辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ最近『傲慢と善良』を読んだこともあり、本作もまた「自分本位」について深く考えさせられる一冊になった。作中、何度か出てきた「人は、人のために泣けない」という言葉。読んでいる間もずっと、この言葉の冷たさが頭を離れなかった。でも、物語の終盤で先生が示した「愛」の解釈に、ちょっと救われたような気がする。誰かを想う動機が、たとえ「自分が苦しいから」「自分が失いたくないから」というエゴだったとしても、その結果として相手のために何かを想い、行動し、人生を共に歩もうとする。その不器用で、泥臭い執着もまた、人間ができる精一杯の「愛」の形なのだと教えられた気がする。
執着のない清らかな愛は、それはそれでどこか他人