辻村深月のレビュー一覧

  • オーダーメイド殺人クラブ

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    描かれる14歳相応の苦悩や、踏み切れない不甲斐なさを恥ずべきものと片付けることは出来ず、エピローグにもあるようにあの日の自分と薄い壁一枚で生きていることに気付かされた。やるせなかった過去を、人に目を向けるきっかけへと昇華させた結末が好きでした。

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    2025年06月10日
  • ゼロ、ハチ、ゼロ、ナナ。

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    この本は第142回直木賞候補作になった小説、著者はこの数年後、『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞。
    期待して読み始める。辻村深月は期待を裏切らない!

    物語は、幼馴染の望月チエミと神宮寺みずほを中心に展開される。チエミの母親が殺害され、チエミが失踪した。みずほはチエミの行方を追う。地元の友人たちに聞き込みをする中で、チエミの過去や彼女の家庭環境が次第に明らかになっていく。なぜチエミの母親が殺害されたのか。事件の背景には、どんな秘密があるのか。
    彼女の失踪の理由が判明したとき、読者はどんな気持ちになるのか。

    ネタバレなしで感想を書くのは限界があるが、著者の描く女性たちの心の描写は鋭い

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    2025年06月10日
  • 名前探しの放課後(下)

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    ネタバレ

    騙されたー!なんとなく違和感とか回収されない伏線があるなと思いながら読み進めてましたが、そうくるとは、、
    ただ高校生にしてはうまくシナリオを運びすぎというか河野君演技うますぎかなと思ったり若干釈然としない気もしました

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    2025年06月07日
  • レジェンドアニメ!

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    過去作『ハケンアニメ!』のサイドストーリー集にして、天才クリエイターたちが一期一会する群像劇。
    絶対に本編を読んでから読んだ方がいい。登場人物が言う「アニメ業界には悪い人がいない」という言葉を体現する作品で、ひたすらに良いものを作りたいと願う人たちの苦闘と感動が詰まっている。
    個人的には「音と声の冒険」が特に好きで、本編では「強い主張がなく扱いやすいから選ばれたのだろう」とされていた音響監督の五條さんが、王子監督との古く強い信頼関係で選ばれていたことがわかる。本編から落ちた伏線の回収という感じで、とても良いと思う。

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    2025年06月07日
  • 本日は大安なり

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    11月22日(いい夫婦の日)で大安吉日の休日という日にあるホテルで結婚式披露宴を行う4組のカップルとウェディングプランナーをめぐる物語。
    同時進行で進む物語が時には少し交錯したり、辻村深月の他作品の登場人物が出てきたり。
    どの新郎新婦も幸せな様で、裏ではいつ爆発して結婚が台無しになる様な爆弾を抱えている。
    結婚式というハレの日だからこそ抱えてしまう問題だったり、そんな日そんな場だからこそ色々と考えてしまったり。
    主役である新郎新婦はもちろんの事、ウェディングプランナーってのも大変なんだな。
    双子の話が気に入りました。

    狐塚君、恭司君お久しぶりです。二人とも変わっていない様で懐かしかった。月ち

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    2025年06月05日
  • 図書室で暮らしたい

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    小さい頃から作家になると信じて疑わず小さい炎をずっと大切に灯していた強さと文章力を持つ。努力はさることながら作家になるべくしてなった人だと思う。子育てネタが微笑ましかった。これからも楽しみ。

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    2025年06月05日
  • 冷たい校舎の時は止まる(下)

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    問題は解けなかったーーー!そして「やられた」感と清々しさ。
    上巻の120ページくらいまでは「何やねんかったるいなぁ、さっさと物語を始めろよ」とイライラしてたのですが、途中からはもう止まりませんでした。一気読み。

    自分自身と重なる登場人物や心情などなど、苦しい場面もたくさんあった。でも読んで本当に良かったです。
    人それぞれが持つ、心の闇。
    自分の中の思いとの付き合うすべの模索。
    共感するところがたくさんあったな〜。

    正直、重いです。でもこれが辻村深月だな、としみじみ「原点」を感じました。

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    2025年06月04日
  • Another side of 辻村深月

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    辻村深月さんの永久保存版ガイドブック…と帯に書かれているが、内容的にも物理的にも(!)重厚で、ファンのために作られた公式ファンブックのようなもの。

    この本で必読なのは、何と言っても辻村さん本人による作品解説だ。デビューから2022年までに刊行された、全39作品についてそれぞれ語られている。
    普段読んでいる小説では、作品に対する作者の思いに触れることはできない。だから「こういうのを求めていた…!」という気持ちで嬉々として読んだ。
    だが欲を言うならば、執筆にあたってどういう経緯でペンを取り、どういう取材を行い、どういう悩みがあったのか、もっと詳細に知りたかった。各作品1ページしかないというのは、

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    2025年06月04日
  • 本日は大安なり

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    かなり面白かったです。
    双子の話と薬剤師の話は特に感動しました。
    浮気野郎が最後まであまり痛い目を見なかったのはすごく残念でしたが、暖かい気持ちになれるカップルが多かったように思います。

    結婚式をテーマにした4人のカップルとウェディングプランナーのお話でしたが、辻村深月らしい展開で、驚きと感動、ハラハラするところもあってすごく良かったです。
    結婚式ってこんな感じなんだなぁとしみじみ思いました。

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    2025年06月03日
  • 子どもたちは夜と遊ぶ(下)

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    読書がどうのこうのではなく、泣いたり戦慄したり怒ったりしたことを含めて、この本を読んでた時間が忘れられないものになりました。読み終わった事実をまだ受け止められない…

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    2025年06月03日
  • 鍵のない夢を見る

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    ネタバレ

    辻村深月ってほんとうに人間の気持ちの描写がうまい。嫉妬とか、ねたみ、傲慢さ、そういういやな面を描くのが上手すぎて、読んでいて主人公は全てわたしなんじゃないかと思ってしまう。
    自己愛が強くて、人のことを思いやっている風で実は見下していたり。結局は自分がいちばん大切だから相手のことを考えられないところとか。
    読みながらはやく、次、次、って進んでいくんだけど読むほど苦しくなった。
    私が田舎の出身というのもあって、こういう田舎での出来事や感情の揺れ方には心底共感できてしまうし、田舎から東京に出てきて自分は違うんだ、大丈夫だ、と思ってしまったことも思い出して読むほど気分が鬱々としてきた。(これは傲慢と善

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    2025年06月03日
  • 冷たい校舎の時は止まる(下)

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    ネタバレ

    ある大雪の日に高校に登校した7人の生徒たちが、誰もいない校舎に閉じ込められ、時計が止まった冷たい空間の中で「文化祭で自殺したのは誰か」を思い出すまでを描いたミステリ。
    直木賞作家、辻村深月先生のデビュー作であり、僕はこの本の文庫版が出た頃に読んですっかりファンになってしまった。下巻では、文化祭で自殺したのは誰なのか、なぜみんなそれを忘れているのか、閉鎖空間にみんなを閉じ込めた力の正体は何なのか、といった伏線が回収される。舞台が「何でもあり」な空間なせいでミステリとしてフェアとは言えないが、青春の光と影を写し取った美しい作品だと思う。

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    2025年06月02日
  • 冷たい校舎の時は止まる(上)

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    ネタバレ

    ある大雪の日に高校に登校した7人の生徒たちが、誰もいない校舎に閉じ込められ、時計が止まった冷たい空間の中で「文化祭で自殺したのは誰か」を思い出すまでを描いたミステリ。
    直木賞作家、辻村深月先生のデビュー作であり、僕はこの本の文庫版が出た頃に読んですっかりファンになってしまった。後の作品に比べると、主人公一人一人のサイドストーリーが丁寧に書かれていて、とても長い。先生自身が紹介コメントで「自己紹介代わりの作品」と書いている通り、物語本筋と同じくらい登場人物の個性が大事に書かれている。
    上巻は、ほとんど各自の自分語りのような話題が続いて青春物なのかな?と錯覚し始めたところにちょっとしたホラー展開が

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    2025年06月02日
  • V.T.R.

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    『スロウハイツの神様』の作中作品、チヨダ・コーキによる小説。
    その位置づけを知らない時に、ずいぶん毛色の違うアニメ風の表紙だなと思っていました。
    中身も装丁が凝っていて、なんと解説は赤羽環!粋な設定にワクワクです。

    設定はライトノベル風なのかな?
    200ページくらいなのですぐに読めます。
    国認定『マーダー』という殺人が認められている千人の殺し屋がいる世界。
    その中で物語が進んでいきます。

    ネタバレなしで書くのに自信がないので詳しく書けませんが、最後の二章くらい急展開でハラハラしました。
    ロボットのペロッチがとても可愛いくて、そして物語の重要なキーとなっています。
    しかけを作ったアールの気持

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    2025年06月01日
  • 光待つ場所へ

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    凍りのくじら、名前探しの放課後が大好きなので、彼らの新たな物語が読めたのが何より嬉しい!そして過去作品であまり深堀りが行われなかったキャラクターたちのその後が知れたのもよかったですね。いい作品集でした。

    物語全体としては、10代、20代のときの、周囲に置いてかれるんじゃないかと焦る気持ち、世間への焦燥感などがありありと思い出されて、かなりダメージくらいました。相変わらずこちらの心が見透かされてるんじゃないかと思うほど、人間の内面を描くのが上手い。さすが辻村先生、最高でした。

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    2025年05月31日
  • 名前探しの放課後(下)

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    ネタバレ

    「3か月後にクラスメートが自殺する」という未来を視てきた少年とその友人たちが、自殺を止めるべく奮闘する。目的を共有しながら日々を過ごす中で絆を深めた彼らはとうとう「その日」に直面する。
    タイムスリップ物の青春小説+ミステリという体裁だが、時間移動の理屈は二の次で、親友たちが荒唐無稽な話を信じ未来を変えようとする前向きな若さが主題。最後の50ページで仕掛けるトリック、それさえ脇役にする感動のラストはとても良いが、今回は仕掛けが大掛かり過ぎてさすがに無理があるようにも思う。 最後の最後に辻村ワールドのリンクが発動し、ファンは温かい気持ちになれる。

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    2025年05月31日
  • 名前探しの放課後(上)

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    ネタバレ

    「3か月後にクラスメートが自殺する」という未来を視てきた少年とその友人たちが、自殺を止めるべく奮闘する。上巻では自殺者が誰なのかもわからない中で、少しずつ協力者を増やして結束を深めていく過程が描かれる。
    上下巻ミステリの宿命として、どうしても上巻は驚きが少なく展開も穏やかでやや退屈。とはいえ、癖のある高校生たちがそれぞれ異なる理由で荒唐無稽な話に協力し、チームが出来上がっていく流れは気持ちが良い。

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    2025年05月30日
  • 冷たい校舎の時は止まる(下)

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    ネタバレ

    校舎の中の時が止まって仲の良い友人達と閉じ込められてしまう。不気味なんだけどちょっとワクワクする感じ。でも、物語が進むにつれてどんどんシリアス、なんならちょっとホラーな感じもあって面白かった。
    8人の中の誰かが亡くなったと思い込んでたから自殺したのが春子だと分かった時は驚いた。
    菅原だけずっと名字しか出て来ないのに違和感を感じてたけどまさか榊が若返った姿だとは思わなかった。榊はいつになったら出てくるんだ、ってずっと思ってた。
    あとはヒロとみーちゃんと菅原の関係が繋がった時鳥肌が立った。そういう事だったのかって繋がる感じがめちゃくちゃ気持ち良かった。
    上下合わせて1000ページ以上あるのに読む手

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    2025年05月30日
  • きのうの影踏み

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    通勤電車内でしか読書をしないので、手軽に読みたいなと思い、読みました。短文でもグッと話に引き込まれて、とても面白かったです。
    特に好きなのは①「ナマハゲと私」と②「タイムリミット」です。
    ①はこの作品の中では1番物理的な怖さがあるなと思いましたし、②は臨場感がとてもあって、短編ながらもハラハラさせられてとても好きです。

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    2025年05月29日
  • はじめての

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    島本さん目当てで読んだんだけど、宮部みゆきさんに驚いてしまった。短編でこんな世界繰り広げられるの凄い。yoasobiの曲も良かったよ

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    2025年05月29日