平野啓一郎のレビュー一覧
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ネタバレ★5.0
自我を個人という最小単位で捉えるのではなく、ある人といる時の自分は分人A、他の人といる時の自分は分人B、みたいに個人という概念をアップデートしてくれるような面白い一冊
身近で言えば職場や友達での対人関係においての考え方を変えられる分人という概念は凄く面白かった
他に恋愛にも応用していて面白いテーマが多い
特に故人に対する「生きていればこう言っただろうにな」というよく聞くセリフに、いや分かるわけないだろ思い込みを話すなと反発する作者自身が分人という概念を得てからそのセリフを肯定的に捉えるようになった部分は面白く、自分自身も前後含め共感した!
間違いなく読む価値のある名著
ただ難解な -
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良い本だったと思う。私が新書に求める要素の一つが新たな視点、ものの考え方だ。世界を広げると言えば大袈裟かもしれないが、そのように感じさせてくれるのはこの著者の力量と言えるのではないか。
分人という作者平野氏の造語は人を他者を介して現れる人格に対しての表現であり、現代においては場所や人に応じた態度、人格に対して前向きな考え方を提示してくれたように思う。
具体的には八方美人はなぜムカつくのか、という標題でそれは、誰に対しても同じ調子でいい態度で通じるからと高を括って相手ごとに分人化(柔軟な対応の変化、応対)を行うおうとしないからである、と述べた。だがこれが本当に怖いのは相手との相互作用によって生じ -
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ネタバレ【読もうとしたきっかけ】
袴田事件のドキュメンタリー映画「拳と祈り―袴田巖の生涯―」のパンフレットに本書の著者の寄稿を発見。そこに「死刑存置派から死刑廃止派に変わった」と書いてあり、非常に興味深いと思った。
【感想は】
一般的に割合の多い死刑存置派の考えの言語化をはじめて目のあたりにして、鋭い指摘を行っていると思った。とかく、死刑制度の是非というのはオープンに話される話題ではないため、該当する言葉を私は持ち合わせていなかったが、この本のおかげで可視化できた。目から鱗。また死刑存置100%の考えだったが、フィフティフィフティに変わった。
国家に人は殺せないし、また犯罪者の生育環境を考慮すると、 -
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この本を読んで私の新しい分人が生まれた。自分の新たな分人に出会うために、読書をしたり、他者と出会いたい!!
自分の半分は他者のお陰であり、他者を通して自己肯定し、分断された集団は分人を通して交流していく、、すごく素敵な考え方。本当の自分ってなんだろう、どうあるべきなんだろう、と悶々としてたが、どの分人も自分の一部で、足場となる分人を自分で選べるんだ。自分でなんとか生きていかなきゃ、自立しなきゃ、と考えてたが、そもそも自分は他者との関わりでしか生まれない、と思ったらすごく楽になった。分人の構成により自分も相手も更新されていくとわかり、希望を持てた。
殺人への言及により極論に走ることも抑止してくれ -
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今の時代の恋愛は、ネット上での出会いが当たり前のようになってきていて、
匿名で知り合ったり、自分とは異なるプロフィールを使って出会ったり、
お互いに、相手をそもそも信用できるのかという段階で、各々に相手のことを好きになろうとする。
彼女のように、自分の愛する人の過去が、全くの別の人間のものだとわかったとき、その愛は果たして本物と言えるのだろうか。
私はそもそも、そんなふうに考えることはおかしいと思う。
作中、美涼さんの言葉の
「わかったってところから、また愛し直す」のように
自分が好きになったのは、相手の過去ではなく、出会ってからずっと自分の隣にいてくれた相手自身だから、、
相手を好きになっ -
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普遍的なテーマを、想像できないストーリー展開、細部まで作り込まれた設定、丁寧かつ端正な美しい文章のお陰で、最後まで期待を裏切らなかった。
近未来という設定で、格差社会、仮想現実、AIなど、今もある舞台装置を拡張しているのが絶妙すぎる。
主題が、格差、死、分人、性、愛、外国人、など色々入り組んでいるが、やはりメインはタイトルの本心なのかな、という気がする。
「もう十分」と言って自由死を望んだ母の本心は?
「平気なの?」と三好に問われて抑制的な返答をした朔也の本心は?
その回答を聞いて“「そう‥」とだけ頷くと、自分の勘ぐりを、そっと僕の目には触れぬ場所に片付けた”三好の本心は?
何が本心なのか -
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分人思想は目新しい思想じゃないからこそ、いいなと感じた。多くの人が共感し、この思想を取り入れることが容易であると思う。
自分で自覚はしてなかったが、人によってかなり態度が変わったり、仲良くなるとキャラが変わるなど、よく友人などから言われてきていた。そこに対して、否定的には考えていなかったが、矛盾があり、一貫してはいないことには少し悩みがあった。ただ、この思想を当てはめると、どれも自分自身で肯定できることがすごく良かった。周りから見ても自分でも振れ幅が大きい人間なので、なんでこの人とはこんなにふざけ合うことができて、この人とはこんなに深い話が楽しめるのかなど考えるところがあったが、それは相手と