多和田葉子のレビュー一覧

  • 犬婿入り

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    ネタバレ

    プロ向けの小説という印象の作品。
    視点は面白いし、価値観を揺さぶってくる感じも悪くないが、読み終わった後の満足感はあまりない。
    読んでも読まなくてもよかったなという感じ。

    ペルソナ
    ペルソナとは能面のことらしい。
    人種や国民性についてステレオタイプな価値観を持つ人々がたくさん登場する。日本人は能面のように表情がなく感情が読めないと言われる。
    道子が混乱して街を歩き回るところはカフカを想起させた。

    犬婿入り
    犬がお姫様の尻をなめるという「犬婿入り」という民話は本当にあるのかどうか。その話をした北村みつこの家に、何やら犬っぽい太郎という男が住み着いて犬っぽいことをする。

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    2025年08月21日
  • 旅をする裸の眼

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    これはかなり読み手を選びそうな感じがした。各章は主人公の生活と女優カトリーヌ・ドヌーブが出演している映画の話が出てくるが、最終章はそういった描写はなく、映画の登場人物の名前(ダンサー・イン・ザ・ダーク)から始まるから、現実のお話なのか映画のお話なのか全くわからない(知っている人だけが気づける?)。おそらくそれを狙って書いているんだろうけども。

    じゃあ予備知識なしだと何も楽しめないのかというとそうでもないと思う。それは『旅する裸の眼』は社会主義国家のベトナムからドイツやパリを移動し、時代の移り変わりによって変わった価値観(ベルリンの壁崩壊やパスポートなしで移動できるようになった欧州など)を主人

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    2025年07月16日
  • 犬婿入り

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    芥川賞受賞作『犬婿入り』と芥川賞候補作「ペルソナ」の2篇。
    「ペルソナ」の方が個人的には好きです。作者が体験したかもしれない様々な出来事・観点みたいなものが出てくるのだけど、ドイツから見たアジアというくくりだったり、そのアジアの中でも日本が他のアジアの国々の人をどう思っているかだったり。同じアジア、もっと広く見れば同じ人間であるのに境界があるかのような(いわゆる差別的なもの)お話が興味深かった。最後は主人公が仮面(ペルソナ?)をかぶり街を練り歩くときドイツの誰も彼もが主人公を日本人として捉えなかったというのは分かりやすいオチっぽく感じるけど、好き。

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    2025年07月07日
  • かかとを失くして 三人関係 文字移植

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     どことなくズレた人たちと、ズレた世界で起こる不思議な出来事の数々。
     何なんだ、この妙な展開の話はと思いながらも、不思議と心地良い文章の魅力で読み進めてしまう。

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    2025年06月19日
  • 球形時間

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    最後、寝ぼけながら読んだので良く理解できてなかったので翌日ラスト数ページを読み返す。
    普通に見せかけておいて、最後の急速な展開がなかなか面白い作品。
    イザベラ・バード、久しぶりに読み返そうかな

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    2025年05月12日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    自分初の多和田葉子作品。全米図書賞受賞の帯に惹かれて購入。
    あまり先入観なく読みはじめたためか、どういう設定なのか、誰が語っているのか、よくわからなくて戸惑い、すぐには入り込めなかった。読む手が止まらなくなったのは、最後のクヌートの章になってからだった。
    ちょっと不思議でありえない話だから、一種のファンタジーなのだけど、人間社会を見つめるクマたちの視点は真理を突いていて、考えさせられる部分も多かった。

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    2025年03月15日
  • 星に仄めかされて

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    長編三部作の第二弾。Susanooは言葉を取り戻せるのか、HirukoはSusanooと言葉を分かち合えるのか。淡い恋心のようなものが複雑に絡み、アイデンティティがゆらぐ。日本という島国にいると、国をまたぐことがあえてわざわざ国を越えることを意味するが、欧州における国から国への移動というのは、電車や車やバイク、飛行機、あるいは徒歩で割と気軽に気楽に越えられるものだ。だからといって、思想や言葉までは軽々と越えられない。だから面白いんだけど、時と場合によってはやっかいだなとも思える。

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    2025年02月23日
  • 犬婿入り

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    『ペルソナ(能面)』
    ドイツに住む日本人である姉弟の物語。日本人である主人公は、東アジア人と一括りにされ、ドイツ人に偏見の目で見られる。いくら活躍しても日本人というだけで、婉曲的にであるが、侮蔑的な屈辱を味わったイチロー選手やダルビッシュ選手を思い出す。主人公は他者が日本人に期待する能面を被って街へ出る。その時やっと自分自身が自由な感覚を取り戻す。強い言葉を持った一人の人間として。

    『犬婿入り』

    「異類婚姻譚」(人間以外の存在と 人間とが結婚する説話の総称)をベースに書かれている。ありえない話なのに、あれ?これ、もしかしたら犬が入ってる人間?それが信じられないくらいリアリティをもって物語が

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    2025年02月22日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    シロクマ3代に渡る物語。熊なのに思索し、話し、自伝を書くのだが、違和感なくストーリーにのめり込む感じ。人に振り回され、ベルリンの壁崩壊などの世情に翻弄され、人によって囲われた世界から、外の世界を夢見る刹那さが漂う。2025.2.4

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    2025年02月04日
  • 地球にちりばめられて

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    多和田さんが紡ぎ出す物語は捉えどころがない。ファンタジーではない。SFでもない。ミステリでもサスペンスでもない。なのに、どこかその全部の要素を内包しているように思える。留学中故郷が消滅しまった女性Hirukoは日本人であることは間違いないが、本当に日本人なのだろうかと揺らぐ。不思議な縁で旅をすることになったHiruko、クヌート、アカッシュ、ノラ、ナヌーク、Susanoo。それぞれの語り口で語られる彼ら彼女らの事情。彼らはどこにむかおうとしているのだろうか。

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    2025年01月19日
  • 献灯使

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    ネタバレ

    現代SFというのかな? 大災厄に見舞われ鎖国に舵を切った日本。老人は死ねない、若者は病弱で長生きできない、東京は汚染されているという世界での老人と曾孫の話が『遣唐使』。現実と虚構の狭間にある分、どうしても説明的に感じるけれど嫌味はない。『韋駄天どこまでも』のように漢字を分解して語るのは翻訳するとどうなるの?と考えると日本人だから楽しめる特別感もあった。世界観は他にないんだけれど、私の場合把握するのに気を取られ置いて行かれる感じがあって、そこまで素敵!好き!とはならなかった。

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    2024年12月27日
  • 地球にちりばめられて

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    日本がなくなった世界でhiruko という女性が日本人を探す。書かれているのは日本語だが、パンスカという独自の言語が出てきたり、アカッシュはインド人、ナヌークはエスキモーだったりとみんな個性豊か。

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    2024年12月11日
  • 地球にちりばめられて

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    初読作家さん。
    文庫の装丁に惹かれて読んでみた。

    日本と思しき国(鮨の国とかの表記)が消滅して、国に帰れなくなった留学生の話が根幹。
    この設定は面白かった。
    クヌートのお母さんが怖すぎたw

    最終的にどこへ向かうんだ?と思うと、ちょっと迷子になってしまった。
    調べてみると、続編があるようです。

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    2024年12月06日
  • 星に仄めかされて

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    訳ありの6人プラス3人
    それぞれが自分のために動き
    言語をこえて、国をこえて
    仲がいいのか悪いのか?
    3部作の2作目

    消えてしまった島国、多分日本がどんな風に
    消えたのかが気になって
    いろんな意味が
    ちりばめられているとは思うけれど
    頭に入ってこない
    1作目同様一読では難しい
    でも、続きは気になる!

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    2024年11月28日
  • 地球にちりばめられて

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    留学中に故郷の島国が消滅。独自の言語をつくり、同じ母語を話すものを探す
    島国、それは多分日本であって、しかもなにか
    ちぐはぐなことになってしまった島国
    演劇的な小説と解説で言っていて、地理と言語で満ちて、人と人が繋がりいつしか集合していく
    ちょっと不思議で、一読ではわからない



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    2024年11月24日
  • 百年の散歩(新潮文庫)

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    この物語はなんなのだろう。読んでいる最中も、読み終わっても、なんだかよくわからないものを読んでしまった気持ちがある。エッセイのようで、でも、物語のようで、そもそも「わたし」と「あの人」の関係性もそもそもの性別すらわからない。そこかしこに潜んでいる歴史の残骸、遺物、遺構。「わたし」の思考が浮遊しているようにも思えるし、いやいや、実際に通りを歩いて目に移ったものを片っ端から夢想して、妄想して、思考が四散していっただけだ。と思う瞬間もある。

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    2024年10月30日
  • 犬婿入り

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    「ペルソナ」
    日本に生まれて日本で生活し、日本語で育ち日本語で生活していては感じることが難しい感覚を味あわせてくれます。ドイツの都市で留学生として生活する主人公の道子の視点で、ドイツでの文化的差異における差別や、日本を離れて自国の文化や言葉とのつながりが途絶えている状態の内面が描かれていると思いました。
    不安感や焦燥感を感じながら落ち着かない気持ちで読んでいました。

    「犬婿入り」
    犬婿入りの話は昔話として日本だけではなく、アジアのいろいろな地域でいろいろな形で広がっているそうで、そういった話をモチーフに作者独自の話が紡がれていきます。
    多摩川べりの町の学習塾の先生みつこと犬男との奇妙な生活は

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    2024年10月20日
  • 変愛小説集 日本作家編

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    純文学作家の発想
     ひとつづつ評していく。

     川上弘美。未来SF。
     発想が陳腐だと思ふ。書きたいことを意識的に書いてはゐるが、予定調和的で凡庸から突き抜けない。
     人間由来の人間を工場で作らず、多様な動物由来の人間どうしが結婚し合ふ未来観(近親交配によるホモ接合型を減らすためだらう)。そこでの恋愛。
     厳密にいへば、人間と他種ではゲノムの相補性が少ないからありえない。遺伝子組換かもしれない。まあそこは目をつむることにしても妙だ。
     未来でも入籍といふ制度は残ってゐる。人間に本能の性欲が残ってゐるんだらうけど。結婚しない人や、核家族がどうなったかも書いてない。
     妙にSFが現実路線のわりには

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    2024年10月10日
  • 球形時間

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    「男の顔には、怒りの予兆のエラが立っている。プラットホームで化粧するな、とその顔に書いてある。」
    冒頭のこのセリフは「令和」の「若い男性」である私には2重の意味で新鮮である。ナンパ、キャッチ、ぶつかり、これらは私に無縁のものだ。何なら、ティッシュ配りのバイトさんや道に迷った人もなかなか私をターゲットにはしない。少なくとも私なら、私は選ばないだろう。そんな人生を歩んできたので、女性のこういう体験は新鮮に映る。それに加えて、本小説は2002年に出版されている。まだ物心ついて間もない、私が知らない時代の話である。この頃はまだ、都会の他人同士が少なくとも今よりは関わり合っていた時代、というと大袈裟なの

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    2024年09月27日
  • 献灯使

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    ★3.5。
    恥ずかしながらこの作家の本を初めて読みました。
    原発がこれほどまでに種をまいたかと思うほど、異様とも言える世界が繰り広げられます。
    でも原発の話になると行きつくところ、今の生活をどうしますか?と問いにたどり着き、この作家も例外ではなく。
    原発そのものが矛盾に満ちた人類そのものの縮図だからかなぁ。

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    2024年09月08日