辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「嘘つきジェンガ」ってタイトルが秀逸。
嘘を嘘で塗り固めて得られるものは、丁寧に積み重ねられたジェンガのように綺麗だけど、些細なきっかけでバラバラになる。読んでいるだけなのに、登場人物に心情がリンクして、ジェンガをしてるかのようにハラハラさせられた。
辻村さんの作品が好きな理由は、どんな話のどんなぶっ飛んだ内容でも、心情が等身大に書かれる所にあるなと実感した。特に「五年目の受験詐欺」の、大貴が涙を流すシーンでは、多佳子の気持ちが痛いほど伝わってきた。
ありのままの気持ちを丁寧に書いてくれるから、登場人物の「人間くささ」を感じられるのが辻村作品の魅力のひとつと感じている。 -
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Posted by ブクログ
コロナによる緊急事態宣言、自粛、マスク生活。
当たり前だったことが当たり前でなくなり、取り組んでいたこと、取り組みたかったこと、楽しみだったことが「不要不急」に分類されていった日々。
物語の中心は中学生・高校生だけれど、取り巻く大人を含め、特定の人物に強く感情移入するというよりも、それぞれが抱える思い・言葉・言動に共感しながら読み進めた。
オンライン会議の場面で、お互いのマスクのない顔を見て「そうだった、この人はこんな顔だった」と思う描写がある。
その一文を読んだとき、私自身の記憶がふっと蘇った。
あの頃、本当にそんなふうに感じていたことを思い出した。
制限される日々の中で人を思いやる姿 -
Posted by ブクログ
ネタバレなかなか読んでいて辛く切ない物語だった。
ちょっとみんなよりも早熟で、クラスの誰からも好かれているけど一歩引いたところにいるふみちゃんと、そんなかっこいいふみちゃんのことが大好きで憧れを持つ僕。そんなふたりに大きな事件と凄惨な暴力が降りかかり、ふみちゃんは心を閉ざしてしまう。そこで僕はお母さんに禁じられた能力を使って犯人に復讐しようと試みる、というのがざっくりとしたあらすじだ。
▶僕という人物の大人顔負けの成熟ぶり
齢10歳にして、同じく能力を持つ秋山先生の複雑な説明に対しても理解を示し、かつその内容を実践で確かめ習得していく姿には凄すぎる、の一言に尽きる。また、ふみちゃんの早熟さや優しさ -
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辻村深月氏の本屋大賞受賞のSFファンタジー。 上巻。
ある出来事をきっかけに学校へ通えなくなったこころを始め、それぞれの事情を抱える7人の中学生。導かれるように通り抜けた鏡の先にあった孤城。そこにいた「おおかみさま」に告げられたこととは。
大人のなると忘れてしまいがちな思春期ならではの心の機微や思い悩みがとても丁寧に描かれている。そして物語の特性上ネガティブな感情も多く、時折きゅっと心が痛くなる表現も多い。そこに対して同じ境遇を抱える仲間たちに共感し傷つけられ支えられ心境と行動が変化していくこころらの描写がとても素晴らしい。ひょっとすると場面によっては優柔不断や気にし過ぎという感もあるが、それ -
Posted by ブクログ
「正義とは何か」「罰は誰が決めるのか」を問いかける物語だと思います。
世の中は誰かに「〜した」「〜された」で成り立っていて、悪いことを「した」人は「加害者」、「された」人は「被害者」となる。
「被害者」の方が立場上強いが、手を出すと「加害者」と同じレベルになってしまう。
こと復讐においては、このあたりがネックとなる。
しかし、感情には抗えないのが人間。
「被害者」がただ黙って忘れようとすることは難しく、罰を与えたくなる人がほとんどではなかろうか。
倫理と感情のアンバランスな性質を持つ人間が上手く描かれた作品でした。
また、「愛」についても。
人間は自分のためにしか泣くことができない。
他人