平野啓一郎のレビュー一覧

  • 文学は何の役に立つのか?

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    平野啓一郎の「文学は何の役にたつか」を読み終えた。エッセイや評論集の類いで、中には僕には難解のものがあったが、大半は興味が惹かれるものだった。
    三島由紀夫、ドナルド・キーン、瀬戸内寂聴、大江健三郎、安部公房、古井由吉、ハン・ガン、ドストエフスキー、森鴎外などたくさんの文豪が登場する。
    寂聴さんにはかなり可愛がって頂いたようで、お酒の席で寂聴さんからたとえば甘粕正彦のリアルな話を聞いていたなんてことが書かれていると僕までなんかワクワク楽しくなったのだ。
    この本を通じて、まだまだ読みたい本、読まなければならない本がたくさんあると実感した。
    ちなみに平野啓一郎は「正気を保つため」に文学は役に立ってい

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    2026年02月06日
  • トーマス・マンはなぜ日本で愛されるのか

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    実は、トーマス・マンを読んだことがない。そろそろその辺を読もうかと思い始めた頃にたまたま出会ったのが本著だ。
    分野を問わず、マニアがその世界を語りあうのを見るのが好きだ。そんなに面白い世界なのかと気になり始める。
    冒頭の対談が九州大学で行われたのも興味深い。これまで、トーマス・マンの勉強会がずっと行われてきたのだそうだ。また、平野啓一郎の講演は、同世代の地方出身として、多くの共感があった。

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    2026年02月05日
  • 空白を満たしなさい(下)

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    すごく面白い小説でした。
    前半と後半が別の話のような展開ですが、最初から最後まで展開が多くて一気に読み進められました。

    「死」とは何か?
    「肉体的に無くなること」「人の記憶や様々な記録から無くなること」など、色々と定義されますが本の中でも登場人物が様々な解釈をしています。解釈は人それぞれで答えなんて無いのかもしれないですね。

    主人公ほど若い頃ではないものの、私も父親を亡くしています。大切な人が死ぬことで悲しみ苦しみますが、それを最初に癒して慰めてくれるのは作品でも言及がある通り「ある程度の時間」でした。そして、いつまでも悲しんでいられずに、大切な人の死を受け入れて普段通りに仕事をしなければ

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    2026年01月23日
  • 空白を満たしなさい(上)

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    「生き返る」という皆が喜ぶであろう架空の現象に対して、それが本当に起こった場合「本人や周りの環境が果たして受け入れてくれるのか?誰しもが喜ぶのだろうか?」など、主人公と家族、周囲の人々のリアルな感情の中で展開されていく上巻の話は、ハラハラして引き込まれるように一気に読んでしまった…!

    登場する佐伯という人物は胸糞悪いが、もしかしたら佐伯のような人物は物言わぬだけで周りに居て、知らない間に私の生活を侵食して壊しているのかもしれないと感じるような、首にまとわりつくような気持ち悪さだった。

    謎が謎を呼んだ上巻。
    下巻をこれからすぐに読み始めます!笑

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    2026年01月21日
  • 死刑について

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    自分の価値観が変わった本を読んだ時は星を5つ付けることにしている。この本もまさにその対象だった。
    文量は多くなく、1時間もかからず読める。その中で、いかに今まで私が犯罪をした人、その被害にあった人、もっといえば「人間」と分類される生物そのものに対する解像度が低かったのだと気付かされる記述が多かった。まさに私は人権教育の失敗の成果物だったのだと思う。
    一朝一夕で真逆に考えを変えることは難しいが、どんなに理解できない存在であっても、人間である限り人権があるという感覚は育てていきたい。本当に助けが必要な人は助けたいと思う姿をしていないと、誰かが言っていた言葉を心に停めておきたい。

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    2026年01月17日
  • マチネの終わりに

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    日記を書いたり写真を見返したりして思い出を振り返るばかりの私を掬ってくれるような一冊。明るい未来のために現在を生きるしい人よりも、過去の記憶を心に大切に携えながら生きるようなとても諦めの悪い人を中心に描いてくれて救われた。そういう意味でわたしにぴったりの本だったと思う未来のために今があると言うよりも、過去を変えてくれるいまの瞬間は多くあるのだから現在を過ごしてみようと思う方が私に合っている気がする。私はそういう後ろ向きな人間だとつくづく思う。

    「年齢とともに人が恋愛から遠ざかってしまうのは、愛したいという情熱の枯渇より、愛されるために自分に何が欠けているのかという、10代の頃ならば誰もが知っ

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    2026年01月14日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    ネタバレ

    ▼再読するもの
    ・夏目漱石 こころ
    ・森鴎外 高瀬舟
    ・三島由紀夫 金閣寺

    ▼はじめて読むもの
    ・カフカ 橋
    ・シャルル・ド・モンテスキュー 法の精神

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    2026年01月11日
  • マチネの終わりに

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    天才ギタリスト・蒔野聡史と、聡明なジャーナリスト・小峰洋子。細胞レベルで惹かれ合う二人の恋模様を描いた本作は、読み終えた後も、胸の奥で心地よい余韻が鳴り止まない一冊でした。

    特に印象に残ったのは、「言葉の旋律」「現実と虚構の融合」「ラストシーンの希望」という三つの要素です。

    1. 音楽のように響く、言葉の旋律
    この作品に散りばめられた言葉の数々は、まるで蒔野が爪弾くギターの音色のように、美しく気高い旋律を奏でていました。中でも、私の心に深く刻まれた二つの言葉があります。

    「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでいる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。」

    この本を貫く最

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    2026年01月09日
  • 本心

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    Ai版の分人

    話す相手が違えば、性格が変わる分人説を、Aiに当てはめてるのが面白かったです。
    Aiに学習させて、そういう分人が複数作られていく中で、統合された人格が変わっていくのも興味深いです。
    そういう変化は、作りたてのAiだからわかりやすくて、大人の人間では表現出来なかった部分だと思います。

    主人公がAi(生前の母)をよく知ろうとして、分人すべてを知ろうとします。それがうまくいくのかどうかを、僕たちに問いかけてるようでした。

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    2026年01月03日
  • マチネの終わりに

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    大人の恋愛小説として儚くもあり、美しくもある小説。一方で、運命なのか自由(選択)なのかという切り口で、自身の過去と今、そして未来を少し考えさせられた小説。

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    2026年01月02日
  • 本心

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    こちらを読んですごくおもしろくて、ある男、マチネ…と同じ作家さんの本3冊一気読みした秋。最終的に私は「ある男」派だけれど、こちらの作品もお母さんの不気味さと主人公の不安定さに最後までドキドキした。救いのあるラストでよかった。

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    2025年12月19日
  • マチネの終わりに

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    冬に合うほろ苦恋愛小説、クラシックやクリスマスジャズを聴きながら幸せで静謐な時間を過ごせた
    恋愛小説に出てくる人物の行き過ぎた心理や、何番煎じか分からない試練を斜に構えて見てしまうのだが、これは作家との相性なのか、本作の人物の肩書きは馴染みのないもので、それが逆に愛に対する人の熱や引っ込み思案は万人共通するんだと思えた。

    アポロ13の引用が本作の核だと思った
    『大気圏に無事突入するには、2.5度の幅の回廊を通らなくてはなりません。角度が急だと摩擦熱で炎上しますし、浅すぎると、池に石を投げた時のように、外に弾き飛ばされます。』

    初めての平野啓一郎さんでしたが
    持ちわせてる知識に圧倒されながら

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    2025年12月17日
  • サロメ

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    私の中で『サロメ』といえば、ビアズリーの悪魔的で蠱惑的なあの絵、あるいはモローのあの幻想的でアイコニックなあの絵。どちらもインパクト抜群でつい見入ってしまう歴史に残る絵ですが、当の文学作品は読んだことがなく、結局このワイルドの『サロメ』に私を導いたのはやはりビアズリーでした。ビアズリーの生涯を知るにつけて、ワイルドのサロメを読まずにはいられないわけだったのですが、もうひとつ、オスカー・ワイルドという人間への興味も、そこにはありました。
    本書はオスカー・ワイルドのサロメを平野啓一郎版新訳として、現代に生きる私たちに馴染みやすい文体で読める、という楽しみ方だけでなく、平野氏によるサロメの解釈、さら

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    2025年12月17日
  • マチネの終わりに

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    わたしは平野啓一郎がつくる、この独特な理解はできない難しいけどどこか素敵な世界観が大好きななので、、、!ただの恋愛のはずなのに、難しい言葉や色々な行為や自称に例え話に例え話を重ねるこのワールドに超魅了された!幸せになりたいね、そして人の幸せを奪いたくはないね、過去は変えられる、本当にいい言葉だ、、、

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    2025年12月11日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    ぶっちゃけ、難しかった。ふわっと読めるような本ではなかった。わかりやすい、でも結局色々理解はしたけど、それといった結果には辿り着けなかった。ふわぁっとした概念(?)が生まれた(?)
    面白かった…。

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    2025年12月10日
  • 自由のこれから

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    自由とは選択肢が多いこと。
    自動化により、「しなくていい自由」は得られるが、「何かをする自由」は奪われる。
    一旦、自由が奪われてしまうとそれを取り戻すのは難しい。システムが大きく変更されれば、個人の自由はそれに適応したが形の限定を受け入れざるを得ない。
    自動化、監視社会、法制度など、自由をどこまで譲り渡していいのかをしっかり考えていかないと。

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    2025年11月29日
  • 文学は何の役に立つのか?

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    平野啓一郎さんがこれまで講演で話されたことや、文芸誌などに寄稿された文学・文豪・文学作品への批評やエッセイなどを収録したものとなっています。その冒頭に収録されている或る研究集会の基調講演のテーマが「文学は何の役に立つのか?」ということで、これがそのままこの本のタイトルになっています。

    このタイトルを少し噛み砕くと、「文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな価値があるのだろうか」ということになるのかと思いますが、この本を読んで私なりに思ったのは、以下のことでした。

    文学は、①社会の不条理に気づかせ考えさせてくれること、②人間関係の機微を巧みな表現で心を動かされること、③現実社会からの解放す

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    2025年11月24日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    今まで、様々な読書本を読んできましたが、1番自分に合っていると感じた本でした。私も速読や「とにかく本の冊数を多く読む」という考え方に違和感があったのですが、その理由がうまく言語化できずにいましたが、その正体がわかった気がします。本と対話したい方にオススメです

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    2025年11月22日
  • 本の読み方 スロー・リーディングの実践

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    ・速読は脂肪をつける読書、読んだ後に内容を覚えてないことも多々ある
    ・自分が登場人物の立場だったらどうするを想像してみる
    ・人に説明する前提で読む
    ・助動詞、助詞に着目する。
    ・書いた人の目線で考える

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    2025年10月27日
  • 本心

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    475ページ。長い。

    足ることを知る、森鴎外、高瀬船。最愛の人の他者性と向き合う人間性としての誠実さ。

    AIアバターという未来風の書き方だが、取り上げている議題は、死生観、格差社会といった、従来からある話。自由死を選ぼうとした母の本当の声を聞きたくてアバターを作るが、それは本当に母親か。いや、本当の母親とはそもそも何か。自分たちは普段、人の一面を見ているに過ぎない。加えて、それは変化していくものでもある。一面、一時それを切りとって、それは本当にそうなのだろうか?

    格差社会においては、いろんな意味でもう十分という人々も出てくる。自由死を選ぶことは本当に良くないことなのだろうか。

    人間とし

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    2026年01月18日