平野啓一郎のレビュー一覧
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人を表す最小単位として使われてきた「個人」。
社会においてはそれが最小単位だけど、自分の内側においてそれは一つではない。
Aさんと会ってる時の自分、Bさんと会ってる時、Cさん…、それぞれ違うことを自認している。
この人といる時の自分が好き は、相手のことを好きである理由にならないと思ってたけど、その...続きを読むPosted by ブクログ -
『空白』以来、平野作品二作目。ほとんど読まない恋愛小説だったが、そんな私でも作品世界にどっぷりハマりました!恋愛関係って複雑で本当に些細なことで壊れてしまうものですね…。あのとき二人が少しでも若ければすれ違うこともなく、結ばれていたと思うのですが…。歳をとって、相手のことをより考えられるようになった...続きを読むPosted by ブクログ
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冒頭は、文章の表現が少し難解で蒔野と洋子の出逢いまでは淡々と読み進めていましたが、その後は惹き込まれました。
人生経験を積み、その人なりの信念、価値観や生活スタイルが固まりつつある年齢で、自分の世界観を広げたり、お互いの感性が響きあい、今まで感じたことのない感情を抱かせてくれる人との出逢いは、会っ...続きを読むPosted by ブクログ -
人は誰でも、理解されたい
では、天才はその願望がみたされるのか?
天才でなくとも誰しも、人とは違う、オリジナリティの意識はあり、理解し合える人との出会いは、一生で一度あるかないか…
本書は、そういう誰でも持つ未熟な願望と、天才ギタリスト、国際的ジャーナリストという稀有な生き方とを結びつけることによ...続きを読むPosted by ブクログ -
10年以上も前の本だが、普遍的な概念の提示をしてくれる本書。
結構、人間観が変わると思う。
人を「個人」(individual:分けられないもの)として考えるから色々複雑になってしまうのではないか、という問題意識から、人の中には複数の分人(dividual:分けられるもの)があるのではないか、とい...続きを読むPosted by ブクログ -
こんなに心動かされる恋愛小説は初めてかもしれない。途中でとても陰鬱な気持ちや焦燥感襲われるようなな気持ちに出来事があったけど、それを全部ひっくるめて感動に変えてくれる美しい話だった。人が運命的な出会いをするとどうなるのだろう?やはり運命っていうのは神様がもたらしてくれる奇跡で人生の中で運命というべき...続きを読むPosted by ブクログ
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筆致が美しい、平野さんらしい作品。
前半部分だけでは、蒔野の想いは理解できるが洋子はなぜ蒔野に惹かれたかがよく分からなかった。
後半にかけて、そのなぜが解明されてきて2人が時間や立場を越えて特別な関係であることが分かる。
読者の方には共感出来ない、世界に入りにくいと感じる人もいると思う。
過去が今を...続きを読むPosted by ブクログ