辻村深月のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ第一章 クライスラーの演奏会
第二章 最後のお客様
第三章 灯火管制の下で
第四章 グッドモーニング、フィズ
第五章 しあわせな時の記憶
ミステリー仕立てというより、歴史を舞台にしたストーリー。第三章あたりまで「好みじゃないなぁ」と読むのが若干苦痛だったのだが、第四章で多少持ち直し、第五章は「いい話だなぁ」となった。
我ながら現金なものである。
第五章から、私の好きな箇所を抜粋。
「合理性よりおいしさを。ロスが出ても、それが東京會舘(うち)らしさなのだと思います」
合理的、効率性に流され支配されがちな現代において、大事にしたい精神ではないだろうか。
それにしても、美味しいクッキー食べた -
Posted by ブクログ
ネタバレ良かった。登場人物一人ひとりの心が感じられて何度も泣かされた。
それぞれの時代に時代ごとに、さまざまな立場から見え東京會舘の姿を切り取った短編小説集だと思っていたら、最終話で見事に伏線回収してきた。
まさか出だしのあそこがここに繋がるとは。
それぞれが人生を物語にしようだなんて思っていなくて、ただ必死に生きてきただけのはず。それが、自分の意図していないところで「縁」となってつながっていく。その事実になんだか生きる希望を感じる。
この物語は東京會舘というフレームで切り取った人生の集まり。個人はただ必死に生きることしかできないしそれでよくって、それはちゃんと縁としてつなかっていく。何かのフレ -
Posted by ブクログ
4編ともに「忘れてしまっていたあの頃の大切な思い出」がキーワードになっていて、幼い主人公の繊細な心理描写が読み手に懐かしさを感じさせてくれる、素敵なお話たちだった
主人公には、所謂「普通の子」に限らず、いじめられる優等生から、友人が亡くなったショックから不登校になった子まで様々な子が選ばれている。昔クラスメイトに1人はいたあんな子、憧れていたこんな子にも、それぞれに試練があり、乗り越え、大切な思い出になっている。そんな大切な思い出も、時間が経てば簡単に忘れてしまう。
しかし、その経験が無自覚のうちに今生きるための心の支柱になっていたりする。
「忘れてしまっていたあの頃の大切な思い出」は、何も無 -
Posted by ブクログ
ネタバレ再読。学生たちの甘酸っぱい青春物語。
学生向けの本なのか、ものすごく読みやすく内容もストレート。
特に好きだったのは、やっぱり2作目のサクラ咲く。文通相手だからこそら相談できることってあるんだろなぁ。また本の趣味が合うってのもより親密になったポイントかな。
みなさんの感想で初知りなのは、実は繋がったエピソードだということ。1作目の陸上部メンバー2作目の先輩。2作目の主人公たちが3作目の図書室の先生。1作目の2人が3作目の両親。苗字を見ると、あぁみんないい青春送ったのねと読後もほっこりしました。
特に3作目の両親は、2人しか知らない未来の親友のために人生を捧げて研究した内容が、本当に未来変えちゃ -
購入済み
もはや哲学書
凍りのくじらから。
あらすじにふみちゃんの名前を見つけて手に取りました。
主人公が小学生とするにはあまりに残酷な描写とストーリー展開でしたが、そのぶん読み手に語りかけてくることが非常に重かったです。
「ぼく」と秋山先生のやりとりは哲学的問答で、普段いかに自分の感情を蔑ろにしてたのかを痛感させられました。
もっと若い時にこの本に出会えてたら……と思う気持ちと、今だからこそ響いたんだろうなと思う気持ちと。きっと何度読み返しても新しい発見がある作品なんだろうと思います。
「ぼく」とふみちゃんが過去にとらわれず前向きに進んで行けますように。
-
Posted by ブクログ
スピンオフ作品です。
講談社文庫から発売されている辻村作品をすごろく通りに読み進めていかないと、楽しみが半減する作品かと思います。
特に好きな作品は『チハラトーコの物語』。
嘘をつくことが当たり前になってしまったトーコが、虚構と現実の境目がわからなくなってしまうというストーリーです。現実に引き戻してくれるきっかけをくれるのが、あの作品のあの人。
変わらずカッコいい姿に惚れ惚れしました。
あと、『樹氷の街』という作品では、私の大好きな『凍りのくじら』の郁也・理帆子・多恵さんと再会できたのも嬉しかったです。
10代の頃の言葉にできなかった感情が、この作品で気付けたような気がします。