辻村深月のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレお城や、グリム童話の設定が小中学生の頃、よく読んでいた本みたいだ〜と思いながら読んでいたら。
どんどんどんどん、暗く重くなっていく。
こころちゃんの学校の狭い空間に苦しめられている感じが、学生時代を思い出してとにかく苦しかった。
用事があって、読むのを一時中断したときは、なんだか気持ちがズンと重くなってしまう感じだった。
はやく、みんな助かって欲しい。それだけの思いで読むのを止められなかった。
恋愛至上主義で女子を侍らしてめちゃくちゃなことをする女子とか、嘘をついてしまう男子とか、なんかお兄ちゃんの影響でませちゃってる子とか、とにかく色んな子供が出てきて、懐かしい古傷をえぐられてる感覚だった。
子供たちのいた時代が違うことと、狼ちゃんの正体は早々に気づいてしまっていたけれど、喜多嶋先生がアキちゃんなのは、気が付かなかったし、ちゃんと大人になっててすごく嬉しかった。鏡に逃げて帰れなくなってしまった理由を知ったあと、そうなったのはしょうがないと思った。子供に手を出そうとする大人はタヒねばいいのにと心から思ったし、彼女の苦しさを考えると泣いてしまった。私も彼女を助けたいと心の底から思った。だから、仕事でのやりがいを見つけられて、優しい穏やかな旦那さんと結婚できて幸せになれて本当に良かった。
みんなそれぞれの地獄があって、誰しもきっともう生きていたくないと思う瞬間は絶対あるけれど、生きればきっとその先の未来で何かが待っている。
だから、生きていずれ起こりうる出来事を経験してっていうメッセージが良い。中学生の時に、もしくは大人になる前に読みたかったな。でも、大人になっても響くいい作品だと思う。 -
Posted by ブクログ
血がつながっているからといって、誰もが互いを完全に理解し合えるわけではないし、いつも上手くいく関係ばかりでもない。しかし、本作に登場する人々は、たとえ不器用であっても大切な人を思いやり、時間を重ねていく。その歩み寄りの過程こそが、愛や信頼を育み、少しずつ「家族」という形を作っていくのだと気づかされる。
特に印象的だった『タイムカプセルの8年』に出てくる父親のように、最初から完璧な親など存在しない。戸惑ったり失敗したりしながらも、自分なりのやり方で愚直に「父親業」と向き合い続けることで、人は真の意味で父親になっていくのだろう。
家族ゆえのすれ違いや葛藤を誤魔化さずに描き出しながらも、最後には温かい救いを与えてくれる。人を大切に想う気持ちの積み重ねが家族を家族にしていくのだと教えられた。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ上巻途中で喜多嶋先生の正体や、それってつまりこういうことだよね?ってのは気付いてしまって、ミスリードかとも思ったけどそのままの真相だったので、もっと上手く隠して欲しかったのは正直ある。
でもオオカミさまの方は驚いたし、ちゃんとヒントがあったことも示されて、どんでん返しされる快感も味わうことが出来た。
そしてそういう仕掛けを仕込むことで上手くエンタメとして仕上げてるけど、中身の人間描写だったり現実を生きる子どもたちへのメッセージの部分が何よりもこの作品の核であり、そこの描写が素晴らしいと思った。
こういう悩める子供が主人公だと「大人は信用出来ない」という話にされることが多いけど、今作では信用出来ない大人も出しつつ大人に頼ることの大切さもきちんと描いている。
助けてくれる大人はきっといるはずで、今悩んでいる君に必要なのは立ち向かう勇気でも逃げない強さでもなく、そういう頼るべき大人の援助を受け入れることなのだ、と。
なぜならその大人だって、かつては君のように悩んだ子どもだったかもしれない、同じ年頃で出会っていれば親友になれたかもしれないひとりの人間なのだから、と。
現実にかがみの城はないけれど、どこかの時代で悩める子どもだった人が大人になり今の君を助けようとしてくれる。そして君もいつかそんな大人になれるんだ、と。
だから生きよう、と。
このメッセージこそ、この作品の一番大事なところであり、全ての子どもに届いて欲しいと強く思う部分だった。
それぞれの過去をしっかり描く終盤の展開も良く、特に良いのがアキがちょっといじめる側に回ってそのせいで周りから嫌われてしまったような描写。
もしかしたらアキは真田美織やその取り巻きタイプで、普通にこころと出会ってたら敵対してたかもしれない、と思わせる。
でもそんな子にももしかしたら事情があって、救われるべき子どものひとりかもしれない、というところまで描いている。
あと、何気にマサムネとスバルの最後のやり取りが一番ぐっと来たなあ。
都合良くイケメンのリオンとは年がいっしょで最後に会える、というのは失礼ながら女子の読者を想定した少女マンガチックな描写に感じてしまった(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレ辻村深月流の道徳の教科書といった読み味。
悪意を持つ人は、突然あなたを襲い、悔い改めない。
描かれる事件の内容について、小学生にはあんまり辛すぎる内容だなと感じるがこれの被害者が中高生だった場合、途端にショックを受けすぎだとリアリティーが損なわれてしまう。
主人公の小学生男子の一人称視点で語られる内容が、実際にカギカッコで発する言葉と説明言葉の語彙力にギャップがある点は、気になる人は気になるかもしれない。
辻村深月作品について、刊行順に読み進めている中で個人的に非常に興味深いのが、やたらと登場人物の美醜の描写がある点だ。しかもかなり生々しい。今回はそれが物語のひとつの要素にすらなっている。これが気になるのは、時代のせいなのか? -
Posted by ブクログ
心理描写が丁寧で、自分も学生時代にこんなこと考えたことあったなーなんなら今でも考えるなーと思いながら読んでいた。
同時にこころの親の気持ちもよく分かり、冒頭の方はこころの母に感情移入して何度か目頭が熱くなった。
ストーリーの方は、初めて城が登場するあたりはファンタジーが始まったっぽいのに、結局はこういう施設に集まってなんとなく過ごす子供たちという感じでファンタジー要素は薄く、自分にとってはそこは期待外れだった。
ただつまらないというほどではなく、こころに起こる出来事はすべて興味深いし第一印象があまり良くなかったこころ以外の子供たちにも自然と愛着が湧いてくる。
上巻の終わりに近付くとストーリーの動き出しそうな気配があり、しかもこのストーリーに隠された仕掛けにもしかして気付いちゃった?あえてヒントを仕組んだ?それともミスリード?という箇所もあり、早く下巻を読んで確認したくなる。