多和田葉子のレビュー一覧
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政治腐敗や環境汚染、高齢化など、行き過ぎた日本への痛烈な風刺。そこに「鎖国」という設定により、他国の情報が得られないことによる不安感も加わる。ディストピア小説である。
あまり楽しんで読める話でもないし、主人公の老人や少年にもあまり感情移入できなかったのだが、言葉遊びから生じる文章のナンセンスな面白さはあった。
表題作『献灯使』がページ数の半分以上を占めているが、他に4本の短編を含む。物語としては独立しているのだが、いずれも同じ世界を(時代をずらして)描いているようにもみえる。さらに言えば、同著者の『地球にちりばめられて』シリーズ3作に登場する「世界から忘れられた国」もそうなのかもしれない。 -
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ネタバレ『研修生』を読んで、異国の地で生活することの難しさと、新しい環境に身を置くことで自分自身が変わっていくことについて考えました。主人公はドイツで研修生として働きながら、仕事や言葉、文化の違いに戸惑い、さまざまな人と出会います。その日常が淡々と描かれているからこそ、異なる文化の中で生活する不安や孤独、そして人とのつながりの大切さが伝わってきました。
特に印象に残ったのは、海外での経験を通して、主人公が少しずつ自分の未来や「自分が本当にやりたいこと」を考えていくところです。大きな出来事が次々に起こる物語ではありませんが、何気ない日常の中にも、自分の生き方を変えるきっかけがあるのだと感じました。
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ネタバレ◼️多和田葉子「太陽諸島」
三部作の完結船旅編。って完結してまう?続編をぜひ〜涙
「地球にちりばめられて」「星に仄めかされて」に続くHiruko主人公もの。前作でついにSusanooが意外な本性を表し、Hirukoらと故郷への船旅に出る、という本編最大の謎へと向かう未来への期待を残した。一緒に旅するのはデンマークに留学中の言語学者の卵クヌート、女性へ性の引越し中のインド人アカッシュ、グリーンランドのエスキモー出身ナヌーク、ナヌークに思いを寄せるドイツ人女性ノラといったにぎやかで出自も言語もさまざまな仲間たち。
途中で、これは行き着かないな、と思った。船はバルト海を突き当たりのサンテトペテ -
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主人公の父が営む洋書店を媒介としてドイツの書籍取次会社の招きで研修生として冷戦で東西が分断された西ドイツの港町ハンブルグで過ごす半年余りの生活を描く。
1980年代のまだ日本はバブル景気前だが、就職もせず中途半端な身分のままドイツの書籍取次会社の多様なセクションで多様なドイツ人と仕事場でドイツ人の多様なキャラやドイツ特有な文化や生活習慣に触れる様子をスクエアな観察眼で見つめる。
主人公がレズ関係にあったマグダレーナを除いて、多くのドイツ人と交流するがあくまで観察の対象ないし時間つぶしとして付き合う様子を508頁付き合うのは些かしんどい。
それでも高等遊民な主人公がやがて文章を(小説を)書く内的 -
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ネタバレ太陽諸島=日本だと思い
3作目はHirukoたちが日本の現状を知る話なのかと予想していた。
が、結局は曖昧な船旅から始まったように、
旅先さえも定まらないまま、Hirukoたちは世界をつなげる海に揺られて行った。
そもそも作中では日本という固有名詞は一度も出てきておらず、Hirukoたちの会話から推測するしかない。
目的はあるけれど、そこに辿り着けるわけじゃない。
その道程での各々の心境や感じ方を
一緒に楽しむ物語なのだろうと思った。
海外や異文化と聞くと
まるで見えない膜のような隔たりが存在しており、
私たちの日常とは交わらない遠くの話かのように感じられるが、当たり前のように自身の価値観 -
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多和田葉子さん初読です。ドイツに住みながら日本語・独語で小説を執筆し、国内外多くの文学賞を受賞する国際的に評価の高い作家さんです。本作は2014年刊行で、表題作(2018年全米図書賞)の中編+短編4篇を収録。
『献灯使』は、原発事故による環境汚染禍の日本をモチーフにしていることは明らかですが、歪な世界観や設定をはじめ、希望と危うさ・絶望が混在したような終末に困惑しながら、自分の解釈を確定しきれない印象をもちました。一方、多言語に精通する著者ならではの言葉へのこだわりは、国や言語の境界を軽々と越えている感がありました。
原発事故後、鎖国しディストピア化した日本。老人は超長寿、子供は虚弱 -
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ネタバレ私小説風味の日常
父の勧めもあり、ドイツへ渡り書籍の取り扱いを行う会社へ研修生として出向いた主人公の女性。
様々な課を転々としながら半年ほど?の研修期間を、日々の徒然とともに描かれた作品。
東西ドイツが分断されている時代を背景に日々のことを描いている。時折挟まれる「その後」の話、例えば、部屋を貸してくれた友人は闘病生活を送ることになる、などの悲劇的であり日常的に起こりうる寂しさをいきなり放り込んでくる。
全体は暗めの質感、パブ「たまねぎ」も登場人物たちの空気の読まなさ加減もドイツならよくあることなのかも、と思いながら読み進めていく。そのため核心をついたような発言も鼻持ちならないというよりか