平野啓一郎のレビュー一覧

  • 空白を満たしなさい(上)

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    ネタバレ

    死んだ人が生き返る、あるはずないのにもしかしたらあるのかもしれないと思わせてくれるような作品。平野さんの分人思考がよく伝わる。何も判明しないまま下巻へ。本当に自殺?悪いのは誰?鳩を殺してたのは?奥さんが隠してることって?本当に生き返ってるの?回収楽しみ~~

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    2026年06月21日
  • 決壊(上)

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    平野啓一郎氏の方が好きなので、いろいろ読んでみようと思い、流れで手に取った。
    読んだ後、しばらく気分が重かった。続きが気になるので、どんどん読み進めたくなる面もあるし、内容も難解だし、グロテスクな表現もあるし読むのがしんどかったと言う両面もある。
    傑作である事は間違いないけれど、うまく言葉で表現できない。消化しきれてはいないかもしれない。また読むかもしれない。

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    2026年06月04日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    自分の核なんてものは無くて、
    分人の集合体に過ぎないとすると、
    核がだめなら何をやってもだめだ、とはならず
    いくつかある分人の一つが、良くない状況を
    作っていただけなんだと思える。
    これからいくらでも修正できるんだと。

    いじめや虐待の過去があっても、
    分人の考え方があれば
    「自分は嫌われやすい人間だから‥」とか、
    「この人は暴力を振るわないだろうか‥」と
    思わずにいられる。
    自分も過去の経験から、自分なんてと思うことが
    あるけど、現在の分人の比率は
    当時のそれとは変わっているんだと知れば
    少しは安心できるかもしれない。

    数年にわたる変化に限らず、一日単位でみても
    会社にいる自分、家にいる自分、
    自分が心地よい方の分人を足場にすることを
    大事にしたい。自分の全部は好きになれなくても
    どれか一つでも好きになれる分人があれば
    まずは良いんじゃない、と思えた。

    同時に、他人もまた複数の分人の集合体であり、
    自分が接することができるのは
    その中の一面にすぎないということになる。
    自分にとっては嫌な人でも、周りの人には
    そうでないこともたくさんある。そのとき、
    周りの人へ向けた分人まで批判はできない。
    自分が口出しできるのは、
    自分に向けられた分人だけ。確かに、納得。

    「私たちは隣人の成功を喜ぶべき。
    なぜなら、分人を通じて私たち自身が
    その成功に与っているから。
    隣人の失敗には優しく手を差し伸べるべき。
    なぜなら、分人を通じてその失敗は
    私たち自身にも由来するものだから。」
    この思考は、とても好きだと思った。
    お互いに影響し合っているのなら、
    綺麗事じゃなく、それもそうだな、と腑に落ちた。
    無理なく人に優しくできたり、
    寛容になれたりできる考え方だなと。

    引きこもりは「消したい分人」を消滅させる行為。
    出家は社会的分人を消し、
    宗教的分人のみで生きるためのもの。
    コスプレはフィクションの世界との分人化。
    独裁政権時は統治がしやすいように
    分人化の監視、禁書・焚書が行われてきた。
    ストックホルム症候群は、
    犯人との分人の肥大化によって起こるもの。
    など、一つひとつの例がとても分かりやすいし、
    こんなに色んなことに説明がつくのか!と
    面白く読めた。

    日常の色んな場面で使える考え方だろうから
    平野さんの作品に限らずこれから本を読むとき、
    「分人」という視点を取り入れてみるのは
    面白そうだなと思った。


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    2026年09月07日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    誰かといるときの分人が好き、は必ず1度他者を経由している。
    自分を愛するためには、他者の存在が不可欠だ。
    あなたと一緒にいると、すごく好きな自分(分人)でいられる。
    その好きな自分をこれからの人生でできるだけ沢山生きたい。
    だからあなたがいてくれないと困ると思った。
    ⇔
    愛とは、相手の存在があなた自身を愛させてくれること。
    その人と一緒にいる時の分人が好き。
    もっとその分人を生きたい。
    自分と互いにかけがえのない存在になり、お互いに愛しているとアピールしなくても互いの存在その物が一緒に居続ける理由になる。

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    2026年05月31日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」という映画の「出会う男すべて狂わせるガール」がこの分人主義なのではないかという考察と繋げて読むとより面白かった。
    この本に出会ってから一つ見方が増えた

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    2026年06月10日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    もっと広まっていいと思える考え方。少し生きやすくなる言葉が多々あった。この人の本をもう少し読んでみようと思う。

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    2026年05月27日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    ネタバレ

    名作、、、平野さんの本はどれも示唆に富んでいて考えさせられるけど、中でも一番好きかも。
    どの瞬間か分からないけどどこかで消失してしまうと分かってからの日常の輝きたるや、、最後の湖のほとりのピクニックは本当に何気ない一瞬なのに儚くて美しくてぼろぼろと泣いてしまった。公園の「イカ」も、何気ないけど楽しい日常の1シーンとして良い象徴だった。
    千佳の「秘密」のこともすっかり忘れていたけど、一緒に実家に帰って徹生が千佳のことを「善い人」だと説いたシーンもとても印象的で泣いてしまった。このあとも一緒に生きていけたらいいのにね、残された千佳がまた実家に帰れる未来はあんまり想像できなかったな。分人主義の考え方も含め、自殺遺族の救いの書になり得るテーマだった。

    ラデックとの会話は深くて、でも穏やかな時間で何度も読み返したくなる魅力がある。

    「アダムとエヴァを追い出したあと寂しくなる神様」の詩
    「誰も、人間の苦悩する権利を否定することは出来ません。それは、残酷なことです。我々はいつでも、癒しを与えることを急ぎすぎ、自分の住んでいる世界を憎悪から守るのに必死で、他者の苦悩を尊重することを忘れがちです。」
    「苦悩を否定された人間は、悲劇的な方法で、それを証明するように追い詰められます。多くの場合、我々は、決して否定できない深刻な事態が生じてから、初めて彼の苦労を知るのです。」
    「生きることに肯定的な人間も、否定的な人間も、同じこの世界を生き、同じ人間としての生を生きています。世界を愚弄され、人生を貶められれば、生きようとする人間は、当然、反発します。自分を守るためです。私たちは無価値な世界で、無価値な生を生きているなどということには到底耐えられません。それは恐ろしいことです。」

    →本当に、だから生きることに否定的な人間は孤独なんだなあと思った。生きることに否定的だから死ぬんじゃなくて、否定的であることが許されないから死ぬって選択になることもあるよなあと思った。

    「死は傲慢に人生を染める」
    自分の人生を彩るための様々なインク壺で丹念にいろんな色を入れて重ねていく。たまたま最後に倒してしまったインク壺の色が全部を一色に染めてしまう。

    →死に方で判断するのは違う。違うんだけど死ぬ瞬間はセンセーショナルで、その先のその人の話は新たに紡がれなくなって、周りの人の頭の中で想起されるのは常に「過去」
    そして最も最近の過去が死ぬ瞬間だから(上巻の冒頭に繋がるが)、死に方でどうしても判断してしまうのだろうな。

    文人主義の考え方、「誰かといるときの自分を愛す、その分人を足場に生きていけばいい。」というの刺さったなあ。

    「心の誤訳」ラデックが説明した、伊勢物語の時代は現代の「自殺したい」という感情を「出家したい」と訳したのだろう、という考え面白いな。社会的な文人を消すことで命まで失わずに済む。この考えが自殺者を救う気がするな。

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    2026年05月30日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    ネタバレ

    身近な人を亡くした人なら誰でも、生き返ってくれたらどれだけよいか、また会えたら話せたらどれだけいいか、何度も空想すると思う。復生者という概念は完全なるファンタジーなのに、それを通じて、人の死の儚さにとことん現実的に向き合っている不思議さ。平野さんの哲学的でじっくりと思考している小説が本当に好きだ。

    実際に復生者が現れてしまったら、大切な人を亡くしたひとはその人が帰って来る日を待ち望んでしまって、それこそ現実世界に戻れないんじゃないだろうか。

    ↓かなり冒頭の文章だけど、本当に死の儚さを綺麗に切り取った表現。
    「生きている人間は、日々活動して新しい。変化し、豊富になる。昨日とは違うことを感じて、考え、行動する。それが今日、生きているということである。しかし、死んだ人間は、ささやかな幾つかの逸話の主人公として、何度でも同じ行為を繰り返すしかなかった。」

    最初はまさかのミステリー?と思ったけれど、後半になるにつれて、分人主義を提唱する平野さんらしい展開になってきた。自分で自分がわからなくなる感覚、どこが夢でどこが現実かわからなくなる感覚。徹生の苦しさがひしひしと伝わってくる。
    1日であっというまに読んでしまった。

    あと、復生者の会で金縁眼鏡の男が言った
    「人生には、いいですか、一つとして同じものがないでしょうが?だったらどうして、死後の世界だけ一通りしかないと思うの?」という言葉にはハッとさせられた。私も死後の世界を信じている方ではないけれど、でもその世界もその感覚も今生きている世界と同じく、十人十色だよなあと。

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    2026年05月25日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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     「本当の自分」という、実体のない不可侵の塊を探すのをやめさせてくれる本だった。一貫したたった一つの「個人(インディビジュアル)」として生きるのではなく、対する相手や環境ごとに生まれる複数の「分人(ディビジュアル)」のネットワークとして自分を捉える。この視点は、真面目に生きようとするほど息苦しさを感じる現代において、非常に実用的な思考ツールになる。

    ●「一貫性」の呪縛からの解放
     世間では「裏表のない人」が美徳とされるが、本書は相手によって態度やキャラクターが変わることを「不誠実な嘘」とは呼ばない。親といる自分、職場の自分、趣味の仲間といる自分。そのどれもが「本物の自分」であるという肯定は、素直に腑に落ちる。

     私自身、結婚して子供が生まれたことで、家庭内での分人が占める割合が大きくなった。その「足場」が強固になった結果、皮肉なことに外部の人間関係に対して「自分の気持ちに正直に」割り切れるようになった感覚がある。すべての場所で同じ顔(一貫性)を強要されないことで、かえって精神的な安定が得られるというのは、分人論が示す「構成比率(ポートフォリオ)」の妙だと言える。

    ●他者を必要とする「分人」への疑念と整理
     論理として納得しつつも、実生活に引き写した際に生じた二つの疑問についても、自分なりに整理がついた。

    1.承認欲求への依存について
     「他者がいて初めて分人が作られる」のなら、他者の評価に支配されないかという懸念があった。しかし、実際には特定の分人に依存せず、複数の心地よい分人に分散投資しておくことで、一つの関係性での否定が全人格の否定にならないという「守り」の側面が強い。家族という大きな分人があるからこそ、他者からの承認を過剰に求めずに済むという現在の状況が、その証左だろう。

    2.一人きりのときの自分について
     誰とも接していない「自分オンリー」の時間は、無(ゼロ)ではなく、過去の他者の残響や、向き合っている対象(本、映画、食事)との間に生じる分人の時間である。例えばNotebookLMなどのAIと対話する時間は、客観的な「他者」を鏡にしながら、自分自身の内省を深めるための特殊な分人が立ち上がっている状態といえる。一人の時間もまた、純粋な孤立ではなく、世界や自己との「対話」によって構成されている。

    ●印象的なエッセンス
    1.個人から分人へ: 分けられない「一」ではなく、状況ごとの「多」として生きる。

    2.個性の正体: 固有の核があるのではなく、分人の構成比率がその人の個性となる。

    3.環境による調整: 嫌な自分がいるなら、その原因となる分人を物理的に減らすという戦略。

    ●まとめ
     「本当の自分がわからない」「あの人といるときの自分が嫌いだ」と、内面に原因を求めてループしてしまうとき、視点を「関係性」へと外に連れ出してくれる一冊。自分を一つの塊と見なさず、環境ごとに最適化されるネットワークとして眺めることで、変化していく自分を静かに受け入れられるようになる。

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    2026年05月16日
  • 私とは何か 「個人」から「分人」へ

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    文学作品を味わうためのマスターキー。
    自己認識や対人関係のヒントとしては元より、氏の小説をはじめ文学全般を読む上で鍵となる一冊。汎用的な副読本としても常備したい。
    「分人」の視点を通して文学作品にふれると、物語はより広く「読みしろ」を開放し、豊かな問いを読者に投げかけてくるかもしれない。

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    2026年05月14日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    上下巻の構成とは知らずに上巻だけ買って一気読みしてしまい、待ちきれず途中駅でわざわざ下車して下巻を買った。本当に面白かった〜〜
    一つ一つの描写で、自分が日々当たり前に見ている景色、考えていることがよりクリアに的確に表現されていく感じ、読んでいて気持ちいいなと思う。
    分人主義についての本を読んだことがあったので考え方自体は元々知ってはいたけど、自殺についての見方は新しくて、且つ納得感があった。
    あと、直前に原田マハの『たゆたえども沈まず』を読んだおかげで、ゴッホの肖像画のくだりがより一層深みを増したように思う。
    佐伯は結局何者だったんだろう。
    平野啓一郎の本、好き!

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    2026年05月09日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    相変わらず分厚いな〜と思って表紙を開いた瞬間、目に飛び込んできた『空白を満たしなさい(上)』の衝撃は忘れられない
    そしてやはりこの人の本が好き!感想は下巻の方に書く

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    2026年05月06日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    小説を読むとき、なぜその登場人物が必要なのか、なぜその場面設定が必要なのかまで考えながらゆっくり読むと良いらしい。年間〇〇冊読んでいるなどがもてはやされるが、読書体験としては1冊を丁寧にゆっくり読むことも大事にしたい。

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    2026年05月01日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    生き返るというテーマは何度もドラマや本で描かれているが哲学やミステリーも絡めた構成は見事。後半につれ勢いも加速し下巻への読書欲も引き上げられた。
    さぁ、下巻へ。

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    2026年04月21日
  • マチネの終わりに

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    ネタバレ

    ・難しくて途中でやめてしまおうかと思った。半分あたりまで進んでもイマイチ乗れず、けど辞めずに正解だった
    ・『消失点』で一気に引き込まれて本を置くのがイヤ!ってくらいに続きが気になり過ぎた

    ・早苗の行動が私には理解できないし、許せないけど、結局は言う通りなのかもしれない。あのすれ違いがなくて2人が結ばれたとしても、主役と主役の人生ではうまくいかないのかもな...と最後に思ったのは悔しかった。
    ・物語の内容以外にも戦争の事やリーマンショックの事とか勉強になった。と同時に色々な事を考えさせられた。

    ・心の繋がり、心の話をした時に通じ合える相手はこの世界にどれだけいるのだろう?「この話したいな」と思える相手がいる事は幸福なのだと思う。

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    2026年04月20日
  • 本心

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    生と死について深く考えさせられる作品だった。学習による表面的に模倣された振る舞いよりも心の内の揺れ動きが人間にとって何にも代えがたい大切なものであると感じた。孤独であっても「もう十分」と至れる生を送りたい。

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    2026年04月09日
  • 小説の読み方

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    小説の感想が書けるようになるという煽りに惹かれて読んだ。確かに登場人物の変化に着目し、その変化過程や、感じたカタルシスという観点から語ることができるようになりそう。なお、恋空に関する分析が非常に秀逸だった。作者のなかで平野啓一郎ほど明確に言語化されていたとは思わないが、対人コミュニケーションについて「メールのせいで拗れるようになった」みたいな感覚はあったのかもしれない。

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    2026年03月31日
  • 死刑について

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    ネタバレ

    【読もうとしたきっかけ】
    袴田事件のドキュメンタリー映画「拳と祈り―袴田巖の生涯―」のパンフレットに本書の著者の寄稿を発見。そこに「死刑存置派から死刑廃止派に変わった」と書いてあり、非常に興味深いと思った。

    【感想は】
    一般的に割合の多い死刑存置派の考えの言語化をはじめて目のあたりにして、鋭い指摘を行っていると思った。とかく、死刑制度の是非というのはオープンに話される話題ではないため、該当する言葉を私は持ち合わせていなかったが、この本のおかげで可視化できた。目から鱗。また死刑存置100%の考えだったが、フィフティフィフティに変わった。
    国家に人は殺せないし、また犯罪者の生育環境を考慮すると、死刑にしてはい終わり、という死刑賛成派の考えには同意しかねる。一方で、では自分の周りの人が何らかの事件に巻き込まれ、自分が被害者側になったとき、感情的な面で、死刑反対派に簡単に同意できない部分もあると感じている。
    今後、えん罪や死刑に関する小説を読み進めていき、もう少し自分なりの意見を確立したいと思う。

    【死刑に対する考えはどんな風に変わった?】
    死刑存置100%の考えから、死刑存置50%、死刑廃止50%に考えが変わった。

    【理解できる部分】
    ・なぜ死刑存置を望むかと言えば、命を奪った側の人生がこれから続いていくのに対して、被害者にはそれがなく「アンフェア」なため。
    ・加害者側に共感できるかどうかの感情論が先に立ち、共感できなければ極刑もあり、というのが日本人の死刑に対する心理構図。
    ・日本は人権教育が失敗している。

    【死刑廃止50%】
    ・劣悪な生育環境に置かれ人を殺めた人を国家が殺していいというはずがなく、根本的な問題が解決されていない以上、同じ共同体の一員として支えなければならない。
    ・警察の杜撰な捜査で、無実の人が死刑執行されるということが起きている(飯塚事件)。本当にあってはならないこと。
    ・被害者遺族の中には、死刑を望まない人もいる。
    ・「全体に迷惑をかけるな」という考えが、「公益」を最優先にする。罪に対しては、徹底した自己責任論となり、その存在を抹殺しようという発想となる。(p89)

    【日本で死刑制度賛成の割合が多い理由】
    ・切腹など自死をもって罪を償うという文化や、勧善懲悪の物語がアニメーション(アンパンマンがアンパンチという暴力行為を通してバイキンマンをやっつける行為)で古くから語られており、それが日本人に染みついているため。

    【これから知りたいと思うこと】
    著者によると、日本は被害者遺族のケアが足りていないとのこと。被害者側のケアとはどういうことか。「犯罪被害者と認識されながら生きることの困難(66ページ)」に通じるのかもしれない。

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    2026年03月24日
  • ドーン

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    ネタバレ

    16年前の作品だが、少し未来を予測しているような米国の政治情勢と技術からリアリティを持って今でも読み進めました。火星探査ミッションにおけるスキャンダルと大統領選、一見重ならないテーマを丁寧な描写で違和感なく合わせて感じられる。長大な作品でしたが、最終章の救いもあり、分人というテーマに集積しながら読み進むことができました。

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    2026年03月20日
  • マチネの終わりに

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    長編小説
    クラシックギタリストとジャーナリストの
    博識で大人で綺麗な愛が綴られていて、読み応えがあった

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    2026年03月20日