辻村深月のレビュー一覧
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作家として経験を重ねてきたからこそ生まれる成長や、そのたびに揺れる気持ち。
辻村深月さんは、その細かな心の動きをひとつずつ丁寧に拾い上げていて、読んでいるこちらまで息づかいが伝わってくる。作家・辻村深月という存在が、少し近くに感じられるようなエッセイだったなぁ。
仕事と育児のあいだにある境界線について書かれた章も印象的で、迷いや葛藤がそのままの言葉で綴られているのも共感できた。
それでも、育児を通して仕事の成長を実感できるようになったこと。
仕事と育児がゆっくり溶け合って、自分の中で無理なく共存できるようになったこと。
その変化を受け入れていく過程に、1人の人間としての強さを感じられて良かっ -
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ネタバレ
妊娠や出産、不妊治療をテーマにしたものを読むと、女性であることの辛さとか、男性は他人事だとか、自分の中での男女の対立を深めるような感覚になる。
でも栗原夫婦を見ていると、清和の辛さが想像できないほどのものだったことがわかるし、男性目線で描いたものももっと読みたいと思った。
「この人が自分の夫でよかった。」
こういう人もいるんだって思ったし、現実にもいるって信じたい。
ひかり側の話は辛かった。
「相談してくれればよかったのに、と言われた。確かに相談しなかったのはひかりだ。けれど理不尽な気持ちになる。だって、誰も助けてくれなかった。返さなくていい、と教えてくれなかった。」
ひかりの辛さは本人 -
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ジェンガ、仲間と集まった時に罰ゲームをするためのツールとして遊んだ記憶がある。イメージとして失敗する人を意図的につけるためのゲームと思っていた。
ロマンス詐欺、ハニトラとも言うのだろうか。話の軸は今時の流行りと言ってはなんですが、匿名流動型犯罪に巻き込まれる話だと思っていた。雲行きが途中から変わって、沼ハマったのに更に奥深くハマる沼に足を入れてしまったと思った。終わった、と思った後の展開は嬉しさも感じられて安堵した。
子供の進学に関する詐欺は、騙されたご本人を思うと苦しくなった。まだ無邪気な印象を持つ我が子の進路に親心とは言えやましい気持ちを優先させた羞恥は消せない過去として記憶に残り続 -
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中学生のひかりは、はじめてできた恋人との子どもを妊娠してしまう。「早く大人になりたい」という思春期の中学生誰もが抱く感情で宿してしまった命を、世間体から隠そうとする大人たち。親からの子どもとしての理想像・エゴを押し付けられ、その道を外れてしまったひかりは大人の保護から脱却するように孤独へと堕ちていく。その先での同じく堕ちてしまった人間(おそらく彼女にも同情される理由はあるのだろう)からの裏切り、逃走、いよいよひかりは追い込まれてしまう。
かつて憧れた大人の支配からの脱却の先に行きついた本当の孤独に気づいたひかり。彼女を救う存在はあるのか…
ひかりは堕ちていかないためにはどうすれば良かったの -
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『傲慢と善良』のあとがきで関連作品として挙げられていたので読んだ。おそらく順序はどちらから読んでも問題無い設計のようだけど、『傲慢と善良』→『青空と逃げる』の順がおすすめ。
ボリュームがあるのにスラスラと読めるのが不思議。どんな結末を迎えるのか全く予想がつかないから気になってついページをめくる手が止まらない。辻村深月氏は物語を読ませるのが上手いな〜と改めて思った。
母子の逃避行劇。母・早苗の葛藤よりも息子・力の人との接し方や成長ぶりが伺えるところに心が動かされた。子供は日々親の目の届かぬところでも気持ちに折り合いをつけて判断力を身につけている。
案外、親が子を見て育つように描かれている。
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Posted by ブクログ
お守りみたいな本だなと思いました。小学校高学年向けの本でしたが、大人になった自分が読んでも心に響くフレーズがあったり、小学生頃に感じたモヤモヤを噛み砕いてくれて、心が軽くなったような気がしました。読み進めながら何度もこの本を私が小学生の頃に読んでいたらどんな気持ちだったかなと思いました。
『自分の本当の気持ちはどうか、他の人からの言葉に引きずられることなく、「自分の言葉で」考えてみてください。』という言葉に、SNS等情報や誰かの言葉や思いが常に溢れ出ている現代にとって大切な事だなと感じました。
小学校高学年以上のお子さんにはもちろんですが、大人にもおすすめです。
転職活動を終え、5月から