多和田葉子のレビュー一覧
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ネタバレ多和田葉子を初めて読む。
言葉はこんなにも存在に食い込んでいるのか。
自己の存在を考えるとき、恋愛や記憶、国家や生まれた土地が脳裏によぎるが、この作品にはそれらよりも色濃く、言語という明瞭なテーマがある。
正直、こんなに簡単に出来事が展開してよいのか?という思いはある。
ただ、以下に述べる内容は小説世界を純粋な表現空間に仕立て上げている。たどたどしい会話、人物の精神に深入りしない淡々とした一人称の文。関心に従って、あるいは成り行きに従った即時的な展開。その中で、移動に向かうことで前向きに保たれるゆるやかな連帯。近代的な1つの完成を目指すのではなく、その時々を一緒に生きる。健全な現代の -
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私にとって文学は、自分の感受性を鍛えてくれるもの。
一読するだけでは説明の列挙でつまらないと感じてしまうが、解説や他者の感想を読むと、現実社会とのメタファーに気付けたり、「そういう意味だったのか」「この文章を読んでそういう風に感じる人がいるのか」と、自分の発想に無いもので予想もしていない角度から殴られる感覚が気持ちいい。
この本は年齢や立場、読む時の自分の心情、誰に感情移入するか等で印象がガラッと変わる作品。
読み手が「虫」を「病気」「無職」「介護」「鬱」「依存」...何に置き換えるか。
物語の根幹である「虫」について「どんな虫なのか」「どうして虫になってしまったのか」あえて説明しないこと -
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難解でうまく入り込めず挫折してたけど、久々に最初から読み返したら面白くて一気に読んだ。前回はタイミングが合わなかったのか、初読だから内容が入ってこなかったのか?たぶん曖昧さや余韻を楽しむ作品。
不思議な構成で最初は混乱。できるだけ前提知識は抜きで読むのがおすすめ!というコメントを見て読んだけど、曖昧さに耐えながら読み進めていくような感じ。哲学っぽいことや歴史とか社会問題が読みやすく落とし込まれているような。よくわからないなりに★5寄りの★4。
疑問点も多くいつか読み返したい。たとえば第3章のミヒャエルは幽霊だったってこと?とか。すぐに出てこないけど他にも色々。
解説の最後の一文でしっか -
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500ページを越えるぶ厚い本を手に取り表紙をめくる。2段組みでないことに少し安堵の気持ちをおぼえ読み始めた。文章は平易な表現で、読みやすいリズム感がある。比喩の巧みさも含め、若いころに読んでいた開高健さんを思い出した。
主人公はドイツの出版取次会社に研修生として働き、公私を含めた日常を淡々と書き綴っていく。我々の生活に時間の区切りがないことと同様に、全編章立てもなく書き綴られる。淡々と、連綿と。
研修生として転々と業務が変わる様子、職場ごとの人間関係、帰宅すると現れる友人たちや家主さんたちとの関係。人間の内側を伺いながら同じような日常が繰り返し描写されていく。同じような日常の中で気づ -
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文字の羅列が意味を成し、眺めるともなくそれを見ていると、不意に情景が立ち上がる。すると集中力が増してくる。集中力は、集中力を呼び、やがて文字の羅列は、文章であるのだと理解する。読み耽るといった表現がそのまま当てはまるのは、こういうことだな、と確信を持つ。客観的に僕自身を眺める感覚。それがつまり、僕の読書だ。思う存分愉しめた。
言葉の意味を転がるような視線で追いかける。とても興味深い物語だった。ときに世の「哲理」を示唆するかの描写、物語の中とはいえ、はっとした。
核心に触れたかどうかは、わからない。絶えずザクザクとした手触りを感じていて、どこか不穏な気配をも感じつつ。それは言葉か。状況か。物語の -
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ネタバレ言語も国籍も性別も混ぜこぜで海をゆく一行の旅の終わり。
…かと思いきや、次(?)は西から行く!ということで旅は続く。完結しなかったけれど好きな終わりです。
シベリア鉄道だと端まで行き着いてしまう、でも船なら先延ばしできる…という感覚に切なくなりました。
日本がどうなったかは仮説が語られてました。これも強烈。
死者と生者も入り乱れてくるのが面白かったです。
不勉強で誰だかわかりませんでしたが、文学史的に重要な方々なのか…
海進んでるときはいいけど、確かにどこかへ上陸しようとしたらビザ要る、と思いました。
難民って、渡航ビザどうやって取るんだろう…ググったら「難民旅行申請書」というのが日本に -
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面白かった。登場人物どの人をみても変わっているんだけど、そんな人たちが集まって旅をするというのがこんなにも楽しくワクワクするなんて。最後のみんなのカオスな会話の中クヌートの母がアカッシュに向かって「あんた何なの?」アカッシュ「クヌートの恋人です、あなたは?」というのに笑ってしまった。多分ここまで読んだ方ならこの笑いをわかってくれると思うのだけど!続編の『星に仄めかされて』が楽しみ。
「薄暗い空間ならば、近くにいる人たちと薄闇の中で曖昧に結ばれている。貧しさとか日々の苦労とかを共有して。でも明るすぎる光に照らし出されたら、わたしはわたし、あなたはあなたで孤立してしまう。(以下略)」こういうものの