辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
詐欺を扱った3つの短編オムニバス小説。
ロマンス、受験、オンライン詐欺。2篇は騙される側、1篇は騙す側の物語で普通の人たちが詐欺に関わっていく様子が書かれている。詐欺というのは心の弱さや隙間につけ入ってくるんだなと改めて思う。
みんな詐欺なんて引っかからない、そんな上手い話に私は騙されない、カモになんかされないぞと思っている。ただ一方でほんの少しぐらい夢みてもいいだろう、これぐらい許されていいだろう、だって今まで我慢してきたんだもの、苦労してきたんだもの。こういった欲というものも人間は持ち合わせている。そういう危ういバランスの中で何かの拍子に詐欺にはまり込んでいく様子を辻村さんは絶妙に書いてく -
Posted by ブクログ
ネタバレ最近『傲慢と善良』を読んだこともあり、本作もまた「自分本位」について深く考えさせられる一冊になった。作中、何度か出てきた「人は、人のために泣けない」という言葉。読んでいる間もずっと、この言葉の冷たさが頭を離れなかった。でも、物語の終盤で先生が示した「愛」の解釈に、ちょっと救われたような気がする。誰かを想う動機が、たとえ「自分が苦しいから」「自分が失いたくないから」というエゴだったとしても、その結果として相手のために何かを想い、行動し、人生を共に歩もうとする。その不器用で、泥臭い執着もまた、人間ができる精一杯の「愛」の形なのだと教えられた気がする。
執着のない清らかな愛は、それはそれでどこか他人