平野啓一郎のレビュー一覧

  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    10年以上も前の本だが、普遍的な概念の提示をしてくれる本書。
    結構、人間観が変わると思う。

    人を「個人」(individual:分けられないもの)として考えるから色々複雑になってしまうのではないか、という問題意識から、人の中には複数の分人(dividual:分けられるもの)があるのではないか、とい...続きを読む
  • マチネの終わりに(文庫版)
    こんなに心動かされる恋愛小説は初めてかもしれない。途中でとても陰鬱な気持ちや焦燥感襲われるようなな気持ちに出来事があったけど、それを全部ひっくるめて感動に変えてくれる美しい話だった。人が運命的な出会いをするとどうなるのだろう?やはり運命っていうのは神様がもたらしてくれる奇跡で人生の中で運命というべき...続きを読む
  • 本心
    私自身、数年前に母が亡くなり、主人公の想いに共感できる部分が多かったです。子供を授かった今だからこそ聞きたいことが沢山ありました。小さい頃に疑問に思っていた母の言動や行動、あの時こういうふうに思ってたのかな、本当はすごく愛されていたのかな、と常にポジティブ変換しながら、自問自答しながら子育てをしてい...続きを読む
  • ある男
    めちゃめちゃはまった。平野の文体はさすがに美しい。展開もそれぞれの個性もきれいにはまっていてお見事。「ある男」を通していろんな人生を見ることができた。人間にとって過去とは何だろう。
  • マチネの終わりに(文庫版)
    筆致が美しい、平野さんらしい作品。
    前半部分だけでは、蒔野の想いは理解できるが洋子はなぜ蒔野に惹かれたかがよく分からなかった。
    後半にかけて、そのなぜが解明されてきて2人が時間や立場を越えて特別な関係であることが分かる。
    読者の方には共感出来ない、世界に入りにくいと感じる人もいると思う。
    過去が今を...続きを読む
  • 死刑について
    死刑存置派も一考する内容がある。
    被害者への配慮は、存知派の方も根本では同じではないだろうか。
    著者は自身の意見においての変遷を丁寧に書いており、賛成派も反対派も頷ける部分もあると思う。
    結論や正しさを明確に述べている書ではなく、更に理解を深め、自身の意見を構築するために著者は投げかけているのではな...続きを読む
  • ある男
    小説を見てから映画を。
    サスペンスの要素もあり、家族の物語でもあり、差別を考える内容でもある。
    確かに一緒に生きた幸福な時間があっても、自分と出会う前にどのような人生を生きてきたかは確かめずにはいられない。
    出自は自分の力ではどうすることもできないのに、そこに根強くある差別はなくらならいのだろうか。
  • 本心
    プロローグ/〈母〉を作った事情/再会/
    知っていた二人/英雄的な少年/心の持ちよう主義/
    ”死の一瞬前”/嵐のあと/転落/縁起/
    〈あの時、もし跳べたら〉/
    死ぬべきか、死なないべきか/言葉/本心/
    最愛の人の他者性


    AI で蘇る在りし日の母。
    会話することで学習する彼女はどう変わっていくの?
    ...続きを読む
  • ある男
    主人公が絶えず、色んなことを自分に返って考えていて、私もこの本を通じて、木戸さんの人生を考え方を教えてもらった。震災後の木憂鬱な社会が、震災の色々な長い影響を思い出した。だんだんと真相に迫ってくるのも面白く、あっという間に読めた。
  • ある男
    名前は生を受けて初めに授かるもの。でもそれは極論ただのラベルにすぎない。“人”を”その人“たらしめるものとは何か、を考えさせる作品だった。

    ーーー
    この作品は、ある男を中心に描かれる。彼は林業に携わりながら素朴な絵を描く男で、文房具店の娘里枝と結婚し、花という娘と連れ子の悠人と4人で暮らす、よくい...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    これ以上分割できないものとして近代西洋哲学の概念の基礎となる個人(indivisual)に対し、平野啓一郎さんが対人関係毎に異なる自分があり、その総和が自分であるという分人(divisual)の考えを提唱した本。

    【場面ごとに異なる自分】
    平野さん自身が経験した違和感として、以下のような場面により...続きを読む
  • マチネの終わりに(文庫版)
    たった3度の出会いで変わってしまった過去と未来、とても広大な三角関係。戦争や精神病、その他色々の情勢のより深く知ってたらもっと面白かったのかな、にしても三谷の気持ちは凄くわかる
    卵が奪われた親鳥の気持ちの様な...けど洋子側が不憫すぎる結局1人になったのはダメだよ...
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    あの人といる時の自分。この人といる時の自分。自分が持ってるいろんな顔。実際にあの人やこの人の顔を浮かべながら、その発想に新鮮さを感じたり、なるほどねと納得したり。なにかで苦しくなった時、こういう考え方が助けになるかもしれないなと、やっぱり読んでよかった本です。
  • 本心
    主人公の成長を物凄く感じられた。
    最初は、VRで他人の手足となり他人の指示のまま行動する仕事にやり甲斐を感じていた。VRだから視界も画面越し、唯一話せる同僚との会話も画面越し。VFの「母」を本物に近付けることにも必死。必死だったからこそ、三好を「母」に会わせてAIに学習させたかった…。という、人との...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    本書で平野啓一郎氏が提起した「分人」という新しい概念は、対立概念の「個人」に囚われた考え方から解放し、
    新しいものの見方、捉え方を提案し、現代社会での様々な苦悩への解決策になると感じた。
    この「分人」の考え方は自分が悶々としていた「感情や思考、嗜好が矛盾する自分」に対して、今までに出会った言葉の中で...続きを読む
  • ある男
    その人はどんな人なのか?
    人の中にあるもの・性質と、外から貼られるレッテルや扱われ方に関して、本人視点で主人公の弁護士・城戸が語り、城戸の妻、依頼人、そして準主役?の依頼人の亡き夫『大祐』についても同様に第三者的視点から推察と考察がなされていく。

    人の複雑さ、そして時間と共に上書きされていくことも...続きを読む
  • マチネの終わりに(文庫版)
    2024.2.21
    高校ぶりに読み返した

    運命論を描いていると思うが、もう少し単純であれば、薪野と洋子がそれぞれの苦悩を相手に預けられれば、2人が結ばれる世界線は守られたのではないかと思う。

    でも、この小説で何度も唱えられる、「過去の記憶は変えられる」がお守りにもなるし、悲劇における幸福をしっか...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    ◾️内容
    人間の単位を「個人」から「分人」へ
    「本当の自分」つまり自我が一つであると言う幻想は捨てよ
    対人関係においてさまざまに変わる自分を「分人」とし、複数の分人の構成比率で私を成立させていると考える

    ◾️自分なりの解釈
    そうするといいことがたくさんある
    ・「あの人、裏では〇〇してて、本当は変な...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    以前、平野啓一郎さんの提唱する分人という考え方を使った話を聞いたことがあって、ずっと気になっている本でした。ようやく読めた!

    この個人を唯一のものとしない、分人の集まりと考えると、色んな自分がいるということに納得がいき、色んな自分がいることに安心できる。

    言葉一つ、考え方一つで、こんなに気がラク...続きを読む
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ
    平野啓一郎氏が提唱する分人主義という思想は、対人関係において「本当の自分」に悩まされてきた私たちの心を軽くしてくれる考え方である。本書を通して、その相手と一緒にいる時の自分(分人)が好きになれるような人間関係をたくさん築いていきたいと思えるようになった。