辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
物語の中心にあるのは「噂」の怖さ。噂によって誹謗中傷や差別が生まれ、人の人生まで変えてしまう。その構造は今ならSNSを連想するけれど、考えてみれば決して新しい問題ではない。SNS以前から人間社会に存在してきた、かなり古典的な恐怖でもある。そこを現代的な物語として成立させているのが面白かった。
そして何より、最後までしっかり骨太なミステリーだった。真相にたどり着くまで何層もあり、ミスリードにはすっかり騙された。
ただ、読み終わってから振り返ると、あれはある意味「ミスリードのミスリード」だったのかもしれない。というのも、その人物だけ最後まで深掘りされないまま終わっていて、そこに違和感が残る。読んでいる最中は完全に誘導されていたけれど、後から考えると、ちゃんと別の違和感も置かれていたんだと思う。
それと登場人物が全体的に優等生的で、人間臭い欠点や嫌な部分がやや薄く、物語が少し綺麗にまとまりすぎている印象はあった。
これは良くも悪くも、宮部みゆきの『ソロモンの偽証』を読んでいた時の感覚に少し似ていた。人間の嫌な部分は確かに描くけれど、作品全体としてはどこか理性的で、完全に救いのない方向には突き放さない。
その意味で、読後感はイヤミスではない。胸糞悪さはかなり上巻に集約されていて、下巻ではそこから真相へ向かって物語が収束していく。重たい題材ではあるけれど、読み終えた時に残るのは不快感よりも、生きることの意味だったり希望を与えくれる作品だった。
他に印象に残ったのが、田舎という閉じたコミュニティの怖さ。噂が広まり、人間関係が絡まり、そこで暮らす人にとっては世界のすべてのような問題になっていく。
でも、一歩外から見れば、それはあくまでも「井の中の蛙」の世界でもある。
登場人物たちはこれほど苦しみ、人生まで揺さぶられているのに、広い世界から見ればあくまで一つの土地、一つの共同体の中で起きている出来事にすぎない。その距離感がどこか痛快でもあり、同時にものすごく皮肉だった。
噂、差別、閉鎖的な共同体、人間の思い込み。現代的な題材を扱いながら、根底にあるものはずっと昔から変わらない人間の怖さ。
そのうえで、何重にも真相を重ねながら最後までミステリーとして読ませ切る。
長かったけど、読み切ったあとの感覚はやっぱり「圧巻」の一言。 -
Posted by ブクログ
久しぶりにのめりこめた小説だった。
自分の状況と重なりすぎる
きっかけは、
3年前に買って、完全に積読。
私って本当に結婚したいのか?
てかそんなビジョン見えない
でもやれることはやりきりたい
1人で生きていくかー
を行ったり来たりしてる時に
マッチングアプリの漫画を描いてる人の一コマに傲慢と善良が多分刺さるって一コマがあって、とても気になって読もうと思った。
傲慢と善良は、表裏一体なのかも。
結婚ができる人は、自分の欲しいものがわかっている人。ビジョンが見える人。
私のほしいものというか、生活ってどんなだ??
相手を選ぶ時は、自己評価の投影
果たしてほんとに価値がある??
カケルも、マミの気持ちもどっちも痛いほどわかってしまった。
最初マミの気持ちに全く共感できず苦しかったのですが、自分の気持ちの輪郭を取り戻していく時に、だんだんきょうかんできるように。
個人的には田舎出身なので、母親の絡みがきしかんありすぎて、読むのが辛かった、、。
彼らの物語のが強すぎて、小さな世界で物語が完結している。表現に感心してた。ほんとにそう。
子供だから心配だからって言葉でラッピングされた、本当は信頼されていないということ。なんとなく自分の頭の中にあったが、的を得ていると思ってこれはぐさっときました。
刺さるところが多すぎて。。
印つけたところは読み返したい。
一旦映画見ます。 -
Posted by ブクログ
辻村さんの別の著書の登場人物が出てくると知り、一回読んだことあったけどラスト泣けたな〜みたいなことしか覚えてなくて再読!ま〜〜よかった。
ドラえもんがだいすきな女子高校生が主人公で、尊敬する藤子・F・不二雄がSFを「すこし ふしぎ」と称したことを肝に、ドラえもんの道具になぞらえた章題で物語が進んでいく。
主人公の「すこし 不在」感が、思春期を経た人なら誰でもどこか共感しちゃうような拗らせ方で、展開も面白いんだけど、なにより終盤がとっても良い。「すこし ふしぎ」なことに、絶妙に読者が気付けるような伏線も絶妙な塩梅だった。リアルな家族愛に溢れていて、まさにすこしふしぎなSF小説。だいすきだった! -
Posted by ブクログ
ネタバレいやあなんか凄かったなぁ
恋愛を超えた
単に人間同士、
友人関係、親子関係までフォーカスして、
登場人物を解剖していく。
まだ年齢的には自分とは重ならなくて、想像でしか読めなかったけど、そんな自分でもかなり刺さるものがあったし、
人間って分からないな、とも、
面白いな、とも思った。
図星な部分だったり納得させられるような事が多く、どれも色々な角度から胸を刺してきた。
確かに30代で婚活していたらこういう思考になる。というか実際まじでこういうカップルいるんだろうなって。
それに真実の取った行動もふたりの関係も
2年も経っていても、
2年しか経っていないんだろうな。
失踪したことによって真実の親子関係、どんな人間なのか、架と見ていく。
何年も一緒にいて、ある程度理解できていると思っている人もやっぱり表面しか知れてないんだろうなと、改めて感じた。
だからこそ本音で話し合って二人で築いたこの愛は揺るがないだろうなと羨ましくも思った。
今の自分のこのタイミングで読んだことが
何か意味があるのか
意味があったのか
そんな事を考えて読んだ。
今までどんな恋愛をして、どんな人生を送ってきたのかで感じ方や、刺さる部分はかなり変わってきそう。
忘れた頃にもう一度読み返したい。
でも多分忘れない -
Posted by ブクログ
ネタバレ各所で大絶賛されてたのでとりあえず買うも厚さにひより、ずっと積んでた本
何度か移動時間のおともにとリュックに入れてはそのまま持ち帰ることを繰り返しこの度やっと手をつけられた、Twitterの短文から短編集からエッセイからついにここまで回復したぞ、感慨深い
読める本の厚さは精神のバロメーター…
久々に昔の上司含めて飲み会をして「お前はかつてアツかったじゃないか」「昔のように血を求めないのか」などと言われちゃんと見てもらってたんだなあという嬉しさ半分、やっとこの期間はほどほどにやっていくぞとハラを決めたはずなのにまた揺らいじゃうじゃん?!?!!!とぐらぐらしながら帰りの電車で読みさしの本書を読み出したら「仕事以外にも面白いもんいっぱいあんなァ…」となり、やっぱりほどほどでやっていこうと心を決められた、面白くてありがとう本書
あと最近読んでるのがミステリが多かったせいかプロローグ時点でミステリだ!と思い、そこからぐいぐい読み進めながらふと誰も死なないし密室にもならないな…?と気づいたのが6割ごろ、これってもしや、ミステリじゃなくて婚活の話…?!と動揺してたが読み終わって裏表紙のあらすじ読んだらミステリらしくて大混乱、人が死ぬだけがミステリじゃない…(偏り)
なんかこう、嫌だなって思うポイントがその人のコンプレックスとか無意識風を装って他人を上からジャッジしてるところになりそうで、本当に読んでいて嫌になりますわね(面白い)
婚活な〜、自分自身がかなりのラッキーパンチで再現性もなさそうなアレなのでこの小説にのめり込むこと自体が傲慢な感じもしてどこかで線を引く自分がいた、そういう自意識、傲慢になりたくない、善良でいたいという傲慢さがなければ星5だったのかも
しかしこんなにずっとヒタヒタと嫌な気分に浸しながら最後にドドドっとハッピー連れてくるのなに
想定外〜
最後はさすがに泣いちゃった
自由って難しいし、疲れるね