平野啓一郎のレビュー一覧

  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    「たった一つの『本当の自分』など存在しない。対人関係ごとに見せる複数の顔、そのすべてが『本当の自分』である」

    本書は、著者の小説制作エピソードが随所に盛り込まれており、時に自作の解説・宣伝のように感じられる側面もある。しかし、掲げられたテーマについては宣言通り非常に平易に説かれており、分人主義の入門書として極めて読みやすい。

    印象的だったのは、出口治明氏の「人・本・旅」という言葉との親和性だ。 他者や環境との相互作用によって生じる「分人」のバリエーションを豊かにすること。つまり「分人ポートフォリオ」を最適化し続けることこそが、現代における生存戦略であり、「教養」ともいえるのではないかと感じ

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    2025年12月27日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    過去はいとも簡単に変わっていく。むしろ脆いものだ。という文には衝撃を受けた。過去は変えられないもの、受け入れるしかないと思っていたが、きっとその気持ちすら変わっていくのだろう。
    近現代世界史や聖書を学んでいると尚更理解が深まるかも。

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    2025年12月21日
  • 本心

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    こちらを読んですごくおもしろくて、ある男、マチネ…と同じ作家さんの本3冊一気読みした秋。最終的に私は「ある男」派だけれど、こちらの作品もお母さんの不気味さと主人公の不安定さに最後までドキドキした。救いのあるラストでよかった。

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    2025年12月19日
  • ある男

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    推理ものとしても人間ドラマとしても恋愛ものとしても社会派小説としても読め、おもしろかった。安藤サクラさんもイメージにぴったり。

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    2025年12月19日
  • マチネの終わりに

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    冬に合うほろ苦恋愛小説、クラシックやクリスマスジャズを聴きながら幸せで静謐な時間を過ごせた
    恋愛小説に出てくる人物の行き過ぎた心理や、何番煎じか分からない試練を斜に構えて見てしまうのだが、これは作家との相性なのか、本作の人物の肩書きは馴染みのないもので、それが逆に愛に対する人の熱や引っ込み思案は万人共通するんだと思えた。

    アポロ13の引用が本作の核だと思った
    『大気圏に無事突入するには、2.5度の幅の回廊を通らなくてはなりません。角度が急だと摩擦熱で炎上しますし、浅すぎると、池に石を投げた時のように、外に弾き飛ばされます。』

    初めての平野啓一郎さんでしたが
    持ちわせてる知識に圧倒されながら

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    2025年12月17日
  • サロメ

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    私の中で『サロメ』といえば、ビアズリーの悪魔的で蠱惑的なあの絵、あるいはモローのあの幻想的でアイコニックなあの絵。どちらもインパクト抜群でつい見入ってしまう歴史に残る絵ですが、当の文学作品は読んだことがなく、結局このワイルドの『サロメ』に私を導いたのはやはりビアズリーでした。ビアズリーの生涯を知るにつけて、ワイルドのサロメを読まずにはいられないわけだったのですが、もうひとつ、オスカー・ワイルドという人間への興味も、そこにはありました。
    本書はオスカー・ワイルドのサロメを平野啓一郎版新訳として、現代に生きる私たちに馴染みやすい文体で読める、という楽しみ方だけでなく、平野氏によるサロメの解釈、さら

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    2025年12月17日
  • マチネの終わりに

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    自分にとって大切な本

    出会うべくしてこの本に出会ったんだと思います。
    最後の段落、表現の仕方が好きでした。
    読み切れて一安心。おやすみなさい。

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    2025年12月16日
  • マチネの終わりに

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    わたしは平野啓一郎がつくる、この独特な理解はできない難しいけどどこか素敵な世界観が大好きななので、、、!ただの恋愛のはずなのに、難しい言葉や色々な行為や自称に例え話に例え話を重ねるこのワールドに超魅了された!幸せになりたいね、そして人の幸せを奪いたくはないね、過去は変えられる、本当にいい言葉だ、、、

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    2025年12月11日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    ぶっちゃけ、難しかった。ふわっと読めるような本ではなかった。わかりやすい、でも結局色々理解はしたけど、それといった結果には辿り着けなかった。ふわぁっとした概念(?)が生まれた(?)
    面白かった…。

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    2025年12月10日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    「分人」という考え方めちゃくちゃしっくり来た。初対面ならなんとなくその場のノリで緊張せずに喋れるのに世代が変わるレベルで久しぶりに会う人とはどう喋ったら良いか分からなくなるあの感覚は、自分の中のどの分人を使えば良いのか分からなくなってたからか!と自分なりに解釈し納得させられました。
    幼少期に環境に恵まれなかったり周囲の人と関係が上手くいかなかったりして自分の好きな分人が少ないまま大人になって自分の事を好きになれる可能性が狭まった結果、人間関係に消極的になったり引きこもってしまったり自傷行為に走ってしまったりすると考えると、、可愛い子には旅をさせよ、とは間違いない方針だなと改めて思った。
    MBT

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    2025年12月08日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    ここのところ、バナナの柿内尚文さんなど、教科書のように読みやすい自己啓発本ばかり立て続けに読んでいたために、最初の入が「うっ…理屈っぽい文面ひさびさ…」と少し臆したがw、読み進めるうちにあれよあれよと引き込まれてあっという間に完読した。
    いやーーーこれだわこれ。
    これなんだわよ、って感じ。
    元々自分自身がとんでもなく八方美人な上に気分の波があり(一応ほぼバレていない)、鬱期のどす黒い部分は全て夫と息子に請け負ってもらえているものの、私って多重人格なのかな…くらいに長年悩んでいたので、この本でようやく自分というキャラクターに対しての辻褄が合ったなぁと思えた。
    とんでもなく面白かった。
    対人関係が

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    2025年12月07日
  • マチネの終わりに(文庫版)

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    アラフォー大人の恋愛物語。
    インターナショナルギタリスト槇野と、インターナショナル優秀ジャーナリスト洋子が、びっくりするほどすれ違う話。

    いやいや。2,000年代に入って携帯も普及してる世の中で、
    しかもティーンでもなく、常人じゃ到底及ばない才能と知識のある良い大人がよくもまぁそこまですれ違うことができましたね?

    ってくらいすれ違う。

    最初から最後まで恋愛どっぷりだし、
    すれ違いすぎてイラついたし、
    飽きるかなーと思ったけど結局最後泣いた。

    そして、運命の人ってこーゆうことかって思った。

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    2025年12月07日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    なんじゃこれはーーーー!!!
    SUKI!!!

    小説家平野啓一郎さんの「分人主義」について書かれた新書。

    個人とは英語でindivisual。
    つまり「分けられない」って意味。

    でも平野さんは個人は人格を表す最小単位ではなくて、
    「divisual」つまり「分けられる人」である「分人」が最小単位だと考えた。

    分人とは、
    対人、対グループによって変わるその人の人格。

    確かに、あなたも会社での自分、家族といるときの自分、友達といる時の自分とでは性格が違う気がしない?
    もっと言えば、大学自体の友達と高校時代の友達とでも違うし、大親友の前でも違う。

    だから、たった一つの「本当の自分」なんて存

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    2025年12月07日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    良かった〜!!これから何度も読み返すと思う。
    どの自分が本当の自分なんだろう?と悩んでハゲそうだった思春期の頃に読みたかった本。

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    2025年12月01日
  • マチネの終わりに

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    なんて美しく、苦しい文章を書く人だろうか。
    経験したことのある感情からない感情まで、ありとあらゆるすべてが手に取れるところにゴロゴロと転がってきた。初めから終わりまで、心を揺さぶられ続けた。これから先、何度でも読み返したい一冊。

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    2025年11月29日
  • 自由のこれから

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    自由とは選択肢が多いこと。
    自動化により、「しなくていい自由」は得られるが、「何かをする自由」は奪われる。
    一旦、自由が奪われてしまうとそれを取り戻すのは難しい。システムが大きく変更されれば、個人の自由はそれに適応したが形の限定を受け入れざるを得ない。
    自動化、監視社会、法制度など、自由をどこまで譲り渡していいのかをしっかり考えていかないと。

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    2025年11月29日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    たとえば、会社で仕事をしているときと、家族と一緒にいるとき、私たちは同じ自分だろうか?
    本書では、それぞれの自分を『分人』と定義して解説している。

    学校や仕事、家庭で辛い思いをしている人に読んでほしいし、自分ももし辛いと感じたときは読み直したい。
    絶対にそれがその人の全てにはなり得ないし、その理解は人生を楽にしてくれるはず。

    以下印象に残ったこと

    ・『分人』の構成比率がその人の個性となる。
    もし生きづらいと思えば、金融資産のようにそのポートフォリオを調整していけばいいし、いろんな分人に分散させることはリスクヘッジにもなると思った。

    ・自分が好きな分人を大切にすれば、自己肯定感や幸福感が

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    2025年11月29日
  • ある男

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    城戸の考え方とか、感性が自分と似ていてすごい共感しながら読めた。めっちゃ自分に向いてる本やと思った。読みやすいのに、考えさせられる本。平野啓一郎もっと読む。

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    2025年11月26日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    - おもろいなぁ
    - 自分の中には幾つの、どんな分人があるんだろう
    - 「愛とは、相手の存在が自分自身を愛させてくれること。そして同時に自分の存在によって、相手が自らを愛せるようになること」。これは尊い考え方・尊い関係性だなぁと思った。大切な人にとって、そういう人間でありたいなぁと思った。
    - 1人で部屋で考え事している時の自分もやっぱりいわゆる「本当の自分」ではなくいろんな分人が入れ替わり立ち替わりして思考している、というのは納得した
      - 一方で、部屋でダラダラTwitter見たり怠惰に過ごしている自分はどうなんだ?と思った。これも誰かに対する分人の影響でダラダラしているのかな?

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    2025年11月25日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    平野啓一郎さんがこれまで講演で話されたことや、文芸誌などに寄稿された文学・文豪・文学作品への批評やエッセイなどを収録したものとなっています。その冒頭に収録されている或る研究集会の基調講演のテーマが「文学は何の役に立つのか?」ということで、これがそのままこの本のタイトルになっています。

    このタイトルを少し噛み砕くと、「文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな価値があるのだろうか」ということになるのかと思いますが、この本を読んで私なりに思ったのは、以下のことでした。

    文学は、①社会の不条理に気づかせ考えさせてくれること、②人間関係の機微を巧みな表現で心を動かされること、③現実社会からの解放す

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    2025年11月24日