多和田葉子のレビュー一覧

  • 献灯使

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    物語の日本はどんな世界なのだろうと
    不思議な気持ちで読み進めていました

     老人がとても元気
     子供たちは虚弱 精神は老成している
     鎖国政策をとる日本
     民営化される政府
     ありがとう の言葉が死語になっている

    仮設住宅や汚染という言葉から
    どうやら大災害後の日本で社会の仕組みや価値観が
    大きく変革したらしいことがわかってきます

    日本の今の社会に見え隠れしている不穏さに
    得体の知れない漠然とした不安を
    抱くことがあるけれど
    物語の世界に触れたことで不穏さの輪郭がくっきり見えてきました

    今 自分が馴染んでいる価値観や世の中が
    本当に正しいの?
    それで良いの?
    このままで良いの?

    真っ直

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    2026年03月20日
  • 百年の散歩(新潮文庫)

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    多和田葉子さんの本は初めて読みましたが、まず駄洒落ともとれるような言葉遊びに富んだ文体が独特でとても自分の感性にハマった。

    ストーリーらしいストーリーはなく、ベルリンの街並みを散歩し、街中で見かけたものや人に着想を得た小話が続々と展開される。
    いずれにしてもその発想力には驚く。

    後半に進むにつれ、言葉遊びは減り、過去の戦争の話などシリアスなテーマへ移っていく。
    そこでも皮肉に満ちた切り口で作者の思想が表現されていて、興味深い。

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    2026年02月26日
  • 研修生

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    著者自身と思われる若い日本人女性が、西ドイツのハンブルクにある書籍取次会社で「研修生」として働く日常が淡々と描かれている。

    大きな起伏も、回収すべき伏線も、ましてや劇的な結末もない滞在記(しかも500ページ超)なのに、なぜページを捲る手が止まらず、読み終わってしまうことをこんなに惜しむのか、よく理解できない。

    ひとつあるとすれば、1980年代というインターネットもSNSもなかった時代に異国に身を置き、異なる言語、異なる文化にどっぷり浸かる体感や、それが及ぼす心身の変化がリアルに感じられるからかもしれない。

    著者が病的に「小説を書きたい」と思い立つ場面はグッとくる。

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    2026年02月13日
  • 地球にちりばめられて

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    ネタバレ

     多和田葉子を初めて読む。
     言葉はこんなにも存在に食い込んでいるのか。
     自己の存在を考えるとき、恋愛や記憶、国家や生まれた土地が脳裏によぎるが、この作品にはそれらよりも色濃く、言語という明瞭なテーマがある。
     正直、こんなに簡単に出来事が展開してよいのか?という思いはある。
     ただ、以下に述べる内容は小説世界を純粋な表現空間に仕立て上げている。たどたどしい会話、人物の精神に深入りしない淡々とした一人称の文。関心に従って、あるいは成り行きに従った即時的な展開。その中で、移動に向かうことで前向きに保たれるゆるやかな連帯。近代的な1つの完成を目指すのではなく、その時々を一緒に生きる。健全な現代の

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    2026年02月11日
  • 研修生

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    外国との文化の違いを改めて知る。
    家に招くことが、こんなに気軽でカジュアル?
    マグダレーナへの感情は友情?恋愛?
    映画などでとてもよく耳にする、洒脱な会話。特に残っているのが、妊婦さんがお腹の子供、まだ名前は決まってないんだけど、将来の職業はサッカー選手、なぜならとてもよくお腹を蹴るから、というせりふ。

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    2026年02月05日
  • ポケットマスターピース01 カフカ

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    私にとって文学は、自分の感受性を鍛えてくれるもの。
    一読するだけでは説明の列挙でつまらないと感じてしまうが、解説や他者の感想を読むと、現実社会とのメタファーに気付けたり、「そういう意味だったのか」「この文章を読んでそういう風に感じる人がいるのか」と、自分の発想に無いもので予想もしていない角度から殴られる感覚が気持ちいい。

    この本は年齢や立場、読む時の自分の心情、誰に感情移入するか等で印象がガラッと変わる作品。
    読み手が「虫」を「病気」「無職」「介護」「鬱」「依存」...何に置き換えるか。

    物語の根幹である「虫」について「どんな虫なのか」「どうして虫になってしまったのか」あえて説明しないこと

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    2026年02月01日
  • 研修生

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    ネタバレ

    1980年代、22歳で単身ドイツに渡り研修生として働く主人公。私自身も(時代は10年ほど後だが)似た経験があるため、彼女の寂しさや悔しさに強く共感した。淡々とした語り口ながら、ページをめくる手が止まらない。92ページに描かれるレートケさんのさりげない優しさには胸が熱くなった。手紙でのやり取りやトラベラーズチェック、生魚の日本食に抵抗感を示される時代背景も懐かしい。異国で暮らす中で生まれる微妙な違和感が的確に描かれ、マグダレーナに苛立ちを覚えつつも、最後まで一気に読んだ。

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    2026年01月24日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    難解でうまく入り込めず挫折してたけど、久々に最初から読み返したら面白くて一気に読んだ。前回はタイミングが合わなかったのか、初読だから内容が入ってこなかったのか?たぶん曖昧さや余韻を楽しむ作品。

    不思議な構成で最初は混乱。できるだけ前提知識は抜きで読むのがおすすめ!というコメントを見て読んだけど、曖昧さに耐えながら読み進めていくような感じ。哲学っぽいことや歴史とか社会問題が読みやすく落とし込まれているような。よくわからないなりに★5寄りの★4。

    疑問点も多くいつか読み返したい。たとえば第3章のミヒャエルは幽霊だったってこと?とか。すぐに出てこないけど他にも色々。


    解説の最後の一文でしっか

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    2026年01月11日
  • 地球にちりばめられて

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    ネタバレ

    おもしろかった!!何の伏線も回収しないまま自由に終わっていったと思ったら続編もあるのね!
    多和田さんの他の作品をもっと読んでみたくなった。

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    2025年12月30日
  • 研修生

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     500ページを越えるぶ厚い本を手に取り表紙をめくる。2段組みでないことに少し安堵の気持ちをおぼえ読み始めた。文章は平易な表現で、読みやすいリズム感がある。比喩の巧みさも含め、若いころに読んでいた開高健さんを思い出した。
     
     主人公はドイツの出版取次会社に研修生として働き、公私を含めた日常を淡々と書き綴っていく。我々の生活に時間の区切りがないことと同様に、全編章立てもなく書き綴られる。淡々と、連綿と。
     研修生として転々と業務が変わる様子、職場ごとの人間関係、帰宅すると現れる友人たちや家主さんたちとの関係。人間の内側を伺いながら同じような日常が繰り返し描写されていく。同じような日常の中で気づ

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    2025年12月27日
  • 研修生

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    ドイツハンブルクで研修生としてアルバイトのような立ち位置で働く主人公の日々の記録.日記のような,そして最後が最初につながる小説のような自伝風物語.仕事の内容も,異国での交友,文化の違いや部屋を借りるといった生活のさまざまなことが丁寧に書かれていて面白かった.
    そして何より小説を書きたいという気持ちが息苦しいほどに感じられた.

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    2025年12月26日
  • 地球にちりばめられて

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    多和田葉子さんの著作を読むのは初めて
    割と最近(2018年)の作品

    母国語とか出身がどことか手作り言語とか

    話は続くようで続編も購入済

    感想は全部読んでから、というわけではなく何を書いていいか分からない
    語らず浸ればいいんだよ、というような作品(か?)

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    2025年12月16日
  • 研修生

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    ドイツに研修生として書籍の苦情処理
    から注文受け入れ 印刷 販売
    などあちこちの部署を回り
    それぞれの担当者とふれあい週末になると泊まれる場所を提供する友人にも
    出会う
    たまねぎ

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    2025年12月13日
  • 地球にちりばめられて

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    初めて多和田葉子さんの作品を。架空の、近未来?のお話なのかな?でも現実と地続きで、なんとなく考えさせられるというか、世界レベルで評価されてる作家さんぽいので、海外文学的でもあり、読み応えあって、でも読みやすくて惹き込まれました。他の作品もぜひ読みたい

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    2025年12月08日
  • 研修生

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    まるで日記のように、日々のあらゆる細かい事ごとも見逃さない、その光景、匂いなどが本を通して漂ってくる。
    まるでその場にいるかのように感じる、表現力の
    豊かさに脱帽だった。
    全てにおいて、細かく丁寧に描かれた文章は
    とても素晴らしく、「こんな書き方がらあるんだ。」
    と思わせられた。

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    2025年12月07日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    文字の羅列が意味を成し、眺めるともなくそれを見ていると、不意に情景が立ち上がる。すると集中力が増してくる。集中力は、集中力を呼び、やがて文字の羅列は、文章であるのだと理解する。読み耽るといった表現がそのまま当てはまるのは、こういうことだな、と確信を持つ。客観的に僕自身を眺める感覚。それがつまり、僕の読書だ。思う存分愉しめた。
    言葉の意味を転がるような視線で追いかける。とても興味深い物語だった。ときに世の「哲理」を示唆するかの描写、物語の中とはいえ、はっとした。
    核心に触れたかどうかは、わからない。絶えずザクザクとした手触りを感じていて、どこか不穏な気配をも感じつつ。それは言葉か。状況か。物語の

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    2025年11月25日
  • 雪の練習生(新潮文庫)

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    これもとっくに読んだのだけど。

    何の世界設定の説明もなく、自然に白熊が自分語りをしている。オットセイも出る。白熊の親子3代に渡る物語。読み終わってかなり感動していた。そして、この白熊たちのモデルとなった現実世界の白熊を調べてさらに涙が出た。

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    2025年11月23日
  • 地球にちりばめられて

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    新感覚の小説だった。日本がなくなったという、しかも日本に関連する情報がどんどん曖昧に薄れていくという気味が悪いミステリアスな雰囲気なのに、悲壮感はなくむしろ後半はふざけた感じになって予想できない話だった。面白いかと言われるとよく分からない。
    純文学に近いのかなと。言語という人個人と切り離せないものが、個人の属性を定義している側面は確かにあり、言語を失くしたり新しく作り出したり複数の言語を操ったり様々なキャラクターが出てくる中で言語=その人の属性というのが全然意味ないんだなと思った。

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    2025年11月23日
  • 太陽諸島

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    ネタバレ

    言語も国籍も性別も混ぜこぜで海をゆく一行の旅の終わり。
    …かと思いきや、次(?)は西から行く!ということで旅は続く。完結しなかったけれど好きな終わりです。
    シベリア鉄道だと端まで行き着いてしまう、でも船なら先延ばしできる…という感覚に切なくなりました。

    日本がどうなったかは仮説が語られてました。これも強烈。

    死者と生者も入り乱れてくるのが面白かったです。
    不勉強で誰だかわかりませんでしたが、文学史的に重要な方々なのか…

    海進んでるときはいいけど、確かにどこかへ上陸しようとしたらビザ要る、と思いました。
    難民って、渡航ビザどうやって取るんだろう…ググったら「難民旅行申請書」というのが日本に

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    2025年11月16日
  • 地球にちりばめられて

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    面白かった。登場人物どの人をみても変わっているんだけど、そんな人たちが集まって旅をするというのがこんなにも楽しくワクワクするなんて。最後のみんなのカオスな会話の中クヌートの母がアカッシュに向かって「あんた何なの?」アカッシュ「クヌートの恋人です、あなたは?」というのに笑ってしまった。多分ここまで読んだ方ならこの笑いをわかってくれると思うのだけど!続編の『星に仄めかされて』が楽しみ。
    「薄暗い空間ならば、近くにいる人たちと薄闇の中で曖昧に結ばれている。貧しさとか日々の苦労とかを共有して。でも明るすぎる光に照らし出されたら、わたしはわたし、あなたはあなたで孤立してしまう。(以下略)」こういうものの

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    2025年10月30日