを描いている。時折挟まれる「その後」の話、例えば、部屋を貸してくれた友人は闘病生活を送ることになる、などの悲劇的であり日常的に起こりうる寂しさをいきなり放り込んでくる。
    全体は暗めの質感、パブ「たまねぎ」も登場人物たちの空気の読まなさ加減もドイツならよくあることなのかも、と思いながら読み進めていく。そのため核心をついたような発言も鼻持ちならないというよりか

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    2026年03月08日
  • 地球にちりばめられて

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    人は家族、学校、会社、町、国、言語、人種
    さまざまなものに属している

    それらに疑問をもち、振り切って
    心のままに国を超えて旅をする

    読んでいて気持ちのいい本
    続編あと2冊も読めるの嬉しい

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    2026年02月18日
  • 研修生

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    多和田さんの自伝的小説。
    大学卒業後、ドイツのハンブルグに渡り、書籍会社の研修生として、多様な人や文化と触れ合う日々。
    今後、多和田さんがノーベル文学賞を取った日には、きっとこれが自己紹介代わりの一冊のなるのかも。

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    2026年02月04日