平野啓一郎のレビュー一覧

  • サロメ
    サロメはあの絵が有名だからよく知っていた。でもまた絵で見るのと本で読むのとは違ってよかった。サロメの妖艶な感じがよく出ていると思う。
  • サロメ
    登場人物それぞれのつぶやきが、他の登場人物にまともに受け止められることなく飛び交いながら、事態は冷たい熱に浮かされながら、ラストに向けて一直線に進んでいく。そしてカタルシス。誰もがこの作品について語りたくなるのがよくわかる。平野の訳註や訳者あとがきもよいが、巻末の宮本亜門の文も面白かった。
  • ご本、出しときますね?
    読んだことのない作家も出てくるけど、それでも面白い。もちろん読んだことのある作家ならなおさら。コンビニ人間の村田沙耶香さんって変わった人。ある意味コンビニ人間の主人公みたい。
  • 透明な迷宮
    表題作を含む、6編の短編が収められています。
    どれもちょっと不思議で、背中をぞわぞわ感が這いあがってくる平野氏らしい物語。「火色の琥珀」は、火に性的興奮を覚える(?)いわゆる火フェチな男性の話。リアルで怖い。本当に変態的な(失礼)フェチの人とかに取材して書くのかなぁこういうの。想像力のたまものかなぁ...続きを読む
  • ドーン
    平野啓一郎くんの壮大な長編。
    壮大すぎてレビューが長くなりそうだけど書いてみる。

    舞台は21世紀半ばの近未来。
    私たちは、いろいろなものが進化しすぎて複雑化し、世の中がこの先どこへ進んでいくか想像もつかないけど、小説の中ではやはりまだまだ世界は複雑に進化している。
    整理すると…

    ○人類は火星に降...続きを読む
  • ドーン
    これって、去年の大統領選挙よりずっと前に書かれた作品なんだよなあ、と思いながら読み終わって、2009年の作品、と知って衝撃を受けた。
    去年のどころか、その前のトランプ旋風選挙も、東日本震災も、宇宙関連でいうと、はやぶさ(1号!)の帰還もまだはるか先の話の時代の作品。
    この作者の、「今」考えていること...続きを読む
  • かたちだけの愛
    ありきたりな言い方しかできないけど、ほんとに本当に、読み応えのあるすごい小説です。
    「ドーン」も、宇宙開発から米大統領選まで、すごい壮大な話でありながら、最終的には「愛」のストーリーだったことに驚かされたけど、これはタイトルからしてもちろん「愛」の話です。
    「愛とは何か」っていう究極の問いから書かれ...続きを読む
  • 高瀬川
    短編「清水」
    中編くらいの表題作「高瀬川」
    詩「追憶」
    2つの小説が並行して進む実験的な「氷塊」
    の4つが入っています。

    「高瀬川」と「氷塊」はすごく良かった。
    「高瀬川」は、最終的にパンティがペットボトルに入って流れて行っちゃう話。
    その情景がすごく印象的なのと、コトに及ぶ男女の会話のぎこちなさ...続きを読む
  • 「カッコいい」とは何か
    「カッコいい」という感覚を言語化することの奥深さを知った。

    感覚的なイケてる、ヤバい、スゴいといった言葉にも共通する「理屈抜きの形容詞」をどのように明らかにするかということは、自分の美学を確認することに違いない。

    自分にとってのカッコいいとは何か、を突き詰めることは自分探しと言える。

    単なるル...続きを読む
  • ご本、出しときますね?
    読み終わって思う、番組見たかったなぁと…
    特に私の大好きな、朝井リョウ×西加奈子×若林正恭は本当に面白かった
  • 空白を満たしなさい(上)
    一度死んだ後生き返った1人の男の話。
    単なるSFではなく、生きることの尊さを教えてくれる作品。

    個人を複数の人間に分割する「分人」という考え方はすごく論理的で目から鱗だった。現代社会における人間関係はこの考え方で全て説明できると確信した。

  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践(PHP文庫)
    スロー・リーディングの本を、1時間で速読。
    速読は、”るるぶ”を見て旅行の予定を立てること。
    行ってみたい観光名所やグルメのように、じっくりと読んでみたい箇所を見つけたら、スロー・リーディングでじっくりと味わう。読書好きの、最高の贅沢!
  • 悲しみとともにどう生きるか
    個人的に興味深い作者名が並んでいたこともあり、本屋で衝動買いしたもの。ただひたすら真摯に、悲しみと向き合ったからこそ到達し得た心境が、ことばで生きている諸氏によって語り起こされる内容は圧巻で、それぞれに異なった対峙方法にも関わらず、通底する温もりは十分に享受できる。心のどこかに本書の存在を認識してい...続きを読む
  • ドーン
    『空白を満たしなさい』に続いて分人主義が通奏低音になっている作品で、監視カメラネットワークやAR(拡張ではなく添付)そして火星有人探査などの実現する近未来が舞台。ただそこで語られるテーマは紛争、移民、そして民主主義のあり方など「近い将来ありある」というよりすでに今現在の私たちの社会で起こっていること...続きを読む
  • 『マチネの終わりに』無料試し読み
    非常にリアリティと親近感を覚えます。
    しかも、その前後の2人の心理、回想、受能動的な先への向かい、
    身に覚えすら感じ、震えと奇妙な安堵すらもたらしてくれました。
  • 『ある男』無料試し読み
    偏狭な民族意識や差別感情の
    あふれる現代に「暮らしながら」「悩みつづける」私たちが読んでおくべき逸品であると思う。
  • ドーン
    すごいよかった!

    いまは強固で社会の地盤となってるものごと、
    みんなが持ってる価値観が
    将来は跡形もなくなくなってるのかもしれない。
    と同時に人間が未来も解決できない
    しょうもない問題もあるんだなぁ
  • 「カッコいい」とは何か
    いやあ、平野啓一郎の洞察は深いなあ。そして難しいテーマも簡潔に整理されていて、それでいて何度でも読み直したい。まさにクール。この新書自体が「カッコいい」な。印象に残ったのは、カッコいい人は、カッコいい名言を残しているということ。しびれるような経験を言語化することができて初めて物語に内包されて体感され...続きを読む
  • 『ある男』無料試し読み

    完全版が読みたくなる

    作品紹介によると謎の多い複雑な話のようで、謎が解明されていくのを追っていく興味だけでなく、読者自身が感じ、考える。何を、かは、それこそ読んでのお楽しみ。人それぞれ違って、そこが、いわゆるミステリーとは違う醍醐味ではないか、と思います。
    この無料お試し版で読める第三章までで、登場人物と謎のさわりが分...続きを読む
  • 決壊(下)
    初、平野作品。長編の上下巻で圧倒的な読み応え。
    ストーリー展開よりも人間の思想、行動に重点が置かれ、純文学的な描写が難しいが今まで読んだことのないようなもので新鮮だった。夢に出てくるだろうな…と思ったら本当にでてきて恐ろしかった。

    登場人物が次々と壊れていく。
    読んでよかったけど、読まなければ良か...続きを読む