辻村深月のレビュー一覧
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この本は第142回直木賞候補作になった小説、著者はこの数年後、『鍵のない夢を見る』で第147回直木賞を受賞。
期待して読み始める。辻村深月は期待を裏切らない!
物語は、幼馴染の望月チエミと神宮寺みずほを中心に展開される。チエミの母親が殺害され、チエミが失踪した。みずほはチエミの行方を追う。地元の友人たちに聞き込みをする中で、チエミの過去や彼女の家庭環境が次第に明らかになっていく。なぜチエミの母親が殺害されたのか。事件の背景には、どんな秘密があるのか。
彼女の失踪の理由が判明したとき、読者はどんな気持ちになるのか。
ネタバレなしで感想を書くのは限界があるが、著者の描く女性たちの心の描写は鋭い -
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11月22日(いい夫婦の日)で大安吉日の休日という日にあるホテルで結婚式披露宴を行う4組のカップルとウェディングプランナーをめぐる物語。
同時進行で進む物語が時には少し交錯したり、辻村深月の他作品の登場人物が出てきたり。
どの新郎新婦も幸せな様で、裏ではいつ爆発して結婚が台無しになる様な爆弾を抱えている。
結婚式というハレの日だからこそ抱えてしまう問題だったり、そんな日そんな場だからこそ色々と考えてしまったり。
主役である新郎新婦はもちろんの事、ウェディングプランナーってのも大変なんだな。
双子の話が気に入りました。
狐塚君、恭司君お久しぶりです。二人とも変わっていない様で懐かしかった。月ち -
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辻村深月さんの永久保存版ガイドブック…と帯に書かれているが、内容的にも物理的にも(!)重厚で、ファンのために作られた公式ファンブックのようなもの。
この本で必読なのは、何と言っても辻村さん本人による作品解説だ。デビューから2022年までに刊行された、全39作品についてそれぞれ語られている。
普段読んでいる小説では、作品に対する作者の思いに触れることはできない。だから「こういうのを求めていた…!」という気持ちで嬉々として読んだ。
だが欲を言うならば、執筆にあたってどういう経緯でペンを取り、どういう取材を行い、どういう悩みがあったのか、もっと詳細に知りたかった。各作品1ページしかないというのは、 -
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ネタバレ辻村深月ってほんとうに人間の気持ちの描写がうまい。嫉妬とか、ねたみ、傲慢さ、そういういやな面を描くのが上手すぎて、読んでいて主人公は全てわたしなんじゃないかと思ってしまう。
自己愛が強くて、人のことを思いやっている風で実は見下していたり。結局は自分がいちばん大切だから相手のことを考えられないところとか。
読みながらはやく、次、次、って進んでいくんだけど読むほど苦しくなった。
私が田舎の出身というのもあって、こういう田舎での出来事や感情の揺れ方には心底共感できてしまうし、田舎から東京に出てきて自分は違うんだ、大丈夫だ、と思ってしまったことも思い出して読むほど気分が鬱々としてきた。(これは傲慢と善 -
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ネタバレある大雪の日に高校に登校した7人の生徒たちが、誰もいない校舎に閉じ込められ、時計が止まった冷たい空間の中で「文化祭で自殺したのは誰か」を思い出すまでを描いたミステリ。
直木賞作家、辻村深月先生のデビュー作であり、僕はこの本の文庫版が出た頃に読んですっかりファンになってしまった。下巻では、文化祭で自殺したのは誰なのか、なぜみんなそれを忘れているのか、閉鎖空間にみんなを閉じ込めた力の正体は何なのか、といった伏線が回収される。舞台が「何でもあり」な空間なせいでミステリとしてフェアとは言えないが、青春の光と影を写し取った美しい作品だと思う。 -
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ネタバレある大雪の日に高校に登校した7人の生徒たちが、誰もいない校舎に閉じ込められ、時計が止まった冷たい空間の中で「文化祭で自殺したのは誰か」を思い出すまでを描いたミステリ。
直木賞作家、辻村深月先生のデビュー作であり、僕はこの本の文庫版が出た頃に読んですっかりファンになってしまった。後の作品に比べると、主人公一人一人のサイドストーリーが丁寧に書かれていて、とても長い。先生自身が紹介コメントで「自己紹介代わりの作品」と書いている通り、物語本筋と同じくらい登場人物の個性が大事に書かれている。
上巻は、ほとんど各自の自分語りのような話題が続いて青春物なのかな?と錯覚し始めたところにちょっとしたホラー展開が -
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『スロウハイツの神様』の作中作品、チヨダ・コーキによる小説。
その位置づけを知らない時に、ずいぶん毛色の違うアニメ風の表紙だなと思っていました。
中身も装丁が凝っていて、なんと解説は赤羽環!粋な設定にワクワクです。
設定はライトノベル風なのかな?
200ページくらいなのですぐに読めます。
国認定『マーダー』という殺人が認められている千人の殺し屋がいる世界。
その中で物語が進んでいきます。
ネタバレなしで書くのに自信がないので詳しく書けませんが、最後の二章くらい急展開でハラハラしました。
ロボットのペロッチがとても可愛いくて、そして物語の重要なキーとなっています。
しかけを作ったアールの気持 -
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ネタバレ「3か月後にクラスメートが自殺する」という未来を視てきた少年とその友人たちが、自殺を止めるべく奮闘する。目的を共有しながら日々を過ごす中で絆を深めた彼らはとうとう「その日」に直面する。
タイムスリップ物の青春小説+ミステリという体裁だが、時間移動の理屈は二の次で、親友たちが荒唐無稽な話を信じ未来を変えようとする前向きな若さが主題。最後の50ページで仕掛けるトリック、それさえ脇役にする感動のラストはとても良いが、今回は仕掛けが大掛かり過ぎてさすがに無理があるようにも思う。 最後の最後に辻村ワールドのリンクが発動し、ファンは温かい気持ちになれる。 -
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ネタバレ校舎の中の時が止まって仲の良い友人達と閉じ込められてしまう。不気味なんだけどちょっとワクワクする感じ。でも、物語が進むにつれてどんどんシリアス、なんならちょっとホラーな感じもあって面白かった。
8人の中の誰かが亡くなったと思い込んでたから自殺したのが春子だと分かった時は驚いた。
菅原だけずっと名字しか出て来ないのに違和感を感じてたけどまさか榊が若返った姿だとは思わなかった。榊はいつになったら出てくるんだ、ってずっと思ってた。
あとはヒロとみーちゃんと菅原の関係が繋がった時鳥肌が立った。そういう事だったのかって繋がる感じがめちゃくちゃ気持ち良かった。
上下合わせて1000ページ以上あるのに読む手