辻村深月のレビュー一覧
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ネタバレ辻村深月さん作品で避けては通れない話題作。ボリュームも書いてある内容も重量感があり、読んでいてしんどかった…。
婚活と結婚観に留まらず、文章の矛先は読み手個人にも鋭く向かっているように感じました。進学、就職、結婚、出産、介護などのあらゆる選択に置き換えて、自分のためなら「傲慢」が、誰かのためなら「無知の善良」が、際立つから気を付けてねって言う忠告だと思っておきたい。それぐらい優しく解釈しないとやっていけない(;´∀`)
『しかし、この世の中に「自分の意思」がある人間が果たしてどれだけいるだろう。真実を責めることができる人間が、一体どれほどいるというのだろうか。』
「闇祓」「ツナグ」「かがみ -
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4編ともに「忘れてしまっていたあの頃の大切な思い出」がキーワードになっていて、幼い主人公の繊細な心理描写が読み手に懐かしさを感じさせてくれる、素敵なお話たちだった
主人公には、所謂「普通の子」に限らず、いじめられる優等生から、友人が亡くなったショックから不登校になった子まで様々な子が選ばれている。昔クラスメイトに1人はいたあんな子、憧れていたこんな子にも、それぞれに試練があり、乗り越え、大切な思い出になっている。そんな大切な思い出も、時間が経てば簡単に忘れてしまう。
しかし、その経験が無自覚のうちに今生きるための心の支柱になっていたりする。
「忘れてしまっていたあの頃の大切な思い出」は、何も無 -
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ネタバレ再読。学生たちの甘酸っぱい青春物語。
学生向けの本なのか、ものすごく読みやすく内容もストレート。
特に好きだったのは、やっぱり2作目のサクラ咲く。文通相手だからこそら相談できることってあるんだろなぁ。また本の趣味が合うってのもより親密になったポイントかな。
みなさんの感想で初知りなのは、実は繋がったエピソードだということ。1作目の陸上部メンバー2作目の先輩。2作目の主人公たちが3作目の図書室の先生。1作目の2人が3作目の両親。苗字を見ると、あぁみんないい青春送ったのねと読後もほっこりしました。
特に3作目の両親は、2人しか知らない未来の親友のために人生を捧げて研究した内容が、本当に未来変えちゃ -
購入済み
もはや哲学書
凍りのくじらから。
あらすじにふみちゃんの名前を見つけて手に取りました。
主人公が小学生とするにはあまりに残酷な描写とストーリー展開でしたが、そのぶん読み手に語りかけてくることが非常に重かったです。
「ぼく」と秋山先生のやりとりは哲学的問答で、普段いかに自分の感情を蔑ろにしてたのかを痛感させられました。
もっと若い時にこの本に出会えてたら……と思う気持ちと、今だからこそ響いたんだろうなと思う気持ちと。きっと何度読み返しても新しい発見がある作品なんだろうと思います。
「ぼく」とふみちゃんが過去にとらわれず前向きに進んで行けますように。
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ネタバレ辻村深月さんの『太陽の座る場所』を読みました。自分の居場所やプライドなど、多くの人が学生時代に経験したであろう感情や言動を、複数の登場人物の外面、内面から見せていく内容です。ただ1回目に読んだときにはクライマックスに近づくにつれ「あれっ??」と、内容をしっかり理解できませんでした。理由は、響子と今日子、キョウコ、りんちゃんなど。名前が同じ人物が複数登場するに加え、あだ名で呼ばれていたりするからです。ただ、もう一度読むと特段難しくなく。今日子と響子という2人のヒロインを軸に、先述した青春時代ならびに社会人になってからの葛藤や気づき、立ち直りまでを描いた作品であることが、さらりと腹落ちしました。い
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スピンオフ作品です。
講談社文庫から発売されている辻村作品をすごろく通りに読み進めていかないと、楽しみが半減する作品かと思います。
特に好きな作品は『チハラトーコの物語』。
嘘をつくことが当たり前になってしまったトーコが、虚構と現実の境目がわからなくなってしまうというストーリーです。現実に引き戻してくれるきっかけをくれるのが、あの作品のあの人。
変わらずカッコいい姿に惚れ惚れしました。
あと、『樹氷の街』という作品では、私の大好きな『凍りのくじら』の郁也・理帆子・多恵さんと再会できたのも嬉しかったです。
10代の頃の言葉にできなかった感情が、この作品で気付けたような気がします。