辻村深月のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ちらほらと散りばめられた伏線が無駄なくキレイに回収されてすっきり!狩野目線で語られていく展開の最後にはコウちゃんの目線があって、やっぱりそこがよかった。甘酸っぱいトキワ荘、けれど仕事が主軸なので読んでて楽しかった。
解説では作家というものがどんなものか語られる部分があったが、本作の作家も常人とはいえないような人たちばかり。そうやってこの世の物語(だけに限らないけど)が作られて楽しませてもらっていると思うと感謝でしかない。
辻村さんの作品を読むと、あまりにも没入しすぎて、知り合いがたくさん増えたような感覚に陥る。今回も今後を見守るのが楽しみな知り合いがたくさんできた。 -
Posted by ブクログ
辻村さんの作品のなかでは、
私ランキング!3番目の秀作傑作です。
良かったです。面白かったです。
この作品の数年後に出された、「この夏の星を……」
も良かったんですケド、私は本作の方が
お気に入りです。
基本的に、高校生モノが好きです。
自分がろくな高校生カツを送って来なかった呪縛が
あるからかもしれません。
でも、どんな高校生活を送ろうとも、
そこに正解などあるわけなく、
それでもあの3年間は、人生のなかで
最も濃密な時間
だというコトは誰にでも共通したことです。
その時期の体験値、人それぞれですが、
その時の,"感じる心は最も感受性豊かです。
こんな物語を読んでいる最中は、自分も高校生になった気分に浸れるのが、イイです。
けっしてあの頃には戻れないのですから。 -
Posted by ブクログ
上下巻合わせて1000pをゆうに超えるこのボリューム…!毎晩寝る前に夢中になって読んだ。随分と長く、雪景色に囲まれたあの校舎で、あの8人と過ごしていた気がする。
本を開いていないときも、この作品の世界で生きる彼らのことを考えていた。彼らはどうなるのだろう?分からないことだらけできっと不安で堪らないだろうな…最後まで仲良くやっていけるんだろうか?と。
自分の日常生活のなかでふとした瞬間に、物語の世界に引き戻される。辻村作品はそういう強い引力があるように思う。
本作はホラーというかダークファンタジーというか、そういう分類にあたるのだろう。私はホラー要素が苦手なため、読んだことを少し後悔した場面も笑 それでも彼らの行く末が気になって気になって、最後まで止まらなかった。
「かがみの孤城」の元となった作品らしいけれど、私は読みながら「スロウハイツの神様」を思い出した。どちらも、未熟さも多分にある人たちの群青劇。登場人物一人ひとりの心情にグッと入り込んで物語が繋がれていく。たとえ自分のなかにない考えを持つ人物であっても、物語とともにその心情を追っていくと痛いほど気持ちが入ってしまうからすごい。
本作は特に充と菅原の話に心が痛んだが、とてもよかった。
辻村さんが高校生のときにこの作品を書き上げたってすごすぎるなぁ。冗長で回りくどく感じる部分があったり、登場人物が怖がる場面なのになぜかユニークに感じてしまう描写もあったが、それを差し引いても圧倒的な構成だった。
今月は「かがみの孤城」と「冷たい校舎の時は止まる」、辻村作品を4冊も読めたので大満足! -
Posted by ブクログ
転校生にずっと見られている、主人公。それを助けてくれたイケメンの部活の先輩。元々好意を持っていた。
元々好意を持っているかどうかで、同じ行動をしてもとらえ方は全然違う。
そういう人っていると思う。
この人とこの人がかかわってしまったがために、悪くなってしまったんだ、ということも現実にはある。
ちゃんと読んでればかなり早い段階で気づけたのに、と少し悔しい。
周りを不幸にする性質の、それが生きがいというのでもない、それが当たり前な家族。
まわりではどんどん人が死に、自分に危険が及ぶと、身を捨て乗り移る。
そういう、イキモノ。
素質があって、取り込まれてしまって、本来のその人の人生が奪われる。
戻れればいいけど、その間にしたことはどうなるのだろう。
それはその人の罪なのか。そうじゃないとどうやって証明するのか。 -
Posted by ブクログ
読み返したい、という気持ちが強かった。
どこからその話してたっけ、どこにも名前は出てなかったんだっけ、と。
読み返す体力はないけど。
悲しいけど、すごくいいラストだった。
虐待というのは傷が残るし、すべてをゆがめてしまう。
実の親からのそれはより重いだろうし、そのあとの虐待もずっと重い。
なぜ、自分が、と思うよね。何も悪くないんだよ、と伝えたい。
あなたは何も悪くない。
望んで産まれてきたわけではないのに、その特性を兄弟と比べて劣っていると、産むか産まないかを判断できた人がそれを押し付けるなんて。そんなことはあってはならない。それを躾だなんて、言ってはいけない。
子どもは、所有物ではなく、モノではなく、他人。一人の人間。敬わなくてもいいから虐げないでほしい。
それが成人したとたん、本人の責任と言われても。人格形成にかかわってきた人たち全員に責任がある。