平野啓一郎のレビュー一覧
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ネタバレマチネの終わりに
平野啓一朗
何気なく手に取った本が今年最高の1冊だった。
男女のすれ違い恋愛の話。生きること、愛すること、出会うこと、別れること……今自分がこうして生きてる理由は?問いと気づきが多くて感動。読み切れてよかった。
とにかく文章が素敵。こんな表現できるんだ、演奏の様子とか心情とか。自分では普段使わない単語がたくさんでてきた。
平野さんの表現力の高さ、ホントすごいなぁ。
あと一歩違ってたら死んでた、すれ違ってたから今一緒にいない、どうして出会ったんだろう?
人生て不思議だね。今こうして生きてる意味、考え出したら壮大だ。
パートナーを大事にしようと思った。 -
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感情や場面、視えないはずの音の描写まで、全てが丁寧に言語化されていて、体験していないことが頭の中でスムーズに映像化された。感情の描写がリアルで、読者として読んでいると腹立たしい出来事でも当事者の場合に感じることは異なる、と、説得力のある心理描写が重ねられていた。
作中の「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいもの」というセリフが、最初はよく分からなかったが、最後まで読むことでこの考え方がすごく意味を成していることが分かった。
月並みな言い方になるが、すごく素敵な作品だった。何年後かに、また読み返したい作品だった。
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ネタバレ読み出したら止まらなくなってしまい、2日ほど睡眠を削って読んでしまった。
深く自身と芸術、歴史、文化、思想に向き合う2人が運命的に出会い、引き離され、最後には再会を果たす。軽薄さのない恋愛の崇高さと切なさに憧れを持った。
洋子のような側から見れば完璧な女性のうちにも、凡人のそれと同じく嫉妬や後悔など様々なものが渦巻くものなのだろうと想像できるようになった。また、1970年代からの社会情勢、とくにイラク戦争についての己の無知を恥じ、教養のない女性はセクシーじゃないというフィリップの考えにもどきっとした。
再会のその後は描かれていないが、共に生きていく関係となっていることを願わずにはいられない。この2人が友人としてでも恋人としてでも関わっていくことで早苗との関係は遅かれ早かれ破綻するだろう。しかし2人が完全に縁を切るということも想像のつかない選択肢であるように思う。 -
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ネタバレ平野啓一郎さんの著書を初めて読みました。
初めて触れる言葉が多く、辞書片手に読み進めました。笑 また地の文が多いこともあって、想定していたより読み終わるのに時間がかかりました。
戸籍の交換の仲介という闇が、本当にこの世に存在しているのではないか、と思わせるくらいリアリティを感じた。実際、あったとしてもそれが本当にあると、私が真実を知ることは難しそうだが。
本当にそのビジネスがあったとしたら、私は「人の人生のその後を歩きたい」いや「自分の人生をリセットしたい、辞めたい」だろうか?
あの時に戻りたい、やり直したいと考えることはこれまで何度もあった。でも誰かになりたいわけじゃなく、あくまで今の自分の人生の起点となっているだろう一部を変えて、自分の人生の今を変えたいだけ。
「自分の人生を辞めてまで他者の人生を生きる」という選択肢が浮かばない自分は、とても幸せなことなのかもしれない。
日本の「刑罰観」というものに興味を持った。まずは本書の最後に掲載されていた参考図書を読んでみよう! -
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平野啓一郎さんの作品は、これが初めてでした。
これまで読んできた小説の中には、物語としては最後に大きく盛り上がって「面白かった」と思えるものの、そこにたどり着くまでの文章は比較的平凡で、最後まで読むこと自体に少し頑張りが必要な作品もありました。
その点、この本は少し違いました。
物語全体としての評価は、自分の中では星4つくらい。ただ、それ以上に印象に残ったのは、一つ一つの文章そのものの面白さでした。言い回しや表現が独特で、何気ない一文にも惹かれるものがあり、「次はどんな文章が出てくるんだろう」と思わせてくれます。
だから、結末が気になるから先を読むというより、本を開いて文章を読むこと自体が楽しい。隙間時間があれば、少しだけでも開いて読みたくなるような本でした。
「最後まで頑張って読めば面白い」のではなく、「開けば、もう面白い」。
他の作品も同じような読み味なのかはまだ分かりませんが、少なくとも『ある男』を読んで、平野啓一郎さんの文章そのものをもっと読んでみたいと思いました -
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死刑について。私はどちらかと言うと存置派だと思ってたけど、これを読んで、被害者の気持ちは?などといった感情だけで人の人権(生存権)を判断する怖さを感じた。現代学校現場で行われている人権教育は相手の気持ちを考えるばかりにフォーカスしているが、到底受け入れられないような相手(例えば犯罪者のような)にも基本的人権が存在していることを教育すべきと言う意見がなるほどと思った。言ってしまえば暴力である死刑で解決することの怖さを知っておくべきと感じた。また、すでに死刑廃止されている欧米などの国家でも、廃止決定当時は存置派が圧倒的な数を占めていて驚いた。最高刑が無期刑などに置き換われば、必然的に受け入れるしかなくなるのかもなと思う。被害者(遺族)が加害者をゆるさないことと死刑廃止を望むことは両立することも覚えておきたい。生まれながらに犯罪者ばかりではなく、その生育環境などがそうした可能性もあるので自己責任論になり、そういう者は排除されるべきという考えは危険。筆者の言っていたように、立法と行政の失敗によって生まれた逸脱者を司法がなかったことにすることはあってはならないと感じた。こういう議論では廃止派が存置派を間違っている、劣っているという風に捉えて、説得させようとしてくる感じがして苦手だったけど、筆者にはそういうのを感じなくて良かった。法学部出身の作家という肩書きも面白かったし、筆者の作品を色々読んでみたいと思った。
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昔も今も遅読だ。
自分の脳が健康でいられる時間と、家に積まれたままの本や発行され続ける本、その両方から速くいっぱい読めたらいいのにと思っていた。
そんな私に、深くじっくり読むことの大切さや、本の世界の醍醐味を改めて気づかせてくれた。
中でも森鴎外の「高瀬舟」の解説は圧巻だ。
振り返れば、本を読み始めた中学生の頃は、辞書や注釈で確認するのを厭わなかったし、作者の生涯や年譜を読み作品の背景を想像するのも好きだった。
今は丁寧に読むことを面倒くさがり、わからないこともそのままにして諦めている。最近読んだSFは理解の領域外だと逃亡した感があり、自分が不甲斐なかった。
平野さんの文章はわかりやすく納得でき、実践してみようという気にさせてくれる。
丁寧にじっくりと、俯瞰で見つつも作者の術中にはまりながら読んでいこう。 -
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ネタバレ殺人犯の子供には何も罪はない、人並みの幸せを得る権利があるという意見もあるけど、被害者やその家族にだって殺されるべき何の罪もなかった。殺人犯の子供の人権を認めるというのなら、被害者とその家族の人権は認められなくてもいいのか。
もし自分が被害者の遺族だとしたら、殺人犯本人はもちろん憎いし、一緒に暮らしていた家族までみんな憎いと思う。。
自分の家族は死んだのに、犯人の家族は生きていて未来があるという事実が許せないだろう。
私は、やはり殺人犯と深い関わりがある以上、良くも悪くもその影響からは逃れられないし、全くの罪悪感を感じずに生きようとするのは無理なのだと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ分人主義について書かれた、
「私とは何か」を読んで平野啓一郎さんの小説に興味を持ったのをきっかけに読みました。
朝から読み始めて1日で一気に読み終えました。
自分の一部である、
生まれ持った分人に全くコンプレックスの無いの人間は存在するのでしょうか。
みんな大なり小なりあるんじゃないかな。
でも、
その絶対に消すことのできない自分にとって不都合で不快な分人も、
実は他人とっては背負う分には大したことない傷だったりするのかも。
それは見ようによっては救いにも感じられるような気がしました。
愛は、愛し直しながら形を変えていく、
という考え方も分人主義らしいと感じ興味深かったです。