辻村深月のレビュー一覧
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●感想
母親を殺して姿を消した幼なじみ・チエミを、みずほが追う物語。地方で生きる女性たちの友情や母娘関係、逃れにくい閉塞感を描いたミステリー。
誰一人完全な人間はいない、その不完全さを描き切った作品だ。多かれ少なかれ、自分を含めて、人ってこういう正義感あるよな、嫌なところあるよな、と読みと読み進めることができる。
母と娘の確執、地方、結婚、どうしても考えてしまう付き合う人間の「ランク」。普通って何?と問いかけてくる作品だ。
●本の概要
地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。2013年おすすめ文庫王国 エンターテインメント部門 第1位。(講談社文庫)
事件を起こすなら、私のほうだと思ってた。
母を殺してしまった娘と、母との確執を抱える娘。どんな母娘(おやこ)にも起こりうる悲劇。
地元を飛び出した娘と、残った娘。幼馴染みの二人の人生はもう交わることなどないと思っていた。あの事件が起こるまでは。チエミが母親を殺し、失踪してから半年。みずほの脳裏に浮かんだのはチエミと交わした幼い約束。彼女が逃げ続ける理由が明らかになるとき、全ての娘は救われる。著者の新たな代表作。 -
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この先の希望をわずかに残して終結した物語だが、読み終えた感想は、絶望、絶句──。
表出の仕方は違えど、間違いなくそこに愛はあって、だけど当事者には伝わらなくて。
誰しもが持つ劣等感や嫌悪感、コンプレックス、ついつい他人と比較してしまう卑屈な自分と、相手を卑下して自分を守ろうとする自分…といった、女性の心理的描写がすべてリアルに包み隠さず描かれている。
人間不信になりそうだけれど、みんなこんな気持ちと折り合いをつけながらうまくやって、一部では自分を正当化しながら、立って前を向いて歩いているんだと人間関係の真理を見せつけられたように思った。
物語が進むにつれ判明していく新たな事実に驚かされる楽しみだけでなく、全てを知った上で再度読み返し、各登場人物の気持ちを改めて深掘りしてみたくなる、一線を超えているように思えて実はどれも共感できる感情が描かれたとても深い作品だった。
欲を言えば、このあともう少し先のストーリーを読んでみたかった。 -
Posted by ブクログ
本作は、小中高生に向けて書かれた本のようですが、大人の自分でも楽しく読めました。
特に、
「苦手」と「嫌い」
というエッセイが良かったです。
どのような話かというと、自分が今まで嫌いと思っていたことでも、もう少し深く考えてみると、実は好きということに気づくかもしれないよ、という内容です。
競うことが苦手でも、自分のペースで走るのだったら好き。
勉強が苦手と思っても、学校の授業に関係ないことを調べるのだったら好き。
人前で歌うのは苦手だけど、誰もいないところでだったら好き。
大事なのは、苦手と決めつけないで、どのようなシチュエーションなら「好き」でいられそうかを考えること。
辻村さんは、こう言っています。
『「苦手だけど好き」は、案外、あなたを助けてくれるかもしれない』と。
今一度、自分が苦手と思っていることについて、もう少し深く考えてみようと思います。
今回、辻村さんの文章を初めて読みました。
他の本も読んでみようかしら。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ同じ業種で働いていても、それぞれの立場や性格によって、仕事への熱意の向け方や責任の果たし方はまったく違う。それでも、「一つの作品を作り上げる」という共通の目的に向かって、それぞれがプロ意識を発揮している姿は、まるで部活動のような熱さがあり、読んでいて胸が熱くなった。
特に最初の話は、登場人物の性格も相まって、自分では思いもよらない形でプロ意識を貫く姿に意表を突かれ、とても感心した。一方で、二つ目以降は少し勢いが落ちた印象がある。また、作中で制作される作品そのものにはあまり感情移入できず、その部分はやや流し読みになってしまった。
一方、当初は「お金のことばかり考えている人物」という印象だった登場人物が、営業として「きちんと利益を生む作品にする」という強いプロ意識を持って行動していることが分かり、その印象が大きく変わった。この描き方はとても良かったと思う。
最終的には、どの登場人物にも好印象を抱ける形で物語がつながり、読後感の良い作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ第一章「転校生」で白石が不気味な転校生として描かれるが、様子のおかしくなってしまった先輩を白石が追い払い、ここから白石と澪が次々と同じような闇を祓う『闇祓』の物語が始まると思っていた。
第二章「隣人」で舞台も主人公も違う話が始まって、短編集だったのかと勘違いしてしまった。実際にあったらとっても嫌だと思ってしまうようなママ友コミュニティが描かれていて、この章が一番嫌悪感が高かった。
第三章と第四章を読んでいくと、名前だったり地名だったりとで、少しずつ共通点が現れてきて繋がっていると確かな気づきが出てきた。
最終章「家族」では白石と澪が再登場し、最終決戦となった。第二章から第四章までは人の闇の部分だったり嫌なところが描かれていて、あまりフィクション感は薄い印象だったが、白石が登場するとしっかり怪異物語のような印象となった。しかし、最後に「闇ハラ」(闇ハラスメント)は物語の中だけの怪異などではなく、現実にも沢山ありふれているものなのだと巧みに書かれていた。