辻村深月のレビュー一覧

  • 凍りのくじら

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    ネタバレ

    ドラえもん大好きなので、作中の真剣な秘密道具議論はとても大変楽しかったです。
    作者もドラえもんで育ったんだなとヒシヒシと伝わってきます。
    章ごとに入るイラストと秘密道具の解説も味があってとても良い。
    結末が思いの外SF(少し・不思議)に着地して少し意外でもありました。
    薄々感じていたこれはどう読むんだ? で答え合わせが出来た気持ちです。

    序盤のSF当て嵌めはしつこすぎて食傷でした。
    語る必要もないと言えばそうなのですが、若尾とその関係性の決着は描かれないんだなーとか。
    映画館で見ても何度見ても途中で飽きてしまっていた、辻村さん脚本の『ドラえもんのび太月面探査記』改めて見てみようかなとか思いま

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    2025年12月21日
  • はじめての

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    豪華な4人のアンソロジー
    色んな「はじめて」を詰め合わせた素敵な作品集でした。

    島本理生 私だけの所有者
    はじめて人を好きになった時に読む物語。
    誰かへの初恋のお話かと思いきや、アンドロイドとそれを所有する人間のお話。

    辻村深月 ユーレイ
    はじめて家出した時に読む物語。
    学校でいじめを受けた女の子が死ぬことを意識して家出するお話。

    宮部みゆき 色違いのトランプ
    はじめて容疑者になった時に読む物語。
    鏡のように自分と全く同じ顔の人間がいる世界があり、そのもう一つの世界で自分の娘が捕まってしまったら…?という話。

    森絵都 ヒカリノタネ
    はじめて告白した時に読む物語。
    三度も告白して玉砕して

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    2025年12月21日
  • 噓つきジェンガ

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    ネタバレ

    ・2020年のロマンス詐欺
    ・五年目の受験詐欺
    ・あの人のサロン詐欺
    まさにタイトルの「嘘つきジェンガ」のとおりに嘘で積み上げられたものが一気に崩れていくストーリーで短編で読みやすくて内容も面白かったです。1話目と3話目は「なりすまし」がポイントだと思いました。他人になりすまして事が進んでいく、このあたりが印象に残っています。1話目に関してはコロナ禍真っ最中の詐欺についてでした。実際にニュースでコロナ禍の時に特殊詐欺をして捕まる事件をよく見ました。読者に想像しやすかった小説だと思っています。

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    2025年12月21日
  • かがみの孤城 上

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    学校での居場所をなくし、閉じこもっていた“こころ”の目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。

    輝く鏡をぐぐり抜けた先にあったのは、城のような建物。
    そこにはオオカミの面をつけた少女が待ち受け、こころを含め、似た境遇の7人が集められていた。

    城に隠された鍵を探すことで願いが叶えられるという。
    すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。

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    ずっと読みたかった本。
    でもファンダジーは好きじゃない。

    読まず嫌いはよくない。
    読んでよかった。おもしろかった。

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    2025年12月21日
  • 噓つきジェンガ

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    嘘つき話の短編集。「受験詐欺」のまさこ塾以外は特に悪意あった詐欺ではない。けど、それとは関係なくてもやっぱり嘘をつくと後から面倒くさいと思えた話だった。でも、3編とも悪い結末ではなく、新しいストーリーが始まるような終わり方だったので、後味は悪くない。

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    2025年12月21日
  • 噓つきジェンガ

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    些細な嘘からさらに嘘を重ねて取り返しがつかないほどの状況に陥る恐怖。しかしこの作品は他とは違うのは、圧倒的なバッドエンドではなく、後悔や懺悔の念の暗がりの中でもわずかに見えるものはある。それは光というよりも、暗闇の中で目が慣れて見える程度の弱さではあり、それでも本人にとっては前に進む一歩であることには違いない。

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    2025年12月21日
  • ツナグ(新潮文庫)

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    【 亡くなった人に会いたいですか? 】
    亡くなった人に会うなんてタブーな行い。でも使者(ツナグ)を介して会いたくなる気持ちもわかる。

    私だったら、亡くなった人で会いたい人は誰かな?
    もし今私が亡くなったら、誰に会いに来てほしいかな?
    これを読んだら、きっと考えてしまうと思います。
    そうすると自然と「後悔のないように伝えたい」「大切な人との時間を大切に生きよう」と思わせてくれる、とても素敵な小説でした。
    読んだ後の何とも言えない気持ち、皆さんにも味わっていただきたいです。

    亡くなったはずの人に会いたい理由。
    未練なのか、後悔なのか、問題解決なのか。
    また、会った後の気持ちも人それぞれ違う。

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    2025年12月21日
  • 子どもたちは夜と遊ぶ(下)

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    上下巻の長編作品。
    上巻では意図して複雑に、これでもかというくらい伏線になり得ることが描かれていて、下巻はどんな展開になるのか、読み始める前、私は全く予想がつきませんでした。
    この作品の中で回収できた伏線、別の作品で回収する伏線といろいろですが、辻村さんの頭の中はどうなっているのかと思いました。
    放ったらかしになってしまうのかなと思う登場人物もきちんと意味を持つ、改めて凄い方だと思いました。

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    2025年12月21日
  • 噓つきジェンガ

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    詐欺にまつわる3つの短編集。
    感情の描写がさすがで、感情移入しながら読めた。どれも主人公は悪意がないので、憎めないというか、詐欺の話ではあるけど読後感の良い1冊だった。

    以下軽くネタバレ


















    ロマンス詐欺に加担させられカモとしてやりとりをしていた人妻を本気で助けたいと家まで行ってしまった大学生
    次男の中学受験を応援したい親心につけこまれた専業主婦 次男は器の大きないい男になるよ
    ある漫画家を崇拝しすぎて本人になりすまして有料サロンを開催する子供部屋おばさん

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    2025年12月21日
  • スロウハイツの神様(下)

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    上巻は正直、スロウハイツの住人の関係だとか時系列が分かりづらく読み進めていくのも少し辛かったのですが、下巻で全ての伏線が回収されスッキリしました。

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    2025年12月21日
  • ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

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    幼馴染みのチエミが母親を殺し失踪して半年。
    みずほは彼女が逃げ続ける理由を探っていく。
    母と娘の関係性、女同士のしがらみが鮮明に描かれていました。チエミの全体像が見えてきたとき、辻村さん作品の『傲慢と善良』の真実に似たものを感じました。女同士の仲の良さの裏に、同情や嫉妬が絡んでいる描写に心が抉られます。そんな感情と同居しながらも、相手の考えることがわかってしまう所も女同士の友情ならでは。
    チエミが母親を殺して逃げている真相は、みずほでなければ気づけなかったこと。2人の強い絆を感じられるラストでした。

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    2025年12月21日
  • かがみの孤城

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    見知らぬ7人の不登校の学生が、鏡の中を通る事でたどり着ける城で過ごす約一年間のお話。
    頑張れと応援したくなる話でした。
    アニメで映画をやってるみたいだが見るか悩み中。

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    2025年12月20日
  • 青空と逃げる

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    この母子が平和に長く暮らせますように…と願いながら読みました。
    生きていくために強くなる二人にジーンとしつつ、ちょっとミステリーっぽい要素もあり、最後まで一気に読みました。
    傲慢と善良との繋がりは知らなかった…

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    2025年12月20日
  • 傲慢と善良

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    本作を読んで人間は矛盾した存在であると再認識した。
     パートナーに求める年収、容姿、性格その全ては理想であり、自分に見合うかどうかの基準でもある。結局は自分の価値相応の人を求めている。そんな「傲慢」さを人々は持っている。
     それに対して、周りを取り巻く環境に身を任せ、全て人の言いなりになり自分の色を持たない「善良」な人間も存在する。
     しかし、善良な人間でも人一倍傲慢さを発揮する場合もある。我々は、一見対極に存在する事象が隣り合わせに存在する奇妙な生物であると感じた。
     婚活が遠い存在ではないのだなぁと時の流れを感じつつ、自身が持つ傲慢と善良というモンスターを上手く扱っていきたいと感じた。

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    2025年12月19日
  • 噓つきジェンガ

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    3話からなる短編集
    コロナ禍で詐欺事件の片棒を担ぐことになった大学生
    子供のお受験のために、100万円を払ってしまった母親
    人気作家を偽ってサロンを運営する子供部屋おばさん

    派手な物語ではないかもしれないけど、自分のまわりでも起きそうな出来事ばかり
    自分の歩いている道から少し外れると、嘘と現実の境界線がある
    歩けば歩くほど道は狭まっていくけど、切羽詰まった人たちの人間模様が、実は本当の自分なのかもと思ったり

    幸せって、実は危ない綱渡りの上にできているのだなと感じました。

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    2025年12月19日
  • ぼくのメジャースプーン

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    心を閉ざしてしまった優しくて賢いふみちゃん。
    未知の力に怯えながらも、罰を与えることの意味と向き合うぼく。
    少年少女が年齢に見合わない苦労を背負い込む姿はとても切なくて、そんなにひとりで抱え込まなくていいんだよと涙してしまう場面がちらほら。

    しかしぼくが賢すぎて小4の設定に無理があるだろうと感じてしまったり、世界観に没入しきれなかったりという部分があったため★4。

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    2025年12月19日
  • 傲慢と善良

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    ネタバレ

    辻村深月作品にハマった1作目の最高な作品です。
    私は20代後半、これを読んでぶっ刺さりました。
    これは男女で読み方と受け取り方が全く変わってくるような作品だと思います。
    ぜひ、恋人&家族が居る居ないに限らず、20代後半~40代前半の人に読んでほしい指南書な一冊です。
    いわゆる現代の恋愛の主流であるマッチングアプリ(婚活アプリ)を通じて出会った架と真実。
    タイトルの「傲慢と善良」という相反する感情が婚活や恋人探しを行う男女にとって、相反しながら両立している感情だということがうまく描写されていると感じた。
    真実の失踪直後に架視点と真実視点でその日に何があったかがわかっていく王道なスタイル。
    30代

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    2025年12月19日
  • 凍りのくじら

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    同じ作者の作品『傲慢と善良』『かがみの孤城』が刺さったので読んでみたが、今作はそれほどだった。
    まず要素が多い、ドラえもん、失踪した父、重病の母、金持ちの知り合い、ミステリアスな青年、失語症の少年、メンヘラ元彼、内心人を馬鹿にしてる主人公、などなど…要素が渋滞を起こしている、だがその割に物語が動く終盤まで展開はもたもたと動かない。
    終盤に作品に散りばめられた、ピースがハマって行くが…
    終盤の展開を『S•F』と納得できるかでも評価が分かれるかと…自分的には『スコシ•フヒョウ』だった

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    2025年12月18日
  • スロウハイツの神様(上)

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    深月さんの小説は近作の方が多く読んでいたため、ブクログ上でも登録数・高評価の本作品を読んでみました。これまで読んだ深月さんの中でも、群を抜いて読みやすい、早く読めるという印象でした。人物の会話(発言と発言)の間に細やかに心理描写や状況描写をされるのが深月さんの作品の特徴だと思っていたのですが、本作は人物の比較的短めな会話が続く場面が多く、スロウハイツというひとつ屋根の下に暮らす7人全員に主人公級の役割を充てた結果なのかなと感じました。
    上巻を読んだ限りでは、オーナーの赤羽環でも、有名なチヨダコーキでもなく、狩野や長野といった漫画家等の卵的存在(ハイツ内の立場が上ではなく脇役的存在)の人物か

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    2025年12月18日
  • この夏の星を見る 下

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    幸いにも自分はコロナの頃は大学を卒業していたので、
    学生時代を潰されることはなく同じ境遇ではなかったが、それでもなおあの期間は今思い返してみても異質なほどに閉塞感が蔓延していた。

    学生時代の青春をコロナで潰された人たちの想いは計り知れないが、それでもなお自分たちの好きなこと、熱中できるものに対して真っ直ぐに取り組む登場人物たちの姿に心を打たれた。

    どうしようもない状況に立たされ、行き場もなく陰鬱とした感情に呑み込まれそうな時、自分を救ってくれるのは心から熱中できるものなのだと教えてくれた。

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    2025年12月18日