辻村深月のレビュー一覧
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ネタバレp587〜578にある言葉が頭から離れない。
・悪くない、悪くない_とくり返されるたびに、ミカは気づいた。すべては、自分のせいにされているのだと。
・美夏は悟る。守られたいなら、このまま、受け入れなければならない。
・本当に悪かったのが誰か、「誰も悪くない」「誰のことも傷つけない」と言いながら、全部を美夏のせいにする。すべては、美夏を守るために。なかったことにするために。
私にも同じような経験がある。みんな口を揃えて「そういう事もある、気にするな」「反省してくれれば良い」などと言ってきたが、誰一人として「あなたのせいでは無い」と言ってくれる人はいなかった。はなから私は加害者として話され、そ -
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自殺してしまう誰か
登場人物たちの立ち位置
いつかが、バイクの免許を取った理由
全ての伏線が回収されていく様は、お見事
1番、想定外だったのが河野と友春の関係
おじいちゃんとあすなの2人の家族の繋がり
そして、いつかとあすなの進展
なんだ、誰も悪い奴はいないじゃんと。
あすなの「他人の痛みを、自分のイベントとして盛り上がらないで」
美談も商品価値として世間に溢れるこのごろ。
人の痛みが分かるというのは、傲慢なんだなと思う。
その人の痛みはその人にしか分からないのだから。
それでも、全てがハッピーエンドに収まって良かった。
いつかとあすなのその後の展開も見てみたいです。 -
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三ヶ月後から、過去に戻ったと主張する、高校生の依田いつか。自殺する同級生がいることを同級生の坂崎あすなに相談を持ちかけ、友人たちを巻き込んで、その同級生を探すことになる。
宮部みゆきの「ソロモンの偽証」を想像しながら、読み進めました。登場する同級生たちも、天才的な頭脳を持つ天木をはじめ、いつかの親友の秀人、その恋人で、お嬢様で学業優秀の椿と、いつかとは、また違ったタイプの同級生たちが集まる。
あすなは、自分を学校で決して目立つタイプではないと考えるが、高校や中学って、どうしても似た様なタイプで、一緒にいることが多かったなと思う。
当時、自分にも色々なタイプの横の繋がりがあったら、学生生活を -
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友人に勧められて、最後の話だけを読みました。
子供の頃、自分がついた嘘が本当になればいいのにって経験をしたことがあったと思い出した。
特に、嘘が原因で怒られた時なんかはそう思ったな。
今思えば子供の時にしかそんな気持ちは味わえなかったんじゃないかなって思う。
自分に都合の良いおかしな展開や、人を作っては妄想して楽しんでいたけど歳を重ねるにつれて現実から離れたことはしなくなってしまった。
昔は不思議な夢もたくさん見れたのになって。
少し逸れてるかもしれないけれど。笑
辻村さんの後書きはすごく良くて共感できました。
紹介してくれた友人に感謝です。 -
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ネタバレ久々に再読しました。辻村深月さんの作品の中で唯一と言っていいほど、どういう感想を持ったらいいのかが未だにわからなくなるお話です。
当たり前にこのお話はフィクションなんだけど、それでも浅葱の境遇はフィクションであって欲しいと作中の狐塚と同じ思いを願ってしまうほど感情がリアルで痛くて光がない。
まだ上巻ではそこまで重要な登場人物でもない真紀ちゃんや恭司や紫乃だけれど、それぞれのエピソードを通して狐塚や月子の人となりがよく分かるし、それがまたリアルな感情で余計にフィクションであることを忘れてしまい余計に気分が滅入ってしまう気がします。
前作「冷たい校舎の時は止まる」の菅原の件もそうだけど、本作も -
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作者のデビュー作「冷たい校舎の時は止まる」のエピローグまたはプロローグに当たる短編集。
少し大人になった彼らのその後が愛おしい。
事前に前作を読むとより楽しめるが、本作から入っても問題ない。特に誰が前作の誰とは明示されず、終盤にヒントが出る構成であり、作者の力量と読書体験の素晴らしさが秀逸だった。
特に「トーキョー語り」がおすすめ。著者特有の壮絶なクラス内闘争からの、加害者側も含めたさわやかな大団円が新鮮だった。少ないページ数ながら、どの登場人物も瑞々しく、描かれている。
本作はスピンオフのスピンオフに該当するが、彼らのその後もまた、気になるなあ。