辻村深月のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ第六章 金環のお祝い
第七章 星と虎の夕べ
第八章 あの日の一夜に寄せて
第九章 煉瓦の壁を背に
第十章 また会う日まで
新章 「おかえりなさい、東京會舘」
第八章は東日本大震災の時の話。料理教室に通い始めても決して料理を作らなかった旦那さんが、遥か逗子までようやく帰った奥さんにカレーを初めて作るラストシーンは泣けた。
第九章は直木賞受賞作家の話。辻村深月本人と若干オーバーラップしているような?デビュー年同じに設定されてるよね。直木賞受賞日も、田舎出身っていうのも、親が公務員だっていうのも同じだね。
母親の性格がなんとなく、辻村深月が他作品で描いている母娘の独特な関係性を暗示させるような雰 -
Posted by ブクログ
ネタバレ第一章 クライスラーの演奏会
第二章 最後のお客様
第三章 灯火管制の下で
第四章 グッドモーニング、フィズ
第五章 しあわせな時の記憶
ミステリー仕立てというより、歴史を舞台にしたストーリー。第三章あたりまで「好みじゃないなぁ」と読むのが若干苦痛だったのだが、第四章で多少持ち直し、第五章は「いい話だなぁ」となった。
我ながら現金なものである。
第五章から、私の好きな箇所を抜粋。
「合理性よりおいしさを。ロスが出ても、それが東京會舘(うち)らしさなのだと思います」
合理的、効率性に流され支配されがちな現代において、大事にしたい精神ではないだろうか。
それにしても、美味しいクッキー食べた -
Posted by ブクログ
辻村さんの作品の登場人物(特に女性)に共感できない、だがそこが面白いといった事を何度か書いたように思いますが、本作は"その共感できない度合い"がちょっと突き抜けていたように思います。特に貴恵さん、怖いです。男も一人は論外ですが、もう一人はただのいい人。でも彼の大人になりきれない感じが、ある意味この話の根底なのかも知れません。
青春って素晴らしいけど、いつまでも固執するわけにもいかない。昔の歌詞じゃ無いけど、大人の階段昇るシンデレラ達の夢から覚めていく瞬間。そこを「一人ずつ連絡を絶つ」というミステリ仕立てにした構成は素晴らしいと思います。
ただ、登場人物の心の揺れ動きとト -
Posted by ブクログ
ネタバレ良かった。登場人物一人ひとりの心が感じられて何度も泣かされた。
それぞれの時代に時代ごとに、さまざまな立場から見え東京會舘の姿を切り取った短編小説集だと思っていたら、最終話で見事に伏線回収してきた。
まさか出だしのあそこがここに繋がるとは。
それぞれが人生を物語にしようだなんて思っていなくて、ただ必死に生きてきただけのはず。それが、自分の意図していないところで「縁」となってつながっていく。その事実になんだか生きる希望を感じる。
この物語は東京會舘というフレームで切り取った人生の集まり。個人はただ必死に生きることしかできないしそれでよくって、それはちゃんと縁としてつなかっていく。何かのフレ -
Posted by ブクログ
ネタバレ4.5
いやものすごい読後感。いろんな感情からため息が止まらない。正直最後の方の怒涛の展開は全て理解できていない。かなり難しかった。これから考察読みまくります。ミステリ的展開でどんどんひっくり返される。下巻の後半はもう最後まで安心できないくらいひっくり返されまくった印象。そして登場人物たちの間の関係や感情が独特で面白い。面白い。辻村深月さんの小説は全部違う作者なのか?って思うほど、作品によって感じが変わる。でもこの小説は「スロウハイツの神様」を書いた辻村深月さんだなって感じた。登場人物同士の関係性の描き方が同一人物だった。
浅葱、会いにきてくれたの。なんか嬉しかったよね。
複雑な多重人格の構