辻村深月のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
下巻では、主に1971年に建て替えられた新館(2代目本館)が舞台となる。宝塚のスターたちのディナーショーや、芥川賞・直木賞の記者会見の場として、多くの人々に親しまれてきた建物だ。
東日本大震災の際のエピソードは、実話に基づいているという。緊急時にあっても、お客さまへの心遣いを忘れず対応するスタッフの姿には、ただただ感心させられた。
そして、この『東京會舘とわたし』そのものが、上巻冒頭と下巻後半に登場する作家・小椋真護の作品であったという仕掛けも印象的だ。
どことなく辻村先生ご自身を思わせる人物設定となっており、東京會舘に対する並々ならぬ思いが伝わってくる。
最後は現在の3代目本館へ。東京 -
Posted by ブクログ
ネタバレそれぞれの理由あって学校に通えない7人の中学生が、自宅の鏡を入口とした不思議な空間で出会い、心を通わせあいながら、前に進んでいくお話。共に歩む人の存在の大切さを描いた作品だと思った。
学校に通えていない主人公たちの心理描写は素晴らしかった。彼らがなぜ学校に行けなくなったか、自分の状況に何をどう感じているのか、彼らの精神的な不安定さを精細に描いている。
物語として注目したいのは、主人公こころと母の関係である。こころが最終的に前に進んだのは、彼女が母親に自分が学校に通えなくなった理由を伝え、それを聞いた母親が共に戦う決意を新たにしてくれたことだ。実際のところ、母は最初からこころに寄り添ってい -
Posted by ブクログ
ネタバレ家族の絆が描かれている短編集。
私が1番心に残ったのは『1992年の秋空』。
姉が妹との約束を破って友達を優先してしまい妹が怪我をしてしまう、その怪我の影響で妹が夢を諦めなきゃいけなくなるかもしれない、、
これまでちょっと変わっていると思っていた妹に冷たく当たってきたけどはじめて妹の視点に立って相手を思い妹に対して何ができるか考える、というストーリー。
小学生の姉妹の話だが、姉が妹に対して抱いている感情が自分に重なるところがあった。
姉が周りの目線や評価を気にしたり、妹に冷たく当たってしまったり、、
大きなきっかけがあって自分にとって大切な存在だと認識して主人公は変わることができた
自分自 -
Posted by ブクログ
日頃、SNSやら身の回りやらには噂や虚偽が溢れている。真実より噂や虚偽以外の方が多いのではないかと思うほどに。災害があればありもしない被害を報告したり、誰がが不祥事を起こしたらその傷をどうにかしてさらに広げてやろうと粗探しをしたり。
そして、それを興味深く聞いたりしている自分も確かにいる。
それさえも誰がを傷つけているとも思わずに。
ただその場の話題にするために。
そんな知らず知らずのうちに他人を気付けてしまうことに加担してしまっている全ての人が気付かされることがここにありました。
そうだったのかと驚かされるストーリーもすごく良かったけど、噂話の方が余程こわい。 -
Posted by ブクログ
女とは、自信の持てないうちは、そもそも暗いし、ひねくれてるし、意地悪で、計算高くて、傷つきやすいもんです。まさにひねたプライドの固まり。でも、変わるんだよね。
自分の心のありかたに、どうしても向き合わなきゃいけない時が来て、実は、世界のすべてが自分の心の反映だったんだと分かってきて、そのときオセロみたいにすべてがひっくり返る。
魂に柱ができて、強く、明るく、太くなる。太陽みたいに、ありのまんまで輝けるようになる。
だからね、早いうちに、いっぱい傷ついて、いっぱい誰かを呪って、どん底も経験して、ドロドロをやっておくといいよー。どうしようもない自分がみんな溶けちゃって、生きたまま、生まれ変われたと -
Posted by ブクログ
ネタバレあまり沢山の小説を読んでいるつもりも無いけれど、こんなに主要キャラクターと関係値を描写された人物が殺される話はあんまり読んだことがなく、結構キツかった。主要キャラクターと全く関係のない被害者も妙に設定がリアルでキツい。
それを補って余るほどのカタルシスは得られなかったのが本作の正直な感想である。所謂"真犯人"のオチも、「まあそうか」と言ったところだ。
が、辻村深月の描くキャラクターの立ち方と、"現実に居そう感"がとにかく凄い。別に、設定がリアルだからとかでもなく、本当にそこに暮らし、喋っている感じがする。そして皆、不完全な魅力を放っている。
だからこ -
Posted by ブクログ
ネタバレああ、すごい、さすが辻村深月さん、と思った。まず、中学まで公立。高校は私立で、大学は東京、という設定。一方で地元で残ってただ周りの力で普通の幸せを掴みたかった親友。
その主人公が親友にずっと感じてる気持ちが、無意識のうちにそれを私も持っていたことが、痛いくらい共感してしまった。共感などしたくないのにしてしまった。ここの他人の力に任せっきりの人たちとは、わたしは違う。
でも、それを共感させたうえで、突き放さない。親友側の気持ちもそれを全部わかってたことも開示したうえで、自分はなんでも自分の力で手に入れたのに、それでも手に入れられないものを親友は持ってる、と認める。その過程が丁寧に描かれていて、最