無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで200万冊以上配信中!
世界文学の旗手が紡ぎだす
国境を越えた物語(サーガ)の新展開!
失われた国の言葉を探して
地球を旅する仲間が出会ったものは――?
【本書の登場人物たち】
Hiruko ヨーロッパ留学中に「母国の島国」が消滅してしまった女性。同じ母語を話す人間を探して世界を旅する。
クヌート デンマークに住む言語学者の卵。Hirukoと出会い、彼女の旅に同行する。
アカッシュ ドイツに留学中のインド人男性。女性として生きるため、赤いサリーを身にまとう。
ナヌーク グリーンランド出身のエスキモー。語学の才能豊かで、日本人を演じていた。
ノラ 博物館に勤めるドイツ人女性。行き倒れていたナヌークを救う。
Susanoo 福井で生まれた日本人。ある時から歳を取らなくなり、言葉を喪失する病気になった……?
Hirukoがつくり出した独自の言語、〈パンスカ〉が見知らぬ人々を結びつける。
分断を超えた希望を描く、全米図書賞作家の新たな代表作。
文庫解説 岩川ありさ
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
前作『地球にちりばめられて』では、Hiruko と同郷の人を見つけ出すというお話だったが、今回は、その見つかった人物 Susanoo の「治療」のために仲間たちが動きだす。
前作同様、登場人物たちがヨーロッパを移動しながら話が進んでいくので、Google Map や Wikipedia で、彼らが訪れる土地の説明を参照しながら読み進めるのも楽しい。
シリーズを通して、登場人物の視点が切り替わりながら語られる群像劇なので、ひとりひとりの内面や意外な関係性が徐々に見えてきて、深みに引き込まれる。一方で、ストーリーの方はご都合主義で安直に展開していく。そのギャップが面白い。そういう意味では、本作をそのまま映像化やマンガ化をしてもドタバタ劇で終わってしまいそう。小説ならではの面白さがある。
いよいよ船に乗って祖国を目指そうかというところで本巻は終わり。子供の頃に観た NHK の人形劇『プリンプリン物語』を思い出した。細部はよく覚えていないが、やはり主人公のプリンプリンのために、癖の強い仲間たちが祖国を探す旅をしてくれるのだった。続編『太陽諸島』も楽しみ。
Posted by ブクログ
◼️ 多和田葉子「星に仄めかされて」
不思議と謎への興味と、人間。やはりアプローチが独特で、惹かれる作家さん。
多和田葉子はさっぱり分かんないこともあるし、根っこのところが賛同できないな、と思った過去もある。でも多くの要素からなる、知性と無邪気さが融合したような物語の成り行きに、強く惹きつけられるときがある。ドイツ在住の長い、言語学的なテイストの入った、不思議な作品を書く人、という感じで、ついつい何作も読んでしまう。この作品は3部作である「地球にちりばめられて」の次、「太陽諸島」の前の中巻。
Hirukoはかつて中国大陸とポリネシアとの間にある列島から留学してきた女性。しかし帰国直前に母国は消えてしまい、北欧を転々としている。その間に「パンスカ」というスカンジナビア共通言語のようなものを生み出した。自分と同じ母国語を話す人を探しており、その過程で言語学を学ぶクヌートや、インド人で性の引越し中のアカッシュ、エスキモーで、日本人にはりすまして鮨職人を演じたナヌーク、その恋人ノラらと知り合い、福井出身だというSusanooに会いにいくが、Susanooは言葉を発さない。コペンハーゲンのクヌートの友人のドクター、ベルマーはSusanooを失語症の実験協力者として寝泊まりさせる。そこにHirukoはじめ一行が「お見舞い」に訪れるー。
それぞれモノローグで語る章で構成されている。ベルマーの病院の下働きムンンから始まり、ベルマー、ナヌーク、ノラ、アカッシュ、クヌートの母親にしてナヌークの学費援助者、さらにベルマーの現恋人のニールセン夫人、クヌート、そしてHiruko、Susanoo、最後にまたムンンに戻る。
それぞれの人となりや想い、ナヌークとノラ、アカッシュのドイツからコペンハーゲンへの旅、ニールセン夫人の来し方などなどが語られ、そしてついに・・!
時にヘンな思考、怪しく刺激的なエピソード、性的関係、おかしな言語を挟みつつ、あちこち飛びながら集合した病院では意外な展開となる。そして最大で関心を呼ぶ謎への旅が扉を開く。
「地球にちりばめられて」もモノローグ章の展開だった。4年前の過去書評で思い出した。それぞれのより深掘りされた人間くさいドラマ性と心情、他者性のある視点から描かれる微妙なすれ違いもおもしろい。
まああと、独特の表現や仄めかし、もたまにクフフと笑いつつ楽しませてもらった。
「(以前の患者の少女の)生みの母は奈良の人で、東京に出て法学を勉強し『インクの田んぼ』とかいう名前の区役所に就職した。お見合いで、『大きな手の町』という不思議な名前の町で働いている手の大きな男と結婚したが・・」
一瞬、どの区役所だろう?なんて考えた笑。
ほかにも
「心臓がつんのめった」
「インガ(ニールセン夫人のこと)の快さを知ってしまったが故に、自分という洋服がすっかり嫌になったが脱ぎ方がわからない」
「イルカが毛糸のセーターを着せられたようなもので、しっくりしないし、納得できない」
なんて言い回しがポロポロ出てくる。
Hirukoの話に日本神話を挟んだりして、おちこちに散らしてある面白みにワクワクする。
エクソフォニー、別の言語圏の人間が集まると、異国風の情緒も出て、しぜん疑問も多くなるし、会話自体がわらわらと楽しくなる。
にぎにぎしいパーティーはついに最大の謎を解くカギとなるエリアへ向かう。さあどうなるか。「太陽諸島」が楽しみだ。
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
小説・文芸
小説・文芸
試し読み
小説・文芸
小説・文芸