平野啓一郎のレビュー一覧

  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ネタバレ

    普段恋愛小説はあまり読まないが、なんとなく題名に惹かれて手に取った。この本は心が揺さぶられる大人の切ない物語だった。
    蒔野と洋子が会う予定だった日、二人はほんの小さなすれ違いが重なって、更に早苗が洋子に送った別れを告げる偽メールによって一緒に歩むはずの二人の道が分たれてしまった。
    この時、蒔野も洋子も精神的にダメージを負っていたために、相手のことを想い、また自分が傷つかない方向に進んでいったのだと思う。
    早苗は大変なことをした、との自覚がありながらも自分の行為を自分の中で正当化していく。
    早苗には全く共感はできないが、自分の間違いをなんとか正当化しようとする心理は多少は理解できる。
    蒔野と洋子

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    2026年06月11日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    ネタバレ

    映画鑑賞時も馬に蹴られろ!と心底思っていたのだが、原作を読んだことでより詳細に深く彼女の心情や思想がわかった今でも、やはりわたしは三谷早苗という人物が嫌いだ。
    仕組んだ事そのものより、2人が許すしかなくなる要因を得た後に全て自白しているあたり、本当にタチが悪い(意図していないなら余計に)。せめて墓場まで持っていく気概は見せてくれよと思ってしまう。
    それはそうとして、「過去の意味合いは変えられる」という主題をニューヨークでの再会をもってして表現し締め括るストーリー構成がとても良いし、平野さんが綴る物語には心揺さぶられるなぁと改めて感じた。
    映画サウンドトラックは作中でキーとなっているクラシックギ

    0
    2026年06月11日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    天才クラシックギタリストの蒔野、国際ジャーナリストの洋子、のちに蒔野の妻となるマネージャーの三谷の3人が主な語り手。
    40代に差し掛かり落ち着いた思慕の想いを交わし合う蒔野と洋子を、若い三谷が蒔野への執着のあまり引き裂いてしまう。それぞれ想いを募らせ、苦しむ様子に引き込まれて読む手が止まらない。
    作中にもあったように「過去は変えられる」ラストで、まるで映画をみたような没入感でした。

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    2026年06月08日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    1. 「過去は変えられる」という発想について
    作中の核心的なテーマである「未来が過去を変える」ということへの共感。
    人それぞれに様々な過去があるけれど、その「過ぎ去った過去を、今とこれからの未来によって『良いもの』へと変えていくために努力すること」、その営み自体が人生そのものなのではないか、という気づき。

    2. 「誰かの人生の脇役」として生きることの不可能性
    作中では、牧野を輝かせるために「脇役としての人生」を生きようとした早苗の姿勢が称賛され、一見それが美しく、格好いい生き方であるかのように描かれていた。読んでいる最中はその風潮に流されそうにもなった。
    しかし、深く考えてみると、そ

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    2026年06月09日
  • ある男

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    読み終わった時期は数か月前です。平野啓一郎さんの作品は初めて読みました。人間関係が複雑で込み入っていて、社会の問題に対する人間の向き合い方を考えさせられるストーリーでした。情緒面にも共感出来、展開も面白かったです。ラストはとても感動しました。

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    2026年06月05日
  • 決壊(上)

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    平野啓一郎氏の方が好きなので、いろいろ読んでみようと思い、流れで手に取った。
    読んだ後、しばらく気分が重かった。続きが気になるので、どんどん読み進めたくなる面もあるし、内容も難解だし、グロテスクな表現もあるし読むのがしんどかったと言う両面もある。
    傑作である事は間違いないけれど、うまく言葉で表現できない。消化しきれてはいないかもしれない。また読むかもしれない。

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    2026年06月04日
  • ある男

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    めちゃよかったです

    血で受け継ぐものもあったし名前と環境で受け継ぐものも
    ただ心に残る人であったというのは名前が変わっても変わりなく
    本人は亡くなったけど記憶も子供も紡がれていくのめすね

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    2026年06月02日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    自分の核なんてものは無くて、
    分人の集合体に過ぎないとすると、
    核がだめなら何をやってもだめだ、とはならず
    いくつかある分人の一つが、良くない状況を
    作っていただけなんだと思える。
    これからいくらでも修正できるんだと。

    いじめや虐待の過去があっても、
    分人の考え方があれば
    「自分は嫌われやすい人間だから‥」とか、
    「この人は暴力を振るわないだろうか‥」と
    思わずにいられる。
    自分も過去の経験から、自分なんてと思うことが
    あるけど、現在の分人の比率は
    当時のそれとは変わっているんだと知れば
    少しは安心できるかもしれない。

    数年にわたる変化に限らず、一日単位でみても
    会社にいる自分、家にいる

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    2026年05月31日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    誰かといるときの分人が好き、は必ず1度他者を経由している。
    自分を愛するためには、他者の存在が不可欠だ。
    あなたと一緒にいると、すごく好きな自分(分人)でいられる。
    その好きな自分をこれからの人生でできるだけ沢山生きたい。
    だからあなたがいてくれないと困ると思った。

    愛とは、相手の存在があなた自身を愛させてくれること。
    その人と一緒にいる時の分人が好き。
    もっとその分人を生きたい。
    自分と互いにかけがえのない存在になり、お互いに愛しているとアピールしなくても互いの存在その物が一緒に居続ける理由になる。

    0
    2026年05月31日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」という映画の「出会う男すべて狂わせるガール」がこの分人主義なのではないかという考察と繋げて読むとより面白かった。
    この本に出会ってから一つ見方が増えた

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    2026年06月10日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    この感動を言葉で表せられないのが苦しい。お互いに愛情があってもなお、事実を知ってもなお、その選択ができる蒔野と洋子が凄い…。途中の転機になる場面はついアンジャッシュのコントか!とツッコミを入れたくなるくらいだったけど、まさかこの勘違いから別の人生を歩むことになるとは…。
    蒔野のギターのスランプ、洋子のトラウマによる苦しみ、どちらも似たような経験をしたことがあるので同じように苦しみながら読み進めた。
    洋子みたいに大切なものを見極め、自分より周りの幸せを心から願うことができるような人間になりたい。

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    2026年05月28日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    もっと広まっていいと思える考え方。少し生きやすくなる言葉が多々あった。この人の本をもう少し読んでみようと思う。

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    2026年05月27日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    ネタバレ

    名作、、、平野さんの本はどれも示唆に富んでいて考えさせられるけど、中でも一番好きかも。
    どの瞬間か分からないけどどこかで消失してしまうと分かってからの日常の輝きたるや、、最後の湖のほとりのピクニックは本当に何気ない一瞬なのに儚くて美しくてぼろぼろと泣いてしまった。公園の「イカ」も、何気ないけど楽しい日常の1シーンとして良い象徴だった。
    千佳の「秘密」のこともすっかり忘れていたけど、一緒に実家に帰って徹生が千佳のことを「善い人」だと説いたシーンもとても印象的で泣いてしまった。このあとも一緒に生きていけたらいいのにね、残された千佳がまた実家に帰れる未来はあんまり想像できなかったな。分人主義の考え方

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    2026年05月30日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    ネタバレ

    身近な人を亡くした人なら誰でも、生き返ってくれたらどれだけよいか、また会えたら話せたらどれだけいいか、何度も空想すると思う。復生者という概念は完全なるファンタジーなのに、それを通じて、人の死の儚さにとことん現実的に向き合っている不思議さ。平野さんの哲学的でじっくりと思考している小説が本当に好きだ。

    実際に復生者が現れてしまったら、大切な人を亡くしたひとはその人が帰って来る日を待ち望んでしまって、それこそ現実世界に戻れないんじゃないだろうか。

    ↓かなり冒頭の文章だけど、本当に死の儚さを綺麗に切り取った表現。
    「生きている人間は、日々活動して新しい。変化し、豊富になる。昨日とは違うことを感じて

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    2026年05月25日
  • ある男

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    最近軽めの本を続けて読んでたからか、
    読み終わるのに時間がかかった。

    おもしろくて、最後は少し泣いた。
    また読みたいなと思える作品。

    音楽の描写が多く、予備知識として知っていたら、
    もっとのめり込めるのかなと思ったので、
    いつかまた読むときは調べながら読むのもいいかもしれないと思った。

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    2026年05月21日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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     「本当の自分」という、実体のない不可侵の塊を探すのをやめさせてくれる本だった。一貫したたった一つの「個人(インディビジュアル)」として生きるのではなく、対する相手や環境ごとに生まれる複数の「分人(ディビジュアル)」のネットワークとして自分を捉える。この視点は、真面目に生きようとするほど息苦しさを感じる現代において、非常に実用的な思考ツールになる。

    ●「一貫性」の呪縛からの解放
     世間では「裏表のない人」が美徳とされるが、本書は相手によって態度やキャラクターが変わることを「不誠実な嘘」とは呼ばない。親といる自分、職場の自分、趣味の仲間といる自分。そのどれもが「本物の自分」であるという肯定は、

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    2026年05月16日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    文学作品を味わうためのマスターキー。
    自己認識や対人関係のヒントとしては元より、氏の小説をはじめ文学全般を読む上で鍵となる一冊。汎用的な副読本としても常備したい。
    「分人」の視点を通して文学作品にふれると、物語はより広く「読みしろ」を開放し、豊かな問いを読者に投げかけてくるかもしれない。

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    2026年05月14日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    比較的手広く読書してきた積りでしたが、平野啓一郎という作家や、分人という概念を、この新書を読むまで全然知りませんでした。2012年に刊行されて、すごく話題になったらしいのに、全くアンテナに引っ掛からなかった。不甲斐ないです。
    『ドーン』や『空白を満たしなさい』を早速読もうと思う。
    20年以上付き合いのあったグループとの関係を断とうと思っていた矢先に、この本を読見ました。不快な思いを抱いたまま、人間関係の縛りでダラダラ続けるのは、あまりに不合理だと理解できて、スッキリしました。

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    2026年05月11日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    上下巻の構成とは知らずに上巻だけ買って一気読みしてしまい、待ちきれず途中駅でわざわざ下車して下巻を買った。本当に面白かった〜〜
    一つ一つの描写で、自分が日々当たり前に見ている景色、考えていることがよりクリアに的確に表現されていく感じ、読んでいて気持ちいいなと思う。
    分人主義についての本を読んだことがあったので考え方自体は元々知ってはいたけど、自殺についての見方は新しくて、且つ納得感があった。
    あと、直前に原田マハの『たゆたえども沈まず』を読んだおかげで、ゴッホの肖像画のくだりがより一層深みを増したように思う。
    佐伯は結局何者だったんだろう。
    平野啓一郎の本、好き!

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    2026年05月09日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    自分の中に分人は果たしていくついるだろうか。
    幼い頃から感じていた違和感がこの本を読むことで腑に落ちた。各場面で性格は変わらないしろ振る舞いは変わるので、気疲れする原因が突き止められた気がする。色々な面があるけど自分は一つ。

    愛の章は取り分け響いた。他者を愛することで自分も愛せる。自分の中の分人がどんどん大きくなっている。それで全てを埋め尽くさないようにしないといけないけど難しい問題だと思う。

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    2026年05月08日