多和田葉子のレビュー一覧

  • 太陽諸島

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    ネタバレ

    太陽諸島=日本だと思い
    3作目はHirukoたちが日本の現状を知る話なのかと予想していた。
    が、結局は曖昧な船旅から始まったように、
    旅先さえも定まらないまま、Hirukoたちは世界をつなげる海に揺られて行った。

    そもそも作中では日本という固有名詞は一度も出てきておらず、Hirukoたちの会話から推測するしかない。
    目的はあるけれど、そこに辿り着けるわけじゃない。
    その道程での各々の心境や感じ方を
    一緒に楽しむ物語なのだろうと思った。

    海外や異文化と聞くと
    まるで見えない膜のような隔たりが存在しており、
    私たちの日常とは交わらない遠くの話かのように感じられるが、当たり前のように自身の価値観

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    2026年03月18日
  • 献灯使

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     多和田葉子さん初読です。ドイツに住みながら日本語・独語で小説を執筆し、国内外多くの文学賞を受賞する国際的に評価の高い作家さんです。本作は2014年刊行で、表題作(2018年全米図書賞)の中編+短編4篇を収録。

     『献灯使』は、原発事故による環境汚染禍の日本をモチーフにしていることは明らかですが、歪な世界観や設定をはじめ、希望と危うさ・絶望が混在したような終末に困惑しながら、自分の解釈を確定しきれない印象をもちました。一方、多言語に精通する著者ならではの言葉へのこだわりは、国や言語の境界を軽々と越えている感がありました。

     原発事故後、鎖国しディストピア化した日本。老人は超長寿、子供は虚弱

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    2026年03月16日
  • 星に仄めかされて

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    ネタバレ

    Hirukoと仲間の言葉を通じて識りあう物語第二弾

    著者のひとつひとつの物事に対する解釈や連想は無限なんじゃないかと思うほど。
    多彩な言葉の表現がHirukoたちを生き生きとさせている。

    Hiruko、水蛭子、日る子、太陽の子、太陽、天照大神、天照大神の座す島、日本
    ここで次作の太陽諸島とつながるのかとわくわくした。

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    2026年03月11日
  • 研修生

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    私小説風味の日常

    父の勧めもあり、ドイツへ渡り書籍の取り扱いを行う会社へ研修生として出向いた主人公の女性。
    様々な課を転々としながら半年ほど?の研修期間を、日々の徒然とともに描かれた作品。

    東西ドイツが分断されている時代を背景に日々のことを描いている。時折挟まれる「その後」の話、例えば、部屋を貸してくれた友人は闘病生活を送ることになる、などの悲劇的であり日常的に起こりうる寂しさをいきなり放り込んでくる。
    全体は暗めの質感、パブ「たまねぎ」も登場人物たちの空気の読まなさ加減もドイツならよくあることなのかも、と思いながら読み進めていく。そのため核心をついたような発言も鼻持ちならないというよりか

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    2026年03月08日
  • 地球にちりばめられて

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    人は家族、学校、会社、町、国、言語、人種
    さまざまなものに属している

    それらに疑問をもち、振り切って
    心のままに国を超えて旅をする

    読んでいて気持ちのいい本
    続編あと2冊も読めるの嬉しい

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    2026年02月18日
  • 研修生

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    多和田さんの自伝的小説。
    大学卒業後、ドイツのハンブルグに渡り、書籍会社の研修生として、多様な人や文化と触れ合う日々。
    今後、多和田さんがノーベル文学賞を取った日には、きっとこれが自己紹介代わりの一冊のなるのかも。

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    2026年02月04日
  • 献灯使

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    震災後のディストピア、とあったけど、多和田さんの、現代への痛烈な批判や怒りだったりを感じる。読んでいてゾッとするのは、まさに今と地続きの事象があるからなんだろうな…。

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    2026年01月25日
  • 研修生

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    淡々と、ダラダラと章分けもなくドイツの日常の暮らしと小説書き始めた動機。1980年代のインドの描写、洗濯屋など何も変わっていないのに驚き。花火の描写は流石だけど。

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    2026年01月11日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    GOAT、特集の『愛』で、上白石萌音さんがこの本を紹介していて読みたくなり

    表紙をみないで欲しい
    という記述に基づいて、信頼できる人に買ってきてもらいました

    結果、最初ずっと何かの違和感を感じ
    中盤から、これはもしや……?
    そう思い始め、読み終わって表紙を見て確信

    なるほど〜!
    これはとても美しい物語
    すべてを知って、もう一度読み直したくなる物語です

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    2026年01月03日
  • エクソフォニー 母語の外へ出る旅

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    ネタバレ

    「その場所にしかない奇妙な地方性が濃密になる瞬間が大切だからこそ、国境を越えたくなる」というのは私も感じていたことを言語化してくれたようで衝撃を受けた。

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    2025年12月29日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    熊は熊でありながら、現実の熊とは違う、でもやっぱり熊、というふわふわとした状態のまま物語が進んでいく。足元がおぼつかない、軽い船酔いのような奇妙な感覚。

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    2025年12月16日
  • 献灯使

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    言葉遊びが面白いSF。ダークで不思議な世界観。描写する比喩が具体的で新鮮。どうやって翻訳されて海外で出版されたのか気になる。

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    2025年12月06日
  • 地球にちりばめられて

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    留学中に祖国(おそらく日本)が消滅し、帰る場所を失った女性Hirukoが、独自に生み出した言語パンスカを操りながら旅先で出会った仲間と共に母国の言語を話す人を探す旅に出る。

    言葉が通じないことの恐怖と通じない故の自由さ、両方が見えた気がする。
    入り口はSFだったのに、読み進めると「文化とは?」「言語とは?」と哲学の深みに連れて行かれたような…言葉の意味や自分はどこまで自分なのか?なんて普段は考えもしない方向に舵を切られて読みながら沸騰しそうだった。
    派手な未来描写はないのに、“今ある世界の延長かもしれない世界”のように見えて、読み終わってからも得体のしれない怖さがじわじわ近寄ってくるような感

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    2025年11月29日
  • 犬婿入り

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    日本語表現として普通じゃないことは分かる。あと,「ペルソナ」は三人称小説であることに加えて,視点が動くのでその点も斬新かもしれない。
    ドイツで博士号取れるくらいのドイツ語力とネイティブ日本語を,どちらにも寄せずにぶつけるとこういう風になるのか。著者が言語に自覚的であることは伝わってくる。
    話としては正直よく分からない。やっぱり純文学は難しい。

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    2025年10月31日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    GOATでオススメされていたので読んでみた。
    リアル熊なのか、カフカのような比喩的なものなのかわからないままふわふわと読み進めていくとカラクリがいくつも仕掛けられていることに気付く。

    トスカの章が1番好みだったかな。
    あ、そういう視点だったんだ!?みたいな。
    クヌートの章は1番読みやすかった。
    リアルとフィクションが上手く融合されていた優しい作品。

    タイトルはどういう意図なのかな?

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    2025年09月27日
  • 献灯使

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    どの作品も、何か重大な危機があったあとの世界ではあるが、何があったのかはよくわからない。その結果の状況を描いているようだ。
    不確かな中で起きていることは、不可思議で、これから何が起こるかもわからない。
    そんな不安定な状況で、人はなにを話し、どう行動するのか?

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    2025年09月15日
  • 犬婿入り

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    ネタバレ

    プロ向けの小説という印象の作品。
    視点は面白いし、価値観を揺さぶってくる感じも悪くないが、読み終わった後の満足感はあまりない。
    読んでも読まなくてもよかったなという感じ。

    ペルソナ
    ペルソナとは能面のことらしい。
    人種や国民性についてステレオタイプな価値観を持つ人々がたくさん登場する。日本人は能面のように表情がなく感情が読めないと言われる。
    道子が混乱して街を歩き回るところはカフカを想起させた。

    犬婿入り
    犬がお姫様の尻をなめるという「犬婿入り」という民話は本当にあるのかどうか。その話をした北村みつこの家に、何やら犬っぽい太郎という男が住み着いて犬っぽいことをする。

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    2025年08月21日
  • 旅をする裸の眼

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    これはかなり読み手を選びそうな感じがした。各章は主人公の生活と女優カトリーヌ・ドヌーブが出演している映画の話が出てくるが、最終章はそういった描写はなく、映画の登場人物の名前(ダンサー・イン・ザ・ダーク)から始まるから、現実のお話なのか映画のお話なのか全くわからない(知っている人だけが気づける?)。おそらくそれを狙って書いているんだろうけども。

    じゃあ予備知識なしだと何も楽しめないのかというとそうでもないと思う。それは『旅する裸の眼』は社会主義国家のベトナムからドイツやパリを移動し、時代の移り変わりによって変わった価値観(ベルリンの壁崩壊やパスポートなしで移動できるようになった欧州など)を主人

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    2025年07月16日
  • 犬婿入り

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    芥川賞受賞作『犬婿入り』と芥川賞候補作「ペルソナ」の2篇。
    「ペルソナ」の方が個人的には好きです。作者が体験したかもしれない様々な出来事・観点みたいなものが出てくるのだけど、ドイツから見たアジアというくくりだったり、そのアジアの中でも日本が他のアジアの国々の人をどう思っているかだったり。同じアジア、もっと広く見れば同じ人間であるのに境界があるかのような(いわゆる差別的なもの)お話が興味深かった。最後は主人公が仮面(ペルソナ?)をかぶり街を練り歩くときドイツの誰も彼もが主人公を日本人として捉えなかったというのは分かりやすいオチっぽく感じるけど、好き。

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    2025年07月07日
  • かかとを失くして 三人関係 文字移植

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     どことなくズレた人たちと、ズレた世界で起こる不思議な出来事の数々。
     何なんだ、この妙な展開の話はと思いながらも、不思議と心地良い文章の魅力で読み進めてしまう。

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    2025年06月19日